アクセスFSA 第110号(2012年8月)

アクセスFSA 第110号(2012年8月)

写真1
財務局長会議で挨拶をする松下大臣
(7月27日)

目次

【トピックス】

諸外国の監査制度及び監査監督体制に関する同等性評価のガイダンスについて

平成20年4月から施行された改正公認会計士法においては、我が国に有価証券報告書等を提出する外国会社等の監査証明業務を行う外国監査法人等について、金融庁への届出義務が課されるとともに、報告徴収、立入検査、業務改善指示等の権限が整備されています(外国監査法人等の届出制度)。

金融庁及び公認会計士・監査審査会(以下「審査会」という。)では、この外国監査法人等に対する検査監督の方針等を定める「外国監査法人等に対する検査監督の考え方」を、平成21年9月14日に公表しています。

この「考え方」の中では、金融庁及び審査会は、(1)外国監査法人等の所属する国の監査制度や監査人監督体制が我が国と同等であり、(2)情報交換等に係る取極め等により、必要な情報が得られ、かつ、(3)相互主義が担保される場合には、母国当局が行う報告徴収又は検査に依拠する方針としています(相互依拠)。

今般、上記(1)に関して、諸外国の監査監督制度の同等性を評価する基準を「諸外国の監査制度及び監査監督体制に関する同等性評価のガイダンス」として取りまとめ、公表しました(平成24年7月10日)。

この「ガイダンス」の中では、同等性評価の5つの原則として、(a)監督構造、(b)検査、(c)調査、改善命令及び懲戒処分、(d)監査人の資格及び監査基準、(e)国際的な監督の5つを掲げ、それぞれの原則について、具体的な評価基準を列挙しています。

なお、外国の監査監督当局との情報交換の取極めについては、平成23年10月に米国公開会社会計監督委員会(PCAOB:Public Company Accounting Oversight Board)、平成24年3月にカナダ公共会計責任委員会(CPAB:Canadian Public Accountability Board)との間で、情報交換を含む監査監督上の協力に関する書簡の交換を行っています。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「諸外国の監査制度及び監査監督体制に関する同等性評価のガイダンスについて」(7月10日)にアクセスして下さい。


平成22年金融商品取引法等改正(2年6ヶ月以内施行)に係る内閣府令案等に対するパブリックコメントの結果等について

金融庁では、平成22年金融商品取引法等改正(2年6ヶ月以内施行)に係る内閣府令案等につきまして、平成24年4月27日(金)から平成24年5月28日(月)にかけて公表し、広く意見の募集を行い、その結果等を平成24年7月11日(水)に公表しました。

本件の内閣府令等は平成24年7月11日(水)に公布されました。本件の内閣府令等は、一部の規定を除き、平成24年11月1日(木)から施行されます。

本件の内閣府令等の概要は以下のとおりです。

  • 1.清算機関の利用義務付け

    • (1)清算機関の利用義務付けの対象となる取引を、円建て金利スワップ(プレーンバニラ型で変動金利の対象指標をLIBORとするもの)及びCDSの指数銘柄であるiTraxx Japanと定めました。

    • (2)清算機関の利用義務付けの対象から除外される取引について定めました。

  • 2.取引情報の保存・報告

    • (1)清算機関・金融商品取引業者等・取引情報蓄積機関による取引情報の保存・報告について、対象となる取引、記録を作成すべき事項、及び報告の期限等の細目を定めました。

    • (2)取引情報蓄積機関制度の創設に伴い、指定を受けるための申請に必要な書類や、監督・業務に関する手続の細目等を定めました。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「平成22年金融商品取引法等改正(2年6ヶ月以内施行)に係る内閣府令案等に対するパブリックコメントの結果等について」(7月11日)にアクセスして下さい。


株式会社東日本大震災事業者再生支援機構による被災事業者支援の促進について

復興庁・金融庁・中小企業庁では、平成24年7月17日、「株式会社東日本大震災事業者再生支援機構による被災事業者支援の促進について」を公表しました。

株式会社東日本大震災事業者再生支援機構(以下「機構」という。)は、多数の被災事業者の支援を迅速かつ適切に行えるよう、以下の取組みを実施することとし、復興庁・金融庁・中小企業庁は連携して、機構の取組みを支援してまいります。

  • 1.支援決定までの期間の短縮化

    • 通常180日程度必要とされる案件対応期間を90日程度で完結(小規模事業者ではさらに短縮)する標準業務フローを策定し、それに基づき業務を着実に実施します。

    • 迅速な支援決定のため、事業再生に精通した人材の増員を図ります。

    • 迅速・円滑な債権買取りに資する観点から、金融機関から引当状況の情報が示された場合は、その点も考慮に入れて迅速な処理に努めます。

      これに関連し、金融庁から金融機関に対して、同機構の求めに応じ買取対象債権に係る引当状況を提示するとともに、同機構から買取価格が提示された場合は出来る限り迅速に判断するよう要請します。

  • 2.信用保証協会の保証付き債権に係る取組み

    • 信用保証協会の保証付き債権については、金融機関のみならず信用保証協会に対しても事前に十分な事業再生計画や買取価格について説明・調整を行い、迅速な案件合意に努めます。

      これに関連し、中小企業庁から全国信用保証協会連合会や各県の信用保証協会に対して、機構から事業再生計画の詳細や買取価格の根拠について説明を受けた後、原則3週間以内に当該計画について結論を出すよう要請します。

    • 新規融資に対する保証機能の活用について、早急に実行に移します。

  • 3.フォローアップ

    • 上記の取組みの効果について、適宜フォローアップを行い、必要に応じて更なる対応を検討します。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「株式会社東日本大震災事業者再生支援機構による被災事業者支援の促進について」(7月17日)にアクセスして下さい。


「保険業法施行令等の一部を改正する政令(案)」等に対するパブリックコメントの結果等について

金融庁では、保険業法等の一部を改正する法律(6ヶ月以内施行分)等に係る「保険業法施行令等の一部を改正する政令(案)」等につきまして、平成24年5月23日(水)から平成24年6月25日(月)にかけて公表し、広く意見の募集を行いました。

本件の政令、内閣府令及び命令は、平成24年7月19日(木)に公布され、平成24年7月20日(金)から施行されています(平成25年4月1日から施行される一部の規定を除く)。

本件の概要は以下のとおりです。

  • 1.保険業法施行令等の一部を改正する政令

    • (1)保険業法施行令の一部改正

      • ア.少額短期保険業者が一の保険契約者について引き受ける保険の種類ごとの全ての被保険者の保険金額の合計額(以下「総保険金額」という。)は、保険業法施行令第1条の6各号(以下「本則」という。)に定められる保険の種類ごとの上限保険金額に100を乗じて得た金額(以下「上限総保険金額」という。)を超えてはならないこととします。

      • イ.一の会社等の代表者を保険契約者とし、その構成員等を被保険者とする保険契約のうち、当該保険契約に係る普通保険約款に保険期間の中途で被保険者を増加させることができることとされているものについては、総保険金額は上限総保険金額の10%を限り、これを超過することができることとします。

    • (2)保険業法施行令の一部を改正する政令(平成18年政令第33号)の一部改正

      • ア.17年改正法の施行日から起算して7年を経過する日において、特定保険業者であった少額短期保険業者等の保険契約者であった者を保険契約者としてその者が締結していた保険と同一の保険の引受けを行い、かつ、同一の被保険者(以下「既被保険者」という。)を被保険者とする場合には、従来どおり本則の5倍(医療保険は3倍)を保険の上限金額とします。それ以外の場合にあっては、本則の3倍(医療保険は2倍)を保険の上限金額とします。

      • イ.特定保険業者であった少額短期保険業者等に係る保険の保険金額の特例に関する経過措置が5年間延長されることに伴い、一の被保険者当たりの保険の上限金額を5,000万円(一の被保険者が既被保険者以外の場合は3,000万円)とする特例期間を5年間延長します。

      • ウ.特定保険業者であった少額短期保険業者等に係る現行の一の保険契約者に係る被保険者の総数の規制は維持しつつ上記(1)の規定も適用できることとします。

  • 2.保険業法施行規則等の一部を改正する内閣府令

    • (1)保険業法施行規則の一部改正

      • ア.保険会社に対する大口与信規制について、当該保険会社の子会社である、保険会社及び保険会社を子会社とする持株会社等が発行する株式を適用除外とします。

      • イ.保険会社が提出する、子会社対象会社以外の会社を子会社とする期限の延長に係る承認申請書の添付書類として、当該子会社対象会社以外の会社の議決権の保有に関する方針を記載した書面等を定めます。

      • ウ.保険会社及び外国保険会社等が、保険契約の移転手続中に、当該移転対象の契約を締結する者に通知する事項として、移転先会社の商号及び本店の所在地等、移転会社及び移転先会社の直近の事業年度のソルベンシー・マージン比率及び当該移転の日に見込まれる同比率並びに移転後における当該移転対象の契約に関するサービスの内容等を定めます。

    • (2)保険業法施行規則等の一部を改正する内閣府令の一部を改正する内閣府令(平成23年内閣府令第23号)の一部改正

      特定保険業者が、保険契約の移転手続中に、当該移転対象の契約を締結する者に通知する事項として、移転先会社の商号、本店の所在地等、直近の事業年度のソルベンシー・マージン比率及び当該移転の日に見込まれる同比率並びに移転後における当該移転対象の契約に関するサービスの内容等を定めます。

  • 3.認可特定保険業者等に関する命令の一部を改正する命令

    • 認可特定保険業者等に関する命令の一部改正

      認可特定保険業者が、保険契約の移転手続中に、当該移転対象の契約を締結する者に通知する事項として、移転先会社の商号及び本店の所在地等、認可特定保険業者を除く移転先会社の直近の事業年度のソルベンシー・マージン比率及び当該移転の日に見込まれる同比率並びに移転後における当該移転対象の契約に関するサービスの内容等を定めます。

  • 4.保険会社向けの総合的な監督指針(本編)の一部改正

    • (1)外国保険会社の買収等に係る子会社業務範囲規制の見直し

      • ア.子会社対象会社以外の会社を子会社とする外国保険会社に係る認可申請に関し、申請書への記載事項や認可審査にあたって考慮する事項を記載します。

      • イ.子会社対象会社以外の会社を子会社とする期限の延長承認について、考慮すべき「止むを得ない事情」を例示します。

    • (2)保険契約移転手続中の販売停止規定の見直し

      • ア.移転対象の契約を締結しようとする者に対する通知・承諾の方法を記載します。

      • イ.契約者に通知すべき「移転対象の契約に関するサービスの内容」を例示します。

    • (3)保険会社の子会社業務範囲に係る記載の明確化

      子会社の福祉関連業務に、「サービス付き高齢者住宅」の運営・管理が含まれるものとします。

  • 5.保険会社向けの総合的な監督指針(様式・参考資料編)の一部改正

    子会社対象会社以外の会社を子会社としようとする際に提出する届出様式を新設します。また、特殊関係者を新たに有することとなった際に提出する届出様式を改正し、子会社対象会社以外の会社を特殊関係者とする場合における記載事項を追加します。

  • 6.保険会社向けの総合的な監督指針(別冊)(少額短期保険業者向けの監督指針)の一部改正

    保険契約者に係る被保険者の総数の規制の見直しを受け、所用の改正を行います。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「「保険業法施行令等の一部を改正する政令(案)」等に対するパブリックコメントの結果等について」(7月19日)にアクセスして下さい。


金融サービス利用者相談室における相談等の受付状況等(期間:平成24年4月1日~同年6月30日)

金融サービス利用者相談室(以下「相談室」という。)に寄せられた利用者からの相談件数や主な相談事例等のポイント等については、四半期毎に公表しています。平成24年4月1日から同年6月30日までの間における相談等の受付状況及び特徴等は、以下のとおりです。

  • 1.平成24年4月1日から同年6月30日までの間(以下「今期」という。)に、10,598件の相談等が寄せられています。1日当たりの受付件数は平均171件となっており、平成24年1月1日から同年3月31日までの間(以下、「前期」)の実績178件に比べてやや減少しています。

  • 2.分野別の受付件数としては、預金・融資等に関する相談等の受付件数2,870件(構成比27%)、保険商品等に関する相談等の受付件数2,427件(同23%)、投資商品等に関する相談等の受付件数3,958件(同37%)、貸金等に関する相談等の受付件数887件(同9%)、金融行政一般・その他に対する意見・要望等の受付件数456件(同4%)となっています。

  • 3.分野別の特徴等について

    • (1)預金・融資等については、個別取引・契約の結果に関する相談等が減少したことから、前期に比べて、やや減少しています。

    • (2)保険商品等については、前期に比べて、ほぼ同水準となっています。

    • (3)投資商品等については、前期に比べて、ほぼ同水準となっています。

    • (4)貸金等については、前期に比べて、ほぼ同水準となっています。

  • 4.なお、利用者の皆様から寄せられた相談等は、利用者全体の保護や利便性向上の観点から検査・監督上の参考として活用しています。

    今期に受け付けた情報提供のうち、以下のものなどについて、金融機関に対する検査における検証や監督におけるヒアリング等、金融行政を行う上での貴重な情報として活用しています。

    • (1)預金取扱金融機関によるリスク性商品等の販売時における顧客への説明態勢に関するもの

    • (2)預金取扱金融機関における不適切な顧客対応に関するもの

    • (3)預金取扱金融機関の融資業務における担保の取扱いに関するもの

    • (4)いわゆる貸し渋り・貸し剥がしや貸出条件変更に関するもの

    • (5)預金取扱金融機関の個人情報の取扱いに関するもの

    • (6)保険会社の不払い等(付随的な保険金の支払漏れ、第三分野商品に係る保険金の不払い等)に関するもの

    • (7)保険募集人等の不適正な行為(重要事項の不十分な説明、手続に関する不適切な案内・対応、不告知の教唆、無断契約、名義借り、保険料の立替等)に関するもの

    • (8)貸金業者による法令違反のおそれのある行為(取立行為規制違反等)に関するもの

    • (9)貸金業者による顧客への不適切な説明に関するもの

    • (10)システム障害に関するもの

    • (11)外国為替証拠金取引業者の不適正な行為に関するもの

    • (12)外国為替証拠金取引業者とのインターネット経由での取引に関するもの

    • (13)無登録営業に関するもの

    • (14)金融商品取引業者の不適正行為(ホームページを閉鎖し電話に出ない、無断売買、高齢者に対する勧誘等)に関するもの

    • (15)金融商品取引業者によるリスク性商品等の販売時における顧客への説明態勢に関するもの

    • (16)いわゆる集団投資スキームを利用した法令違反のおそれのある行為に関するもの

    • (17)金融商品取引業者とのインターネット経由での取引に関するもの

    また、預金口座の不正利用に関する情報については、金融機関及び警察当局へ110口座の情報提供を行っています。

    前期における情報の活用状況は以下のとおりです。

    • 監督において行った168金融機関等に対するヒアリング等に際して、相談室に寄せられた情報を参考としています。
    • 金融庁が着手した16金融機関の検査等に際して、相談室に寄せられた情報を参考としています。
  • 5.利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等

    寄せられた相談等のうち利用者の皆様に注意喚起する必要がある事例等について、以下のとおり「利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等」として公表していますのでご参照ください。

    • (1)預金・融資等に関する相談事例及びアドバイス等

      • 「免許の確認、預金保険制度に関する相談等」
      • 「本人確認に関する相談等」
      • 「盗難・偽造キャッシュカードに関する相談等」
      • 「振り込め詐欺救済制度に関する相談等」
      • 「特約付定期預金等に関する相談等」
      • 「融資に関する相談等」
    • (2)保険商品等に関する相談事例及びアドバイス等

      • 「保険内容の顧客説明に関する相談等」
      • 「告知義務に関する相談等」
      • 「保険契約に関する相談等」
      • 「保険金の支払に関する相談等」
      • 「少額短期保険業者に関する相談等」
      • 「保険契約者の保護に関する相談等」
    • (3)投資商品等に関する相談事例及びアドバイス等

      • 「金融商品の購入に関する相談等」
      • 「投資信託の購入に関する相談等」
      • 「外国為替証拠金取引に関する相談等」
      • 「未公開株式の取引に関する相談等」
      • 「自社発行未公開株に関する相談等」
      • 「ファンドに関する相談等」
      • 「金融商品取引業者(旧証券取引法上の証券会社)との取引に関する相談等」
      • 「金融商品取引業の登録に関する相談等」
      • 「株券の電子化に関する相談等」
      • 「投資者保護制度に関する相談等」
      • 「社債に関する相談等」
    • (4)貸金等に関する相談事例及びアドバイス等

      • 「違法な金融業者からの借入れに関する相談等」
      • 「強引な取立てに関する相談等」
      • 「取引履歴の開示に関する相談等」
      • 「返済条件の変更に関する相談等」
      • 「金利引下げに関する相談等」
      • 「総量規制に関する相談等」
      • 「都道府県登録業者に関する相談等」
      • 「完済後の書面交付に関する相談等」

金融庁及び証券取引等監視委員会では、金融庁や証券取引等監視委員会又はこれらを連想させる組織を騙った業者等の情報収集をしています。もし、そのような業者から連絡等があった場合には、

金融庁金融サービス利用者相談室
(0570-016811(ナビダイヤル)、IP電話・PHSからは03-5251-6811)
証券取引等監視委員会の情報受付窓口
(03-3581-9909)

に情報提供をお願いいたします。

その他、金融庁のウェブサイト(「一般のみなさんへ」)では、金融サービスを利用する皆様にご注意いただきたい情報を掲載しています。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等(期間:平成24年4月1日~同年6月30日)(7月31日)にアクセスして下さい。


地域金融機関の地域密着型金融の取組み等に対する利用者等の評価に関するアンケート調査結果等の概要

I.調査目的等

金融庁では、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」に基づき、地域金融機関における地域密着型金融の取組みに関する利用者等の評価を把握するための調査を年1回実施し、その結果を公表するとともに、爾後の監督対応に活用することとしています。

今回は、平成24年5月から6月にかけ、全国の財務局等において、各地域の利用者等を対象に、聴き取りによるアンケート調査を実施し、平成24年7月31日に、調査結果を取りまとめた概要を公表しています。

また、今回調査においては、上記と併せて、中小企業金融円滑化法への金融機関の対応等に関する利用者等の意見等に関するアンケート調査も実施しています。

II.地域金融機関の地域密着型金融の取組み等に対する利用者等の評価に関するアンケート調査結果の概要

利用者等:中小企業者498名、商工会議所・商工会の経営相談員等449名、消費生活センター職員等95名の計1,042名

  • 1.金融機関の取組みに対する評価(自由評価)

    本調査においては、地域金融機関における地域密着型金融の取組みに関し、評価できる点と、不十分な点の両面からご意見をいただいています。主な意見は以下のとおりです。

    • (1)顧客企業に対するコンサルティング機能の発揮(○:評価できる点、▲:不十分な点)

      <日常的な関係強化の姿勢>
      定期的に訪問してくれるため、情報交換の機会が増えており、早い段階で改善計画に対し細かい助言等をしてくれている。
      当社の経営会議に毎月出席し、客観的な立場から的確な助言をもらっており、牽制機能も働いている。
      以前に比べ金融機関の営業担当者の訪問が増えたことから、融資以外の情報交換も出来るようになった。
      地域に密着した取組みは、短期間で成果が出るものは少なく、中長期にわたって取り組むことが必要であると思うが、金融機関の担当者が替わると、それまで築いた良好な関係がなくなってしまう。
      <創業・新事業に向けた取組み>
      地域ファンドを積極的に活用し、新規事業開拓等への支援を通して、新産業の芽を育てようとする姿勢が見受けられる。
      県や産業支援センターが実施する新事業展開のための支援事業などに積極的に関与しており、商工会議所との連携も密に行っている。
      農業分野における生産者と業者とのマッチングや、農業ビジネスへの異業種からの参入支援など、農業ビジネスの活性化に取組んでいる。
      創業・新事業支援については、コンサルティング機能が弱くソリューションの提案力が乏しい。
      創業・新事業支援にあたり、資金供給のみに留まるのではなく、事業を軌道に乗せるための取引先紹介や販路拡大なども含めた一体型の支援を行ってほしい。
      <ビジネスマッチング>
      当社の新製品開発にあたり、全国の他メーカーの話題、商品情報や消費者のニーズなどについて、タイムリーな情報提供を受けている。
      金融機関の支店網を活用して仕入先や販売先を斡旋するなど、金融面以外でのサービスを行っている。
      金融機関が定期的に交流会や講演会を主催してくれ、異業種との情報交換やネットワーク構築に役立っている。
      金融機関は商談会の場を提供することには積極的であるが、商品の特性を十分に把握したうえで販売先を探すといった、個別のソリューションの提案が出来ていない。
      <海外進出支援>
      海外進出にあたり、海外の取引先を紹介されたほか、海外支店を通じて現地の情報を提供され役立っている。また、海外取引に関する社内勉強会において講師を派遣してもらい、従業員の理解が深まった。
      海外取引に際し、金融機関の本部担当チームと支店が一体となって支援体制を組み、アドバイスや継続的なフォローをしてくれる。また、海外企業との商談会にも積極的に取り組んでいる。
      海外進出に際しての支援では、マーケティングの調査は相応に行ってくれるが、現地の法律や金融事情については情報収集が不十分と感じる。少なくとも企業が相談できる窓口について情報提供してほしい。
      <目利き能力>
      新入行員に対する研修の一環として、ものづくりの現場を見学する取組みを行い、目利き能力を養う努力をしている。
      会社設立にあたり、知的財産権(特許権)を担保とした融資や関連会社のベンチャーキャピタルからの出資が行われるなど、決算書等の数値に表れない技術力を評価してもらっている。
      よく訪問してくるが、表面的な業況の動向のみ聞くだけで事業実態まで踏み込んで聞いてこないなど、目利き能力は不十分と感じる。
      金融機関の若い担当者は、知識・経験とも乏しく経営者にアドバイス出来ない。金融機関には、中小企業者の相談や悩みについて、内容や深刻度に応じたアドバイスを期待する。
      のれんのブランド力や地域での信用など、数字の外にある事業価値への目利きが十分ではない。
      <経営改善・事業再生に向けた取組み>
      財務内容をグラフ化して分かりやすく説明してくれるほか、今後の会社の方向性等についても提案してくれるなど、積極的に支援してくれている。
      返済の負担が大きくなってしまった企業へアプローチし、貸出条件緩和を行ったうえで経営改善策などを積極的に提案している。
      成長分野への経営資源の集中や衰退分野からの撤退のアドバイスなど、適切な指導を受けている。その結果、経営状態は改善され、新しい事業の柱を構築できるようになった。
      メイン行の本部専担部署が主体となり、中小企業再生支援協議会と連携して積極的な事業再生支援に取り組んでもらっている。再生計画策定後は営業店と本部専担部署が一体となってフォローし、月次の業況把握やアドバイスなど積極的に対応してくれている。
      被災地の金融機関は、震災以降、相談室の設置、セミナーや商談会の開催、融資の新商品提供など、被災者支援のために積極的に対応している。
      経営改善のためどうすべきか具体的なアドバイスがあるわけでもなく、担保や保証人など形式的な要求に終始している。
      小規模事業者に対しては、貸出後のフォローを行っていないが、定期的なモニタリングにより早め早めにアドバイス等を行い、事業者の改善を促してほしい。
      コンサルティング機能については、経営分析程度の改善指導に止まり、具体的な売上増につながる経営改善計画を指導される事例は少ない。
      当社の事業再生に際し、関係者間調整に時間がかかり、再生計画の実行までに当初の予定の倍以上の時間がかかった。時間がかかりすぎると再生まで持ちこたえられない企業もあると思うので、なるべく短期間で再生計画が実行出来るようにしてほしい。
      小規模事業者の再生支援については、他の取引金融機関との協議に消極的な金融機関もある。また、企業側から経営改善等の支援を要請しなければ金融機関主導の指導・支援はあまり行われず、取組みが不十分である。
      <事業承継に向けた取組み>
      金融機関のグループのコンサルティング会社を通じて、外部の専門家と提携しながら、事業承継対策やM&A等に積極的に取り組んでいる。
      特に小規模金融機関では、専任者が配置できない等の人的要因もあると思われるが、事業承継やM&Aへの取組みが遅れている。
      <外部専門家・外部機関等との連携>
      金融機関が商工会を定期的に巡回し、中小企業の経営支援等について相談を行うなど、連絡を密にしている。
      商工会議所の「中小企業支援ネットワーク強化事業」に地域金融機関が参画し、定期的な相談窓口を設置するなど、同会議所と連携したコンサルティング機能の発揮に努めている。
      大学と地域金融機関が産学連携の協定を締結し、地域金融機関が持つ情報を共同研究や共同開発に役立てている。
      中小企業支援機関との連携が不足していることから、制度融資等公的支援策の活用が少ない。
      一つの企業の支援に対して十分な時間を割くことは難しく、その支援も多岐にわたることから、十分な支援が出来ていないのが実態であるため、各支援機関や外部専門家等との連携を強化してほしい。
      コンサルティング機能を発揮しつつある点は非常に評価できるが、外部専門家任せになっており、顧客企業の事業拡大や経営改善にはつながらない不十分な取組みとなっている。
    • (2)地域の面的再生への積極的な参画(○:評価できる点、▲:不十分な点)

      金融機関のネットワークを活かして、商店街の空き店舗を活用した地方の物産展開催の協力をしてくれており、地方と地元商店街双方の観光PRになるとともに、イベントの集客力で新しい来店客の開拓に寄与している。
      中心市街地活性化協議会やシナジースキーム事業等に委員として参加し、プラン策定や事業立案運営に協力して地域活性化への取組みに貢献している。
      地元自治体とも連携を図り、国の補助事業である地域商業再生事業に取り組むなど、中心市街地の賑わいを目指した事業に積極的に協力している。
      地域活性化への参画について、金融機関の本部主導では動きが遅いことから、支店単位でも積極的に動いてほしい。
      金融機関や地域によって地域活性化に対する取組みに格差があり、十分に役割を果たしているとは言えない。
      地域活性化に関し、行政の会議等にもっと積極的に参加してほしい。
    • (3)地域や利用者に対する積極的な情報発信(○:評価できる点、▲:不十分な点)

      取引先の経営改善の実例等を挙げた説明会があり、金融機関の取組み内容や情報発信について評価している。
      各地において報告会を開催し、金融機関の取組み、業績、方向性、課題について、経営者自らが分かりやすく説明している。
      金融機関全般的に、説明会などの情報発信の場が少ないと感じている。ホームページに掲載するだけで済ませるのではなく、地元の会合や懇親会等に参加するなどして情報交換に努めてほしい。
      情報発信については、どこの金融機関もディスクロージャー誌やホームページで情報を開示しているが、一般の顧客には難解な用語も多く、理解しづらい。誰に向けた情報なのか整理し、分かりやすい内容となるよう更なる工夫が必要。
  • 2.金融機関の取組みに対する評価(選択評価)

    本調査においては、上記の自由評価に加え、選択回答方式により、地域金融機関における地域密着型金融の取組みに対する評価をいただいています。

    • (1) 地域密着型金融の取組み姿勢(全体評価)

      地域密着型金融の取組み姿勢については、積極的評価が5割弱となっています。

    • (2) 顧客企業に対するコンサルティング機能の発揮

      「顧客企業との日常的・継続的な接触(顧客企業への訪問等)の姿勢」については、積極的な評価が過半となっている一方で、「顧客企業の事業価値を見極め経営課題を発見・把握する能力(いわゆる目利き能力)」については、積極的評価が消極的評価を下回っています。

      顧客企業のライフステージに応じた取組み姿勢については、積極的評価が、「成長段階にある取引先支援」及び「経営改善支援」で4割程度、「創業・新事業開拓支援」で3割程度、「事業再生・業種転換支援」及び「事業承継支援」で2割程度となっています。

      「ソリューションの提案力」については、積極的評価が消極的評価を下回っています。

      • ( i )顧客企業との日常的・継続的な接触(顧客企業への訪問等)の姿勢

      • (ii)顧客企業の事業価値を見極め経営課題を発見・把握する能力(いわゆる目利き能力)

      • (iii)顧客企業のライフステージの各類型における地域金融機関の取組み姿勢

        ア.創業・新事業開拓支援

        イ.成長段階にある取引先支援

        ウ.経営改善支援

        エ.事業再生・業種転換支援

        オ.事業承継支援

      • (iv)ソリューションの提案力

      • ( v )ソリューション実行後のモニタリングの姿勢

      • (vi)外部専門家・外部機関等との連携姿勢

    • (3) 地域の面的再生への積極的な参画

      地域の面的再生への積極的な参画については、積極的評価が3割強となっていますが、消極的評価も2割強あります。

    • (4) 地域や利用者に対する積極的な情報発信

      地域や利用者に対する情報発信の姿勢、情報発信の内容とも、積極的評価が4割弱となっており、情報発信の姿勢については、消極的評価も2割強あります。

      • ( i )地域や利用者に対する情報発信の姿勢

      • (ii)情報発信の内容

  • 3.当局の施策に対する評価

    本調査においては、地域金融機関に対する評価に加え、当局が取り組んでいる地域密着型金融の促進に関する施策(注)に対しても、評価できる点と、不十分な点の両面からご意見をいただいています。主な意見は以下のとおりです。

    (注)当局の施策

    • 地域金融機関が自らの地域密着型金融の取組みを説明し、地域関係者が議論・評価する会議(シンポジウム)の開催
    • 特に先進的な取組みや、広く実践されることが望ましい取組みを行っている地域金融機関に対する顕彰の実施 等
    • (1)自由評価の結果(○:評価できる点、▲:不十分な点)

      シンポジウムにおいて、具体的取組みについて経営者が発表している金融機関があるが、経営者が率先して垂範することで金融機関の方針がより徹底され、地域密着型の推進ができるものと思われる。今後も金融機関の経営者自身が発表する機会を作ってほしい。
      当局の開催するシンポジウムによって、金融機関の取組みについて通常では知る機会がない情報を知ることができるため、今後もシンポジウムに参加したい。
      顕彰などの施策を通じて当局が地域密着型金融を推進していく取組みは、借り手企業の側としても評価できる。金融機関に対しても、その方向性が伝わっていると感じる。
      定期的、継続的に地域の企業に対して聞き取り調査を実施していることや、その中で金融庁の施策、金融機関の取組みを紹介してくれることは、草の根の活動として評価している。調査内容や施策方針を開示していることも評価できる。
      地域金融機関は、以前は金融商品のみを提案する傾向にあったが、地域密着型金融の推進により、顧客へのサービスも多様化している。
      当局の施策に対する認知度がまだまだ低い。一般の企業は取組み内容を知る機会が少なく、支援を必要としている企業に行き届いていないのではと感じる。金融機関に対する地域密着型金融の更なる推進が望まれる。
      シンポジウムの開催や顕彰などの取組みについては、金融庁や財務局のホームページのみでなく、チラシやパンフレット等の形で、商工会議所や商工会、市町村役場といった目に付きやすい場所に配置または掲示すべきではないか。
      金融機関に対する顕彰は、ホームページでの公表にとどまらずマスメディア等を活用してより周知すべきである。各金融機関がより積極的に取組むように、一般への情報発信を強化する必要がある。
      当地域の事業者でも、経済産業大臣賞や中小企業庁長官賞を受賞して、地域の評判を得ている企業がある。地域密着型金融の取組みについても、金融担当大臣賞、金融庁長官賞などの賞を設ければ、良い動機付けになるのではないか。
      地域密着型金融のシンポジウムや顕彰の実施に取り組んでいることは評価出来るが、融資先の一般企業も参加し直接意見が言える企画を考えてほしい。
    • (2)選択評価の結果

      当局の施策については、積極的評価が3割強となっています。

III.中小企業金融円滑化法に関する利用者等の意見等に関するアンケート調査結果の概要

利用者等:中小企業者504名、商工会議所・商工会の経営相談員等447名、消費生活センター職員等95名の計1,046名

  • 1.金融機関によるコンサルティング機能の発揮など金融円滑化への対応に関する評価

    中小企業金融円滑化法への対応については、積極的評価が消極的評価を上回っています。

    • 【上記評価に関する具体的な意見等】(○:評価できる点、▲:不十分な点)

      今まで持っていた金融機関のイメージが変わった。中小企業に対し持続可能な具体的支援を模索・指導し、支援される側の言葉に耳を傾けている。
      経営改善計画の作成にあたり、金融機関からアドバイスをもらえる。貸付条件変更に伴い、経営改善の提案や、企業再編、M&Aの提案などコンサルティングは多岐にわたっている。
      震災による原発事故以降、放射性物質に伴う風評被害等の影響で取り巻く環境は厳しさを増している中、金融機関からの支援やアドバイスを受けているほか、情報交換等も密に行っている。
      貸付条件変更の対応に際し、複数行取引がある場合も各行と協調して対応しており、その後のモニタリングも定期的に実施されている。
      企業支援のために、商工団体などの支援機関との連携が強化されている。
      コンサルティング機能を発揮するため、金融機関に新たな支援部門が設立されている事例もあり、具体的な取組みが始まっている。
      条件変更への対応は明らかに変化したと感じているが、コンサルティング機能の発揮の面では、総花的なアプローチにとどまり、支援を必要としている個々の企業への対応は、金融機関の人手不足もあり依然として十分とは言えない。
      経営改善計画の策定に向けて支援を行おうとする姿勢は感じられるが、具体的なソリューションの提案まで出来てない。
      一部の金融機関では、中小企業金融円滑化法に基づく貸出条件変更先の見極めが実施され、適切なソリューションの提供に向けた取組みが見られるものの、一方で、単純に条件変更を繰り返しているケースも見受けられる。
      外部機関、外部専門家との連携は積極的になってきたが、特に小規模事業者については、対応が遅くて手遅れとなるケースも見受けられる。
      金融機関だけでは販売強化・労務・経理・技術等の経営革新支援は難しいことから、企業支援にあたっては、商工会等の支援団体ともっと連携することが重要。
      金融機関がコンサルティング機能の発揮を目指していることは聞くが、人材育成が遅れているため、掛声倒れになっている。本部の専担部署が支店担当者と一緒に企業を訪問しOJTを行うなど、人材を育てる必要がある。
  • 2.金融機関や行政に対する意見

    • <金融機関に対する意見>
      金融機関の有している専門知識・ノウハウを事業者の経営改善に積極的に活かしていただきたい。
      決算書の数字による経費削減等のアドバイスだけでなく、売上を伸ばすためのアドバイスなど、もう一歩踏み込んだ支援をしてほしい。
      金融機関の持っている情報を活用して、販路拡大や異業種とのマッチングの提案をしてほしい。
      債務者の将来的な展望やライフサイクルを考慮しないで貸出条件の変更等を行っても、負担を先送りするだけで抜本的な解決にはならないため、目先にとらわれず債務者の立場に立った最善の改善策をアドバイスしてほしい。
      地域の支援機関との連携をもっと密にし、外部専門家等の活用を行い、より専門的かつ具体的な経営改善の方策を進めていく必要がある。
      経営改善、事業再生に係る相談については、他の金融機関とも連携して相談に応じていただきたい。
      経営改善計画の策定支援にとどまらず、その後の計画実行段階においても、金融機関が適切な支援・指導を実施することが重要である。
      事業再生にあたっては企業経営者の認識が最も重要であるが、企業がおかれている立場を認識出来ず改善が進まない先も多い。金融機関も日頃の信頼関係の中から、経営者に対して苦言を呈することも必要ではないか。
      事業の成長分野を見極め粘り強く支えていくとともに、再生が難しい事業については、企業の体力がある間に業種転換などへ導くようなサポート体制の強化に努めていただきたい。
      本部と営業店が一体となって中小企業者の経営支援を行う体制の充実・維持が重要である。
      貸付条件を変更した先に対しては、新規融資に応じないという硬直的な対応が見受けられる。金融機関は、より深度ある目利き能力を発揮し、事業の将来性や存続可能性を十分に判断したうえで、新規融資の可否を判断してほしい。
      震災、円高、原油高等の影響を受け、中小企業を取り巻く経営環境は厳しさを増している。中小企業金融円滑化法の終了後においても、足元の厳しい状況を十分に踏まえた対応を行ってほしい。
      <行政に対する意見>
      金融機関に対し、真の意味での経営改善につながる支援を行うよう指導していただきたい。例えば、担保力のない中小企業の事業内容等に着目した融資を後押しするような指導をお願いしたい。
      中小企業再生支援協議会の対象先とはならないような、複数の金融機関と取引のある小規模企業についても、支援方法を検討すべきではないか。
      ここ最近、商工会議所に対する創業・新事業の相談が極端に減少している。新事業や転業が行いやすくなるよう、国はもっと力を入れてほしい。
      国の施策について評価はできるが、一方で、本来退場すべき企業を安易に存続させてしまっている面もあるのではないか。
      貸付条件変更等を理由に新規融資等の対応に支障が生じることのないよう、金融機関に対し適切な指導を行ってほしい。
      市町村などの身近な行政機関においても、中小企業からの相談を受ける専門窓口などの設置や関係機関との連携強化に努めてほしい。
      金融機関がソリューション提供にあたり外部専門家を活用する際の費用について、国からの支援があれば良いのではないか。
      中小企業者への支援措置について、利用者に対する周知が不十分であり、もっと広報を行うべきではないか。
      中小企業金融円滑化法終了後に、金融機関の姿勢が企業にとって悪い方向に変化しないよう、十分な対応をとってほしい。
      中小企業金融円滑化法の終了と同時に、金融検査等において、金融機関に対し中小企業者の資産査定等を厳しくするような指導はしないでほしい。
      中小企業金融円滑化法の期限が延長されても企業の延命にしか過ぎない。中小企業を取り巻く景気が良くなるよう、国には景気対策をしっかりやってもらいたい。
  • 3.金融機関と中小企業再生支援協議会の連携に関する評価

    金融機関と中小企業再生支援協議会の連携については、「わからない」とする意見が5割弱となっており、また、積極的評価と消極的評価はほぼ同じ割合となっています。

    • 【上記評価に関する具体的な意見等】(○:評価できる点、▲:不十分な点)

      現在、金融機関と中小企業再生支援協議会の連携は相応になされていると思われる。特に、金融機関間の調整には中小企業再生支援協議会の活用が必要と感じており、今後、金融機関から中小企業再生支援協議会への持込み案件が増加することを期待する。
      複数の金融機関から融資を受けている場合に、単独の金融機関との間で協議を行うのは困難だが、中小企業再生支援協議会等と連携することによって、金融機関間の足並みを揃えることが出来る。また、金融機関も積極性が増しスムーズな対応をしてくれる。
      中小企業再生支援協議会との連携により、モラルハザードに陥ることなく経営改善されたケースもあり、公共性を帯びた外部機関との連携は有効であると感じる。
      金融機関によって、中小企業再生支援協議会との連携状況に大きな差がある。
      金融機関と中小企業再生支援協議会の連携のみならず、商工団体と中小企業再生支援協議会の連携もあまり進んでいない状況にある。現状の中小企業再生支援協議会のマンパワーでは対応できる件数は限られることから、中小企業再生支援協議会だけではなく、商工団体の機能も上手に活用してほしい。
      金融機関の本部担当者は中小企業再生支援協議会を理解しているが、営業店職員はほとんど理解していない。金融機関内で中小企業再生支援協議会のスキームの徹底を図っていただきたい。
      金融機関と中小企業再生支援協議会がどのような連携を図っているか分からない。連携強化した際は、積極的な情報発信に努めてほしい。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「地域金融機関の地域密着型金融の取組み等に対する利用者等の評価に関するアンケート調査結果等の概要」(7月31日)にアクセスして下さい。


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