【集中連載】 |
来月から、ペイオフ解禁拡大です。これまで4回に渡り組んできたペイオフ解禁拡大に関する特集を読んで頂いて、皆さんがもっていた不安解消の一助となったでしょうか。 今回は、これまでの復習と今後の金融行政が進む方向を解説します。ペイオフ解禁拡大後は、更に強固な金融システムを築くよう金融行政も転換を目指しています。 |
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.預金保険で保護される預金の範囲について 本年4月以降の預金保護の姿については、下図をご覧頂ください。 |
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.決済用預金とは? 平成14年12月に改正された預金保険法により創設されたもので、「決済サービスが提供できること、その預金者がその払戻しをいつでも請求することができるものであること、利息が付されていないものであること」という3要件(便宜的に広報活動などでは「無利息、要求払い、決済サービスが提供できる」といっている。)を満たす預金である、この3要件を満たせば、預金の名称にかかわらず17年4月以降も全額保護されます。 なお、平成17年2月末時点で当庁がヒアリング調査したところ(注参照)、3月末までに「決済用預金(当座預金以外のもの)を提供する予定」もしくは「既に商品として提供している」と回答された金融機関は97.6%となっています。 |
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.ペイオフ解禁拡大の必要性 巷間ではこの制度変更のことを、「ペイオフ完全解禁」や「ペイオフ完全実施」とする表現が多く用いられていますが、金融行政では、「ペイオフ解禁拡大」としています。これは、平成14年4月に定期性預金についてペイオフが解禁され、既に金融機関が破綻した場合には預金がカットされる制度となっていること、本年4月以降はこのカットの対象に決済用預金の要件を満たさない普通預金と別段預金が加わることから、制度の移行を正確に表現するという意味で用いているものです。 こうしたことを踏まえれば、既に預金者の皆さんは自己の預金資産を守るため金融機関を選別する時代に入っており、今回のペイオフ解禁拡大について必要以上に身構え、不安視することは適切ではないと考えられますが、やはり、これまで全額保護されていた利息の付く普通預金などが全額保護されないとなれば、資産の保全と運用の手段を改めて見直す必要があるでしょう。 一方、預金者の皆さんのニーズに応えるためには、金融機関は皆さんからの信頼を得られるよう緊張感をもって真剣に経営に取組む必要があり、市場規律の下で「金融機関が預金者の選択と信頼を競い合う」新たな時代の出発点となるのではないでしょうか。こうした取組みにより我が国の金融システム全体としての安定性が持続的に確保されると期待されます。 また、金融行政としても、こうした「選択と信頼」を基盤とする金融システムを構築するため、利用者ニーズの重視と利用者保護ルールに基づいた検査・監督を行うこととなります。 |
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.なぜ今年の4月から実施するのか 平成14年秋に構造改革を加速させるための政策強化を行い、政府・日銀一体となってデフレ克服に取組み、平成16年度には不良債権問題を終結させるという総理説示がありました。当時、平成15年4月からとされていた当座預金、普通預金、別段預金についてのペイオフ解禁も、決済機能の安定確保のための制度面での手当てなどの準備を整えることとするが、その実施は金融システムの安定確保の観点から不良債権問題が終結した後の平成17年4月からとされたためなのです。 この不良債権問題の正常化という点について、当時(平成14年3月末)の主要行の平均不良債権比率(8.4%)を平成17年3月末に半分程度に減少させるという目標が金融再生プログラムにおいて定められ、平成16年9月末の主要行の不良債権比率は4.7%とほぼ半減目標に向け順調に低下しています。 |
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.ペイオフ解禁拡大する環境は整っているのか |
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.まとめ 以上のように、ペイオフ解禁を拡大する環境は整ったものと考えられますが、金融システム全体の安定性を持続的に維持するには、まずは各金融機関が、自己責任原則の下で適切なリスク管理・財務の健全性の維持・ディスクロージャーの充実を図り、市場規律の下で健全性の確保に取組んでいくことが重要です。 金融庁としては、そうした金融機関の自主的な努力を最大限尊重するとともに、適切な検査、監督の実施を通じ、個々の金融機関に問題が生じうる場合の早め早めの対応をするよう、引き続き尽力してまいります。 |
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ペイオフ解禁拡大については、金融庁ホームページの「預金保険制度(ペイオフ本格実施)」にもアクセスしてください。 |
1月号から始めました、「金融改革プログラム−金融サービス立国への挑戦−」特集。今回は、初回にご紹介した「今後金融改革を進めるに当たっての5つの視点」のうち、「地域経済への貢献」について、その問題意識や具体的施策についてQ&A方式でご紹介していきます。 |
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A | .前回、このコーナーの結びで「活力ある金融システム」について、サッカーの試合に喩えながらご紹介しましたが、「点を取られないように自分のゴール前で踏ん張っている」状況から、「点を取るために相手のゴール前に出来る限り多く人を割く」積極的な状況への転換を確固たるものにするには、自分たちの陣地、即ち各地域なり、各地元において、裾野がしっかりとできていることが前提として大切です。 日本経済の裾野をしっかりと支えられるような金融システムになっていて初めて、利用者に対して、国際的にも高い評価が得られる金融商品・サービスを提供できる余地も生まれてくると考えられることから、地域経済に貢献する金融システムを「金融改革プログラム」の一つの柱として掲げたのです。 |
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以上で「金融改革プログラム」の4つ目の視点である「地域経済への貢献」についてのご紹介を終わります。 次回は、「金融改革プログラム」の第5の柱「信頼される金融行政」についてお伝えいたします。 |
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金融改革プログラムについては、金融庁ホームページの「報道発表など」から「金融改革プログラム−金融サービス立国への挑戦−」(平成16年12月24日)にもアクセスしてみてください。 |