アクセスFSA 第131号(2014年5月)
(1)アジア金融連携センターの設置について
金融庁では、平成26年4月30日に、アジア金融連携センター (Asian Financial PArtnership Center : AFPAC) を設置しました。
アジア金融連携センターは、アジア諸国の金融規制当局との連携・協力を深め、(1)国際的な金融規制改革等におけるアジアからの発信力を強化するとともに、(2)日本企業・金融機関のアジアにおける円滑な事業展開に貢献していくことを目的としています。また、(3)アジアの金融・資本市場に係る諸課題や体系的な技術協力の在り方についても検討を行い、その成果をアジアの金融インフラ整備支援に活かしていくことを目指しています。
具体的には、アジア諸国の金融当局者を研究員として招へいし、
- バーゼルIII、店頭デリバティブ規制等の国際的な金融規制改革が、アジアの金融・資本市場に与える影響をどう考えるか
- アジア各国における金融・資本市場に係る諸課題やその今後のあり方、例えば、各国における証券市場の振興策や今後の規制・監督のあり方はどうあるべきか
- 日本をはじめとする各国の金融機関や取引所等が、それぞれリスク管理能力や取引システムといった長所を活かし、どのようにアジア全体として成長を目指す金融インフラを整備していくか
といったことについて検討を行う予定です。
また、研究員を中心にこれらの課題について議論する国際会議・セミナーを開催し、アジアに関係する市場関係者及び金融規制当局者を広く招き、これらの課題についての知見の向上と各国当局との連携強化を図ります。これらの成果を金融庁における国際金融規制改革等に関する意見の形成や日本政府のアジア諸国に対する金融インフラ整備支援などに活かしていくことを目指します。
金融庁としては、このような取組みを通じて、東京を拠点としてアジア諸国の金融当局間の連携協力を強化するとともに、アジア諸国における金融インフラ整備の支援や専門人材の育成等により、アジア地域の金融機能の強化に貢献してまいります。
※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「国際関係」の中の「国際関係情報(その他)」から「アジア金融連携センターの設置」について(平成26年4月30日)にアクセスしてください。
(2)平成25年度補正予算、平成26年度予算の早期実施に伴う金融の円滑化について
政府は、景気の下振れリスクに適切に対応し、足元の景気回復を持続的な経済成長につなげていくため、4月からの消費税率引き上げに伴う反動減対策等として、平成25年度補正予算及び平成26年度予算の早期の実施に取り組むこととされています。また、地方自治体や関係機関においても、同様に早期の予算実施が図られるよう要請されています。
こうした予算の早期実施に伴い、国・地方の公共工事や、その他の事業等に関して、中小企業等においても、その事業実施のための資金等を確保する必要性が高まることが見込まれております。金融機関においては、こうした資金需要に適切に対応し、さらに一層、金融仲介機能を発揮して、中小企業・小規模事業者に対する新規融資を含む積極的な資金供給等の支援に取り組むよう求められているところです。
このため、平成26年4月11日に、金融庁は、金融機関関係団体等に対し、平成25年度補正予算、平成26年度予算の早期実施に伴う金融の円滑化について、書面で要請を行うとともに、当該要請文を公表し、要請内容の周知徹底を図りました。
【要請先】
全国銀行協会、全国地方銀行協会、第二地方銀行協会、信託協会、全国信用金庫協会、全国信用組合中央協会、農林中央金庫
※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「平成25年度補正予算、平成26年度予算の早期実施に伴う金融の円滑化について」(平成26年4月11日)にアクセスしてください。
(3)専門人材の活用に係る参考事例集について
金融庁では、平成25事務年度の監督方針を平成25年9月6日に公表し、金融機関に求められる役割としてデフレ脱却のため成長分野などへの積極的な資金供給、中小企業の経営改善・体質強化の支援の本格化といった点を明確化し、監督重点分野として「成長可能性を重視した金融機関の新規融資の取組みの促進」、「中小企業に対する経営改善支援等」を掲げ、金融機関に対して積極的な取組みを促しているところです。
金融機関による中小企業等に対する経営支援の促進の観点から、金融庁では、専門人材の活用事例等を取りまとめた事例集を公表しました。
金融機関においては、本事例集を参考にして専門人材を積極的に活用していただくことを期待するとともに、金融機関以外の経営支援の担い手の方々においても経営支援等にあたっての一助にしていただくことに加え、中小企業等の経営者の方々においても自らの事業拡大や経営改善等の取組みの参考としていただくものです。
<掲載事例>
本事例集は、「ものづくり支援」、「販路拡大支援」、「海外展開支援」、「創業支援」、「全般的な経営支援」の5項目で構成されております。
1.ものづくり支援(6事例)
○生産性や技術力向上にあたって、現場指導ができる大手製造業OBの技術者等を活用する事例
2.販路拡大支援(6事例)
○ビジネスマッチングにあたって、大手企業OBや地元出身の現役経営者等を活用した事例
○製品ブランド化にあたって、マーケティング専門家等を活用した事例
3.海外展開支援(3事例)
○海外現地パートナー企業や海外工業団地の紹介にあたって、商社OBを活用した事例
4.創業支援(3事例)
○商工団体、金融機関や専門家をネットワーク化し、課題を解決している事例
5.全般的な経営支援(11事例)
○中小企業の抱える経営課題に応じて、地元企業OB等を専門家として派遣している事例
※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「「専門人材の活用に係る参考事例集」の公表について」(平成26年4月25日)にアクセスしてください。
(4)「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等(期間:平成26年1月1日~同年3月31日)
金融サービス利用者相談室(以下、「相談室」という。)に寄せられた利用者からの相談件数や主な相談事例等のポイント等については、四半期毎に公表しています。平成26年1月1日から同年3月31日までの間における相談等の受付状況及び特徴等は、以下のとおりです。
1.平成26年1月1日から同年3月31日までの間(以下、「今期」という。)に、9,878件の相談等が寄せられています。1日当たりの受付件数は平均170件となっており、平成25年10月1日から同年12月31日までの間(以下、「前期」という。)の実績168件とほぼ同水準となっています。
2.分野別の受付件数としては、預金・融資等に関する相談等の受付件数3,416件(構成比34%)、保険商品等に関する相談等の受付件数2,742件(同28%)、投資商品等に関する相談等の受付件数2,626件(同27%)、貸金等に関する相談等の受付件数738件(同7%)、金融行政一般・その他に対する意見・要望等の受付件数356件(同4%)となっています。
3.分野別の特徴等について
(1)預金・融資等については、前期の実績とほぼ同水準となっています。
(2)保険商品等については、前期の実績とほぼ同水準となっています。
(3)投資商品等については、一般的な照会・質問に関する相談等が減少したことから、前期に比べて、やや減少しています。
(4)貸金等については、業者の態勢・各種事務手続に関する相談等が減少したことから、前期に比べて、やや減少しています。
4.なお、利用者の皆様から寄せられた相談等は、利用者全体の保護や利便性向上の観点から検査・監督上の参考として活用しています。
今期に受け付けた情報提供のうち、以下のものなどについて、金融機関に対する検査における検証や監督におけるヒアリング等、金融行政を行う上での貴重な情報として活用しています。
(1)預金取扱金融機関によるリスク性商品等の販売時における顧客への説明態勢に関するもの
(2)預金取扱金融機関における不適切な顧客対応に関するもの
(3)預金取扱金融機関の融資業務における担保の取扱いに関するもの
(4)いわゆる貸し渋り・貸し剥がしや貸出条件変更に関するもの
(5)預金取扱金融機関の個人情報の取扱いに関するもの
(6)保険会社の保険金等の支払いに関するもの
(7)保険募集人等の不適正な行為(重要事項の不十分な説明、手続に関する不適切な案内・対応、不告知の教唆、無断契約、名義借り、保険料の立替等)に関するもの
(8)貸金業者による法令違反のおそれのある行為に関するもの
(9)貸金業者による顧客への不適切な説明に関するもの
(10)システム障害に関するもの
(11)無登録営業に関するもの
(12)金融商品取引業者の不適正な行為(ホームページを閉鎖し電話に出ない等、無断売買、高齢者に対する不適正な勧誘)に関するもの
(13)金融商品取引業者によるリスク性商品等の販売時における顧客への説明態勢に関するも の
(14)いわゆる集団投資スキームを利用した法令違反のおそれのある行為に関するもの
前期における情報の活用状況は、以下のとおりです。
- 監督において行った244金融機関等に対するヒアリング等に際して、相談室に寄せられた情報を参考としています。
- 金融庁が着手した31金融機関の検査等に際して、相談室に寄せられた情報を参考としています。
5.利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等
寄せられた相談等のうち利用者の皆様に注意喚起する必要がある事例等について、以下 のとおり「利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等」として公表していますので、ご参照ください。
(1)預金・融資等に関する相談事例及びアドバイス等
「免許の確認、預金保険制度に関する相談等」
「本人確認に関する相談等」
「盗難・偽造キャッシュカードに関する相談等」
「振り込め詐欺救済制度に関する相談等」
「特約付定期預金等に関する相談等」
「融資に関する相談等」(2)保険商品等に関する相談事例及びアドバイス等
「保険内容の顧客説明に関する相談等」
「告知義務に関する相談等」
「保険契約に関する相談等」
「保険金の支払に関する相談等」
「少額短期保険業者に関する相談など」
「保険契約者の保護に関する相談等」(3)投資商品等に関する相談事例及びアドバイス等
「金融商品の購入に関する相談等」
「投資信託の購入に関する相談等」
「外国為替証拠金取引に関する相談等」
「未公開株式の取引に関する相談等」
「自社発行未公開株に関する相談等」
「ファンドに関する相談等」
「金融商品取引業者(旧証券取引法上の証券会社)との取引に関する相談等」
「金融商品取引業の登録に関する相談等」
「株券の電子化に関する相談等」
「投資者保護制度に関する相談等」
「社債に関する相談等」(4)貸金等に関する相談事例及びアドバイス等
「違法な金融業者からの借入れに関する相談等」
「強引な取立てに関する相談等」
「取引履歴の開示に関する相談等」
「返済条件の変更に関する相談等」
「金利引下げに関する相談等」
「総量規制に関する相談等」
「都道府県登録業者に関する相談等」
「完済後の書面交付に関する相談等」
金融庁及び証券取引等監視委員会では、金融庁や証券取引等監視委員会又はこれらを連想させる組織を騙った業者等の情報収集をしています。もし、そのような業者から連絡等があった場合には、
- 金融庁金融サービス利用者相談室
0570-016811(ナビダイヤル)、IP 電話からは03-5251-6811 - 証券取引等監視委員会の情報受付窓口
03-3581-9909
に情報提供をお願いいたします。
その他、金融庁ウェブサイト(「金融の仕組みや金融商品などの解説」)では、金融サービスを利用する皆様にご注意いただきたい情報を掲載しています。
※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等(期間:平成26年1月1日~同年3月31日)(平成26年4月30日)にアクセスしてください。