1.日時 :平成8年6月21日(金) 10時00分〜12時00分 2.場所 :合同庁舎四号館12階 共用第一特別会議室 3.議題 :今後の審議の進め方について 4.議事内容 今回は総合部会の初会合であり、事務局より資料に沿って本部会設置の背景等につ いて説明を行った後、本部会において検討すべき課題につき、自由討議を行った。 <主な意見> 【総論】 ○今後の審議を進めるに際して、(1)我が国の経済構造の変化に対応した証券市場の整 備・拡充、(2)国際資本市場としての機能強化・国際競争力の向上、との2つの視点 から検討が必要である。 ○現行証取法の「投資家保護」は、公正な価格の実現を通じて達成されるべきであり、 あらかじめリスクを小さくしておくという「投資家保護」の運用が、かえって価格決 定メカニズムの発揮を妨げ、公正な価格を損なう結果となっている面があるのではな いか。 ○グローバル・スタンダードの観点から、流通・決済等について見直す必要がある。 ○行政は、ディスクロージャー・公正取引の確保を通じて市場メカニズムの補完として の役割を果たすことが大切ではないか。 ○今後は、証券市場において、資産運用に重きが置かれるようになるだろう。そのため に、(1)規制緩和、(2)運用に携わるものの行為規範・職業倫理の浸透が必要である。 ○日本において、証券市場が国民共通の財産であるとのコンセプトを立てるべく、自己 責任原則に基づいた、効率的な資産運用ができる場としていくための議論が必要。 ○証券会社のみならず、金融機関や一般事業会社も含む企業の健全性を確保するために、 資本市場、証取法がどうかかわるかを検討すべき。 ○いわゆる局際、省際問題にかかわらず、現在の枠にとらわれずに議論していくことが 重要。 ○証券市場の機能については、政策的議論や外国の状況も大切だが、過去の積み重ねが あり、かつ現在動いている市場が存在していることを認識した議論が必要である。 ○2000年を念頭に置く場合、安定成長型経済における資本市場システムを検討すること は必要だが、その後日本の経済の状況が変化する可能性を留意する必要がある。 ○日本の膨大な個人金融資産に鑑みれば、国際的にも東京市場を使い勝手のよいものと していく必要がある。 ○結果の平等よりも入口の平等が重要であり、投資家保護はディスクロージャーによっ て保証されるようなシステムが必要であるが、そのようなシステムの本質論を議論す べきで、単に米国の制度のコピーではいけない。 【規制緩和について】 ○規制緩和により自己責任が問われることになるが、今まで甘やかされてきた日本の個 人投資家が、それに耐えうるようになるには相当のショック療法が必要である。 ○規制緩和については、規制緩和自体が目的であってはならない。規制緩和を行うにあ たっては事後チェック機能・体制を備えるべきである。 ○日本の証券市場は米国等と比して見劣りする原因の一つとして、証券業界内部のルー ル・規制の問題もある。そのような規制を緩和すべきである。 ○証券市場はある意味で規制・管理で成り立っているシステムである。その規制には、 投資家保護や公正取引の確保等の不変な部分と、免許制・手数料等の可変な部分があ り、この整理が必要。 ○過去のバブルは、投資家・仲介業者に自己責任原則がなかったことに起因しており、 自己責任原則を浸透させるためにも、規制緩和を進めるべき。 【取引所・店頭市場について】 ○店頭市場の活性化を図るため、現在取引所の補完とされている店頭市場の位置づけを 検討しなおすべきである。 ○通信技術の進展により、市場集中原則は、再検討を迫られている。 ○店頭市場のあり方についての検討には、必然的に地方取引所を含め取引所のあり方に ついての検討が伴うこととなろう。 ○店頭銘柄について、証券会社がマーケットメイクにさらに積極的に関与して欲しい。 【投資家について】 ○今までの投信研究会での証取審の審議待ちとなった案件についても検討して欲しい。 ○証券ビジネスの中で、個人の資産を運用することをビジネスの中心とすべき。 ○現在の市場の不振の原因は、我が国の証券関連商品が貯蓄商品としての競争力に欠け ているためであり、それら商品の質の供給コストをいかに下げていくのかが問題とな っている。 ○一般企業の説明会などを通じて、一般投資家への証券教育に注力すべきである。 ○個人投資家育成に関して、ストック・オプションが一般企業にも導入されることを希 望。 ○機関投資家として、これまでのようにキャピタル・ゲインを期待するような方法は限 界。これからは、株式配当利回りの向上が重要である。 ○投資家にとっては、コストの削減が肝心であるから、手数料・有取税についての見直 しが重要。 【電子化について】 ○電子化への動きに関連して、ディスクロージャーの迅速化への応用ができないか検討 が必要である。 ○電子取引により、外証法の体系を維持できるかという問題がある。 【証券税制について】 ○グローバルスタンダードの観点から、証券税制の抜本的見直しが必要ではないか。 ○個人保有比率を上昇させるためには、配当の二重課税の問題を解決する必要がある。 <問い合わせ先> 大蔵省証券局総務課調査室 上田、大谷 TEL 3581-4111 (内線 5434) 本議事要旨は暫定版であるため今後修正がありえます。