アクセスFSA 第104号(2012年2月)

【フォトギャラリー】

自見大臣は、1月8日から5日間の日程で、米国を訪問し、金融・会計の関係者と面談を行いました。(以下写真)

写真3

左からポリーFAF(財務会計財団)CEO、
サイドマンFASB(米国財務会計基準審議会)議長、
自見大臣、ブレナンFAF理事長


【トピックス】

投資信託・投資法人法制の見直しに係る諮問等について

1月27日に、第26回金融審議会総会・第14回金融分科会合同会合を開催し、昨年3月の諮問事項に対する報告、投資信託・投資法人法制の見直しに係る諮問、等を行いました。

1.昨年3月の諮問事項に対する報告について

昨年3月7日に行われた金融審議会総会において、(1)我が国金融業の中長期的な在り方についての検討、(2)保険会社のグループ経営に関する規制の在り方等についての検討、(3)インサイダー取引規制における純粋持株会社の取扱い等についての検討に関して、の3つの諮問がなされ、それぞれワーキング・グループにおいて議論がなされてきたところです。そのうち、(2)保険会社のグループ経営に関する規制の在り方等についての検討及び、(3)インサイダー取引規制における純粋持株会社の取扱い等についての検討に関し、昨年12月に各ワーキング・グループがそれぞれ取りまとめた報告書について、報告をいたしました。

今後、両報告書に基づいて、必要な制度整備を行っていきます。

2.投資信託・投資法人法制の見直しに係る諮問について

「投資信託・投資法人法制の見直しに係る検討」について、自見大臣より金融審議会に対して諮問がなされました(大串大臣政務官が代読)。

投資信託・投資法人法制の見直しについては、平成22年12月に公表した「金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプラン」において、投資信託商品の多様化等を踏まえた様々な論点について課題等の把握・見直しの検討を行い、平成25年度までに制度整備の実施を行うとしていたところです。今般、金融審議会において、投資信託については、国際的な規制の動向や経済社会情勢の変化に応じた規制の柔軟化や一般投資家を念頭に置いた適切な商品供給の確保等についての検討をしていくことになりました。投資法人については、資金調達手段の多様化を含めた財務基盤の安定性の向上や投資家からより信頼されるための運営や取引の透明性の確保等についての検討をおこなっていくこととなりました。

本検討課題について、今後は、金融審議会メンバーのほか金融分野の実務家等にも加わって頂いてワーキング・グループを設置し、調査審議を行うことになります。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「第26回金融審議会総会・第14回金融分科会合同会合議事次」(1月31日)にアクセスして下さい。


金融機関におけるシステムリスクの総点検の結果について

金融機関のコンピュータシステムは、決済システムの中核をなしており、社会インフラとしての公共性が極めて高く、仮に障害等が発生した場合、利用者利便や社会的に大きな影響を与え、また、金融機関としての信用失墜も招きかねないものとなっています。

平成23年3月に主要行のひとつで見られたシステム障害については、その原因について固有の事情があったことも事実ですが、それとは別に、各金融機関として活かすべき有益な教訓もあったと思われます。

こうした観点から、平成23年7月8日付で、金融庁監督局長から関係金融団体等に対し、各金融機関の経営陣の積極的なリーダーシップの下、システムリスクの総点検を行い、自己点検結果を提出頂くことを内容とする要請文書を発出しました。

(詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「金融機関におけるシステムリスクの総点検について」(平成23年7月8日)にアクセスしてください。)

金融庁においては、昨年8月にシステムリスク総点検の趣旨を徹底させるために、総点検の留意点をまとめて金融機関等に配付し、8月末に金融機関から総点検結果の報告を受けました。その後、総点検への取組状況や要請したリスク点検項目の状況について、報告内容を精査・分析するとともに、金融機関等に対して、必要に応じてヒアリングを実施し、今般、その結果を取りまとめました。

1.システムリスク総点検の目的

システムリスクの総点検は、主要行のひとつで発生したシステム障害への対応で得た教訓を他の金融機関においても活かし、顧客サービスや決済システムに重大な影響を及ぼすようなシステム障害を未然に防止するとともに、迅速かつ的確な復旧対応ができるようにすることを目的としたものです。

  • 〔要請したリスク点検項目〕

    • ○システムリスクに対する認識等

    • ○外部環境の変化を踏まえたシステムの十分性の確保等

    • ○システム投資(人材配置・人材教育を含む)に関する経営戦略

    • ○障害発生時等のリスク管理態勢のあり方

    • ○適切な監査体制の確保

2.システムリスク総点検の結果

  • (1)システムリスク総点検の全体的な評価

    今回のシステムリスクの総点検では、各金融機関における総点検の作業を通じて、金融機関自らがシステムリスク管理上の課題をあらためて認識した上で、改善に向けた取組みが見られるなど、一定程度の効果があったと考えられます。

    しかしながら、システムリスク総点検への取組みについては、金融機関によりバラツキがあるものの、総じてみるとやや不十分な状況でありました。

    また、要請したリスク点検項目毎にみると、下図のように、「システムリスクに対する認識等」、「外部環境の変化を踏まえたシステムの十分性の確保等」、「障害発生時等のリスク管理態勢のあり方」について、更なる改善が必要な状況でありました。

    業態別にみると、金融機関によりバラツキがあるものの、都市銀行、信託銀行、地方銀行、第二地方銀行等には、ほぼ十分なところが多く、外国銀行支店、その他銀行、信用金庫、信用組合の中には、リスク特性や期待される管理態勢のレベルを考慮しても、改善の余地が認められるところがありました。

  • (2)システムリスク総点検への取組事例

    各金融機関には、更なるシステムリスク管理態勢の改善に向けた取組みに資する観点から、今回のシステムリスク総点検により把握された取組事例を還元していますが、そのうち代表的な事例を挙げると、次のとおりです。

    • 〔十分な取組事例〕

      • ○当局の要請を待たずに、システム障害の調査報告書等を入手し、独自にシステムリスクに係る自主点検を行い、経営陣を交え討議している事例。

      • ○システムの上限値を把握し、上限値に達しないように監視するルールを定めるとともに、当該ルールの定期的な見直しに取り組んでいる事例。

      • ○共同センターに加盟している金融機関において、共同センター、加盟金融機関などの関係者が全て参加する訓練を毎年実施している事例。

    • 〔不十分な取組事例〕

      • ●形式的(表面的)な点検で、既存の規程やマニュアル等の整備状況の確認にとどまっており、PDCAサイクルが回っていることを点検していない事例。

        • 「PDCAサイクル」とは、方針の策定(Plan)、規程・組織態勢の整備(Do)、評価(Check)、改善(Action)のプロセスを繰り返すこと。

      • ●システムの上限値を超えた場合に、システムがどのように作動するのかを把握していないほか、どのような事務処理を行うのかなどを定めていない事例。

      • ●バッチ処理が安定的に稼働していることをもって、バッチ処理が大幅に遅延した場合の対応プランを検討していない事例。

3.今後の取組み

金融庁としては、システムリスク管理態勢について、各金融機関に更なる自主的な改善を促すために、今回のシステムリスク総点検の結果を業界団体との意見交換の場等において紹介するなど、情報提供を行っていきます。

また、今回の総点検の結果やヒアリングを通じて課題が認められた金融機関については、リスク特性等も考慮しつつ、必要に応じ、検査・監督を通じて、より深く実態を把握し、適切に対応していきます。

さらに、業界共通的な課題・問題については、着眼点として、監督指針及び検査マニュアルに取り込むことを検討していきます。

こうした取組みを通じて、今回のシステム障害の教訓を活かし、金融機関における強固なシステムリスク管理態勢の構築を促していきます。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道関係資料」から「金融機関におけるシステムリスクの総点検の結果について」(1月20日)にアクセスして下さい。


資金の貸付けを行う特例民法法人・少額短期保険業等に係る規制の見直しについて

1.背景

現在会員等に対し資金の貸付け等の事業を行っている特例民法法人については、団体の性質やその事業の内容に照らし、一般法人化した後も貸金業法等の適用除外として欲しいとの要望が、内閣府「国民の声」等を通じて寄せられています。

また、平成17年の保険業法改正において創設された、一定の規模の範囲内で少額・短期の保険の引受けのみを行う制度である少額短期保険業制度についても、同様に、「国民の声」を通じた規制緩和要望が提出されています。

これらの要望について、今般、借り手・契約者の保護や利便性の観点から検討を加えた結果、下記のとおり見直しを行うこととします。

2.見直し内容

  • (1)貸金業法等の適用範囲の見直し

    現在、特例民法法人が行う貸付事業については、経過措置として貸金業法の適用除外とする特例が認められています。

    特例民法法人が一般法人に移行した場合においても、資金需要者等の利益を損なうおそれがないと認められる以下の法人については、引き続き貸金業法の適用除外とします(政令改正)。

    • 一の会社等の役員若しくは使用人が構成する団体又は一の国家公務員共済組合若しくは一の地方公務員共済組合の組合員が構成する団体

    • ii業として行う貸付けが無利息の奨学金である団体

    また、保険業法の適用除外の範囲についても、上記 i にあわせて同様の修正を行います。(政令改正)

  • (2)少額短期保険業に係る規制の見直し

    平成17年当時共済事業を行っていた少額短期保険業者が引受け可能な保険の上限金額については、平成25年3月までの経過措置として、本則の5倍(医療保険は3倍)とする特例が認められています。

    当該特例に関して、経過措置適用業者が平成25年3月までに契約した保険の更新等については従来通り本則の5倍(医療保険は3倍)、平成25年4月以降の契約については本則の3倍(医療保険は2倍)とした上で、経過措置を5年(30年3月まで)延長します(法律・政令改正)。

    (参考)本則の上限金額(一被保険者当たり) (単位:万円)
    死亡 重度障害 傷害死亡 特定重度障害 医療 損害保険
    300 300 600 600 80 1,000

    一契約者に係る被保険者の総数は、保険金額の大小にかかわらず、一律に100人までとされているが、これについて、以下のように要件を緩和する措置を講じます(政令改正)。

    • ○一契約者あたりの総保険金額の上限を、本則の上限金額に100を乗じた金額(以下「上限総保険金額」という。)とする。

    • ○更に、契約当初、上限総保険金額内であれば、契約期間内にやむを得ない理由により被保険者が追加され上限を超過した場合でも、契約期間内は当該超過を容認する。但し、濫用防止の観点から、当該超過額は上限総保険金額の10%を限度とする。

上記の内容について、今後、必要な制度整備を実施します。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道関係資料」から「資金の貸付けを行う特例民法法人・少額短期保険業等に係る規制の見直し」(1月6日)にアクセスして下さい。


「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等
(期間:平成23年10月1日~12月31日)

金融サービス利用者相談室(以下、「相談室」)に寄せられた利用者からの相談件数や主な相談事例等のポイント等については、四半期毎に公表しています。平成23年10月1日から12月31日までの間における相談等の受付状況及び特徴等は、以下のとおりです。

  • 1.平成23年10月1日から12月31日までの間に、10,143件の相談等が寄せられています。1日当たりの受付件数は平均174件となっており、平成23年7月1日から9月30日までの間の実績161件に比べて増加しています。(なお、平成23年10月以降、相談等受付終了時間を16時から17時に延長しています。)

  • 2.分野別の受付件数としては、預金・融資等に関する相談等の受付件数2,765件(27%)、保険商品等に関する相談等の受付件数2,354件(23%)、投資商品等に関する相談等の受付件数3,808件(38%)、貸金等に関する相談等の受付件数901件(9%)、金融行政一般・その他に対する意見・要望等の受付件数315件(3%)となっていて、平成23年7月1日から9月30日までの間に実績と比べて、ほぼ同水準となっています。

  • 3.分野別の特徴等について

    • (1)預金・融資等については、金融機関の態勢・各種事務手続きに関する相談等が減少したことから、前期に比べてやや減少しています。

    • (2)保険商品等については、前期と比べてほぼ同水準となっています。

    • (3)投資商品等については、市場下落に伴う投資関係の一般的な照会・質問や未公開株等関連の個別取引・契約の結果に関する相談等が増加したことから、前期に比べて増加しています。

    • (4)貸金等については、一般的な照会・質問に関する相談等が減少したことから、前期に比べてやや減少しています。

  • 4.なお、利用者の皆様から寄せられた相談等は、利用者全体の保護や利便性向上の観点から検査・監督上の参考として活用しています。

    今期に受け付けた情報提供のうち、以下のものなどについて、金融機関に対する検査における検証や監督におけるヒアリング等、金融行政を行う上での貴重な情報として活用しています。

    • (1)預金取扱金融機関によるリスク性商品等の販売時における顧客への説明態勢に関するもの

    • (2)預金取扱金融機関における不適切な顧客対応に関するもの

    • (3)預金取扱金融機関の融資業務における担保の取扱いに関するもの

    • (4)いわゆる貸し渋り・貸し剥がしや貸出条件変更に関するもの

    • (5)預金取扱金融機関が借り手に対する優越的な地位を利用して行った金融商品の販売に関するもの

    • (6)預金取扱金融機関の個人情報の取扱いに関するもの

    • (7)保険会社の不払い等(付随的な保険金の支払漏れ、第三分野商品に係る保険金の不払い等)に関するもの

    • (8)保険募集人等の不適正な行為(重要事項の不十分な説明、手続に関する不適切な案内・対応、不告知の教唆、無断契約、名義借り、保険料の立替等)に関するもの

    • (9)貸金業者による法令違反のおそれのある行為(取立行為規制違反等)に関するもの

    • (10)貸金業者による顧客への不適切な説明に関するもの

    • (11)システム障害に関するもの

    • (12)外国為替証拠金取引業者の不適正な行為に関するもの

    • (13)外国為替証拠金取引業者とのインターネット経由での取引に関するもの

    • (14)無登録営業に関するもの

    • (15)金融商品取引業者の不適正行為(ホームページを閉鎖し電話に出ない、無断売買、高齢者に対する勧誘等)に関するもの

    • (16)金融商品取引業者によるリスク性商品等の販売時における顧客への説明態勢に関するもの

    • (17)いわゆる集団投資スキームを利用した法令違反のおそれのある行為に関するもの

    • (18)金融機関の信託業務における不適切な行為に関するもの

    • (19)犯罪による収益の移転防止に関する法律に抵触するおそれのある行為に関するもの

    また、預金口座の不正利用に関する情報については、金融機関及び警察当局へ94口座の情報提供を行っています。

    前期における情報の活用状況は以下のとおりです。

    • 監督において行った180金融機関等に対するヒアリング等に際して、相談室に寄せられた情報を参考としています。
    • 金融庁が着手した19金融機関の検査等に際して、相談室に寄せられた情報を参考としています。
  • 5.利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等

    寄せられた相談等のうち利用者の皆様に注意喚起する必要がある事例等について、以下のとおり「利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等」として公表していますのでご参照ください。

    • (1)預金・融資等に関する相談事例及びアドバイス等

      • 「免許の確認、預金保険制度に関する相談等」
      • 「本人確認に関する相談等」
      • 「盗難・偽造キャッシュカードに関する相談等」
      • 「振り込め詐欺救済制度に関する相談等」
      • 「特約付定期預金等に関する相談等」
      • 「融資に関する相談等」
    • (2)保険商品等に関する相談事例及びアドバイス等

      • 「保険内容の顧客説明に関する相談等」
      • 「告知義務に関する相談等」
      • 「保険契約に関する相談等」
      • 「保険金の支払に関する相談等」
      • 「少額短期保険業者に関する相談等」
      • 「保険契約者の保護に関する相談等」
    • (3)投資商品等に関する相談事例及びアドバイス等

      • 「金融商品の購入に関する相談等」
      • 「投資信託の購入に関する相談等」
      • 「外国為替証拠金取引に関する相談等」
      • 「未公開株式の取引に関する相談等」
      • 「自社発行未公開株に関する相談等」
      • 「ファンドに関する相談等」
      • 「金融商品取引業者(旧証券取引法上の証券会社)との取引に関する相談等」
      • 「金融商品取引業の登録に関する相談等」
      • 「株券の電子化に関する相談等」
      • 「投資者保護制度に関する相談等」
      • 「社債に関する相談等」
    • (4)貸金等に関する相談事例及びアドバイス等

      • 「違法な金融業者からの借入れに関する相談等」
      • 「強引な取立てに関する相談等」
      • 「取引履歴の開示に関する相談等」
      • 「返済条件の変更に関する相談等」
      • 「金利引下げに関する相談等」
      • 「総量規制に関する相談等」
      • 「都道府県登録業者に関する相談等」
      • 「完済後の書面交付に関する相談等」

金融庁及び証券取引等監視委員会では、金融庁や証券取引等監視委員会又はこれらを連想させる組織を騙った業者等の情報収集をしています。もし、そのような業者から連絡等があった場合には、

金融庁金融サービス利用者相談室

(0570-016811(ナビダイヤル)、IP 電話・PHS からは03-5251-6811)

証券取引等監視委員会の情報受付窓口

(03-3581-9909)

に情報提供をお願いいたします。

その他、金融庁のウェブサイト(「一般のみなさんへ」)では、金融サービスを利用する皆様にご注意いただきたい情報を掲載しています。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道関係資料」から「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等(期間:平成23年10月1日~12月31日)(1月31日)にアクセスして下さい。


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