アクセスFSA 第76号(2009年3月)

アクセスFSA 第77号(2009年4月)

企業会計審議会総会で安藤会長から意見書を受け取る与謝野大臣(4月9日) 財務局長会議で挨拶する谷本副大臣(4月23日)

企業会計審議会総会で安藤会長から意見書を受け取る与謝野大臣(4月9日)

財務局長会議で挨拶する谷本副大臣(4月23日)

目次


【トピックス】

企業会計審議会の意見書の公表について

平成21年4月9日に開催された企業会計審議会総会・第20回監査部会合同会合において、監査基準の改訂についての審議の後、「監査基準の改訂に関する意見書」がとりまとめられ、意見書が安藤英義会長(専修大学教授)から与謝野金融担当大臣に手渡されました。

今般の監査基準の改訂は、継続企業(ゴーイング・コンサーン)の前提(注)に関する注記に係る監査基準について、投資者に、より有用な情報を提供する観点から、国際的な整合性も勘案しつつ、見直しが行われたものです。

  • (注) 企業会計においては、継続企業の前提(企業が将来にわたって事業活動を継続するとの前提)に基づき一定期間を区切って損益計算などを行っています。

すなわち、継続的な営業損失の発生や財務制限条項(コベナンツ)への抵触など一定の事象や状況が存在すれば直ちに継続企業の前提に関する注記等の記載を要すると理解がなされていた従来の規定を国際的な基準等との整合性も勘案して改めることとしました。具体的には、これらの事象や状況に対する経営者の対応策や経営計画などを検討した上で、なお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合に、経営者による適切な注記がなされているかどうかを監査人が確認することとしました。

なお、中間監査基準及び四半期レビュー基準においても、継続企業の前提に関わる同様の基準が規定されていることから、今後、企業会計審議会の監査部会において、同様の観点からの検討が予定されています。

改訂監査基準は、平成21年3月決算に係る財務諸表の監査から実施されることになっています(なお、金融庁では、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」等について意見募集を行い、4月20日付けで公布、施行されています。)。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から、「企業会計審議会の意見書の公表について」(平成21年4月10日)にアクセスしてください。

「継続企業の前提」に関する監査手続
継続企業の前提に関する注記に係る我が国と欧米の比較

内部統制報告制度に関するQ&Aの再追加について

金融庁では、平成20年4月1日以後開始する事業年度から導入されている内部統制報告制度に関して、平成19年10月1日付で「内部統制報告制度に関するQ&A」(20問)を公表しています。また、その後に寄せられた照会等に対して行った回答等を整理し、平成20年6月24日にQ&A(47問)を追加公表しています。

今般、最初に内部統制報告書を提出することになる3月決算企業の内部統制報告書の作成に向け、平成21年4月2日付で、新たな質問・回答(24問)を追加公表しました。

本年2月に金融庁が行ったアンケート調査の結果等を踏まえ、今般の追加Q&Aにおいては、(1)「重要な欠陥」の判断、(2)子会社の売却・業績悪化等により重要な事業拠点の選定指標が一定の割合に達しない等の場合の取扱い、(3)内部統制報告書の記載内容、の3点をポイントとして掲げています。

  • (1) 「重要な欠陥」の判断

    期末日において「重要な欠陥」が存在する場合には、内部統制報告書に、その内容及びそれが是正されない理由を記載することとされています。実施基準では、この「重要な欠陥」とは、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高い内部統制の不備をいうとされており、その判断に際しては、金額的及び質的な重要性の双方について検討を行うことになります。これらの重要性の判断にあたっての指標等は、画一的に適用するのではなく、監査人とも協議の上、企業の業種、規模、特性など、企業の状況に応じて適切に決定する必要があると考えられます。

    したがって、追加Q&Aにおいても、「重要な欠陥」の判断にあたっての画一的な指標等を示すのではなく、内部統制報告書の作成に向けて、「重要な欠陥」に該当するかどうかの判断の参考となるような項目についてのQ&Aを追加しました。

  • (2) 子会社の売却・業績悪化等により重要な事業拠点の選定指標が一定の割合に達しない等の場合の取扱い

    経営者が内部統制の評価範囲を決定する当初の計画段階で、適切に評価範囲を決定しているのであれば、子会社の売却・業績悪化等により重要な事業拠点における選定指標が一定の割合に達しない場合でも、原則として、改めて評価範囲を見直す必要はないことを明らかにしています。

  • (3) 内部統制報告書の記載内容

    3月決算企業の内部統制報告書の作成に向け、内部統制報告書の記載内容に関する照会が多く寄せられるようになりました。このため、今般の追加Q&Aにおいて、内部統制報告書の記載内容の例を掲載することとしました。

内部統制報告制度は、企業等に過度の負担をかけることなく、効率性と有効性のバランスをとりながら企業の内部統制が整備されることを目指しています。金融庁では、内部統制報告制度の円滑な実施に向けて、引き続き、内部統制報告制度相談・照会窓口等における個別相談等を含め、機会を捉えて制度や基準等の内容の一層の周知・明確化に努めていくこととしています。企業・監査人など関係者におかれましては、制度の趣旨をご理解いただき、引き続き、適切な対応をお願いします。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から、「「内部統制報告制度に関するQ&A」の再追加について」(平成21年4月2日)にアクセスしてください。


次のページ

サイトマップ

ページの先頭に戻る