アクセスFSA 第71号(2008年10月)

【国際関連】

金融安定化フォーラムによる「市場と制度の強靭性の強化に関する金融安定化フォーラム(FSF)報告書:実施状況についてのフォローアップ」の公表について

金融安定化フォーラム(FSF)は、本年4月のG7(七か国財務大臣・中央銀行総裁会議)に、今般のグローバルな金融市場の混乱の要因を分析し、中期的な観点から具体的かつ包括的な市場強化策を提言した「市場と制度の強靭性の強化に関するFSF報告書」(以下「4月報告書」)を提出したところですが、報告書提言のその後の実施状況について、FSFは、10月10日(金)のG7(於:米国ワシントンD.C.)に報告し、「市場と制度の強靭性の強化に関する金融安定化フォーラム報告書: 実施状況についてのフォローアップ」(以下「フォローアップ報告書」)を公表しました。

フォローアップ報告書では、4月報告書に盛り込まれた提言全般について、その実施状況が詳細に述べられているほか、実施を加速すべき提言、今後、追加的に対応すべき事項が示されています。報告書の概要は以下のとおりです。

1.4月報告書提言の実施状況

  •  以下の5つの分野からなる4月報告書の提言について、各国当局、国際機関、及び民間セクターによる数多くの作業が進行中。
    • 自己資本・流動性・リスク管理に対する健全性監督の強化
    • 透明性・価格評価の強化
    • 信用格付の役割・利用の変更
    • 当局のリスク対応力の強化
    • 金融システムにおけるストレスに対応するための堅固な体制
  •  4月のG7声明において、100日以内に実施とされた優先事項は、すべて予定通り対応済み。2008年 末までに実施とされた事項についても、予定通り年末までに具体的な成果が出る予定。また、その他の提言についても、実施に向けた作業が進行中であり、引き続き、提言の迅速な実施を監視していく。
  •  最近の市場の動向に鑑み、以下について、実施を加速する。
    • 市場参加者は、OTCクレジット・デリバティブの集中決済枠組みを設置。
    • 会計基準設定機関は、機能不全の市場における金融商品の価格評価に係るガイダンス、及びオフバランス関連取引に関する会計・開示基準を強化し、収斂(しゅうれん)させる。
    • 信用格付機関は、証券化商品関について、区別した情報・格付提供するための取組みを強化。
    • 業界慣行の改善を提言した民間団体は、タイムリーな実施を厳格にモニタリングし、報告するための枠組みを構築する。

2.追加的に取り組む作業

  •  4月報告書の提言の他に、以下について追加的に対応する。
    • 現在各国で講じられた危機対応の措置について、国際的な相互作用や一貫性を検証。
    • 金融システムにおけるプロシクリカリティ(景気循環増幅効果)の検証。来年4月のG7で以下の論点について報告予定。
      • - 自己資本:バーゼルIIが所要自己資本の変動性に与える影響を検証し、好況時に自己資本のバッファーを強化する方策を検討。

      • - 損失引当て:長期的視点から景気中立的な引当に向けての会計基準等のあり方を検討。

      • - 金融機関の報酬体系:この分野における規制・監督当局の適切な役割について検討。

      • - 価格評価とレバレッジ:価格評価とレバレッジの相互作用を分析し、政策対応案を検討。

    • 現在規制対象外の金融機関等を中心に、金融規制の対象範囲の再検証。
    • システミックな懸念を具体的な監督・規制上の対応に結びつけるため、マクロ経済上の監視と健全性監督との融合。

FSF報告書の提言について、金融庁はこれまでも我が国金融機関の情報開示の強化やリスク管理の強化の観点から迅速かつ積極的な対応を行ってきました。また、国際機関が実施する提言については、各国際機関における議論や検討に積極的に参加・貢献しているところです。金融庁としては、引き続き、各国当局、関係国際機関と緊密に連携しつつ、FSF提言の着実な実施に努めていきます。

(注)金融安定化フォーラム〔Financial Stability Forum :FSF〕は、金融市場の監督及びサーベイランスに関する情報交換と国際協力の強化を通じて国際金融の安定を促進することを目的に、7カ国蔵相・中央銀行総裁会議によって1999年に創設されました。FSFは重要な国際金融センターを有する各国及び地域の関連当局。金融監督当局による国際機関(バーゼル銀行監督委員会、証券監督者国際機構(IOSCO)、保険監督者国際機構(IAIS))・国際金融機関(国際通貨基金(IMF)・世界銀行)等が参加しており、我が国からは金融庁、財務省及び日本銀行が参加しています。


第4回監査監督機関国際フォーラム(ケープタウン会合)について

9月22日~24日に、PDF第4回監査監督機関国際フォーラム(IFIAR, International Forum of Independent Audit Regulators)新しいウィンドウで開きますが南アフリカ共和国・ケープタウンにて開催され、公認会計士・監査審査会からは金子会長が参加しました。

IFIARは、監査の質の向上に向け、各国の活動経験等の共有や協力関係の促進などを目的として設立された監査監督機関の集まりで、現在、米・英等の主要国を含む27カ国・地域(メンバー)及び8国際機関(オブザーバー)が参加しています。

本会合では、前回のトロント会合で起草されたIFIAR憲章が採択されました。この憲章はIFIARの今後の役割や組織について取りまとめたものであり、具体的には、各国の監査監督機関における検査に焦点を当てた実務経験の共有、監督活動における協力関係の促進、監査の品質に関心を有する他の国際機関への対話の場の提供といった活動内容や、諮問委員会の設置などの体制整備について規定しています。

また、外国監査法人等の登録・届出等といった監査監督機関の活動や、監査の品質に関する意見交換が行われたほか、いわゆる6大国際監査ネットワークのうちBDO、デロイト・トウシュ・トーマツ及びKPMGの代表者との対話が行われました。

さらに、IFIARの主要なテーマである監査検査の技術及び経験の交換を目的とした検査ワークショップ(年1回開催)について、第3回会合が平成21年2月12日、13日にストックホルムにおいて開催することを決定しました。

審査会としては、今後とも、このような会合に参加し、各国の監査監督機関との協力・連携関係の構築・強化を通じ、我が国の監査の一層の信頼性確保・向上を図っていきたいと考えています。

※ 詳しくは、公認会計士・監査審査会ホームページ「その他の情報」の「国際関係」から、「第4回監査監督機関国際フォーラム(ケープタウン会合)について」(平成20年9月26日)新しいウィンドウで開きますにアクセスしてください。

金子会長

金子会長(右から2番目)


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