(3)自己株式取得に係る開示制度の充実

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│     項      目     │                  考              え              方                  │           備                  考         │

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│1.  自己株式の公開買│1.  経緯及び状況の変化                                                │○  証取法27条の22の2(a)              │

│  付け制度の充実    │(1) 平成6年の商法改正以降、自己株式取得の規制緩和が行われ、          │    商法第210条ノ2第2項又は同法第21│

│                    │  (a)  取締役、使用人への譲渡(商法)                                  │  2条ノ2第1項若しくは株式の消却の手続に│

│                    │  (b)  定時総会の決議による利益消却(商法)                            │  関する商法の特例に関する法律第3条第1項│

│                    │  (c)  定款に基づく取締役会の決議による消却(商法消却特例法)          │  の規定による上場等株券の当該上場等株券の│

│                    │  のための自己株式取得が可能になり、その方法として「公告シテ為ス取引」│  発行者である会社による有価証券市場外にお│

│                    │  及び「公開買付け」による取得が認められてきた。                      │  ける買付けは、公開買付けによらなければな│

│                    │                                                                      │  らい。ただし、有価証券市場における有価証│

│                    │(2) 商法等の改正を受けて、証取法においてこれらの自己株式取得について公│  券の売買取引等に準ずるものとして政令で定│

│                    │  開買付制度等の整備が図られてきた。                                  │  める取引による買付けについては、この限り│

│                    │                                                                      │  でない。                                │

│                    │(3) しかしながら、会社による自己株式の取得は(1)(a)~(c)を目的とするものに│○  現行制度では、資本減少、定款に基づく利│

│                    │  限られたものではない。昨今の経済状勢の変化の中で、会社が資本の改善等│  益消却(商法§212)、償還株式の償還のための│

│                    │  を目的として、他の手法を用いて積極的に自己株式を取得する可能性が生じ│    自己株式取得に係る開示は求められていな│

│                    │  てきている。                                                        │  い。                                    │

│                    │                                                                      │                                          │

│                    │2.  新たな自己株式公開買付けの対象                                    │                                          │

│                    │(1) 商法では、1.(1)(a)~(c)以外を目的とする自己株式取得について相対取引を│○  現行の証取法と商法等の関係は、商法等で│

│                    │    排除していないため、証取法による一律の公開買付けの適用にはなじまな│  「公告シテ為ス取引」又は「公開買付け」に│

│                    │  い。                                                                │  よる場合に、証取法の公開買付制度が適用さ│

│                    │                                                                      │  れている。                              │

│                    │(2) そこで、各種の手法のうち「公告」により幅広い投資者を対象として自己│                                          │

│                    │  株式を取得する場合に、公開買付制度を適用することが考えられないか。  │                                          │

│                    │                                                                      │                                          │

│                    │                                                                      │                                          │

│2.  外国会社の自己株│(1)  現行証取法の自己株式の公開買付けに係る規定は、商法の自己株式取得の│                                          │

│  式取得            │  規定を用いていることから、外国会社への適用がない。                  │                                          │

│                    │                                                                      │                                          │

│                    │(2)  国内投資者の保護の観点からは、自己株式の取得について、外国会社と国│                                          │

│                    │  内会社を区別する理由はないのではないか。                            │                                          │

│                    │                                                                      │                                          │

│                    │(3)  他方で、自己株式の取得に係る諸外国の様々な法制は否定できないことか│                                          │

│                    │  ら、外国会社が日本国内で「公告」の方法により幅広い投資者を対象として│                                          │

│                    │  自己株式を取得する場合に、公開買付けを適用することが考えられないか。│                                          │

│                    │                                                                      │                                          │

│                    │                                                                      │                                          │

│3.  公開買付けの対象│(1)  新たにDRが有価証券として定義されることに伴い、他社株公開買付け及│○  他社株公開買付けの対象有価証券は議決権│

│  有価証券          │  び自己株公開買付けの対象有価証券としてDRを加えるべきではないか。  │  を有する株式に限定されている。          │

│                    │                                                                      │                                          │

│                    │(2)  その際、                                                         │                                          │

│                    │  (a)  他社株公開買付けの対象有価証券は議決権の有無を基準として定められ│                                          │

│                    │    ていることから、議決権を有するDRを対象として追加し、            │                                          │

│                    │  (b)  自社株公開買付けについては、自社DRの取得は実質的には自己株式の│                                          │

│                    │    取得であることから、議決権の有無にかかわらず公開買付けの適用対象と│                                          │

│                    │    することとしてはどうか。                                          │                                          │

│                    │                                                                      │                                          │

│                    │                                                                      │                                          │

│4.  自己株券買付状況│(1)  自己株式の取得そのものが会社の能動的な意思により行われる場合(具体│                                          │

│  報告書の提出事由の│  的には、(a)資本減少、(b)定款に基づく利益消却(商法§212)、(c)償還株式の│                                          │

│  見直し            │  償還を目的とする自己株式取得)、自己株券買付状況報告書の提出を求める│                                          │

│                    │  こととしてはどうか。                                                │                                          │

│                    │                                                                      │                                          │

│                    │(2)  しかしながら、現行の自己株券買付状況報告書の対象となっている自己株│                                          │

│                    │  式の取得は取得の期間が特定できるのに対し、これらの場合には、取得期間│                                          │

│                    │  が特定できない(複数年となりうる)ことから、実際に取得がなされた月ベ│                                          │

│                    │  ースでの報告を求めることとしてはどうか。                            │                                          │

│                    │                                                                      │                                          │

│                    │(3)  この場合、報告書の提出期限は取得がなされた翌月の15日としてはどう│                                          │

│                    │  か。                                                                │                                          │

│                    │                                                                      │                                          │

│                    │(4)  外国会社が自国内で行う自己株式取得も含め、幅広く自己株式取得につい│                                          │

│                    │  ての報告を求めることも考えられるが、諸外国の自己株式取得規制には多様│                                          │

│                    │  なバリエーションがあり、我が国商法の枠組みにより構築されている開示制│                                          │

│                    │  度をそのまま強制することは問題ではないか。                          │                                          │

│                    │                                                                      │                                          │

│                    │                                                                      │                                          │

│                    │                                                                      │                                          │

│                    │                                                                      │                                          │

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