平成22年12月14日
金融庁

金融担当大臣談話
-中小企業金融円滑化法の期限の延長等にあたって-

1.昨年12月に中小企業金融円滑化法が施行されてから約1年が経過しました。この間、金融庁は、同法の施行をはじめとして、金融検査マニュアル・監督指針の改定、金融機関に対する金融円滑化の要請など、金融の円滑化に向けた様々な施策を講じてまいりました。

2.そして、その後の経済情勢や中小企業者等の資金繰り、金融機関の金融円滑化への対応状況について、各種データを分析するとともに、中小企業者・金融機関及びこれらの業界団体からヒアリングを行いつつ、中小企業金融円滑化法の施行状況やその効果・影響などを注視してまいりました。

3.私自身も、本年6月に金融担当大臣に就任して以来、全国各地で、地域の中小企業団体や金融関係団体から様々なご意見を伺ってまいりました。具体的には、中小企業金融円滑化法により、金融機関に相談に行きやすくなった、金融機関同士の協力がよく行われるようになった、といった前向きな意見を数多く頂いた一方、業況が回復しないと抜本的な解決にはならない、モラルハザードのおそれがある、といったご意見も頂きました。

4.現在、中小企業者の業況や資金繰りは、改善しつつあるものの、引き続き厳しい状況にあります。こうした中、先行きの不透明感から、今後、貸付条件の変更等への需要は一定程度あると考えられます。一方で、貸付条件の変更等に際しては、金融規律も考慮し、実効性ある経営再建計画を策定・実行することが重要です。

このため、同法を機に、

  • 金融機関が、貸付条件の変更等を行っている間に、コンサルティング機能を十分に発揮することで、
  • 借り手である中小企業者の経営改善が着実に図られ、
  • 中小企業者の返済能力の改善等につながる、

という流れを定着させる必要があると考えられます。

5.以上を勘案し、私は、中小企業金融円滑化法の期限を1年間延長するとともに、その運用に当たっては、以下のような点についても改善を加えることが適切と判断いたしました。

(1) 開示・報告資料について、これまでの法の施行状況等を勘案し、金融機関の事務負担の軽減を図る観点から大幅に簡素化し、検査・監督等に最低限必要な範囲にとどめること

(2) 中小企業者の真の経営改善を図るため、金融機関が、貸付条件の変更等と併せて、経営再建計画の策定支援等のコンサルティング機能の発揮に注力するよう促すこと

6.金融庁としては、このような観点から、検査・監督等を通じ、この法律の期限到来後も、金融機関による適切な金融仲介機能が発揮されるような環境づくりを目指してまいります。

7.なお、この法律の本来の趣旨を実現するためには、中小企業者の積極的な経営改善等への取組みや、中小企業団体のサポートが不可欠です。また、中小企業者向け貸付や住宅ローンの貸付を行っている政府関係金融機関等や保険会社などの民間金融機関等におかれても、コンサルティング機能の発揮も含め、より一層の金融円滑化に向けた対応をしていただくことを期待しています。

8.私は、このように、関係者が、連携しつつ金融の円滑化に取り組むことにより、中小企業者の事業活動の円滑な遂行や雇用の安定、住宅ローンの借り手の方々の生活の安定が図られるものと考えています。金融庁としても、引き続き、中小企業者等の資金繰りに万全を期してまいります。

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