アクセスFSA 第81号(2009年11月)

金融庁月刊オンライン広報誌 アクセスFSA 第81号(2009年11月)

検査官との意見交換会(10月16日) 財務局長会議(10月28日)

検査官との意見交換会
(10月16日)

財務局長会議
(10月28日)

目次

【トピックス】

【法令解説等】

【金融ここが聞きたい!】

【9・10月の主な報道発表】


【トピックス】

「中小企業等に対する金融円滑化対策の総合的パッケージ」について

金融庁は、厳しい経済金融情勢や雇用環境が続く中、企業金融についても政策的対応が必要との認識から、9月29日に、「貸し渋り・貸し剥がし」対策を検討することを公表し、その後、各種経済団体、金融業界からのヒアリングや所要の検討プロセスを経て、先般、「中小企業等に対する金融円滑化対策の総合的パッケージ」をとりまとめたところです。

本パッケージは、10月30日に国会に提出された「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律案(「中小企業金融円滑化法案」)」を中心として、その実効性を確保するための諸措置を併せて実施していこうというものです。

具体的には、以下の内容となっています。

  • 1.中小企業金融円滑化法案の制定

    本法案においては、まず、金融機関(注)は、中小企業者又は住宅ローンの借り手から申込みがあった場合には、できる限り、貸付条件の変更等の適切な措置をとるよう努めるものとしています。さらに、金融機関は、他の金融機関、政府関係金融機関、信用保証協会や、企業再生支援機構等中小企業支援を行う諸機関との連携を図りつつ、できる限り、貸付条件の変更等の適切な措置をとるよう努めるものとしています。

    (注)対象金融機関は、銀行・信金・信組・労金・農協・漁協及びその連合会、農林中金

    こうした努力義務の実効性を高めるため、金融機関に対して、貸付条件の変更等を円滑に行うために必要な体制整備や貸付条件の変更等の実施状況や整備した体制等の開示、当局に対する定期的な報告を義務付けることとしています。また、当局も、金融機関からの報告をとりまとめて公表することとしているほか、金融機能強化法の適切な運用や信用補完事業の充実のための措置を講じることとしています。

  • 2.検査・監督上の措置

    中小企業金融円滑化法の実効性を確保するために、法律の施行に併せて、検査マニュアルや監督指針について、例えば条件変更等を行っても不良債権に該当しない要件を従来より拡充する等の改定を行うこととしています。

    また、検査・監督の実務においても、金融機関の中小企業融資や経営改善支援への取組み状況を重点的に検証していくこととしています。

  • 3.その他の措置

    上記の措置のほか、本法案の対象となっていない政府関係金融機関についても、本法の趣旨を踏まえ、貸付条件の変更等に柔軟に対応するよう努めることを要請することや、金融庁幹部が、中小企業等と連携し、全国の中小企業者等と意見交換を行うことも検討しています。

金融庁としては、中小企業金融円滑化法案が早期に成立・施行され、本パッケージが迅速かつ適切に実施されていくことにより、国民の皆様が安心して年を越すことができるよう、引き続き努めてまいります。


平成22年度税制改正要望について

去る10月30日、金融庁は「平成22年度 税制改正要望」を財務省及び総務省に提出しました。

本年は、税制改正要望を取りまとめるにあたり、広く御意見の募集を行いました。その結果、179先の個人及び団体等から計456件の御意見をお寄せいただいたところであり、これらの御意見を参考に、以下のとおり要望を取りまとめ提出しました。

まず、個人投資家の積極的な市場参加を促す環境を整備する観点から、金融商品間の損益通算の範囲拡大を要望しています。具体的には、上場株式等の譲渡損失と配当との間のみならず、より幅広い金融商品間での損益通算を認めるということ、債券の利子と譲渡損失の損益通算を認めるにあたって、現行の債券税制を見直すことを要望しています。

また、海外投資家による我が国金融・資本市場への投資を促進する観点から、非居住者等による債券投資に係る利子の非課税措置の充実を要望しています。具体的には、非居住者等が受け取る国債・地方債に係る利子の非課税措置について簡素化・拡充を図ること、非居住者等が受け取る社債等に係る利子についても非課税措置を導入することを要望しています。

さらに、巨大災害に対する支払いを確保する観点から、火災保険等に係る異常危険準備金制度の措置の恒久化又は延長について、その他、少額の上場株式等の投資のための非課税制度の法制上の措置の実現や、生命保険料控除制度の改組に伴う所要の法制上の措置の実現等を要望しています。


平成22年度概算要求について

  • 1.金融行政においては、業態を超えて金融システム全体に幅広く影響を及ぼした世界的な金融危機の経験等を踏まえながら、金融システムの健全性を確保するとともに、日本経済の改革・繁栄を支える金融の円滑化等の取組みを推進していくことが必要です。

  • 2.平成22年度の概算要求に当たっては、政府全体の方針に基づき既存予算の徹底した見直しを行った上で、こうした金融庁に課された役割を的確に果たしていくために必要な予算について要求を行っています。

  • 3.具体的には、

    • (1)新規増員(195人)に必要な経費

    • (2)海外当局との連携強化に必要な経費

    • (3)利用者の利便性向上のための情報システム整備に必要な経費 等、総額で239億円を要求しています。

  • 4.この他、預金保険機構に係る政府保証枠については、金融システムの安定を引き続き揺るぎないものとするとの考え方に基づき51兆円を要求しています。

    また、銀行等保有株式取得機構に係る政府保証枠については、セーフティネットとして引き続き十分な規模の買取り枠を確保するとの考え方に基づき20兆円を要求しています。

(参考 平成22年度定員要求)

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「平成22年度機構・定員及び予算要求について(平成21年10月)」(平成21年10月16日)にアクセスして下さい。


中小企業金融に関するアンケート調査結果の概要について

中小企業金融の実態把握の一環として、平成21年8月から9月上旬にかけて、全国の財務局等を通じて、商工会議所及び経営指導員等を対象に聴き取り調査を実施したところ、その調査結果の概要は以下のとおりとなりました。

  • 1.中小企業の業況等に関するアンケート調査(8月実施)

    • 各都道府県の商工会議所47先を対象に、会員企業の業況や資金繰りの現状と先行き等について聴き取り調査を実施しました。

      • (1)中小企業の業況感は、厳しい状況が続いています。なお、先行きD.I.は、前回調査の▲93から▲85となっています。

        悪化の要因としては、「売上げの低迷」の割合が最も大きく、次いで、「販売価格の下落」が続いています。

      • (2)中小企業の資金繰りも、厳しい状況が続いています。なお、先行きD.I.は、前回調査の▲80から▲71となっています。

        悪化の要因としては、「中小企業の営業要因(販売不振、在庫の長期化等)」の割合が最も大きく、次いで、「金融機関の融資態度」が続いています。

  • 2.金融機関の融資動向等に関するアンケート調査(8月~9月上旬実施)

  • 各地域の商工会議所の経営指導員等573名(注)を対象に、中小企業への融資姿勢に対する評価、金融庁施策の認知状況等について聴き取り調査を実施しました。

    (注)「各地域の商工会議所の経営指導員等」とは、商工会議所及び商工会の経営指導員、公認会計士、税理士等をいう。

    • (1)中小企業への融資姿勢に対する評価において、積極的評価の割合が最も大きいのは、政府系金融機関。次いで、協同組織金融機関、地域銀行、主要行の順です。消極的評価の割合が最も大きいのは、主要行。次いで、地域銀行、政府系金融機関、協同組織金融機関の順です。

    • (2)金融庁施策の認知状況は以下のとおりです。

      「金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編)」   97.4%

      「金融円滑化のための集中検査」    71.5%

      「貸出条件緩和債権に該当しない場合の取扱いの拡充」  88.3%

      「金融円滑化ホットライン」   82.9%

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から中小企業金融に関するアンケート調査結果の概要(平成21年10月15日)にアクセスしてください。


我が国の預金取扱金融機関のサブプライム関連商品及び証券化商品等の保有額等について

金融庁では、我が国の預金取扱金融機関について、本年6月末時点におけるサブプライム関連商品等及びFSF報告書における先進的開示事例を踏まえた証券化商品等の保有額等を取りまとめ、平成21年9月11日に公表しました。

サブプライム関連商品等については、6月末において、我が国の預金取扱金融機関全体で、保有額は約4,070億円(3月末比 約▲420億円)、評価損及び実現損累計額の合計額は約1兆1100億円(3月末比約1兆940億円)となりました。

他方、証券化商品等全体については、6月末において、保有額は約17兆9,490億円(3月末比 約▲5,340億円)、評価損及び実現損累計額の合計額は、約3兆1,420億円(3月末比約3兆3,020億円)となり、証券化商品等全体の評価損及び実現損の累計額は、3月末時点と比べ、約1600億円減少しました。

このように証券化商品等全体で損失が減少している原因については、様々な影響が考えられますが、金融機関による減損処理、売却が進んでいることに加えて、市況が改善しつつあることや為替の影響により証券化商品等の評価損が圧縮されたこと等が考えられます。

金融庁では、平成19年9月末以降、我が国預金取扱金融機関全体におけるサブプライム関連商品等や証券化商品等(※)の保有状況を、統一した基準の下に開示してきました。こうした取組みは、サブプライムローン問題に端を発するグローバルな金融市場の混乱が証券化商品等を通じて我が国の金融システムに与える影響についての理解の一助となるものであると考えています。

金融庁としては、情報発信の取組みをこれからも推進し、金融システムの現状や金融行政の考え方に容易にアクセスできる環境の整備を引き続き図っていきたいと考えています。

我が国の預金取扱金融機関のサブプライム関連商品の保有額等について
FSF報告書における先進的開示事例を踏まえたわが国の預金取扱金融機関の証券化商品等の保有額について

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から我が国の預金取扱金融機関のサブプライム関連商品及び証券化商品等の保有額等について(平成21年9月11日)にアクセスしてください。


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