平成21年12月4日

金融担当大臣談話
(中小企業金融円滑化法の施行にあたって)

  • 1.現下の厳しい経済金融情勢の下、我が国の支柱である中小・零細企業主の皆さんは、歯を食いしばって頑張っておられるところですが、依然として資金繰りが苦しく、かつてない深刻な状況にある、との声が上がっております。また、住宅ローンの借り手の方々についても、雇用環境の悪化や給与引下げ等の影響を受け、その返済負担が重くのしかかっている状況にあるとの声が聞かれます。

  • 2.私は、金融担当大臣に就任して以来、このように頑張っておられる中小・零細企業や住宅ローンの借り手の皆様に安心を提供することを喫緊の課題と考え、その実現のために全力を尽くしてまいりました。その結果、11月30日、「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」が国会で成立し、本日、施行の日を迎えることができました。ここに至るまでの関係各位のご尽力に感謝申し上げます。

  • 3.本法により、債務の弁済に支障を生じている、又はそのおそれがある中小企業又は住宅ローンの借り手の方々から申込みがあった場合には、金融機関は、できる限り、貸付条件の変更等の措置をとるよう努める義務を負うこととなります。また、その実効性を確保するために、金融機関に体制整備や開示等の義務を課すほか、新たな信用保証制度を整備するとともに、監督指針や金融検査マニュアルを改定して、中小企業向け債権について、不良債権に該当しない要件を拡充するなどの措置を講ずることとしております。

  • 4.特に、金融検査マニュアルにおいては、金融機関によるコンサルティング機能の十分な発揮を柱とする「金融円滑化編」を新たに設けることとするなど、金融機関の社会的責任をより重視する検査・監督を行うこととしております。

  • 5.金融機関におかれては、本法の施行に当たり、その社会的責任に改めて思いを致し、適切な業務の実施に努めていただきたいと思います。具体的には、借り手である中小・零細企業と一体となって経営改善に取り組むことが、借り手のみならず、地域の経済金融の回復・活性化、ひいては金融機関のビジネスチャンスの一層の拡大に資することとなるという点を踏まえつつ、コンサルティング機能等を十分に発揮しながら、従前以上に円滑な金融仲介の役割を果たしていただくことを期待しています。

    また、中小・零細企業の皆様におかれても、金融機関とも協力しつつ、積極的に業務の見直しや経営の改善に取り組むなど自助努力を行っていくことが重要であることにご留意いただきたいと思います。

    この点につきましては、施行に併せ、関連する金融関係団体及び主要経済団体に周知を図るべく、別途要請を行ったところであります。

  • 6.なお、本法の附帯決議等も踏まえ、中小企業向け貸付や住宅ローンの貸付を行っているものの、本法の対象金融機関とはなっていない政府関係金融機関等、生命保険会社、損害保険会社、貸金業者におかれても、現下の中小企業や住宅ローンの借り手の方々をめぐる厳しい環境に鑑み、本法の趣旨を踏まえた対応をしていただくことを期待しています。

  • 7.金融庁としては、これまで、金融の円滑化に向けた様々な取組みを行ってきたところですが、今後とも、本法の内容を十分に踏まえ、より一層、金融機関や中小・零細企業の皆様の取組みを支援するような対応を図ってまいります。

  • 8.私は、まずは、こうした取組みを進めることにより、国民の皆様が安心して、この年末年始を迎えられることが何より大切であると考えています。そして、本法を契機として、政府、金融機関、中小・零細企業等が手を携えて現在の厳しい経済情勢を乗り越え、地域を含む日本経済全体の発展の為に共に努力していくことを強く望んでやみません。

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