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山本内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成19年4月20日(金) 8時56分~9時18分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

おはようございます。閣議のご報告を申し上げます。内閣・科学技術政策担当大臣の高市大臣から、平成20年度に日本学術会議が協同主催する国際会議についてのご報告がございました。私の方から多重債務問題改善プログラムの決定について発言申し上げました。後で、ご説明申し上げます。松岡大臣からインド・パキスタン訪問のご報告がございました。続いて閣僚懇談会で、総理大臣から平成19年能登半島地震対策について、ご発言がございました。防災担当大臣から同じく能登半島地震についてご発言がございました。総務大臣からも同様のご発言、甘利大臣からも中小企業への復興支援についての能登半島地震に関するご発言、国土交通大臣から能登半島地震についてのご発言がございました。続いて、閣議で発言致しました「多重債務問題改善プログラム」についてご報告いたします。

本日の閣議に先立ち、私を本部長とする多重債務者対策本部の第2回会合を開催し、「多重債務問題改善プログラム」を決定いたしました。昨年成立した改正貸金業法を受けて、深刻化する多重債務問題を総合的に解決するために設置された多重債務者対策本部においては、有識者会議を設けるとともに、各省庁間でも精力的に意見交換し、去る4月9日に「有識者会議による意見とりまとめ」が公表されたところです。本プログラムは、この有識者会議の現状認識及び意見とりまとめに基づき、直ちに取り組むべき具体的な施策をまとめたものでございます。(1)丁寧に事情を聞いてアドバイスを行う相談窓口の整備・強化、(2)借りられなくなった人に対する顔の見えるセーフティネット貸付けの提供、(3)多重債務者発生予防のための金融経済教育の強化、(4)ヤミ金の撲滅に向けた取締りの強化等の施策を盛り込んでおります。多重債務問題の解決に向け、関係省庁が十分連携の上、国、自治体及び関係者が一体となって本プログラムを実行していくこととしております。以上でございます。

(参考)多重債務者対策本部新しいウィンドウで開きます

【質疑応答】

問)

多重債務者問題改善プログラムのことですが、これから実行に移るにあたって効果をしっかりあげて行くためには、どういった点が特にポイントになりますでしょうか。

答)

一番最初のテーマは相談窓口の件でございます。この相談窓口と申しましても、これは230万人という多数に上る方々でございますし、そして、まず、債務整理。債務整理におきましては、過払い問題もございます。いわば、そこに極めて専門性の高い技術的なロジックの話も含まれております。従いまして、その意味で単に窓口を設けただけという以上に、法律専門家、法テラス、弁護士会、或いは司法書士会、そういったところへの連携をしていただけるとありがたいと思っております。ただ、既に消費生活センターという専門性の高い相談員のいる施設を、地方公共団体は、既に500カ所以上に設けておられますので、既にあるところとの、また、経験やノウハウを活かしながらやっていただければ、スムーズに行けるのではないかというように考えております。そして、次には家計管理。借りられる所が限定をされ、今までとは違う環境に多重債務者を置きますので、もはや多重債務者に生活資金までもが閉ざされるということのないようにするためには、マイクロクレジットという形での債務者に貸付をする体制が必要でございます。そこには、およそ社会福祉協議会でのそうした公的なもの、さらに岩手県の信用生協におけるボランティア活動におけるもの、さらに新しくグラミン銀行的なものが発生していただけるというような期待、そうしたもの諸々について、家計管理ができていくことを希望しておるところでございます。さらに、職業の新たな就業というような展開も自立まで含めてできれば、相談体制としては最高のものができるのではないかと思っておりますが、あまり理想を追うというよりも、直近の課題としましては、苦痛に喘いでおられる方々の精神的救済を中心とした、まず、とりあえずは債務整理ということだけでも、全国あまねくやっていただけることを期待しているところであります。

問)

昨日の諮問会議で、課徴金制度の拡大とか、監視委員会の強化という提案があったかと思いましたけれども、中には金融庁の組織の一部を監視委員会の方に移管するというような内容もあったかと思いますが、金融庁としてはどういう方向性でされていくのでしょうか。大臣のお考えをお聞かせください。

答)

そういう監視機能の強化そのものに対しては、金融庁もありがたいご意見だと思っておりますし、人員の面でもアメリカのSECの7分の1で頑張っているわけですから、そうした強化体制というのは我々も必要だと考えております。ただ、組織を再編するとか、或いは今の体制ではどうだというようなことにおきましては、現在の体制の反省点、そういったものの分析が必要でございますけれども、そこを謳っての話ではございませんので、いわば理論的にそういうご提案があったにしろ、いわば将来他国と比べて、こうあらまほしいというようなご提案ではないかなと思っております。現実論ではないのではないかという考えで、とりあえずは今の体制の中、組織の中で、更にできることを十分に検討をしていく必要があるというように思っております。

問)

多重債務問題についてお尋ねしますけれども、これまで、日本の社会では、借りる人の問題というところに若干冷たい面もあったのではないかと思うのですが、確かに野放図に、欲しいものがあるから、お金をどんどん借りてしまうという面もあるのは事実ですけれども、これまでサラ金の問題などが出てくる度に、借りる方にも問題があるのではないかという意識が、日本の社会で随分強いと思うのですが、これから多重債務問題の根絶のために、借り手側に求められることは何だとお考えですか。

答)

230万人の実態分析を拝見した時に、特徴的なのは、230万人が約230万円借りているらしいですが、5件以上という、わかりやすい、覚えやすい数字があります。そして、驚きなのは、無職者ではなくて、有職者、そして確実に給与所得がある方に貸しているという現実でございます。大体、私の見た資料では、月30万弱の月収があるわけでございます。どういうことかと申しますと、金利分を支払える資力がない人には貸さないという、貸し手・借り手のそういう一つの現実がありました。従って、私から言わせれば、確かに物入りな社会かもしれませんけれども、家計管理さえしっかりしていれば、家族崩壊だとか、或いは家計破綻だとかという悲惨な状況にはならなかったのではないか。つまり、最初に借りる動機において、そこにしっかりとした反対動機の形成があれば、極めて市民社会の中の優等生として存在できる人たちばかりではないかというように思った次第でございます。慶応大学の吉野先生の分析では、10年前におきましては、遊興費、贅沢品、ギャンブルというようなことが多かったわけでございますし、最近では、不況の煽りを受けて家計への補填ということも動機の中にあるわけでございますが。いずれにしましても、月の収入のある方が、突然高金利でお金を借りるという偶然性が伴っている、そこの段階での反対動機の形成における、単に個人ではなくて社会のネットワークや、或いは基礎的な金融知識、100万円借りて、(金利が)20%であれば年に20万円支払わなければなりませんが、15万円ずつしか払わなかった場合、死ぬまで永遠に金利だけ払っていかなければならないという呪縛の中に陥るというようなことを考えた時に、返済も20万を超えてやれば少しずつは減っていくという、足し算と引き算の当たり前の話ではございますが、いざ貸金になった場合には、それが当たり前ではないということにおいて、借りる反対動機の形成と共に、支払う時の一つのルールというものの見直しということも必要でございます。金融教育、これまた必要でありますし、相互にネットワークを張っていく社会というのが健全な社会なのではないかと思います。230万というのは、相当な数でございます。そうした人たちが陥るというのは、私にとりましては、現代社会における盲点に近いものがあると思っております。

問)

プログラムのセーフティネット貸付の部分なのですけれども、最初の(1)、(2)は「関係省庁」となっていて、(3)は特に省庁に関する記述がないのですけれども、「関係省庁」というだけだと、押し付けあったりなど、進んでいかないという事態も危惧されるのですが、大臣のお考えではどのような仕組みで、どこの責任においてこのようなセーフティネット貸付をやっていくべきだとお考えなのでしょうか。

答)

まずは、私の方としましては、貸金業界全体がこうしたものに取り組んでいただければというように期待をしております。いわば、貸金業のマーケットにおける、「フタコブラクダ」の問題もありますけれども、社会政策的な金利規制をしなければならなかった一つの原因は、貸金業者にもあるわけですから、貸金業者は貸すということについて、こうしたモデルを考えていただけると助かると思っております。それから、「どなたが責任を持って」というご質問でありましたが、「社会全体が」というのが答えではないかと思います。政府が個人に貸し付けるということは、政府系金融機関等もあるわけでございますが、その機能を縮小すべきという観点がございます。その意味におきましては、政府が当事者というよりも、「社会全体」というように考えるべきだと思います。そして、日本版グラミン銀行モデルを広げていくという趣旨は、英国でもそうでございますが、個人でも中小企業でも、アドバイザーや指導者の付随の下に貸付けるということが、非常に功を奏していくことでございまして、いわばお金だけありましても、なかなか事業も進まないし、家計管理も進まないというのが、こうした方々の心理的な不安や、或いは方向性、仕事のノウハウということもありますので、そうした意味におきましては、今後、単に資金を融通するだけではなくて、アドバイザー制度というものに重点を置くことが必要でございます。その意味においては、奄美方式、岩手県生協。奄美では市町村が主体としてやっていただいていますし、岩手では信用生協でございますし、またその他NPO法人なども活躍をあちらこちらでいただいているわけでございますので、そうした点を含めて、また生活保護のほか、生活福祉資金という形で社会福祉協議会もやってらっしゃいますので、厚生労働省関係もございますから、その点も含めて社会全体が責任を持ってやっていただければありがたいと思っています。

問)

貸金業法の改正により、都道府県に協会ができたり、いろいろな拠点ができる、法制化されてはいるのですが、現実の問題としては、それではなかなかワークしにくいと。法制化しているけれどもいろいろなことが考えられる可能性があるということについて、そこは、どういうふうに対応されていくのでしょうか。

答)

相談窓口体制一つとりましても、先ほども申しましたように、きちんとしたところが500ヶ所以上としましても、1万件を処理できる機能はありませんので、そういうことは、極めてアドバイザリーに当たる方自体が限られてくる。ですから、何とかそこをカバーできる体制、困った人に、誰でもいいから、ある程度の基本知識をお教えすることができる体制を主眼におくべきではないかと。そこまでを完成点とするかについては、おっしゃるように、これは時間との競争、予算や人員との競争でしょうから、なかなかこれをすぐに実現することは難しいと思いますけれども、今日も多重債務者対策本部でありましたが、相談体制を作る時の、いわばツールとしての、例えば、多重債務者対策本部事務局で作るパンフレット、そういったもの一つ工夫していただければ、どなたでも230万人にアドバイスができる可能性がある。例えば、警察のおまわりさん、交番、或いは窓口全部、公共料金を徴収する方、或いは児童福祉施設等を含めまして、市の職員が、市民と接するところ全部に、そうしたパンフレットを置くだけでも、およそこうした相談体制が解決していくきっかけになるだろうと思いますので、そういう意味では、ツールを充実していくことも大事だと思います。

問)

今後の多重債務者対策本部の運営なのですけれども、今後は全体の工程を管理していく役目もあるかと思うのですが、今後の本部の運営に関してイメージがあれば教えてください。

答)

できれば、自己破産の件数とか、相談窓口での具体的なケース、そして、生活保護受給窓口といったところの数字を勘案しながら、230万人がどう推移していくか、特に信用情報機関や自主規制団体もかなり強化されてくると思いますので、その実情把握をしつつ、さらに対策が打てるような、大きなテーマとしてはこの四つ以上にあるようにも思えませんので、こうした点を充実させていきつつ、そして数字を見ながら、どこで出口を見出していくかということについては、かなり幅広に手を尽くして、その時々の現状把握を徹底していきたいと思いますので、むしろ、マスコミの皆さんからもご提案や、そうした具体的、マクロ・ミクロにおける事実の適時な働きに対しましては、こちらも注意深く拝見していきたいと思っております。よろしくお願いします。

(以上)

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