第4回証券取引審議会総合部会議事要旨
1.日時 :平成8年9月10日(火) 10時00分〜12時00分
2.場所 :合同庁舎四号館 第二特別会議室
3.議題 :(1)投資家・資金調達者から見た証券市場について
(2)金融商品の多様性と証券会社の差別化戦略について
4.議事内容
(1)「米国の金融商品の多様性と証券会社の差別化戦略について」をテーマに、ソ
ロモン・ブラザーズ・アジア証券取締役東京支店長の河村明雄参考人よりヒアリング
が行なわた。具体的には、(1)証券会社の扱う商品・業務に係る規制や証券の定義の
違いによる証券会社の扱う商品・業務の多様性に関する日米比較、(2)手数料の自由
化等の規制緩和に起因する米国における証券会社の差別化戦略、についての説明及び
意見陳述があった。その後、委員より質疑応答がなされた。
(2)「投資家・資金調達者から見た証券市場について」をテーマに、ニッセイ基礎研
究所上席研究員の川北英隆参考人より、投資家からみた証券市場の問題点についての意
見陳述が行なわれた。具体的には、(1)仲介業務や情報提供等を始めとする機関投資家
の役割、(2)投資家にとって魅力ある証券市場の考察、(3)市場集中原則の見直しをも含
めた投資家にとって魅力ある証券流通市場の考察、等について意見陳述がなされた。
(3)自由討議が行なわれた後、今後の部会の進め方、日程等について説明がなされた。
<主な意見>
○日本では、個人投資家層が薄く、証券投資に対する心理的抵抗も大きい。その原因と
して、資本主義が政府主導で発展したこと、証券は戦後の資本主義発展においても銀
行の補完的存在であったこと等が挙げられる。
○米国においては業務の自由度が高い代わりに、不公正取引のルールが厳格でルール違
反への制裁も厳しい。日本において、自由化をより徹底させるためには証券取引監視
委員会の増強等、規制面の体制を整備する必要があり、コストがかかる。司法の強化
も必要。
○株価が上がれば出来高が増え、下がれば減るという市場では立ちゆかなくなる。配当
利回りで買われる市場を構築すべき。
○ディスクロージャーの徹底を図るべき。グローバル・スタンダードの観点から連結決
算を原則とすべき。
○運用主体の横並び意識を改善する必要がある。そのためにも有能なファンド・マネー
ジャーの育成が必要。
○日本では、銀行の影響力が強いということに留意する必要がある。そして、実質的な
ファイヤー・ウォールをしっかり設け、発行会社が銀行の影響を受けず客観的・合理
的に自己判断できるようにすることが重要。
○取引所も利用者のニーズに応えなければならないが、透明性や価格への信頼性を確保
するためには市場集中原則は必要。
○市場を階層構造から対等競争に転換し、一つの市場のみならず、複数の市場を構築す
べき。機関投資家同士による注文付け合わせの場を作り、また大口取引について証券
会社を通さずダイレクトにアクセスできるようにするべき。
○取引所の情報提供は不十分であり、需給がどの程度か投資家にはわからない。証券会
社だけが板情報を持っているのは不公平。
○板情報の公開には賛否両論があり、マニュピレーションをしかけられてしまうとか、
個人投資家と機関投資家の情報格差が拡大するとか、証券会社のマーケット・メイク
ができなくなるなどの問題もある。
○機関化現象は必然としても、これまでの機関投資家のパフォーマンスが充分でなかっ
たこと等に鑑み、機関投資家間の競争を確保することが重要。
問い合わせ先
大蔵省証券局総務課調査室 森田、小桐間
TEL 3581-4111 (内線 5434)