1. 日時:1998年4月17日(金) 10時00分〜12時00分 2. 場所:大蔵省 第一特別会議室 3. 議事概要: 前回と同じく、第6回までの会合での議論を踏まえ、各委員から意見を聴取し、 その後、自由討議を行った。 討議における主な意見は以下の通り。 ○ 金融産業が健全な状態に立ち戻った状況においては、公的当局は金融機関の自己資 本充実度とリスク管理体制を適切にモニタリングし、これを基に厳格に早期是正措置 を発動しさえすれば金融機関が深刻な状態に陥ることはなく、金融システムの安定性 維持について原理的には複雑な問題はないのではないか。 ○ 金融の急速な複雑化・高度化と伴に、金融機関と監督当局の間の情報の非対称性が 拡大しており、実効的なモニタリングの実施が困難になっている。第2次BIS規制 における内部モデルの使用の認可に見られるような健全性維持へのインセンティブを 規制体系に盛り込む措置を、信用リスクについても導入していくべきである。 ○ 日本においては、貸出増加額と地価上昇率の間に高い相関関係があると考えられ、 正常な金融機能や金融システムの安定化のためには、地価下落の解消が不可欠である。 地価を直接コントロールすることは不可能なので、税制やマネーサプライを中心とし た金融政策等のマクロ経済政策でどうすべきか、という観点も必要であろう。 ○ バブル後の政府の政策には失敗のものもいくつかあったが、その反省がみられない のではないか。自らの失敗を素直に認めて反省し、やるべきことをやっていく必要が あろう。 ○ アメリカで4から5、ヨーロッパ各国ではせいぜい1つの金融機関しか国際的に活 動していけないと考えられるなかで、日本だけ19行もの金融機関が世界を舞台に活 躍していけるのだろうか。 ○ 破綻処理に当たっては、コストを最小限に抑えることに固執するのではなく、市場 ルールを遵守し、処理の迅速性・透明性をより重視するべきである。 ○ いわゆるナローバンクを純粋な形で実現させるのは現実問題として不可能である。 ただし、例えば、決済機能と預金機能とでアカウントを分離することで同様の効果を 得ることができるのではないかと考えている。 ○ 株価維持政策や原価法の採用を認めることで自己資本比率8%を達成させようとい う政策は市場原理を無視しており、市場の信認を失墜させているのではないか。アナ ウンスメント効果も、市場の信認があってはじめて効果を発揮するものであり、信認 がなければ効果がない。 ○ 金融機関の破綻処理の法的手続きについては2年前の金融3法で会社更生法をベー スに措置してあるが、あまりに複雑かつコストがかかるものであり、現実には非常に 使いにくいため法的手続きによらず破綻処理が進められてしまっているのが実状と思 う。そもそも法的手続きは、特に、(1)管財人が財産管理を担うこと、(2)財産の処分を 停止させること、等の点で金融機関への適用が難しく、現実に法的手続きによるとす ると、より特別のルールの適用を考えていく必要がある。 ○ 金融機関が破綻に近づいていく過程が、自己資本比率が徐々に低下していくことで 明確に把握できれば早期是正措置が有効に機能するが、自己資本比率上は健全であっ たはずの金融機関が、気がつくと債務超過に陥っていることが通例のパターンではな いか。これはディスクロージャーだけでは解決できず、別のメカニズムを導入する必 要があると考える。 ○ 自己資本比率の"8%"という数字は、国際会議で交渉の中で決められたものであり、 これをクリアすることが直ちに当該金融機関の健全性の確保を意味するわけではない が、ナンセンスな数字でもないと考える。国際金融市場という統合された市場におい て、"10%"をクリアすることが要請されている国もある中で、8%もクリアできな いということは、それだけ財務体質が虚弱であるということを示しているといえる。 いずれにしても、8%とか4%という数字にどういう意味があり、また、その中身が どうかということをよく検討しなければならない。
(問い合わせ先) 大蔵省 03-3581-4111(代表) 銀行局総務課信用機構室(内線5649) 本議事要旨は暫定版であるため、今後修正がありえます。 |