アクセスFSA 第114号(2012年12月)

【トピックス】

金融ADR制度のフォローアップに関する有識者会議の設置について

金融ADR制度(金融分野における裁判外紛争解決制度)は、平成21年6月に成立した「金融商品取引法等の一部を改正する法律」により制度化され、平成22年4月に施行されました。その際、同法附則において、法施行後3年以内に、指定紛争解決機関の業務の遂行状況等を踏まえ、金融ADR制度の在り方等について検討を行うべきことが規定されました。

法施行から約2年半が経過し、現在、8つの指定紛争解決機関が紛争解決等業務に従事していますが、平成23年度の8機関の苦情処理手続及び紛争解決手続の申立件数は、各々合計で7,093件(前年度比32%増)及び1,981件(同137%増)となる等、活用実績は順調に伸びており、利用者のトラブル解決に一定の役割を果たしてきています。他方、指定紛争解決機関に対しては、運用面で改善すべき点がある等の指摘もあります。

こうした中、金融ADR制度を、より一層、利用者利便の向上に資するものとするため、上記附則の規定も踏まえ、各指定紛争解決機関の業務の遂行状況の検証や金融ADR制度の在り方等について検討を行う必要があります。

このため、金融庁総務企画局長のもとに、金融ADR制度に関する有識者をメンバーとする「金融ADR制度のフォローアップに関する有識者会議」を設置し、議論を開始したところです。

有識者会議においては、今後、検討を重ね、本年度内を目処に議論の取りまとめを行うこととしており、その結果については、取りまとめ次第公表する予定です。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から金融ADR制度のフォローアップに関する有識者会議の設置について(平成24年11月7日)にアクセスして下さい。


公認会計士試験合格者等の育成と活動領域の拡大に関する意見交換会
当面のアクションプランの改訂について

  • 1.これまでの取組状況と今般のアクションプランの改訂

    平成14年の金融審議会の答申において、「公認会計士については、量的に拡大するとともに質的な向上も求められている監査証明業務の担い手として、拡大・多様化している監査証明業務以外の担い手として、さらには、企業などにおける専門的な実務の担い手として、経済社会における重要な役割を担うことが一層求められている」との整理がなされました。

    これを受け、平成15年に公認会計士法が改正され、新試験制度が導入されるとともに(平成18年)、試験の実施面での改善も行われ、合格者数も増加してきました。

    しかし、その後、世界的な経済不況等もあり、試験合格者の経済社会における活動領域の拡大が思うように進まず、試験に合格しても就職できず実務経験を経ることができないという状況が生じました。

    このような状況を受け、公認会計士試験合格者等が経済社会の幅広い分野で活用されることを目指して、平成21年4月より、金融庁、公認会計士・監査審査会、日本公認会計士協会、経団連・金融4団体で意見交換が行われ、同年7月に、課題解決に向けて必要な当面の対応策について、中間取りまとめ及び当面のアクションプランが策定されました。さらに、一昨年及び昨年も、意見交換会が開催され、2度にわたりアクションプランに新たな施策を追加する改訂が行われたところです。

    アクションプランに基づき、各関係者による取組みが進められた結果、活動領域の拡大はある程度進んでいると考えられますが、今後も試験合格者にとどまらず、公認会計士を含めた会計専門家が経済社会において幅広く活用されるための更なる環境整備を図っていく余地があるものと考えられます。

    一方で、近年、公認会計士試験の出願者数が減少しています。このような状況は、中長期的には、公認会計士になる人材の質に関わってくると考えられ、公認会計士の魅力を一層高めていくことが重要です。

    このような観点も踏まえ、本年も、11月、意見交換会を開催しました。意見交換会では、関係者の取組み状況や、金融庁が実施したアンケート(本年8月に上場会社を対象に試験合格者等の採用実態に関して実施)の結果等を踏まえて議論を行い、当面のアクションプランを改訂して新たな施策を追加し、従来の施策と併せて、各メンバーが積極的に取組みを進めることが合意されました。

  • 2.当面のアクションプランの改訂のポイント

    今回、新たに追加された主な施策は、以下のとおりです。

    • (1)求人・求職のマッチングの取組みの更なる周知・広報

      • 求人・求職のマッチングサイトである「Career Navi」について、利用企業の更なる拡大に向けた効果的な周知、広報のための方法の検討等を通じて、マッチング機能を向上
    • (2)組織内会計士の活動領域の拡大のための施策

      • 一般企業に勤務する企業内会計士等の「組織内会計士」の業務に関する調査を目的とする実態調査を実施
      • 組織内会計士のためのネットワーク組織(組織内会計士協議会)への登録を呼びかけ、同組織を拡充
      • 研修会等を通じて監査法人に籍を置く公認会計士に対して転職支援を行うほか、監査経験のある公認会計士に対する企業側の需要を掘り起こすための説明会等を開催

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「公認会計士試験合格者等の育成と活動領域の拡大に関する意見交換会 当面のアクションプランの改訂について」(平成24年11月9日)にアクセスして下さい。


「主要行等向けの総合的な監督指針」及び「金融検査マニュアル」等の一部改正(案)に対するパブリックコメントの結果等について

金融庁では、「主要行等向けの総合的な監督指針」及び「金融検査マニュアル」等の一部改正(案)につき、平成24年9月10日から平成24年10月9日にかけて、広く意見の募集を行い、先般11月28日にパブリックコメントの結果を公表し、各監督指針及び各検査マニュアル(以下、「監督指針等」という。)の改正を行いました。

今般の改正は、「犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律(平成23年法律第31号)」が平成25年4月1日に施行されることを踏まえ、テロ資金供与、マネー・ローンダリングを巡る犯罪への対策の一層の強化を図る等の観点から、これらマネー・ローンダリング等を防止するための態勢整備などにつき適切な対応が行われているか等を検査・監督上の検証項目及び着眼点とするものです。

主な改正内容は、以下のとおりです。

  • (1)「犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号)」(以下、「犯収法」という。)の一部改正により、金融機関は、従来の本人特定事項(氏名(名称)、住居(本店又は主たる事務所の所在地)、生年月日)に加え、取引の目的等を確認することや、なりすましの疑いがある取引等、厳格な顧客管理を行う必要のある取引について、通常の取引よりも厳格に本人特定事項の確認を行うことなどが求められるところ、これを受け、監督指針等では、これらの点を、各金融機関の態勢整備に係る着眼点等としました。

  • (2)また、犯収法改正等により、コルレス契約に関し金融機関に求められる体制整備について、監督指針等では、コルレス先のマネー・ローンダリング等を防止するための体制整備の状況やコルレス先が営業実態のない架空銀行(いわゆるシェルバンク)ではないこと等の情報収集や確認に努め、コルレス契約の締結・継続の可否を適切に審査・判断しているかなどを、着眼点等としました。

  • (3)さらに、犯収法改正により金融機関に求められる体制整備の一環として、監督指針等では、「海外営業拠点」における業務についても、マネー・ローンダリング等の対策を適切に行うための態勢整備を金融機関に求めることとし、「海外営業拠点」においても、適用される現地の法令等が認める限度において、国内におけるのと同水準でマネー・ローンダリング等の対策を適切に行うよう努めているかなどを、着眼点等としました。

    なお、上記(2)、(3)について、通常、コルレス契約や「海外営業拠点」における業務に関するマネー・ローンダリング等のリスクが想定されない業態の監督指針等については、これらにつき特段の措置を講じていません。

改正後の監督指針等については、「犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律(平成23年法律第31号)」の施行と同じく、平成25年4月1日からの適用となります(一部、今般の改正犯収法の施行を踏まえた改正以外の部分については、公表日(平成24年11月28日)からの適用)。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「「主要行等向けの総合的な監督指針」及び「金融検査マニュアル」等の一部改正(案)に対するパブリックコメントの結果等について」(平成24年11月28日)にアクセスして下さい。


「振り込め詐欺救済法」に基づく預保納付金を用いた犯罪被害者等の支援事業の開始について

「振り込め詐欺救済法(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律)」に基づく預保納付金(被害者に返金しきれなかった残金)を用いた犯罪被害者等の支援事業の具体的使途については、金融庁・内閣府・財務省の3政務官より構成する「振り込め詐欺救済法に定める預保納付金を巡る諸課題に関するプロジェクトチーム」の最終とりまとめを踏まえ、(1)犯罪被害者等の子供に対する奨学金貸与事業、及び(2)犯罪被害者等支援団体に対する助成事業に支出することとされ、平成24年12月18日より両事業が開始されました。

詳細につきましては、当該事業の担い手である「公益財団法人 日本財団」までお問い合わせください。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「「振り込め詐欺救済法」に基づく預保納付金を用いた犯罪被害者等の支援事業の開始について」(平成24年12月18日)にアクセスして下さい。


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