事例
地域機関同士の連携促進を目指した合同勉強会
合同勉強会開催の背景と目的
<島根県信用保証協会>
コロナ禍において、事業者に対して資金面での支援に注力してきたものの、その後、いざ企業支援をしなくてはいけないとなった段階で、職員数も限られる中、OJTなどの若手育成が進んでいない状況があった。
また、企業支援について、今後は地域金融機関と連携しながら進めていくことが大きな課題と感じていたことから、若手向けの合同勉強会ができないか企画を検討し、しまね信用金庫へ声を掛けた。企業を訪問し、現状や悩みをヒアリングするなど企業支援の入口の段階を教育するツールとして、『業種別支援の着眼点』が活用できると考えた。

<しまね信用金庫>
当庫では、職員の育成において、まずは職員からの要望を聞くようにしており、若手職員からは、業種ごとの特性を教えてほしいといった要望が強く、背景として「お客様と何を話せばよいのだろうか」という悩みがあると感じていた。同「着眼点」が公表され、そうしたニーズにマッチすると考え、各営業店にアナウンスしたものの、それだけでは若手職員にはあまり認知されず、認知・活用を促す機会が必要と考えていた最中に、島根県信用保証協会から勉強会を合同開催しないかとお声がけいただいた。
今後の連携に向け、お互いの若手職員が参加し、顔が見えるようになるのとそうでないのとでは大きな違いがあると意気投合し、勉強会実現へスタートを切ることになった。

勉強会の内容と成果について
勉強会の当日は、両機関から若手職員8名ずつと少人数の参加とし、双方が関心の高いテーマを事前に話し合った上で、小売業を取り上げ、身近な事例を交えた資料としたほか、問いかけのスライドを挟むなど、対話しやすい形とした。信用保証協会の講師から実例や体験を織り交ぜながら説明が行われ、より実践に近く、対話・支援の仕方が想像しやすいような内容となった。
他機関の同世代の職員と同じテーブルで一緒に考え話し合う今回の勉強会は、双方の職員にとって予想していた以上に刺激となったようだ。企業を訪問するきっかけになり、「着眼点」を使い、訪問前に仮説を立てられるところは立てて、企業をより理解できるように対話するなど、少しずつ変化が見られている。職員の知識レベルの平準化や底上げにもつながったほか、中には、今回取り上げなかった業種についても教えてほしいという意見も出てきている。

今後について
企業を支援したい、困りごとがあったら協力したいというのは共通の思いであり、それを体現するためにも、「着眼点」をOJTに取り入れるなどしながら、前もってお客様を知ることを浸透させていきたい。そして、地域の金融機関や信用保証協会の人的リソースが限られている中で、地域内での横の連携をさらに充実させ、企業を支えていきたい。

「着眼点」活用の
ポイント
01
関係機関が企業支援に向け勉強会を合同開催
「着眼点」という共通のツールを題材に、信用保証協会と金融機関が、企業支援に向けた共通の目的を持って、組織・業態の枠を超えて勉強会を合同開催している。
02
若手職員の育成の課題に対応
企業支援に向けた若手職員の育成に課題を抱える中、勉強会のテーマを、「着眼点」から若手職員の関心に応じた内容とし、体験等を交えた説明とするなど工夫することで、企業訪問や理解のきっかけにつながっている。
03
関係機関同士の顔が見える関係
勉強会を対話しやすい形式とすることで、今後の企業支援における連携に向け、お互いの職員の顔が見える関係づくりの効果が見られる。
- ※提供 島根県信用保証協会・しまね信用金庫
- ※令和5年度「業種別支援の着眼点の拡充や普及促進に向けた委託事業」(金融庁委託事業)において、メディアラグ株式会社が収集し作成したものです。
- ※本活用事例の内容については、2023年12月時点の情報を基に作成しています。