アクセスFSA 第138号(2014年12月)

アクセスFSA 第138号  (2014年12月)

Contents

トピックス

(1)中小企業等の金融の円滑化に関する意見交換会の開催について

年末の資金需要期を迎えることを踏まえ、金融庁は、平成26年11月25日に、金融機関等の代表者を招き、「中小企業等の金融の円滑化に関する意見交換会」を開催しました。

その際、麻生金融担当大臣から金融機関等の代表者に対して、「経済の好循環」の実現に向けた金融面からの貢献、年末や原材料費上昇に伴う資金需要への対応、適切かつ積極的な金融仲介機能の発揮等に努めるよう要請するとともに、融資動向等について意見交換を行いました。

併せて、同日付で、関係金融機関団体に対し、年末における中小企業・小規模事業者に対する金融の円滑化について、書面で要請を行うとともに、当該要請文を公表し、要請内容の周知徹底を図りました。

<意見交換会参加機関等>

全国銀行協会、全国地方銀行協会、第二地方銀行協会、信託協会、全国信用金庫協会、全国信用組合中央協会、全国労働金庫協会、農林中央金庫、日本政策金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、商工組合中央金庫、日本政策投資銀行、全国信用保証協会連合会、住宅金融支援機構

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「年末における中小企業・小規模事業者に対する金融の円滑化について(要請)」(平成26年11月25日)にアクセスしてください。


(2)金融安定理事会による市中協議文書「グローバルなシステム上重要な銀行の破綻時の損失吸収力の充実」の公表について

FSB(金融安定理事会)は、平成26年11月10日に「グローバルなシステム上重要な銀行の破綻時の損失吸収力の充実」(原題:Adequacy of loss-absorbing capacity of global systemically important banks in resolution)と題する市中協議文書を公表しました。

平成25年9月に開催されたサンクトペテルブルク・サミットにおいて、FSBは「大きすぎて潰せない(Too big to fail)」問題の終結に向け、破綻時の損失吸収力の充実性に関する提案を平成26年末までに策定するよう求められ、これを受けてFSBは本市中協議文書をブリスベン・サミット(平成26年11月15-16日)に報告しました。

本市中協議文書に盛り込まれた提案は、金融の安定への影響を最小化し、重要な機能の継続を確保し、納税者負担を回避する秩序立った破綻処理を実施するために保持すべき損失吸収力に係る枠組みを定めることを目的としています。この損失吸収力は、マル1既存のバーゼル規制資本とマル2その他適格負債等の合計である総損失吸収力(TLAC: Total Loss- Absorbing Capacity)として算出され、グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs)が対象となります。

今後、本市中協議文書における提案は、FSB及びBCBS(バーゼル銀行監督委員会)において行われるQIS(定量的影響度調査)及び市場調査等を経て、平成27年中に最終化され、同年のサミットに提出される予定です。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「国際関係」の中の「金融安定理事会(FSB)・金融安定化フォーラム(FSF)」から『金融安定理事会による市中協議文書「グローバルなシステム上重要な銀行の破綻時の損失吸収力の充実」の公表について』(平成26年11月10日)にアクセスしてください。


(3)「決済業務等の高度化に関するスタディ・グループ」の開催について

平成26年11月6日、18日及び27日に「決済業務等の高度化に関するスタディ・グループ」を開催しました。

同会議は、平成26年9月26日に開催された金融審議会総会において、金融担当大臣から「決済サービスの高度化に対する要請の高まり等を踏まえ、決済及び関連する金融業務のあり方並びにそれらを支える基盤整備のあり方等について多角的に検討すること。」との諮問を受け、金融分科会の下に設置されました。

平成26年11月6日に開催された第4回会議においては、花王株式会社、企業の資金調達の円滑化に関する協議会及びキリバ・ジャパン株式会社から、それぞれ「一企業から見た財務のグローバル展開を進めるにあたっての考察」、「日本企業のグローバル・キャッシュ・マネジメントと金融法制の課題」及び「CMSの潮流」と題してヒアリングを行い、その後、同会議のメンバーによる自由討議が行われました。

平成26年11月18日に開催された第5回会議においては、ヤフー株式会社、一般社団法人日本資金決済業協会、一般社団法人日本クレジット協会及び三菱UFJニコス株式会社から、それぞれ「eコマースと決済におけるヤフーの取組みについて」、「前払式支払手段の発行の業務及び資金移動業を巡る現状と課題」、「クレジットカード業界の現状と課題」及び「クレジットカード業務における当社の取組みと高度化に向けて」と題してヒアリングを行い、その後、同会議のメンバーによる自由討議が行われました。

また、平成26年11月27日に開催された第6回会議においては、楽天株式会社、ベリトランス株式会社及び日本商工会議所から、それぞれ「楽天グループの決済サービスについて」、「Payment Service Provider(PSP)について」及び「プレミアム付き商品券の発行に関する規制緩和について」と題してヒアリングを行い、その後、同会議のメンバーによる自由討議が行われました。

なお、当会議は公開ですので、どなたでも傍聴していただけます。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「審議会・研究会等」の中の「金融審議会」から「決済業務等の高度化に関するスタディ・グループ」にアクセスしてください。


(4)「第4回多重債務問題及び消費者向け金融等に関する懇談会」の開催について

平成26年11月11日に第4回多重債務問題及び消費者向け金融等に関する懇談会を開催しました。

当懇談会は、改正貸金業法完全施行後の貸し手・借り手の状況をフォローしつつ、今後取り組むべき施策等について検討するため、平成24年9月に多重債務者対策本部の下に設置されたものです。

第4回懇談会においては、多重債務者対策をめぐる現状及び施策の動向について報告が行われた後、金融経済教育について関係省庁からの施策の説明と有識者からのヒアリングを行い、その後、自由討議が行われました。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「第4回多重債務問題及び消費者向け金融等に関する懇談会の開催について」(平成26年11月4日)及び首相官邸ウェブサイトの「多重債務問題及び消費者向け金融等に関する懇談会」新しいウィンドウで開きますにアクセスしてください。


(5)「金融リテラシー(知識・判断力)を身に付けるためのシンポジウム」の開催(金沢・札幌・福岡)について

平成26年11月20日(金沢)11月26日(札幌)及び11月27日(福岡)に、「金融リテラシー(知識・判断力)を身に付けるためのシンポジウム」を開催し、金沢は87名、札幌は153名、福岡は121名の方に参加していただきました。

平成26年1月からスタートしたNISA(少額投資非課税制度)を踏まえ、ファイナンシャル・プランナー等を講師に招き、投資信託・ETF・REITの仕組み・購入する際の留意点等について、わかりやすく説明していただきました。

また、国民一人ひとりが社会人として経済的に自立し、より良い暮らしを送っていくためには、「家計管理」や「生活設計」の習慣化が重要であり、金融商品を適切に利用選択する知識・判断力を身に付けることが大切です。そのため、金融庁に設置された「金融経済教育研究会」のメンバーを講師に招き、金融経済教育の重要性について、基調講演を実施していただきました。

最後に、投資詐欺等の被害が引き続き発生していることから、北陸財務局・北海道財務局・福岡財務支局より、注意喚起のための説明をさせていただきました。


(6)シンポジウム「家計の金融活動と地域の中小企業金融のあり方」について

金融庁金融研究センター、アジア金融連携センターでは、大阪大学社会経済研究所、京都大学経済研究所、神戸大学大学院経営学研究科及びアジア開発銀行研究所と共催し、シンポジウム「家計の金融活動と地域の中小企業金融のあり方」を、平成26年10月30日に開催しました。本シンポジウムでは、地域の中小企業金融の現状とあり方や行動経済学的アプローチからの家計の借入行動、アジアの金融資本市場の諸課題やアジアの中小企業金融について議論等を行いました。本シンポジウムには、金融機関関係者や研究者など、総勢100名を超える参加があり、活発な議論が展開されました。

冒頭の小川一夫大阪大学社会経済研究所長及び齋藤通雄金融庁総務企画局参事官の開会挨拶に引続き、セッション1~3に分かれて、「中小企業金融の現状とあり方」、「家計の借入行動について」、「アジア金融における諸課題」について、報告や議論が行われました。

セッション1:中小企業金融の現状とあり方~アントレプレナーシップと地域金融機関の役割

セッション1(司会:吉野直行 金融庁金融研究センター顧問、アジア開発銀行研究所長)では、アントレプレナーシップと中小企業金融の担い手である地域金融機関の役割について議論が行われました。

まず、地域金融機関より、新事業への助成金制度や異業種交流会など、主にアントレプレナーや第二創業を支援する取組みについて紹介がありました。その後、学識者より、日本の零細・中小企業の収益性の低下が著しく、持続可能なビジネスモデルへの転換が課題であるが、それを自力で実現できる企業が極めて少ないこと、地域金融機関には、それをサポートする役割が期待されており、中小企業のみならず地域金融機関に対してもアントレプレナーシップ教育が必要であることについて指摘がありました。

セッション2:家計の借入行動について~行動経済学アプローチ

セッション2(司会:家森信善 神戸大学経済経営研究所教授)では、家計の借入行動に着目し、主に行動経済学アプローチからの議論が行われました。

学識者からは、家計の負債行動について行動経済学の観点から分析した結果について発表がありました。その後、金融機関より個人向けローン商品の種類や残高状況について報告があり、金融経済教育等による借入行動の変化についても議論が行われました。

セッション3:アジア金融における諸課題

セッション3(司会:吉野直行 金融庁金融研究センター顧問、アジア開発銀行研究所長)では、まず、グローバルな金融規制改革の状況について触れ、その後アジアの成長性や金融資本市場の課題、また、金融インフラの構築等、金融庁が行っているアジアへの金融技術支援について、河野正道金融庁金融国際審議官・アジア金融連携センター長から講演がありました。現状、アジアの金融システムは銀行中心であるが、今後、資本市場を発展させる必要があること、また、グローバルな金融規制の枠組みを構築する際は、アジア各国がさらに協力して、アジアの声をより強く欧・米の規制当局に届ける必要があるとの指摘がありました。

その後、アジアの中小企業金融について、学識者やアジア金融連携センター研究員等より、アジアでは中小企業の経済規模が非常に大きく、資金ニーズも強いが、実際には十分な借入ができていないこと、中小企業における銀行借入については、高金利や担保、財務諸表の作成等の様々な問題があることが指摘されました。また、金融機関よりアジアにおける事業戦略等について発表がありました。

※ 詳しくは、金融研究センターウェブサイトの「国際コンファレンス・シンポジウム等」の中の「シンポジウム等」の中の「2014年10月30日開催 シンポジウム「家計の金融活動と地域の中小企業金融のあり方」資料等について」新しいウィンドウで開きますにアクセスしてください。


(7)「金融商品取引法施行令の一部を改正する政令等(案)」及び「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針の一部の改正(案)」に対するパブリックコメントの結果等について

金融庁では、「金融商品取引法施行令の一部を改正する政令等(案)」及び「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針の一部の改正(案)」につきまして、平成26年7月1日から平成26年7月31日にかけて公表し、広く意見の募集を行い、その結果等を平成26年11月19日に公表しました。

本件の政令及び内閣府令は、平成26年11月19日に公布され、本政令の附則第2項及び第3項については、公布の日から施行し、その他の規定に係る部分及び本内閣府令については、平成27年9月1日から施行される予定です。また、本件の監督指針は、平成27年9月1日から適用される予定です。

本件政府令等の概要は、以下のとおりです。

  • 1.金融商品取引法施行令の一部改正

    金融商品取引業者等のうち電子取引基盤の提供を行う者の要件等(最低資本金額、資本金額又は出資の総額の計算等)について所要の整備を行いました。

  • 2.金融商品取引業等に関する内閣府令の一部改正

    電子取引基盤の使用義務の対象となる特定店頭デリバティブ取引及び義務対象者、電子取引基盤の提供を行う者による公表の内容、電子取引基盤の提供を行う者の要件等について所要の整備を行いました。

  • 3.金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針の一部の改正(案)について

    上記政府令等の改正を踏まえ、電子取引基盤運営業者(電子取引基盤運営業務を行う第一種金融商品取引業者)及び電子店頭デリバティブ取引等許可業者(当局の許可を受けて、国外から電子取引基盤運営業務を行う者)について監督上の留意点等を追加しました。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「「金融商品取引法施行令の一部を改正する政令等(案)」及び「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針の一部の改正(案)」に対するパブリックコメントの結果等について」(平成26年11月19日)にアクセスしてください。


次のページ

サイトマップ

ページの先頭に戻る