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証券取引等監視委員会 中期活動方針(第10期)
~信頼され魅力ある資本市場のために~

令和2年1月24日

証券取引等監視委員会

証券監視委の使命

  • 的確・適切な市場監視による

  • 1.市場の公正性・透明性の確保及び投資者保護の実現

  • 2.資本市場の健全な発展への貢献

  • 3.国民経済の持続的な成長への貢献

証券監視委が目指す市場の姿

  • 市場参加者が、資本市場の健全な発展及び投資者保護の確保という目標を共有し、それぞれに期待される役割の遂行や専門性の発揮によって、強固な信頼を確立した資本市場

証券監視委の活動理念

  • 公正・中立

  • 説明責任

  • フォワード・ルッキング

  • 実効性・効率性

  • 関係機関との協働

  • 最高水準の追求

証券監視委を取り巻く現在の環境

証券監視委は、取引の公正を図り、市場に対する投資者の信頼を保持することを目的として平成4年に設置され、今般、第10期目を迎えました。
 証券監視委は、平成4年の発足以来、重大・悪質な事案に対する告発や法令違反事案に対する課徴金納付命令勧告・行政処分勧告等の実績を積み重ねるとともに、調査・検査を通じた市場監視に取り組み、市場の公正性・透明性の確保や投資者保護の実現に努めてきました。

現在、資本市場は大きく変化しています。

  • 構造的な変化として、海外投資の増加や企業のグローバル化(海外子会社等との分業、アウトソーシング等)などにより、資本市場のグローバル化や各種金融市場の緊密化が更に進展しています。
  • 資金フローをみると、世界的な低金利環境の下、高リスク・低流動性ファンド等に対する資金流入が増大している中、地政学的リスクなどを背景に経済の先行きを巡る不確実性が高まっています。
  • また、デジタライゼーションの飛躍的な進展が資本市場及び市場参加者全体に大きな影響を及ぼしています。金融機関はAI等の技術やデータの利活用の進展等によりビジネスモデルの見直しを迫られ、市場環境もアルゴリズムを用いた高速取引の普及等により大きく変化しているほか、暗号資産等の新しい商品・取引等が出現しています。
 

また、金融庁の重要施策の1つに多様な利用者のニーズに応じた金融サービスの向上が掲げられる中、証券監視委としても、幅広い投資者が安心して投資できる市場の実現等を通じ、国民の安定的な資産形成や資金の好循環に一層貢献する必要があります。

これらのような大きな環境変化の中、第10期を迎えた証券監視委は、前記の活動理念のもと、「網羅的な市場監視(広く)」・「機動的な市場監視(早く)」・「深度ある市場監視(深く)」という3つの目標達成に向けて5つの施策を実施してまいります。

目標

1.網羅的な市場監視(広く)

  • (1)新たな商品・取引等への対応

    新しい商品・取引等に係るリスクを的確に把握・分析等

  • (2)あらゆる取引・市場を網羅的に監視

    株式市場と債券市場、現物市場とデリバティブ市場、発行市場と流通市場等、あらゆる取引・市場を網羅的に監視

  • (3)高齢者を含む多様な投資者の保護

    高齢者を含む市場に参加する多様な投資者について、その知識、経験、能力等の様々な属性を踏まえた投資者保護を推進

  • (4)全体像の把握(部分から全体へ)

    個別の問題事象について、事案の全体像を把握した上で、他の類似事案等も見据えた横断的な視点も持って、実態解明及び根本原因の究明

  • (5)国内外の関係者に向けた幅広い情報発信

    違反・不適切行為の未然防止の観点を含む情報発信の強化

2.機動的な市場監視(早く)

  • (1)問題の早期発見・着手

    市場における問題の端緒の速やかな把握及びタイムリーな調査・検査等の実施

  • (2)早期の対応による未然防止

    市場における問題に限らず、問題が顕在化していないものの調査・検査において改善が必要と認められた事項について、改善の促進を通じた未然防止及び問題の拡大の防止

  • (3)迅速な実態解明・処理による問題の早期是正

    調査・検査実施時における事案の迅速な実態解明及び処理

3.深度ある市場監視(深く)

  • (1)問題の根本原因の究明

    法令違反等の問題が認められた場合、問題の実質面に着眼してその根本的な原因の究明を踏まえ、当事者等と深度ある議論を行い、自主的な改善及び再発防止に向けた取組みを促進

  • (2)深度ある分析を通じた市場の構造的な問題の把握

    個別の問題事象の分析にとどまらず、前述の横断的な視点に加え、それらを踏まえた深度ある分析を行うことを通じた、市場の構造的な問題の把握及び制度整備等への貢献

目標達成のための5つの施策

1.内外環境を踏まえた情報収集力の向上

(1)市場環境のマクロ的な視点での分析等によるフォワード・ルッキングな市場監視

  • 問題の未然防止・早期発見につなげるため、マクロ的な視点で市場環境、業種及び企業の分析を行う等、フォワード・ルッキングな市場監視を行います。
  • 具体的には、調査・検査の端緒として活用するため、マクロ経済動向の把握とともに、国内外のマクロ経済情勢等を踏まえて選定した業種・企業に係る情報収集・分析を行います。
    また、その結果を証券監視委内で共有し、調査・検査に活用します。

(2)様々な金融市場に対する横断的な市場監視

  • 株式市場と債券市場、現物市場とデリバティブ市場、発行市場と流通市場等の各市場に対して、多面的な視点を持ちつつ、横断的な市場監視を行います。

(3)海外当局との連携強化による情報収集力等の強化及び市場監視への活用

  • 海外当局(法執行部門等)との信頼関係の醸成及び強化に努め、当該信頼関係に基づき、情報交換、調査・検査及び法執行面での連携を更に強化するとともに、そこから得られた海外における法執行状況や法制度等の有益な情報について、市場監視に活用します。

2.深度ある分析と迅速かつ効果的・効率的な調査・検査の実施

(1)事案の態様に応じた多角的・多面的な分析・検証

  • 取引等の複雑化、企業のグローバル化の進展、金融商品取引業者等のビジネスモデルの構造的変化等を背景とした非定型・新類型の事案等についても、その態様に応じて、多角的・多面的な分析・検証を的確に実施します。

(2)不公正取引や開示規制違反への迅速な課徴金納付命令勧告等

  • 事案が、全体としてより多様化・複雑化している中、課徴金納付命令勧告を視野に入れた調査・検査を積極的・機動的に実施することによって、不公正取引や開示規制違反の実態を解明するとともに、再発防止・未然防止につなげます。

(3)クロスボーダー事案の特質に応じた効果的・効率的な調査・検査

  • クロスボーダー取引による違反行為やグローバルに活動を行う企業の開示規制違反に対しては、当局間の情報交換枠組みの活用など海外当局との連携を実施しつつ実態解明を行う等、事案の特質に応じて効果的・効率的な調査・検査を行います。

(4)重大・悪質事案への告発等による厳正な対応

  • インサイダー取引、相場操縦、風説の流布、偽計や有価証券報告書の虚偽記載等の違反行為のうち重大で悪質なものについては、犯則調査の権限を行使し、厳正に対応します。その際、事案の内容に応じ、捜査・訴追当局や海外当局等の関係機関と連携し、実態の解明や責任追及を効果的に行います。

(5)リスクアプローチに基づく効果的・効率的な証券モニタリング

  • 金融商品取引業者等全体について、リスクアプローチに基づくオンサイト・オフサイトの一体的なモニタリングを行います。
  • オフサイト・モニタリングにおいては、監督部局等と連携し、業態、規模だけではなく、グループ全体の戦略や運営方針その他特性を勘案しつつ、 ビジネスモデル等を含めた多角的な観点でリスクアセスメントを行い、リスクベースでオンサイト・モニタリング先を選定します。
  • オンサイト・モニタリングにおいては、取り扱う商品の内容や取引スキームなどについて深度ある分析を行った上、これらが適切に投資者に対して提供されるよう、法令遵守や顧客本位の業務運営態勢の確保といった投資者保護の観点から、業務運営の適切性を検証します。

(6)投資者被害事案に対する積極的な取組み

  • 投資者被害につながる金融商品の不適切な販売・勧誘等や内部管理態勢に対するモニタリングの実施や、無登録で金融商品取引業を行っている者について、裁判所への違反行為の禁止命令等の申立てを行うこと等、投資者被害事案に対して積極的に取り組みます。

3.市場規律強化に向けた実効的な取組み

(1)調査・検査から得られた知見の多面的・複線的な活用

  • 個別事案の調査・検査では、勧告や告発等の一定の「出口」に限定されずに、そこで得られたインテリジェンス情報、調査・検査の手法及びノウハウ等を適切に集約・分析・蓄積し、市場監視業務全般に多面的・複線的に活用します。
  • 横断的な広がりのある視点に基づき調査・検査を実施し、その結果、市場の構造的な問題を把握した場合には、より良い市場環境の整備に向け、積極的な貢献を行います。

(2)違反行為等の再発防止等に向けた根本原因の究明と対話の推進

  • 調査・検査において、法令違反等が認められた場合、行政処分勧告等を行うだけでなく、問題の全体像を把握し、根本的な原因を究明した上で、調査・検査先と深度ある議論を行っていくことで、再発防止につなげます。
  • 問題が顕在化していないものの、調査・検査において改善が必要な事項が認められた場合には、問題意識を調査・検査先と共有し、違反行為等の未然防止につなげます。

(3)違反・不適切行為の未然防止に向けた国内外への情報発信強化

  • 個別勧告事案等や事例集の公表等において、市場における自己規律の強化の観点から、事案の意義、内容及び問題点を明確にした、具体的で分かりやすい情報発信を行います。
  • 違反・不適切行為による投資者被害の未然防止に資するよう、投資者に対する注意喚起等の情報発信を充実させます。

(4)市場監視の空白を作らないための取組みの深化

  • 市場で起こっていることを常に注意深く把握し、新しい商品・取引等や、監視の目の行き届きにくい商品・取引等へ的確に対応し、市場監視の空白を作らない取組みを行います。

4.デジタライゼーション対応と戦略的な人材の育成

(1)デジタライゼーションを活用した市場監視業務の高度化・効率化

  • 国内外の金融技術の動向や規制当局・法執行機関におけるデジタライゼーションの活用状況等を踏まえ、市場監視業務の高度化・効率化を図るため、取引監視システム等におけるデジタライゼーションの一層の活用を、関係機関と連携しつつ、推進します。

(2)デジタライゼーションの飛躍的進展に伴う新しい商品・取引等への機動的な対応

  • デジタライゼーションの飛躍的進展に伴って生じる新たな商品・取引等に対して、網羅的に監視が行えるよう機動的に検討・対応します。
  • デジタライゼーションの飛躍的な進展及びデータの大容量化に対応するため、調査・検査におけるデジタルフォレンジック技術の一層の向上及びシステム環境の高度化を推進します。

(3)高度な専門性及び幅広い視点を備えた人材の戦略的な育成

  • デジタライゼーションの進展、取引等の複雑化や企業のグローバル化の進展等の中で、証券監視委の使命を適切に果たしていくため、市場監視に係る高度な専門性及び幅広い視点を持った人材の育成に取り組みます。

5.国内外の各機関等との連携

(1)自主規制機関との更なる連携強化による効果的・効率的な市場監視

  • 自主規制機関が、更に主体的な役割を果たすことに資するよう、証券監視委の持つ情報や問題意識のタイムリーな共有等を行い、監視態勢の更なる強化や市場規律の働いた市場環境の整備を行います。
  • 効果的かつ効率的な市場監視を実現する観点から、自主規制機関との連携のあり方についても検討していきます。
  • 様々な金融市場に対する横断的な市場監視を実施していくため、自主規制機関とも連携し、市場モニタリングの充実・強化を図ります。

(2)多様な市場関係者と連携した市場規律の強化

  • これまでの自主規制機関、海外当局、関係機関・団体等との間での連携を強化していくことに加え、新たに市場の公正性・透明性確保や投資者保護に関連する関係機関・団体等の市場関係者との連携の拡大を通じて、全体としての市場監視機能を強化します。

(3)グローバルな市場監視への貢献を通じた国際連携の強化

  • クロスボーダー取引等に対する市場監視に係る課題について、二国間及び証券監督者国際機構(IOSCO)等の多国間の枠組みでの問題提起及び共有を強化し、グローバルな市場監視に貢献することにより、国際連携の強化を図ります。
  • また、市場監視を担う海外当局との意見交換の機会を積極的に持つことで、これら海外当局における主な法執行事例や市場監視に係る問題意識等を把握し、証券監視委における市場監視に活用します。

最後に

証券監視委は、本中期活動方針に掲げる証券監視委の目標(「網羅的な市場監視(広く)」・「機動的な市場監視(早く)」・「深度ある市場監視(深く)」)の実現を目指し、より一層努力してまいります。

なお、本中期活動方針は、現下の経済金融情勢等を踏まえて作成したものですが、市場を取り巻く環境が急激に変化する状況のなか、証券監視委自身のPDCAサイクルによって、的確に自らの課題を洗い出し、適切な対応を行うことが重要です。そのために、外部の有識者の意見などを活用し、市場監視業務について、不断の見直しを行いながら、その使命を果たしていきます。

図1(証券取引等監視委員会中期活動方針(第10期))
図2(証券取引等監視委員会中期活動方針(第10期))
図3(証券取引等監視委員会中期活動方針(第10期))

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