アクセスFSA 第117号(2013年3月)

アクセスFSA 第117号(2013年3月)

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写真1 写真2
第29回金融審議会総会・
第17回金融分科会合同会合にて
挨拶する寺田副大臣(2月27日)
第29回金融審議会総会・
第17回金融分科会合同会合にて
挨拶する島尻大臣政務官(2月27日)
写真3 写真4
年度末金融の円滑化に関する
意見交換会にて挨拶する麻生大臣
(2月28日)
国際コンファレンスにて
挨拶する寺田副大臣(3月8日)

トピックス

(1)「主要行等向けの総合的な監督指針」及び「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」の一部改正(案)に対するパブリックコメントの結果等について

金融庁では、「主要行等向けの総合的な監督指針」及び「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」の一部改正(案)について、平成24年12月14日から平成25年1月15日にかけて、広く意見の募集を行い、2月7日に各監督指針の改正を行いました。

今般の改正は、金融安定理事会における合意(「金融機関の実効的な破綻処理の枠組みの主要な特性(2011年11月)」)等を踏まえ、金融機関の再建・処理計画についての監督上の着眼点等を明らかにすることを目的とするものです。


(2)国際コンファレンス「持続的・包摂的な成長に向けたアジア金融セクターの強化」の開催(3月8日)結果について

金融庁金融研究センターでは、アジア、欧米、国際機関から研究者、当局者、実務家などを招き、望ましい金融規制・監督のあり方等について、官学中心とした国際コンファレンスを開催しています。

今回は、「持続的・包摂的な成長に向けたアジア金融セクターの強化」をテーマとして、アジア開発銀行研究所との共催により、平成25年3月8日に開催いたしました。国内外の研究者、政府・中銀関係者、金融機関、在京各国大使館関係者など、300名強の参加がありました。

冒頭の寺田稔内閣府副大臣兼復興副大臣及び河合正弘アジア開発銀行研究所長兼CEOの開会挨拶に引き続き、畑中龍太郎金融庁長官により、我が国とアジアの金融環境を取り巻く課題についての基調講演が行われました。加えて、ムリヤマン・D・ハダド インドネシア金融庁理事長から先般設立されたばかりのインドネシア金融庁の役割と今後の課題について基調講演が行われました。

その後、セッション1~4に分かれて、アジアの金融市場の発展と安定を促進するような規制や制度のあり方について、報告や議論が行われました。各セッションの主な内容は、以下の通りです。

  • <セッション1>グローバルな金融規制改革―アジアへのインプリケーションと教訓

    セッション1(議長:ジェハ・パーク アジア開発銀行研究所副所長)では、先般の金融危機から得られる教訓について、金融の統合、グローバルな規制改革、通貨の流動性の面から議論が行われました。

    まず、金融の統合に関して、アジアは欧州の経験から、統合を進めるにあたっては、規制や監督の実施方法について各国当局の責務を明確にすることが望ましいとの発表がありました。また、金融危機後のグローバルな規制改革については、バーゼルIIIがアジア各国に与える影響は大きくないとの実証研究の結果が発表されました。さらに、流動性の問題については、リーマンショック以後の世界金融危機の際に邦銀の信用力は悪化しなかったものの、東京市場でのドル不足が深刻であったことから、信用リスクと流動性リスクを区別する重要性が指摘され、市場が流動性不足に陥った場合に中央銀行がとる対応策について発表が行われました。

  • <セッション2>アジア金融セクターの改革への課題

    セッション2(議長:大山剛 監査法人トーマツ金融インダストリーグループパートナー)では、金融危機の際に日本及びアジア各国の金融当局がとった対応策とその後の監督体制の現状を分析し、今後のアジアの金融市場の発展に向けた各国における望ましい規制について、民間の金融機関からの視点も含め、議論が行なわれました。

    セッション内では、日本で1990年代に金融危機を経験した際にとられた様々な措置やリーマンショック後に円滑な資金供給を促すためにとられた対策について発表がありました。加えて、タイやフィリピンにおける金融危機への対応についても発表があり、問題の早期発見・早期対応や銀行の自己規律の強化が重要であるとのコメントがなされました。

  • <セッション3>アジア地域の規制監督体制・枠組みの強化

    セッション3(議長:ガネシャン・ウィグナラジャ アジア開発銀行研究所研究部長)では、アジアの金融セクターを強化するための規制や政策に焦点を当て、特に、バブルを未然に防ぐための早期警戒指標と、アジアの金融包摂を推進するための政策について議論を行いました。

    まず、日本および米国のバブルの原因が拡張的な金融政策と不動産市場における信用拡大であるとし、バブルを防ぐために今後の有用な指標として、不動産・住宅ローンの全体貸出に占める比率、経済成長率と比較した不動産・住宅向け貸出の伸び率、そして所得と住宅価格の比率の3つを提案する発表がなされました。次に、アジアにおける金融包摂について、パキスタン、フィリピン、マレーシアの事例を挙げながら現状の分析がなされ、金融包摂の推進に向けて電子マネーの普及や利用者保護の促進を始めとする政策についての議論がなされました。

  • <セッション4>パネル・ディスカッション:アジアにおけるこれからの金融規制

    セッション4(モデレーター:河合正弘 アジア開発銀行研究所兼CEO)では、アジアの経済発展を促すような望ましい規制のあり方について、パネル・ディスカッションが行われました。

    冒頭、英国の新しい金融監督体制についての説明があり、加えて監督当局のあり方についてアジアと欧米の金融機関におけるコーポレート・ガバナンスと企業文化の違いという観点から発表がありました。これに対して日本とタイの立場から、アジアの監督当局が経済成長に貢献していく上で望ましい規制のあり方について、透明性の向上や金融インフラの改善の必要性が述べられたほか、金融セクターが経済発展に貢献することの重要性が強調されました。


(3)第29回金融審議会総会・第17回金融分科会合同会合の開催(2月27日)結果について

平成25年2月27日に、第29回金融審議会総会・第17回金融分科会合同会合を開催し、委員の紹介、昨年の諮問事項に対する報告等を行いました。

  • 1.委員の紹介等について

    事務局から委員等の紹介があった後、委員の互選により、吉野直行委員が金融審議会会長及び金融分科会会長に就任しました。また、吉野会長の指名により、神田秀樹委員が会長代理及び分科会長代理に就任しました

  • 2.昨年の諮問事項に対する報告について

    昨年の金融審議会総会で行われた諮問のうち、

    • (1)投資信託・投資法人法制の見直しについての検討

    • (2)金融システム安定等に資する銀行規制等の在り方についての検討

    • (3)近年の違反事案及び金融・企業実務を踏まえたインサイダー取引規制の見直しについての検討

    に関して、それぞれのワーキング・グループにおける議論の結果取りまとめられた報告書について、議論・了承されました。

    今後、これらの報告書に基づいて、必要な制度整備を行っていきます。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「審議会・研究会等」の中の「金融審議会」の「議事録・資料等」から「第29回金融審議会総会・第17回金融分科会合同会合議事次第」(平成25年2月27日)にアクセスして下さい。


(4)「金融の円滑化と中小企業支援策に関する説明会」開催結果について

中小企業金融円滑化法(以下、「円滑化法」という。)が本年3月末で期限を迎えるに当たり、金融庁では、円滑化法の期限到来後の検査・監督の方針として、

  • 検査・監督のスタンスや不良債権の定義は何ら変わらない
  • 金融機関には、引き続き、貸付条件の変更等や円滑な資金供給、それぞれの借り手企業の実態に応じた最適な解決策の提案・支援に努めるよう促していく

等を明確化してきました。

こうした方針・対応について、規模の小さい事業者を中心に、もう一段の周知徹底が必要であると考え、本年2月から3月にかけて、副大臣以下の金融庁幹部職員及び財務局幹部職員を全都道府県に派遣し、円滑化法の期限到来後の検査・監督の方針等を、借り手企業関係者や金融機関に対して、改めて丁寧な説明を行いました。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「注目施策・情報」の中の「中小企業等の金融円滑化対策について」から「「金融の円滑化と中小企業支援策に関する説明会」(平成25年2月~3月)」にアクセスして下さい。


(5)「年度末金融の円滑化に関する意見交換会」の開催(2月28日)結果について

年度末の資金需要期を迎えることを踏まえ、平成25年2月28日に、金融機関代表者等を招き、「年度末金融の円滑化に関する意見交換会」を開催しました。

その際、麻生金融担当大臣から金融機関代表者に対して、中小企業等に対する年度末の円滑な資金供給の確保とともに、個々の借り手に応じた経営改善支援、更には企業の育成・成長支援に努めるよう要請するとともに、融資動向等について意見交換を行いました。

  • <意見交換会参加機関等>

    全国銀行協会、全国地方銀行協会、信託協会、第二地方銀行協会、全国信用金庫協会、全国信用組合中央協会、全国労働金庫協会、農林中央金庫、日本政策金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、商工組合中央金庫、日本政策投資銀行、全国信用保証協会連合会、住宅金融支援機構


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