渡辺内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成20年1月8日(火)9時40分~9時58分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

明けましておめでとうございます。

本日の閣議についての報告はございませんが、閣議後の閣僚懇談会におきまして、昨年暮れに総理からご下問のありました「我が国金融・資本市場の競争力強化、国際化が遅れたのはなぜか」ということについて簡単に報告をいたしました。

マクロ・ミクロ両面からいろいろな要因が考えられると思います。90年代以降、我が国がバブル崩壊後のデフレ状況に突入をし、それが長期化をいたしました。その中で資本市場における取引も低調になっていったわけであります。個々の市場参加主体のこの間の行動をみますと、一般事業法人については、過剰債務の解消のためバランスシート調整を行いました。借金返済第一主義に走ったということであります。また、事業再構築に積極的に取り組んだ結果、市場を通じた資金調達を控える、そしてキャッシュフローの範囲内で設備投資を行うといった企業行動が顕著になりました。企業セクターとして金融・資本市場の活用が総じて低調であったということでございます。

また、家計においては、デフレの中でリスク過敏症に陥ったということが言えようかと思います。金融機関においては、バブル崩壊によって不良債権の処理が第一の課題となりました。その結果、積極的なリスクテイクが行われなくなり、新しい分野への進出を控えるという行動になったわけでございます。

金融庁としてはこの間、市場の活性化や公正性・透明性の確保を図るため、金融システムの改革をはじめとする様々な市場改革に取り組んでまいりました。我が国がこの間にあっても、内外に開かれた市場として発展をしてきたものと考えます。一方、諸外国においては、主要な国際金融センターにおいて、とりわけエマージング諸国や資源保有国の経済成長を背景に証券化やファンドを駆使した収益機会の追求の場を提供することなどが行われ、我が国を凌駕する市場の成長を遂げたため、相対的に我が国のプレゼンスが低下をしたということが言えるわけであります。

今後は、昨年暮れに策定をいたしました「金融・資本市場競争力強化プラン」に盛り込まれた施策をスピード感をもって推進していくことが重要であると考えます。その上で、これらの施策により整備された環境の下で、プレイヤー自らが、創意工夫を発揮し、多様で質の高い金融サービスを提供していくことが大事であると思います。このような取組みを通じ、産業面も含め、我が国に真にふさわしい金融・資本市場が発展していくことを目指してまいりたいと考えます。

私の方からは以上です。

【質疑応答】

問)

今年もよろしくお願いします。最初に幹事社からお尋ねします。金融庁は年明けから新しい庁舎に移って気分一新というようなこともあるかと思いますけれども、金融、行革それぞれの分野で今年の重点課題はどのようなものをお考えでしょうか。

答)

まず、金融大臣としては、昨年暮れにまとめました強化プランを国会にかける段階になります。法案として準備をしているところでございますが、このねじれ国会の中で是非、建設的な発想で国会が法案をお認めいただけるよう、私としても最大の努力を払ってまいりたいと考えております。

また、行革の分野においては、独法(独立行政法人)改革が昨年暮れにまとまりましたので、この関連の法案、例えば独法通則法の改正などにつきまして、増田総務大臣などと連携をしながら国会に諮りたいと考えております。また、公務員制度の総合的な改革につきましては、今月中に懇談会のほうの結論を出していただけるものと考えておりますので、それを待って法案化の作業に取りかかりたいと考えております。

問)

株価ですが、大発会は大きな下げとなり、昨日も下げて、今日も下げで始まっているようですが、先ほどおっしゃられました国際化の遅れた要因ですが、今回の「金融・資本市場競争力強化プラン」を成功させていくためには、どういう条件が必要かということをお聞かせください。

答)

株価とは別に「金融・資本市場競争力強化プラン」はまとめたわけでございます。まさに強化プランは我が国金融・資本市場の構造改革という位置づけでございます。したがって、こうした改革をきちんと進めていくことが中長期的に株価にも反映をされていくものと考えております。一方、株価のほうは昨年暮れ以来、4営業日で1,000円以上値下りをしてしまっています。これは、ニューヨーク市場と連動している側面が非常に強いと思います。ニューヨーク市場が下がると東京市場がそれを超えて値下りをしていくという非常に残念な増幅カップリング相場になっているわけでございます。こうした問題は根底にサブプライム・ローン関連の問題があるかと思います。是非、それぞれのサブプライム・ローン関連問題を抱えた国々におきましては、日本の教訓を是非、わかっていただきたいと考えます。IOSCO(証券監督者国際機構)の会議でも私の演説の中で申し上げましたように、流動性の危機ということの背景にあったのがソルベンシーの問題であると、これが日本の歴史の教訓だったわけです。したがって、共同債権買取機構やそういった段階もございましたが、最終的にはソルベンシーの問題をどう解決していくのか、ここに至るわけでございますから、是非、こうした根本的な解決を図っていくことが大事ではなかろうかと思います。

問)

サブプライム・ローン問題についてですが、日本で言えば12月までの第3四半期、そして、欧米の投資銀行、商業銀行では1月中旬までに決算が出揃うと思いますが、まず、日本で言うとその後の損失拡大の状況というのが第3四半期のその後の損失が拡大しているのかどうかという認識と、世界全体を見ても、まもなくそういう意味では新しい決算が出揃うわけですが、この状況をどう見ていらっしゃいますでしょうか。やはり、損失が全体的に拡大して長引いている状況なのか、今回が最大の山場なのか、この辺の大臣のお考えをお聞かせください。

答)

損失が縮小しているという報告は残念ながら聞いておりませんが、日本においては、取り立てて大ダメージになるような損失拡大があったということも聞いてはおりません。若干、損失が拡大しているということはあろうかと思いますが、依然として日本の金融システムに大ダメージを与えるようなそういう状況には今のところないと考えております。一方、欧米のLCFI(巨大複合金融機関)においては、これからが12月決算の発表でございますから、こうした決算発表を注意深く見守っていきたいと考えております。レベル3などがどういう具合に決算の中でこなされていくのか、そのあたりはよくウォッチをしていかなければならないと考えております。

問)

福田総理が内閣改造を見送る方針を固めましたが、改めて留任というわけでもございませんが、続投のご感想と今後行革において、新しいテーマというのは何か考えていらっしゃるのかどうかをお聞かせください。

答)

続投のご感想と言われても、首を切られるという覚悟もしておりませんでしたので、取り立てて感想もございませんが、国会のほうがねじれ国会でありますから、先ほど申しあげたような私の抱える法案についても、こういったねじれの中で試練にさらされる場面が出てくるのだろうと思います。このねじれの中で政策を実現していくということが大事でございますので、まずは与党のご理解をいただく。そして、国会に諮ったうえで、野党の建設的なご意見も踏まえながら法案を通していきたいと考えております。

問)

関連で、政府の方で消費者庁という新しい省庁の設立の構想が持ち上がっているのですが、他にも整理が必要だという声もありますが、省庁再編について大臣として取り組むお考えはありますでしょうか。

答)

省庁再編はまだ、行革の次のテーマには上ってきておりません。自民党の中で消費者庁構想というものが議論をされていることは承知をいたしております。福田総理はかねて消費者中心の行政への転換ということを言っておられる、それもかなり強く言っておられるわけであります。そうしたことを、私の担当する範囲では、独法改革の中で議論をしてまいりました。国民生活センターが今担っています消費者の保護といった観点をさらに広げていくことが大事ではないかということから、製品評価技術基盤機構(NITE)、JAS法を背景に食品安全を図る農林水産消費安全技術センターとの統合という提案をしたわけですが、これはペンディングになっているわけです。国民生活審議会の答申を待って、この問題の決着を図っていくということでございますので、私の立場から言わせていただきますと、消費者行政というのが、より連携しやすいような体制を作っていくことは極めて大事だと考えております。

(以上)

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