アクセスFSA 第76号(2009年3月)

財務局等及び地方自治体における多重債務相談の状況について

深刻化する多重債務問題を解決するために、平成18年12月に、貸金業者に対する参入規制等の強化、上限金利の引下げ等を内容とする改正貸金業法が成立し、「貸し手」への対策が整備されました。さらに既に多重債務に陥っている方など、「借り手」への対策を進めるために、関係閣僚をメンバーとした「多重債務者対策本部」が平成18年12月に設置されています。本部では、有識者会議を設けるとともに、各省庁間でも精力的に意見交換を行い、平成19年4月20日に「多重債務問題改善プログラム」が策定されました。

本プログラムは、多重債務問題を解決するために直ちに取り組むべき具体的な施策をまとめたもので、

  • (1)丁寧に事情を聞いてアドバイスを行う相談窓口の整備・強化

  • (2)借りられなくなった人に対する顔の見えるセーフティネット貸付けの提供

  • (3)多重債務者発生予防のための金融経済教育の強化

  • (4)ヤミ金の撲滅に向けた取締りの強化

の4つの項目を柱としています。

この中で「丁寧に事情を聞いてアドバイスを行う相談窓口の整備・強化」については、財務局等、都道府県、市区町村などに多重債務相談窓口が設置されており、相談を受け付けています。

今回、これらの相談窓口における多重債務相談の状況について把握するため、平成19年度下半期に引き続き、平成20年度上半期(平成20年4月~9月)の相談状況について、財務局等、都道府県、市区町村にアンケート調査を行いました。その結果概要をご紹介します。

アンケートの結果概要

○多重債務者からの相談を受け付ける相談窓口の設置状況

今回のアンケート結果によると、平成20年3月の時点で、全国全ての都道府県において多重債務相談窓口が整備されていることが確認されました。また、市区町村では、平成20年3月の時点で、1,515市区町村(約84%)に相談窓口が整備されており、さらに平成20年9月末には、1,630市区町村(約90%)で相談窓口の整備が完了していることがわかりました。さらに、多重債務の相談を充実させる観点から、平成20年4月には、財務局等にも、多重債務相談窓口を設置し、相談業務を開始しています。

○多重債務相談件数の推移

平成20年度上半期の相談件数は、財務局等:3,457件、都道府県:25,774件、市区町村:48,441件であり、合計:77,672件となっています。これは、平成19年度下半期の相談件数の合計:77,326件とほぼ同水準です。

また、4月から9月までの月別の多重債務相談件数の推移を見ると、9月になり相談件数が増加しています。平成20年には、9月から12月までの期間、全国で「多重債務者相談強化キャンペーン」が実施されました。これに伴い、金融庁は9月に全国の都道府県、市区町村、銀行、信用金庫、信用組合、貸金業者、公共交通機関などにポスターを配布して掲示を依頼しており、これらの広報活動の成果も相談件数の増加の一つの要因であると考えられます。

○相談者のプロフィール

相談者の年齢の分布については、30代、40代、50代、60代以上がそれぞれ20%程度を占めており、相談者の年齢に偏りはありません。また、相談者の抱える借金の状況については、借金の総額が100万円未満の方が全体の14.4%を占め、300万円未満の方で全体の43%程度となっている一方、500万円以上の借金を背負っている方も13%程度存在しています。これに対して、相談者の年収の分布については、年収100万円未満の割合が最も多く、年収400万円未満の方が全体の大半を占めるなど、収入に対して過剰な借金をしている状況がみてとれます。一方、1,000万円以上の収入があって多重債務に陥っている事例も147件あります。

○多重債務相談について、現状の問題点や今後についての意見

多重債務相談に関する問題点、意見を調査したところ、都道府県、市区町村からは「相談体制の整備や関係機関・関係部署との連携が後れている」、「債務整理後のフォローアップが重要」、「広報活動を充実させることが重要」などの意見が寄せられました。また、担当職員への研修の必要性、金融経済教育の充実やヤミ金対策の強化に関する意見なども寄せられています。

以上のアンケート結果をみると、全国各地で多重債務相談窓口の整備は着実に進展していることがわかります。一方、財務局等、都道府県、市区町村、その他の関係機関の間の連携や、債務整理後のフォローアップ体制については、今後、更に整備・改善を図っていく必要があると考えられます。また、借金で悩んでいる方を相談窓口に導くために、様々な媒体を利用し、効果的に広報活動を行っていくことも重要であると考えられます。

今後は、今回のアンケートで得られた情報も踏まえながら、多重債務問題改善プログラムに掲げられた各施策について、その進捗状況のチェック、フォローアップを行う予定となっています。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から、財務局等及び地方自治体における多重債務相談の状況について(平成21年2月27日)にアクセスしてください。

多重債務相談窓口のポスター

平成20年度金融行政体験制度(インターンシップ)について

金融庁では、金融行政に関心を持つ学生の皆さんに対して、実践的な就業体験の機会を提供することで、学習意欲の喚起、職業意識の涵養及び金融行政についての理解の増進を図ることを目的として、平成18年度から「金融行政体験制度(インターンシップ)」を導入し、平成20年度においても、平成21年2月から3月の間で以下のとおり実施しました。

1.受入人数

本邦に所在する大学又は大学院の学生のうち、4名の実習生を受け入れました。

2.受入部署・日数等

総務企画局政策課、市場課、審判手続室及び証券取引等監視委員会において、2週間の受け入れを行いました。

『お知らせ』

本制度については、今年度も、引き続き実施していくことを予定しています。

内容の詳細については、実習生より提言されたご意見等を踏まえ、現在検討中であり、応募方法等を含めて、別途当庁ウェブサイトにおいてお知らせします。

向上心、探究心、チャレンジ精神の旺盛な学生の皆さんの積極的なご応募をお待ちしています。

【参考】

平成20年度金融行政体験制度(インターンシップ)の概要

  • (1)実習時間は、月曜日から金曜日までの午前9時30分から午後6時15分まで

  • (2)実習生を非常勤の国家公務員として採用

  • (3)実習生ごとに指導、監督、助言等を行う実習指導官を配置

今回、実習生として参加された皆さんに、以下のアンケート項目について回答していただきました。

【アンケート項目】

  • (1)「金融庁」のインターン制度に応募した動機は何ですか。

  • (2)あなたが持っていた「金融庁」のイメージはどういうものでしたか。

  • (3)あなたが行った実務体験とその感想をお書きください。

  • (4)実務体験を終えて、あなたの「金融庁」のイメージはどうなりましたか。

  • (5)このようなインターン制度について、あなたのご意見・ご感想をお書きください。

風間さん

(中央大学2年)

配属先:総務企画局政策課

風間さんの写真
  • (1)動機は3つあります。

    1つ目は、日本全体の役に立つことができる国家公務員を志望しており、特に金融に興味があるため、金融を通じて日本に貢献する金融庁に興味を持ったからです。

    2つ目は、民間金融機関と違い、直接国民とかかわることが少ない金融庁が国民に対して何ができるのかを知りたかったからです。

    3つ目は、「貯蓄から投資へ」という政府目標達成のためには、金融経済教育が不可欠だと思い、それを担当している政策課で、金融経済教育について知りたいと思ったからです。

  • (2)対外的に、民間金融機関に対して発言力を持っているイメージがありました。金融庁内はクールで頭のいい人が多く厳格な職場というイメージがありました。また、昨今の金融危機で現在の金融庁内はとても忙しいのではないかと思っていました。

  • (3)金融庁に関する新聞や英文を読むこと、決裁文書の作成、各団体への金融経済教育パンフレットの送付、金融庁に関する資料を読み込んで自分の考えを書くこと、ファイルの作成、メモ取り、応接メモの作成、日銀へ同行させていただくなど本当に様々なことをさせていただきました。中でも特に印象に残っているのは、日経STOCKリーグの審査のお手伝いをさせていただいたことです。実際にレポートを読んで、点数とコメントをつけました。自分の意見を職員の方が目を通してくださり、まさか自分の意見が聞いてもらえるとは思ってもいなかったので、大変驚きました。金融庁は風通しのよい組織であるとパンフレットにありましたが、本当なのだろうなと実感しました。最終審査会も見学させていただき、審査を行う有識者の中で金融庁が参加しているのを見て、社会の中の金融庁というのをなんとなく感じました。金融庁内では自分の率直に思っていることが言えますし、求められます。しかし、外に出たら、その意見の責任は自分に帰属するのではなく、金融庁に帰属するのだと、だからこそ多角的な視点から、金融庁の人間ではない人間がそれを受けてどう考えるのかまで考慮した意見を発していかなければならないと思いました。また、その審査結果が公表されるということで、自分の目の前で起きていたことが世の中に出るということがうれしかったです。

    2週間のインターンシップを通じて、金融経済教育というのは「貯蓄から投資へ」という目標の達成手段の1つにすぎないということに気がつきました。国民の市場への信頼醸成や、よりよい金融システムの構築など金融庁が行っている他の政策と相互補完的に作用することで初めて、「貯蓄から投資へ」という政府目標は達成されるのだろうと思いました。金融経済教育だけにしか注目していなかった自分はずいぶん視野が狭かったと思います。また、報道などで大々的に取り上げられる金融庁の政策や発言の裏には、綿密でそれが故に地味な作業が積み重ねられていということをはじめて知りました。

  • (4)頭のいい人が多い、というイメージは変わりませんでしたが、穏やかで気さくな方が多いということに驚きました。また、思っていたよりもずっと静かな職場だと思いました。

  • (5)本当に楽しい2週間でしたので、是非来年も継続していただきたいと思います。強いて言うならば、インターンシップの時間外(18時15分以降)を見てみたかったというのと他のインターンシップ生との交流があればさらに面白かったかと思います。

内海さん

(東京大学大学院1年)

配属先:総務企画局市場課

内海さんの写真
  • (1)志望先の一つとして金融庁を考えているため、インターンシップでの体験を通じて、仕事の内容や職場の雰囲気、環境、職員の方々の働く様子など、自分が進路選択をする上で、重要な判断材料を収集したいと考えていたためです。また、大学院で金融商品取引法を学んでいるため、法制実務の面から金融商品取引法、ひいては法律全般に関して、法案作成の現場を見てみたい、と考えていたことも動機の一つとして挙げることができます。

  • (2)金融庁という組織に対するイメージと、そこで働く職員の方々に対するイメージの二つに分けて考える必要があると思います。前者に関しては、市場の公正性確保のために、不正な市場参加者に対して断固たる姿勢を取る厳格な役所であり、かつ急速に変化を続ける金融情勢に対応するため、組織としてはかなり柔軟な部分も持つ役所である、という二面性を持った組織ではないかと考えていました。また、後者に関しては、高度な専門性と使命感を持ち、かつ情報収集能力に優れた方が多いようなイメージを持っていました。

  • (3)私は、市場課の市場機能強化法令準備室に配属され、金融商品取引法改正案の最終的な取りまとめ部分のお手伝いをさせて頂きました。

    準備室では、新聞記事の切り抜きから始まり、法案の条文チェック、部会や総務会用の資料の国会への運搬、財務省にある印刷所と金融庁を往復しての資料運び、内閣法制局での読み合わせや衆議院議案課に対する概要説明への随行、内閣府で行われた関係省庁の会議でのメモ取り、庁内への情報・資料の配布、不公正取引に関する事例の資料集めなど、様々な仕事に関わらせて頂きました。

    これらの仕事を通じて自分の抱いた感想としては、実際の法案作成プロセスが、莫大なコストを支払いつつ、思った以上に複雑でかつ多くの人々が関わっているものなのだな、と感じたことです。これは決してネガティブな意味ではなく、法律の国民経済に与える影響の大きさを考えると、それが充分妥当なものであると、実体験をもって感じることができ、大変勉強になったと考えています。ただ、何をするにしても資料や冊子を印刷し、持ち運ばなければならないことに関してだけは、どうにかならないものかな、と感じました。(夏場のエアコンの温度を弄るよりも、使う紙の量を半分にしたほうが、よっぽど地球には優しいのではないかな……と思ったり)

  • (4)検査・監督部局と関わったわけではないので厳格さという観点からは、なかなか分かりませんでしたが、法案作成に際していろいろな情報を集めていたり、外部からの問い合わせに答えたりしている様子を見ると、組織として経済情勢の変化に積極的について行こうという気概は感じられたように思えます。

    また、金融庁で働く職員の方々に関しても、穏やかでかつとても真面目で仕事好きの方が多いような印象を持ちました。それに加えて、組織にしても人にしても、悪い意味での「役所らしさ」というものはあまり感じられず、風通しがよく個々人の能力を最大限に活かせるような雰囲気を感じられました。

  • (5)このように行政の内部で法案作成(もしくは行政運営全般も含めて)の現場を体験するというのは、他では決してできない体験であり、参加する学生の立場からすると、今回のインターンシップ制度は非常に貴重な機会であると考えています。また、業務説明会等だけでは触れることのできない、日常的な業務環境のことについても知ることができたという点で、金融庁を志望する立場の学生として、とても意味のある経験であったと思います。

    唯一注文をつけたい点としては、インターンシップを受け入れる時期に関することです。というのも、学部3年・修士1年の学生にとっては、1~3月の時期というのは、大学の定期試験や就職活動、資格試験の勉強等があるために、インターンに行きたくても行けない人が多いのではないかと思います。そのため、この時期(だけ)でなく、夏場の受け入れについても考えていただけると、インターンを志望する学生にとって、より参加しやすいものになるのではないでしょうか。

佐々木さん

(明治学院大学大学院2年)

配属先:総務企画局総務課審判手続室

佐々木さんの写真
  • (1)私は、法曹を目指して法科大学院で学んでおり、学校の授業では特に行政法が好きで、力を入れて勉強していました。

    普段、私が学校で勉強している行政法は、行政によって私人の権利が侵害されたことを前提として、裁判所に行政訴訟等を提起することにより、その救済を図るといったことに主眼が置かれていますが、自分なりに勉強を進める中で、「社会正義の実現」、あるいは、「社会的弱者の保護」の多くは、行政が、日々、具体的な法の適用を行う中で実現されているということに、ある時気付きました。それ以来、その実際をぜひ目の当たりにしたい、と強く願っていましたところ、金融庁のインターンシップ募集について知りました。

    金融庁については、後で述べるように、ほとんど無知でしたが、行政の現場を体験させていただける絶好の機会だ、と思い、思い切って応募しました。

  • (2)大変申し訳ないことに、インターンシップに応募した当時、私は、金融経済、あるいは、金融行政法について全くの無知で、金融庁についても、テレビや新聞などが、「今日、金融庁が消費者金融の○○に業務停止命令を出しました。」等と報道しているのを見て、「金融業界を監督しているのよね・・・?」と思っていたぐらいで、かなり曖昧かつ僅かなイメージしか持ち合わせていませんでした。

  • (3)審判手続室は、金融商品取引法及び公認会計士法の課徴金制度に関する業務を行っている部署です。

    実習内容としては、室内検討会や審判官との打ち合わせに参加させていただいたり、記者レクの見学に連れて行っていただいたりしました。さらに、

    • 審判手続における重要事項である送達実務についての判例の検討
    • 金融庁の課徴金審判制度で今後さらに整備すべき点について、他の審判制度や訴訟制度との比較
    • 課徴金の徴収に関して問題となっている点の解決方法について、法的視点からの考察

    等をさせていただき、その中で、課徴金制度や審判手続きの運用についての理解を深めることができました。

    金融庁の課徴金制度は、法令に違反する行為、つまり、投資家や市場を裏切る行為をした者(法人)に対し、金銭的負担を課することにより、違反行為の抑止を図るものです。しかし、その適用を誤れば対象者(被審人)に取り返しのつかない損害を与える可能性があるとともに、課徴金制度に対する信頼も失墜し、結局、「市場の公平性・透明性」、「投資家の保護」といった課徴金制度の目的が達成されないという結果に陥る可能性があります。したがって、その適用に際しては、あらゆる角度から細心の注意が払われなければならず、職員の皆様も、そのことを強く意識して職務にあたっていることがよくわかりました。そのプロフェッショナルな仕事ぶりは、法律を使って仕事をする道を志す私にとって大変示唆に富むものであり、その姿を一番近くで見せていただいた以上、今後はいい加減な勉強なんてできない、もっと真剣に法律に向き合わねばならない、と身が引き締まる思いがいたしました。

  • (4)私がお世話になった審判手続室は、課徴金制度を適切に運用することにより、公正・透明な市場を確立し、投資者の保護を図ることをその任務とする部署で、そこには正に、行政による「社会正義の実現」や「弱者保護」の実際があったと思います。

    私が見せていただいたのは、金融庁の職員の皆様が行っておられる仕事のほんの一部に過ぎないと思いますが、それでも「金融庁は国民の利益や幸福を守るために積極的に働く金融行政のプロ集団である。」ということを強く感じました。

  • (5)私は市民生活に密着した活動を行う弁護士を目指しており、少なくとも現在のところは、行政の道に進もうと考えているわけではありません。しかし、私のような者にとってもインターンシップに参加させていただいたことは、今後の学習、あるいは人生そのものにおいて非常に大きな財産となったと確信しております。

    学校で行っている勉強は、仕方のないことですが、どうしても、「勉強のための勉強」になってしまい、責任感や緊張感をもって法律を使うといった体験ができる機会は残念ながらそう多くはありません。そういった意味で、その仕事が生身の人間の生活に極めて大きな影響を及ぼす行政の現場を体験させていただいたことは、学校にいては決して体験することができない部分を補って余りあるもので、インターンシップに参加できて本当によかったと思っています。学校での学習を再開させた今、私の法律に向き合う姿勢は、より真剣なものになりました。

    今回、私が非常に素晴らしい経験をすることができたのは、審判手続室の皆様をはじめ、多くの金融庁職員の皆様に懇切丁寧なサポートをしていただいたおかげです。あらためて心から御礼申し上げます。お忙しいとは存じますが、今後も一人でも多くの大学生・大学院生にインターンシップの機会を与えていただけたらと思います。

大塚さん

(慶應義塾大学3年)

配属先:証券取引等監視委員会総務課

大塚さんの写真
  • (1)どの業もお金なしでは成り立たず、金融にかかわっていれば、お金の流れだけではなく世の中の仕組みを知ることができるのではないかと思っていたので、もともと金融に興味がありました。

    なんとなく政府として金融庁が行っていることを知っているつもりでしたが、果たしてそれが本当かどうかを、実際組織の中に入って検証したかったから、毎日どのような雰囲気でどんなお仕事を職員の方々がされているのか、知りたかったからという事がインターンシップに応募した理由です。

  • (2)違法行為を行った金融機関などに対し、行政処分や勧告を行うことがメインの仕事であるというイメージでした。それから外国政府と連携して金融政策を検討する会議などに財務省と一緒に出席しているというイメージもありました。

    職場の雰囲気は、すごく静かな感じだと思っていました。そのイメージは、説明会でお話をしてくださる職員の方々の雰囲気から得たものです。

  • (3)有識者会議や監視官会議・諸課長の講演等を聴講させていただいたり、金融庁宛の相談内容・被害内容をまとめたり、監視官会議の準備をしたり、金融商品取引法と商品取引法の比較をしたりしました。各課の業務説明を受ける機会を上司の方々が用意してくださって、質問をたくさんすることができ議論もできて、金融庁に対する理解がとても深まりました。

    やはり組織の中に入ると各組織の役割、国会議員との関係、など、それまでただ知識でしかなかったものや、映像でしか触れたことのない記者会見などを自分の目で見ることができました。とてもいい経験をさせていただきました。

  • (4)かなり変わりました。(1)面白い人が多い(2)私が思っていたより面白そうな仕事がたくさんある(3)エキスパートが非常に多いのでいろいろな専門家に囲まれて仕事ができる、刺激をたくさんもらえて楽しそう というのが今の私が持っている金融庁のイメージです。

    (1)(2)は私の偏見が原因であり、実際に組織の中に入ったことで得られたものだと思います。(3)エキスパートが多いということに関してですが、金融庁には弁護士・検事などの法律の専門家だけでなく公認会計士・不動産鑑定士、それから金融機関から転職された方などが働いていらっしゃって、他省庁に比べ専門家が非常に多いと感じました。

    検査をするという金融庁の立場上、各部門の専門知識が十分でないときちんと検査ができないということが大きく関係しているのだと私は理解していますが、そうでないとしても、こういった環境で働いていく中でいろいろな刺激を受けられるのは確実であろうと思います。

  • (5)非常にいい制度だと思います。普段説明会で得られる情報よりもはるかに多くの、そしてずっとリアルな情報を得られたと思います。中に入らないとわからないことは思っていた以上に多く、金融庁だけではなくどの省庁についても言えるような霞ヶ関の性質をほんのわずかですが感じられたと思います。短い期間でしたが私にとって大きな糧となり、かつ多くの宿題をもらった二週間だったと思います。

    それから、個人的な問題なのですが、時間に余裕のあるときにインターンシップはするべきだと切に感じました。私の場合は公務員試験の1か月前というタイミングでインターンシップをさせていただいたので、就職活動が始まる前の夏かその前の春がベストな時期だと思います。


【国際関連】

バーゼル銀行監督委員会による銀行システムにおける資本水準の強化に関するプレス・リリースの公表について

バーゼル銀行監督委員会(以下「バーゼル委」といいます。)は、3月12日、将来のストレス時における銀行システムの強靭性を強化するため、自己資本の水準を強化する必要がある旨のプレス・リリースを公表しました。

本プレス・リリースの中で、バーゼル委は、具体的に以下の施策を通じて、銀行システムにおける資本水準の強化を図っていくと発表しています。

  • (1)ストレス時に取崩しが可能な資本バッファーの構築を促すような基準の導入

  • (2)自己資本の質の強化

  • (3)リスク捕捉の改善

  • (4)リスク・ベースでない補完的指標の導入 等

これらの施策は、2008年4月発表の金融安定化フォーラム(FSF)の報告書や、同年11月発表のG20の行動計画の中に盛り込まれている、銀行システムの強靭性の更なる改善のためのバーゼルIIの強化や、バーゼルIIの景気循環増幅効果(プロシクリカリティ)の緩和といった議論を踏まえ、バーゼル委における今後の取組みを発表したものです。

また、バーゼル委は、上記の様々な施策の検討状況を踏まえた上で、2010年中に最低所要自己資本の水準についての検討を行うとしています。もっとも、現在の実体経済の低迷及び金融市場の混乱が継続している間は、世界的な最低所要自己資本の引上げは行わない旨を併せて発表しています。

今後は、バーゼル委において、銀行システムにおける資本水準の強化に向けた上記施策についての検討が進められることとなります。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「国際関連情報」から「バーゼル銀行監督委員会」からバーゼル銀行監督委員会による銀行システムにおける資本水準の強化に関するプレス・リリースの公表について(平成21年3月13日)にアクセスしてください。


【金融ここが聞きたい!】

このコーナーは、大臣の記者会見における質疑応答などの中から、時々の旬な情報をセレクトしてお届けするものです。

もっとたくさんご覧になりたい方は、金融庁ウェブサイトの「記者会見」のコーナーにアクセスしてください。

【大臣冒頭発言】

金融円滑化のための新たな対応について。年度末を控え、中小企業はもとより、中堅・大企業の業況や資金繰りも厳しさを増しております。このような状況を踏まえ、金融庁において、金融円滑化のための特別ヒアリングと集中検査をはじめとする新たな措置を講ずることといたしました。

新たな対応の内容について、お話し申し上げます。

  • 1、金融円滑化のための特別ヒアリング、集中検査。

  • 1、緊急保証に係るリスクウエイトの見直し(10%から0%へ)。

  • 1、コベナンツ対応の弾力化の促進。

  • 1、市場型間接金融(シンジケート・ローン等)の活用の要請。

  • 1、金融機能強化法の活用促進。

これらの措置によって、企業金融等がより一層円滑化することを期待しております。

Q:  冒頭、金融、資金繰り対策について御説明がありましたけれども、株価の低迷に対する政府の対応については、今、どのようにお考えになっておられるか。今後、どのような議論を行われる予定なのか。

  • A:今朝も記者会見で申し上げましたけれども、株価そのものに対する対策と、株価が下がったときに影響を受ける業種、分野に対する対策と、物の考え方は、多分2通りに分かれると思っております。それで、最初のほうの株価そのものの対策というのは、非常に技術的に難しい。これは、大変な資金も努力も必要で、どういうふうに物事を正当化できるかという根本問題も実はあります。

    しかし、株価下落によって影響を受ける業種、分野、これに対する対策というのは、今、金融庁、財務省、両方でやっておりますし、内閣府でももちろんやっていますし、党のほうでもやっております。

    ただ、党のほうは、株価対策、株価そのものの対策はないのかということを模索しておられるというふうには伺っております。

Q:  今の金融の円滑化なのですけれども、貸し渋りがないかどうかということで集中検査に入るというのは、極めて異例なことだと思うのですけれども、そのあたりについて、ねらいと、これからそういう信用収縮に対する政府の姿勢について、もう少し具体的にお話しいただけますでしょうか。

  • A:これは、基本的な精神として、民間金融機関にお願いするという話で、やはり官民挙げて金融危機に、あるいは経済危機に対応していこうというお願いでございまして、何か金融庁が、金融庁が持っている権限で金融界を指導していくというような、そんな態度でやっているわけではございません。

    3月の期末の資金繰りの問題もありますし、期末はうまく越えても、また4、5、6月というところはかなり危険な局面だと言う方もおられますので、そういうものを含めて、対応をきちんとやってまいりたいと思っております。

平成21年3月10日(火)経済財政諮問会議後記者会見新しいウィンドウで開きます

【大臣冒頭発言】

まず金融担当大臣として発言をさせていただきたいと思います。これは地域銀行3行に対する資本参加の決定についてでございますが、お手元に配付いたしております談話のとおり、本日、北洋銀行、福邦銀行及び南日本銀行に対し、改正金融機能強化法に基づく資本参加の決定を行いました。

Q:  今ご発表がありました資本参加の件ですけれども、今この場で具体的な額がお伺い出来ればお伺いしたいというのが1点と、12兆円の枠を用意して年度内、恐らくこの3行に止まるのかなというふうに思われますが、今後の活用に向けて積極的な呼びかけ等について大臣のお考えをお伺い出来ますか。

  • A:額は一番大きいのが北洋銀行の1,000億、福邦銀行の60億、南日本銀行の150億でございまして、この結果、北洋銀行の自己資本比率は9.0%、福邦銀行は9.1%、南日本銀行は8.4%になります。この後は、資本注入枠は全部で12兆あったわけですが、資本を充実されたい金融機関は金融庁としては大歓迎でございまして、そのための準備として会社の定款等のご変更をしていただければと思っております。

平成21年3月13日(金)閣議後記者会見

Q:  日銀の劣後ローン引受けについてのご意見はございますか。

  • A:これも金融機関の自己資本の充実のためには有効な手段を1つ提供してくださったわけですから、金融機関としては金融機能強化法による資本注入という選択もあるし、あるいは劣後ローンという選択もあるわけですから、銀行を経営する経営者の経営判断にはオプションが広がった。大変いいことだと思っております。

平成21年3月19日(木)繰上げ閣議後記者会見

【大臣冒頭発言】

金融担当大臣として、次の件についてご報告申し上げます。空売り・自己株取得に関わる年度内時限措置の延長について。空売り規制及び上場企業の自己株式取得については、現下の我が国株式市場の状況に鑑み、本年3月31日までの時限的な措置として、空売り規制については株の手当てのない空売り、いわゆるネイキッド・ショート・セリングの禁止等の追加的措置、自己株取得については、1日の買付け数量の上限の引上げ等の措置を講じているところでございます。市場が不安定の中、不公正取引を予防する等の観点から、これらの空売り規制及び自己株取得に関わる措置を当分の間継続することが適当であると考えられます。こうした観点から、今般、両措置について7月末まで延長することとし、このための内閣府令、告示を年度内に公布する予定でございます。

Q:  アメリカが、最大1兆ドルの不良資産の買取りプランを発表しました。この評価と、金融市場、実体経済に与える影響についてどのように見ていらっしゃるか、お伺いします。

  • A:不良債権、資産はいずれ処理しなければならない。処理をしてバランスシートから外すという作業はどうしても必要なわけですけれども、その作業にいよいよアメリカが着手されたということは、大きな前進であると思っております。従いまして、そのような政策が発表されたということは、金融界並びに産業界に、また国民に、また全世界に極めていい影響をもたらすものと評価をしております。

平成21年3月24日(火)閣議後記者会見


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