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IOSCO東京コンファレンス 渡辺金融担当大臣基調講演

平成19年11月8日

コンファレンス参加者の皆様、おはようございます。

本日と明日の二日間、ここ東京において世界中の証券監督当局と市場関係者が一堂に会し、「証券監督者国際機構 専門委員会コンファレンス」が開催されることを大変喜ばしく思います。皆様の東京訪問を心から歓迎するとともに、この機会に、世界の金融市場をめぐる諸課題と国際社会及び我が国当局の取組について、私の考えを述べさせていただきたいと思います。

ちょうど10年前の11月、我が国は金融危機に見舞われました。デフォルトが起きないという前提で運営されていたコール市場で戦後初のデフォルトが発生し、まさに流動性の危機が現実化しました。その後、三つの大手銀行と一つの大手証券が破綻しました。流動性から来るシステミック・リスクの背景にソルベンシーの問題が横たわっていたことに気づいたというのが、私たちが得た歴史の教訓でした。

翻って今日のグローバル市場の動向を見ますと、今年の夏以降、米国のサブプライム・ローン問題をきっかけとして、米国のみならず欧州のクレジット市場、更には世界の株式市場や為替市場に影響が広がりました。証券化という金融技術の普及に伴って信用リスクの所在や規模の特定が困難となる一方、証券化商品の格付けへの不信から市場の価格付け機能が低下して市場流動性が急激に枯渇し、さらにそのことが満期のミスマッチを有していた投資ヴィークルや導管体、ひいてはそれらにバックアップラインを供与していた金融機関の流動性リスクを顕在化させたわけです。

その後金融市場の機能は回復しつつありますが、市場により状況にはばらつきが見られ、事態の正常化にはある程度の時間がかかるものと思われます。正常化へ向けた官民の地道で着実な取組みと国境を越えた連携が重要です。今回の危機はいわば21世紀型の危機であり、それに合った新しい危機管理が求められています。今年はブラックマンデーから20年の年にも当たりますが、その当時とは比べものにならないほど、今回の市場の混乱では様々な種類のリスクが複雑に絡み合って拡散しています。資金が瞬時に移動するグローバル金融市場においては、危機の波及もそれだけ速いということになります。リスクを早め早めに察知して危機をできるだけ未然に防ぐこと、そして危機が起こったときでも迅速にこれを認知し、被害を肥大化させないような方策を的確に講じていくこと、が重要になると考えています。そのためには各当局の能力向上のほか国際的な協調体制の構築が不可欠です。各国の官民双方の叡智を結集することが求められているのです。この点、このコンファレンスはこうした課題を議論する大変良い機会であり、活発な意見交換を期待しています。

なお、このサブプライム・ローン問題が日本の金融システムに与える影響については、現在のところ、深刻なものとなるような状況にあるとは考えておりませんが、油断大敵であると思っています。この問題の間接的な影響を含め、引き続き事態を注意深く見ていくとともに、問題があれば早期発見・早期治療に全力をあげる方針です。

さて、この東京コンファレンスは、我々が現在対峙している当面の課題だけでなく、金融のグローバル化、一体化という大きな流れの中で市場規制はどうあるべきかという、より長期の課題について考えることをも目的としています。今回のコンファレンスのテーマである「競争、収斂、そして協調」は、まさにこの問題意識を反映しています。

そのより長期の課題の一つが会計基準の収斂(コンヴァージェンス)です。世界各国の資本市場が他の市場とのつながりをますます強める中、国際的にも通用する質の高い財務報告がなされることを確保するためにはどのような会計基準や監査が求められるのか、実効性ある世界統一の会計基準は実現可能なのか、といった観点からの議論を期待します。

次に近年の世界の資本市場で顕著な傾向に取引所間の競争の激化と国境を越えた統合の進展があります。取引所間の競争がもたらす影響、統合を見据えた規制の国際的標準化や相互承認の可能性、などが論点となるでしょう。

また、グローバルな規模で多様な金融サービスを提供するようになった金融コングロマリットに対する監督の在り方や、市場取引のグローバル化で必要不可欠となっている国境を越えた規制当局間の協力の強化、近年存在感をますます増しているヘッジファンドやプライベート・エクイティといったオルタナティブ投資の規制上のアプローチなどが議論されることになっています。最後のファンドについては、市場に流動性を供給するとともに金融の技術革新に貢献する一方で、それらが金融システムの安定に与える影響の大きさや投資家保護の必要から、どのように取り扱っていくかが当局間で大きな論点となっており、このコンファレンスで創造的な議論が行われることを期待しています。

このように、この東京コンファレンスの議題は、グローバル化への適応において各国の規制当局や市場関係者が直面している主な課題を網羅するものとなっています。残念ながら私自身は国会審議のためパネル討論などに参加できませんが、金融庁からの出席者による会議後の報告を楽しみにしています。

このコンファレンスは、これまでにニューヨーク、フランクフルト、ロンドンで開催され、今回が四回目であると聞いています。折しも私たちは、日本の金融・資本市場の国際金融センターとしての魅力を更に向上させていく観点から、競争力強化に向けた施策の検討を進めています。日本市場を、内外から投資を呼び込むことのできる、喩えて言えば世界中から魚を集めることのできる餌の豊富な優れた生態系のような、魅力ある市場とするためのプランを年内に策定し、政府一体として推進する方針です。そのような時に、本コンファレンスを開催することは、誠に時宜を得たものと考えています。

最後になりますが、このコンファレンスにおける情報交換や討論が、皆様にとって意義深いものとなりますことを願いつつ、私の挨拶に代えさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

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