渡辺内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成19年11月16日(金)8時50分~9時13分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

本日の閣議についての報告事項はございませんが、私の方から二つ報告をさせていただきます。

まず、一つ目は金融サービス士と称してまいりました「金融専門人材に関する研究会」についてでございます。来週月曜日、11月19日、金融庁金融研究研修センターに「金融専門人材に関する研究会」を立ち上げ、第1回の会合を行う予定でございます。この研究会は、我が国金融システムを担う専門人材に必要とされる知識、及び資質についての幅広い検討を行うため、お手元のメンバー表にあります各界有識者にお集まりをいただき、ご提言をいただくものでございます。金融専門人材の育成については、経済財政諮問会議「金融資本市場ワーキンググループ」の報告や、本年6月の金融審議会「我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ」の中間論点整理においても施策として掲げられております。また、私もかねてから問題意識を持って提言をしてきた経緯があります。我が国金融・資本市場の競争力強化を実現するためには、市場の発展を担う人材の確保・育成が急務であり、また市場参加者においても、当局においても、共通のコンプライアンス感覚を有する人材が確保されることはよりよい規制環境の実現に資するものと考えます。こうした観点から、本研究会において、具体的かつ有意義な議論を行っていただくことを期待いたしております。

次に、社会保険庁における服務違反行為の調査についてでございます。私の下で開催をいたしております年金業務・組織再生会議において、社会保険庁における無許可の組合専従、いわゆるヤミ専従など服務違反行為の有無を社会保険庁自らが調査すべきとのご議論がございました。これを踏まえ、再生会議から社会保険庁に対し、職員の服務違反行為全般についての調査を行うよう強く要請を行い、一昨日社会保険庁から調査を行う旨の回答がございましたので、便宜、私からご報告申し上げます。本来であれば、再生会議の本田座長から発表を行うところでございますが、今週は会議がございませんので私の方から発表させていただきます。今後、調査票の設計などに一定の時間を要するようでございますが、できるだけ早く調査を始めていただきたいと思います。詳細は行政改革推進本部事務局にお聞きをいただきたいと思います。

私の方からは以上です。

【質疑応答】

問)

幹事から二点伺います。一点目は、昨日の証人喚問で守屋前(防衛事務)次官が、額賀財務大臣や久間元防衛庁長官と宴席を一緒にしたという発言がありましたけれども、本日の閣議で福田総理からこの点についてどういった発言があったのかということと、閣僚の一人としてテロ特別措置法の審議にも影響が出ていますけれども、この事態をどうお考えでしょうか。

答)

本日の閣議は福田総理がアメリカに出張中でございまして、総理はいらっしゃいませんでした。官房長官からの話は、官房長官記者会見のほうでお聞きをいただきたいと思います。また、額賀元防衛庁長官、久間元長官に関しては、細かい話は全く存じ上げておりませんのでコメントはいたしませんが、一般論として「李下に冠を正さず」、現職閣僚たる者、そういう心構えが必要であると思います。

問)

二点目について、先ほど発表いただいた研究会についてですけれども、研究会を作るということになったきっかけといいますか、誰の発案でどういう経緯があるのか、また人材育成について幅広い検討とありますけれども、どのようにして育成していくのか。大臣のお考えをお聞かせ下さい。

答)

これは先ほど申し上げましたように、随分前から提言してきた経緯がございます。また、経済財政諮問会議のワーキンググループでも取り上げられ、金融審でも中間論点整理の中で取り上げられております。やはり、こういう専門人材がいろいろなところに散らばることによって、例えば監督当局のみならず、発行会社、証券会社、日本証券業協会、東証自主規制法人、こういったところに共通のコンプライアンス感覚、共通の知識を持った人たちが散らばることによって、金融の世界の正しい生態系の秩序が維持されるものと考えています。日本の金融行政が事前の統制型、護送船団方式から、事前にルールや検査監督の着眼点を示しつつ事後的にチェックする形に変わって久しいわけでございますが、この方式というのはある意味で行政コストがとてもかかるものです。しかし、日本の簡素で、効率的な政府を作るという大方針からいきますと、事前統制をやめたからといって、どんどん人数を増やしていくということにも限界がございます。また、それぞれのプレーヤーがそれぞれのコンプライアンスの感覚を持って自己規律を果たしていただくことは、自由社会においてはとても大事なことだと思います。そういう意味でこうした金融人材の育成というのは必要になると思います。アメリカですと弁護士の数が非常に多くて、その弁護士たちがそれぞれ細かな専門分野を持って活躍しているわけでありますが、残念ながら我が国においては弁護士や公認会計士の数が非常に少ないという現実がございます。そこで、こうした金融専門の分野に特化した人材の育成を行っていくことは急務だと考えました。こうした構想をいろいろな方々、特にロースクール(法科大学院)関係者などにお話をしましたところ、こうしたことについてのご関心が非常に高いということがわかりまして、それでは是非前向きに研究を始めようか、ということでこの研究会を立ち上げることにしたわけでございます。

問)

関連ですけれども、今後、月に1~2回程度、研究会を開催して、例えば中間報告ですとか最終報告というのはいつ頃をめどにどういう形でやられるのでしょうか。

答)

スケジュールが念頭にあるわけではございませんが、まず開いてみたいと思います。これは全く新しい試みでございますから、結論が出ているとかそういうことは全くございません。いろいろなご専門の方に集まっていただいて、議論を開始しようということでございますので、その議論を待ちたいと思っております。

問)

冒頭で金融サービス士について少し触れられたと思うのですが、この研究会は資格を設定することを視野に入れて設置するという考えでよろしいでしょうか。

答)

これは、最初に資格ありきということにはなりません。いかに、専門の人材を育てるかということでございまして、資格創設が目的ということでは全くありません。ただ、どういう形であるにせよ、資格があった方がインセンティブとしてよいのではないかという議論はあろうかと思います。したがって、この研究会のテーマの一つかと思います。

問)

もう一点、コンプライアンスを報道発表では書かれていますが、コンプライアンスと専門知識、そのどちらが今の日本市場では求められているとお考えですか。

答)

両方です。例えば、ロースクールなどで金融商品取引法が教えられているかどうか。あまりそういう話は聞きません。かつての証券取引法に代わって金融商品取引法がスタートしているわけでありますから、こうしたことを高等の教育機関において、是非、講座をたくさん作っていただいて、こういうことを勉強する人たちを育てていただきたいと思います。法律だけでなくて、金融論とかそういったことについても、ロースクール以外でも会計大学院とか、いろんな形で大学院レベルの講座を持っておられる大学があると思いますので、そういう所の関係者にも参加をしてもらって具体的な話を詰めていきたいと思っております。

問)

関連ですが、専門人材の育成については、かつて、政府系の運用会社の設立という案も出てきたことがあったと思うのですが、専門人材の育成という観点から、こうした考えについては、大臣はどのようにお考えでしょうか。

答)

政府系ファンドのことでしたら、金融市場戦略チームというのがありまして、ここのテーマの一つかと思います。今、現在はサブプライム・ローン問題に端を発した金融資本市場の問題に取り組んでおりますが、第一次レポートが出ましたら、その次のいろいろなテーマの一つとしてご検討をいただこうかと思っています。今時点で結論があるわけではありません。

問)

社会保険庁の調査については、いつごろまでに回答を求められる予定でしょうか。

答)

調査が始まったわけではありません。社会保険庁において、いつまでに調査を行うかという検討は既にしていただいております。舛添厚生労働大臣には、是非、この調査を早くやってほしいというお願いはしております。調査結果というのは、原則公表されるべきものだと考えております。したがって、結果がでましたら、再生会議に対して教えていただきたいと考えております。

問)

サブプライムの関連で、大手金融機関の一部が中間決算で損失の拡大を発表しまして、みずほフィナンシャルグループは3月期予想を下方修正ということを発表しましたけれども、大臣の受け止め方をお願いします。

答)

こういう問題は疑心暗鬼を招くことが一番よくないことでありますから、きちんと正しい情報を開示していただくことが大事だと思います。今回は中間決算の発表という形で行われたと思いますが、情報の適時開示を行なっていただきたいと考えております。こうしたことが、疑心暗鬼を招かない最良の方法であると思います。個別の会社についてのコメントはいたしませんけれども、一般的に、日本の金融システムに大ダメージを与えるような状況にはなっていないと考えております。

問)

関連ですが、証券化商品については、高格付商品などの価格が下がっているようですが、下期の銀行決算が、証券化商品の価格下落でさらに膨らむ可能性があるという指摘がありますけれども、このあたりについて大臣はどのようにお考えでしょうか。

答)

これは、それぞれの金融機関においてきちんとリスク管理を行っていただくことが大事だと思います。商品の価格については、時価があればそれを基準とするわけでしょう。時価がなくてマトリックスでやるのであれば、それを出していただくことでしょうし、モデルしかないということであれば、そういうことでやるしかないでしょう、今のところは。とにかく、会計基準、監査の実務指針というものがあるわけですから、それぞれの監査法人においては、そうした観点から、きちんと監査をやっていただいているものと思いますし、それぞれの金融機関において、きちんとリスク管理を徹底し、その上で情報開示をしていただいているものと思います。

問)

独法改革に関連してお伺いしたいのですが、先日、額賀財務相が通関情報処理センターの民営化を打ち出しましたが、一方で、その他の法人については民営化については否定的でしたが、そのあたりの受け止めをお願いします。

答)

これは、自民党の方でもご議論は開始していただいていると思いますが、総理の方で、通関情報処理センターの民営化については、大いにやってほしいというご発言があったと聞いています。その他は何もやらなくていいという批判をされたということは全く聞いておりません。まさに聖域なき見直しをやっている途上でございます。自民党の方でも、万博機構やら酒類総研等についても議論があったと聞いております。我々としては、聖域なき見直しの最終的な段階にそろそろ近づいてきているということであります。

問)

サブプライム問題についてですが、RMBS(住宅モーゲージ担保証券)の格下げがどんどん相次いでいると、これと関係のないCDO(合成債務担保証券)、CLO(合成ローン担保証券)とか、こちらの証券化商品に対しての影響、価格の下落というのは、今後どのようにお考えでしょうか。

答)

これも疑心暗鬼の世界だと思います。もし、日本でそういうものを全部組成したとします。例えば、日本の住宅ローンだったらデフォルト率はゼロコンマいくつの世界です。優良なものです。政府資産というのは、日本においてはものすごく大きい図体であります。こういうものを、今、資産債務改革の中で圧縮していこうと考えているわけです。こういうもの(を原資産とした証券化商品)を、仮に日本で組成するとすれば、おそらくトレイサビリティ(追跡を可能とする仕組み)というのは可能であります。しかし、今、世界中に散らばっているCDOとか、その類の仕組み商品というのは、トレイサビリティがないわけです。どこでどういう具合になっているのかよくわからない。そういうあたりがどうも疑心暗鬼の背景の一つにあるような気がいたします。いつも喩え話で申しわけないのですが、偽装牛肉が混入してしまった牛肉コロッケやハンバーグみたいなものが、あちこちに散らばって、消費者が買うのを手控えているという状況に似ているわけでありますから、そういう背景を考えれば、それが次の対応策についてのヒントを与えてくれていると思います。いずれにしても、価格がどれくらいになるかということはきちんと、マーク・トゥ・マーケット(市場準拠)でいくのか、マーク・トゥ・マトリックス(マトリックス準拠)でいくのか、マーク・トゥ・モデル(モデル準拠)になるのか、そういういろいろなレベルで決められていくものと考えております。

(以上)

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