佐藤金融庁長官記者会見の概要

(平成20年2月25日(月)17時04分~17時39分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

お待たせしました。私のほうからは特にございません。

【質疑応答】

問)

サブプライム関連の損失拡大で、あいおい損保が通期で赤字に転落する見通しになりました。保険業界で今後も損失拡大の可能性はあるのかどうか、という見通しをお聞かせいただきたいのと、この会社についてですけれども、例えば時価総額と比べても大きな額になっていると思いますけれども、この会社のリスク管理態勢についてどのように見ていらっしゃるかお聞かせください。

答)

先週、大手損害保険会社の平成20年の第3四半期の決算が公表されました。平成19年の4月から12月までの9ヶ月の実績ということですが、この決算の公表値を単純に合計いたしますと、サブプライム関連の損失は約1,000億円になるというふうに思います。このうち、あいおい損保については4月から12月期で675億円の評価損等を計上した上で、通期では920億円の損失を見込むとともに、通期の連結業績予想についても約40億円の赤字というように下方修正した旨を明らかにしていると承知をいたしております。このあいおい損保個社のサブプライム関連損失の大小であるとか、あるいはリスク管理態勢については、個別会社に関する事項でございますので、直接の具体的なコメントは差し控えさせていただきたいと思っております。

ただ、これまでも申し上げてきておりますけれども、我が国の保険会社でサブプライム関連のエクスポージャーがそこそこ大きいというのは、大手の損害保険会社が主でありまして、この大手損害保険会社における自己資本の厚みであるとか、ソルベンシー・マージンであるとか、あるいは期間利益の水準であるとか、といったことに照らして考えた場合に、経営そのものが困難に陥るといったようなレベルのものではないと認識をしておりまして、その認識自体は変わっておりません。他方、ご質問にもございましたように、この現在のグローバルな金融市場の困難というのはなお続いているわけであります。今後さらにこのサブプライム関連の損失が膨らむ可能性というものはあるということかと思います。こういったことも踏まえて、あいおい損保においては通期の業績予想というものを公表なさっているということではないかと思っております。

いずれにいたしましても、このグローバルな金融市場の混乱というのはなお続いておりますので、金融庁としては、警戒水準を維持しながら、市場の動向、そして保険会社を含む各金融機関のリスク管理状況等について、注意深くフォローしていきたいと思っております。

問)

先週金曜日に無認可共済の全国養護福祉会に業務停止命令が出されました。3月末までに三つの選択肢から方針を決めて金融庁に申請する必要があると思いますが、現段階で保険会社、少額短期保険業者への移行、廃業を選択するのはそれぞれどの程度になりそうかという見通しをお聞かせいただきたいのと、今回のように未だに方針が決まっていないというのはどのくらいあるのでしょうか。

答)

いわゆる根拠法のない共済については、ご案内の通り平成17年5月の保険業法改正後の保険業法は平成18年4月に施行されています。これによりまして、平成20年3月末までに、三つの選択肢についての判断を行うとされています。平成20年3月末までの間は、引き続き特定保険業者という位置づけで業務を継続できることになっております。三つの選択肢というのは、一つは、保険会社の免許申請を行う。二つ目に、少額短期保険業者の登録申請を行う。三つ目に、保有する保険契約を保険会社等に移転するなどして廃業する。この三つの選択肢であります。

特定保険業者全体の移行状況、あるいは廃業等を含めた今後の見通しについては、現在まだ財務局への相談や手続きが進行中という状況でございますので、具体的なコメントは差し控えさせていただきたいと思います。全体を見たときに、ざっくりとした感じで申し上げますと、数の上で一番多いのは保険業法の適用除外になる、つまり小規模化するなど保険業法の適用除外となって共済事業を継続するといったものや、他の保険会社等と団体保険契約を締結して契約者の保障を継続するもの、あるいは他の保険会社等へ共済契約を包括移転するというようなことで、いわば契約者の方から見ると契約は継続されるという形で廃業等を行うというのが数の上では一番大きなグループになっているという印象を受けます。その次に、そこそこの数が見込まれるのが、少額短期保険業者へ移行する業者でございます。保険会社へ移行するという業者は、数の上では多くないのではないかと思っております。また、このような選択について未定になっているという者が若干あるというのは事実でございますけれども、大幅に減少してきているということでありまして、まさに財務局の方で相談に応じているというところが多いと思っております。

いずれにいたしましても、当局としてはこれまで、特定保険業者が少額短期保険業者などへ円滑に移行できるように努めてきているところでございまして、この制度に基づく少額短期保険業制度への円滑な移行、そして何よりも保険契約者等の保護に抜かりがないように全体の状況を注意深くフォローし、必要に応じてきめ細かく対応していく、相談に乗っていくということをやっていきたいと思っております。

問)

全国養護福祉会の件で関連ですが、ここの共済の募集方法について、かなり前からロボット介護をするなどという謳い文句がありながら、延期、延期でずっと続いて、実際実現できていないという実態があるかと思います。期待していたのにできないという苦情もあがっているかと思うのですが、このような募集の仕方は適切と言えるでしょうか。

答)

全国養護福祉会に対しては、先般2月22日に金融庁で行政処分を発出したわけです。この団体に対しては、昨年の12月21日付けで保険業法に基づいて業務改善命令を発出したところであります。その後、この団体において当該業務改善命令により命じられた措置が講じられていないという事実が確認されたわけであります。その措置というのは、例えば本年4月以降、保険業法に基づいてどのように保険業を継続するかについて具体的な方策を策定して、その方策を保険契約者等に確実に説明する、またそのための措置を講ずるべし、といった内容の命令でございました。これを行っていないということが確認されたわけであります。このような状況を受けて先週金曜日、2月22日にこの団体に対して、新規の保険契約締結・募集の停止、すなわち業務停止命令、そして業務改善計画の策定・提出を求める業務改善命令を発出したところでございます。

先ほどもご説明しましたように、特定保険業者については、新しい制度への円滑な移行のための準備期間として、丸々2年間の経過期間が設けられているわけであります。すなわち、平成18年4月から本年3月末までという期間が設けられているわけでありまして、この期間中に保険契約者等を保護するために必要かつ適切な措置を講ずべき責任を有しているというのが特定保険業者の責務であります。しかし、この団体につきましては、その責任を果たさないまま対応を先送りしてきたということでございまして、保険契約者等を保護するという観点から重大な問題があると判断いたしました。そして今回の行政処分を行ったということでございます。

今回このような行政処分に至ったことは誠に遺憾でございます。この団体においては、今回の行政処分を踏まえて、保険契約者等の保護のために速やかな、かつ、適切な対応が求められているということでございまして、金融庁・財務局としては、その状況を注視していきたいと思っております。

問)

今回の行政処分というのは、あくまで3月末までにどうするのかという方針を説明しないで募集を続けており、しかもそれを守らなかったという点だと思うのですが、そもそも、募集の内容、契約者に説明していたものが守られていないという意味、中身の面での募集方法には問題がなかったかという点はいかがでしょうか。

答)

個社に関する話でございますので、これ以上の詳細なご説明はこの場では控えさせていただきたいと思います。ただし、一つ付け加えさせていただければ、今年の4月以降どうするかということを早く決めて、それを契約者の方々に説明しなければならない。これは命令を受けてそうしなければいけないことであったわけですけれども、3月末を越えて給付が行われるような中長期の契約というものを行っていたという事実は確認されているわけでありまして、このことは、この部分だけ捉えても明らかに保険契約者の保護に悖る営業であったと思っております。

問)

先週末に自民党でSWF(ソブリン・ウェルス・ファンド)に関する議論が始まったわけですが、これは外貨準備であるとか年金積立金を運用資産として想定しているようです。それぞれ所管官庁があるので、それを積極運用することの是非はそちらでお任せするということだと思うのですが、金融庁としては、今まで金融・資本市場の活性化ということを推進してこられ、いろいろな提言を出しているわけですが、自民党の中にも、SWFを日本でも作るということは、世界から金融の専門人材が集まったり、金融・資本市場の活性化にも役立つのだから検討してもよいのではないか、という主張もあるようです。市場活性化を推進してきた金融庁として、日本版SWFについてどういうお考えかお聞かせ下さい。

答)

先週の金曜日に自民党において、我が国における政府系ファンドの設立の是非を検討する、ソブリン・ウェルス・ファンド検討プロジェクトチームが設立されたということは承知しております。

金融庁は、今のご質問の中でもお触れいただいたように公的資金の運用を所管する立場にございませんので、政府系ファンドを含めて公的資金の運用の在り方について、直接的なコメントはこれまでと同様に差し控えさせていただきたいと思っております。他方で、渡辺大臣の私的懇談会である、金融市場戦略チームでは、サブプライム・ローン問題についてさらに幅広く掘り下げた議論が行われていくかと思いますが、その中で国際的にプレゼンスを高めているソブリン・ウェルス・ファンドに関しても、調査・分析を行うということで、先般も、中国投資有限責任公司(CIC)の高西慶総経理の来日の機会を捉えまして戦略チームにおいてご意見を拝聴したということでございます。現時点において、金融市場戦略略チームとして我が国にもソブリン・ウェルス・ファンドを創設すべきであるといった方向性を持って議論しているわけでないということは、高尾座長も記者会見等でも触れられているところだと思っております。

いずれにいたしましても、金融庁としては我が国の金融・資本市場の国際競争力を強化していくという極めて優先順位の高い課題に積極的に取組んでいくという大方針には何の揺らぎもないわけでございまして、そのような大きな方針を持ちつつ世の中全体の動きをフォローしていくということかと思います。

問)

今後の議論の行方なんでしょうけれども、仮にソブリン・ウェルス・ファンドを日本に作ることとしたときの課題になってくることというのは、例えば原資がなんであるか、外貨準備にしてももともとは借金であると、または国民の意識がどこまで高まっているのか、理解が深まるのか、いろいろあると思うのですけれども、特に日本固有で今後クリアしていかなければならないことというのは、どういうことがあるとお考えでしょうか。

答)

それはソブリン・ウェルス・ファンドを日本に創設するという大前提に立っての具体的な制度設計に係るご質問であるように受け取りました。実はお答えする材料もあまり持ち合わせておりませんし、コメントは差し控えさせていただきます。

問)

先ほどの無認可共済の問題に戻りますが、先ほどのお話ですと、一番多い対応として廃業でありますとか包括移転するところが多いということですけれども、こういう三通りの対応のうち、これが一番多いということについて、法改正したときの問題意識等から照らし合わせて、共済市場の正常化ということについて評価すべきなのか、それとも少額短期であるとか保険会社への移行が少ないという意味では残念というべきなのか、そのあたりの評価はいかがでしょうか。

答)

一番大きなグループというふうに先ほど申し上げたのは、いくつかタイプがありまして、他の保険会社や包括移転して廃業するというようなパターンだけではなくて、自ら小規模になる、あるいはその制度共済の仕組みに移行するというようなことで、共済事業を継続するといったようなものも含まれているということでありまして、保険会社になったり、少額短期保険業者になったりせずにその契約者の保証は継続するというグループ、これが数の上で一番多いという意味で申し上げたところでございます。少額短期保険業者というカテゴリーができて、それが受け皿としてそれまでのいわゆる無認可共済の新しい業務継続のパターンとして設けられたということでありますけれども、我々当局の最大の目的意識ともうしましょうか、眼目というのは、保険契約者、共済契約者、共済加入者の保護ということでございます。そういう観点から見ると、あらかじめいわゆるその無認可共済の相当たくさんの部分が、この少額短期保険業者へ移行するのが望ましいといったことを先見的にイメージとして描いていたわけではないということでございまして、その結果について予断を持っていたわけではなかったと思っております。繰り返しになりますけれども、保険契約者、共済加入者の保護という観点から見たときには、先ほど申し上げた一番大きなグループというのは、まさに保障が継続されるという形になっておりますので、そういう意味では法改正の大きな目的というのはかなえられつつあるのではないかと思います。まだ、一ヶ月少し残っておりますので、最終的な姿について申し上げる段階ではないと思いますけれども、現時点ではとりあえずそういう感じを抱いております。

問)

政府系ファンドですけれども、市場のことは市場が決めるという自由主義経済の原則とその政府公的資金が積極的なプレーヤーになるということは、中国や中東はともかく、先進資本主義国としては論理的、倫理的にどうなのかなという気もするのですが、その点はどうお考えでしょうか。

答)

その辺はまさに自民党の方でご議論が始まった事柄の中身に関わる話でございますので、何か具体的なことを申し上げるべきではないと思います。政府系ファンドの多くは、ある場合には国としての財産、ある場合にはその国民から委託された資産というものを運用するという性格を持っているわけですけれども、多方で、その投資哲学と申しましょうか投資手法というのは、基本的にコマーシャルベースで動いていくと、こういった方針を持っているファンドも割合と多いのではないかと伺っておりまして、こういう議論について一概に何かを決めつけたり、断定的な評価をしたりということはやはり差し控えるべきと思っているところであります。

問)

先週末に、かんぽ生命と日本生命の提携が発表されましたが、ともに非常に大きな規模の会社で、一昔前ですと独禁法というような話も出てきたかもしれませんが、このカップリングといいますか、提携についてどう評価されますか。

答)

先日22日に、日本生命とかんぽ生命が提携について発表したということは承知をいたしております。提携そのものにつきましては、個別会社の経営判断に属する事柄でございますので、詳細についてコメントすることは差し控えるべきだろうと思っております。

他方で、郵政民営化については、これまでも申し上げておりますように、郵貯事業、簡保事業が我が国の民間金融システムの中に混乱を起こすことなくうまく溶け込むことによって、日本の金融システム全体としての安定と活性化、さらには利用者利便の向上といったことに寄与することが重要であると思っております。そういった取組みがこの郵政民営化の趣旨の実現やあるいは生命保険市場の活性化、さらなる利用者利便の向上に資するということであれば、それは好ましいことであろうかと思います。いずれにいたしましても、この提携自体は個別会社の経営判断に属する話であろうかと思います。

問)

中国のCICが日本のINPEX(石油開発機構)の株を取得するという報道がロンドンのタイムズ紙であったということですけれども、日本の政府当局者の話、金融庁近辺の話ということで報じられているのですけれども、この事実関係をどう認識されているのかということと、仮にそうであったときのお考えをお聞かせ下さい。

答)

報道自体を承知しておりませんので、コメントを差し控えたいと思います。

【長官より発言】

先週、ご質問いただいてお答えできなかった鳥インフルエンザ、新型インフルエンザの流行に関する話でございますが、もしよろしければこの場をお借りして若干コメントをさせていただきたいと思います。

東南アジアとかインドでいわゆる新型インフルエンザのヒト感染、あるいは大規模感染が拡大しているというようなことで、金融庁が2年前に策定した金融機能を維持するための指針というのをまとめたということに関連して、その後のアップデートはどうなっていますか、というようなご質問だったかと思います。新型インフルエンザを巡っては、鳥インフルエンザ・ウィルスのヒトへの感染事例というのが海外において見られておりまして、ヒトからヒトへ容易に感染する新型インフルエンザの出現が危惧されている状況にあると聞いております。ご案内のとおり、金融庁におきましては平成18年の8月に新型インフルエンザ発生に伴い、金融庁又は金融機関等の業務継続が困難な状況における金融庁の防災体制・業務継続態勢、そして新型インフルエンザの特性を踏まえた最低限継続すべき中枢業務について指針を公表したところでございました。

この指針そのものについては現状も変更はございませんけれども、この指針公表以降、例えば新型インフルエンザに対応するための総合訓練への参加であるとか、政府全体の取組みへの参加であるとか、あるいは新型インフルエンザ発生時の対応態勢の検討、さらには食料品や感染予防用のマスクの備蓄といった金融庁の業務継続態勢の整備を進めてきているというところでございます。また、金融庁から金融機関や取引所などに対しては新型インフルエンザへの対応を従前から求めているわけですが、例えば監督指針においては従来より伝染病を含む災害発生時の業務継続態勢の整備に関する監督上の着眼点を明らかにしているわけであります。また、金融庁から金融機関等に対しては今月になって、新型インフルエンザの発生に備えた感染防止対策や事業態勢の維持について情報の収集や計画の策定など事前の準備を行うことを改めて要請したところでございます。

その後の金融機関や取引所における対応状況を見てみますと、例えば主要行では伝染病への対応も盛り込んだ業務継続計画の策定を終えているわけですが、新型インフルエンザに特化した感染予防策、業務継続計画を策定しているところもあると聞いております。また、大手保険会社においては従来の業務継続計画の見直しや新たな対策の策定等の取組みに着手している先もあるということであります。更に大手証券会社や取引所においても、伝染病への対応も想定した一般的な業務継続計画に加えて、一部では新型インフルエンザに特化した業務継続計画の策定を検討しているところもあるといった状況でございます。

(以上)

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