事例
「着眼点」を本業支援の教科書に
実体験・知見を盛り込んで5業種を研修化
取組の背景
当金庫では、以前より本部専担部署の職員が、営業店の職員と共に積極的に取引企業を訪問し、事業者支援に取り組む活動を続けている。同部署としては、事業者支援の大切さを金庫内職員にさらに広く伝えるべく、これまで、中小企業診断士の資格を有す職員や事業者支援の知識が深い職員が、OJTや専門書を用いて情報発信を行ってきたが、期待するような事業者支援知識の定着には至っていなかった。
そのような中、昨年の「業種別支援の着眼点」の公表を知り、職員が同「着眼点」に関する外部セミナーに参加した。セミナーでは、講師の実体験をもとにした事業者支援における生の声や中小企業経営の現実が語られ、強い衝撃を受け、当金庫における事業者支援の定着に活用できるとの考えを抱いた。
若手職員向けセミナーを開講
これをきっかけに、当金庫内でも上記の講師を招き、主に若手職員を対象として、同様に「着眼点」の内容を体感してもらうセミナーを開講する流れとなった。
各営業店から1名ずつが参加し、参加者からの満足度は非常に高い結果となった。また、当金庫ではセミナー受講後に講義の内容を店舗職員へ展開する取組があり、今回のセミナー後にも、各店舗で「着眼点」セミナーの内容についての講習が行われた。
これまでも、本部専担部署には、各営業店から事業者に対する支援についての相談が寄せられていたところ、今年度は、半期で1,000件ほどと多くの相談がきており、「着眼点」セミナーを受けた効果も現れているのではないかと感じている。
オリジナルのテキストによる継続的な研修化
当金庫内の「着眼点」セミナーの参加者からは、こうした機会を継続して作ってほしいとの声が挙がっている。そこで、2024年度から、人事研修制度内の目玉として「着眼点」をテーマに組み込むこととした。
以前から事業者支援のカリキュラムは充実させているが、「着眼点」はその中の柱として年度初期にラインナップし、階層としては若手職員向けを中心に実施を予定している。昔は日々の事業者とのコミュニケーションの中で対話や支援のコツを自然と身に着けることができたが、現在は金融機関の業務も多岐にわたり、各事業者と深く関わる経験が少なくなってきているため、早い段階で、知識と理論に加え、事業者支援の疑似体験をしてもらえるような研修の場は効果的と考えている。
研修内容は、「着眼点」を活用し、本部専担部署の職員が、事業者支援における成功例や失敗談を含む実体験やリアルな実情、当金庫の考えを織り交ぜてオリジナルのテキストを作成する。1日かけて全業種共通及び5業種についてじっくりと理解を深めてもらえるようなものとする。そこから参加者が各自で興味を持った業種等を担当したときに、有効な対話の実践とより深い理解へと繋がるように取り組んでいく。

「着眼点」を組み込んだ来年度の若手向け研修資料を作成中。

担当者ヒトコトコメント
「着眼点」を基に、リアルな実体験を織り交ぜた研修を実施することで、当金庫の事業者支援が一歩前に進むことを目指しています!
「着眼点」活用の
ポイント
01
若手職員向け研修の資料として活用
若手職員が、事業者支援の理論を学び、疑似体験できるような機会を提供。セミナー受講者は各店舗で講習を実施し、庫内浸透を図る。
02
研修制度への組み込み
年度毎の人事研修において、本業支援にかかるカリキュラムに「着眼点」を採用。
03
知見を織り交ぜたオリジナルのテキストづくり
「着眼点」に、これまでの経験談などを織り交ぜ、オリジナルの研修テキストを作成・使用。
- ※提供 松本信用金庫
- ※令和5年度「業種別支援の着眼点の拡充や普及促進に向けた委託事業」(金融庁委託事業)において、メディアラグ株式会社が収集し作成したものです。
- ※本活用事例の内容については、2024年3月時点の情報を基に作成しています。