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渡辺内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成20年6月17日(火)10時31分~10時52分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

おはようございます。

本日の閣議において、先のアジア・ダボス会議の出張報告をいたしました。国際的な金融市場に対する現状認識や、我が国が過去の金融危機の経験から学んだ教訓、今後行うべき改革の方向性等について説明をし、世界各国から集まった有識者と率直な意見交換を行うことができて、極めて有意義であった、という報告でございます。

また、閣僚懇談会において、中小企業金融の現状の実態ヒアリングの調査・分析を報告いたしております。分析の結果は、原油・原材料価格の高騰等を背景に中小企業の業況が厳しくなっております。なかでも、建設業が特に厳しい状況であるというD.I.の結果が出ております。マンション・在庫の増加や改正建築基準法による着工遅れ等を背景に、不良在庫を抱えた一部の不動産業者においても資金繰りの悪化が見られます。業況の悪化した企業に対しては金融機関の融資・審査も厳格化されている状況があります。なお、ヒアリングの中で金融庁が金融機関に対して特定業種への融資について抑制的な指導をしていると言った噂が一部でございました。これは全く事実に反することでございます。対応策としては、まず、中小企業の方々の声や問題事案を把握するために、金融円滑化ホットラインに情報を寄せていただくためのキャンペーンを実施いたします。引き続き、実態把握に努めることを事務方に指示いたしました。また、借り手の誤解を解消することも必要であり、金融庁のウェブサイトに、「金融庁が金融機関に対し、特定業種への融資について抑制的な指導をすることはない」という注意喚起の文書を掲載いたします。各金融機関に対しては、顧客、お客様への適切な説明をするよう注意喚起をいたしますと同時に、自主点検を要請をいたします。この点も事務方には指示をいたしております。中小企業に対する円滑な金融は、金融機関の最も重要な役割であります。金融庁としては、引き続き警戒を怠ることなく金融機関の融資の動向等について注視をいたしてまいります。

また、閣議後、自民党・国家戦略本部から強い出席要請を受けました。国家戦略本部においては、公務員制度改革の今後の推進に向けて、議論をしていただきました。特に、公務員制度改革推進本部の事務局体制についてご決議をいただきました。事務局長は公募をする。事務局長以下のスタッフも公募を活用し、半分以上、全体が50人とすれば20人から30人程度は民間人を起用すること。また、基本法の柱の一つは公募活用によって官民の垣根を越えて人材を登用することであり、これを事務局においてパイオニア的に実現をすることは基本法に沿った改革の第一歩であること。事務局長はじめスタッフの人選等人事は官僚任せにしてはならないこと。このため公務員制度改革担当大臣を人事の責任者として大臣自ら人事にあたるべきこと。この担当大臣への人事の委任は国家公務員法第55条に基づき、閣議決定により行うことが可能である。こうした内容をご提言いただき、ご決議をいただいたわけでございます。杉浦(正健)国家戦略本部事務総長がこうしたことを官邸にお伝えするということで今朝の会議を終えたところでございます。

私の方からは以上です。

【質疑応答】

問)

今、大臣の方からお話のありましたアジア・ダボス会議ですが、それと並行して大阪でG8の財務相会合があり、韓国ではASEM(アジア欧州会議・財務大臣会議)が行われ、それぞれインフレ、一次産品の値上がり等、インフレ懸念とドル安というか為替動向についての認識を共有されたというようなことだったかと思いますが、この辺の議論を大臣はどのように見ていらっしゃったのか、また、マレーシア・クアラルンプールでの各国の方と意見交換の中で、かなり共通した認識であるというふうにお感じになっているのでしょうか。

答)

やはり、アジア各国において食料並びに資源の高騰というのが、大変深刻な事態をもたらしているという認識は共通をいたしておりました。なぜ、こうしたことが起きるのかということについては、欧米諸国とアジア諸国では意見が分かれていたかもしれません。アジアの需要が増えたことが高騰の原因であるという説明に対して、アジア諸国、特にインドの財務大臣等からはそれが主因ではないという強い反対の意見表明がありました。私の見るところ、こうした資源価格・食料価格の高騰については、需要の伸びということもさることながら、やはり金融・資本市場の不安定さに起因している側面が非常に多いのではないかということを改めて感じた次第です。つまり、例えば原油価格については、ドル安が即、原油高騰につながっているという非常に悪い循環に入ってしまったような感じがございます。したがって、まさにこれはドルの実質実効レートが史上最安値圏を更新していると、こういうことからG8においてドル防衛の議論が行われなかったようでございますけれども、やはり問題の認識は共通に持っていく必要があるかと思います。

また、サブプライム問題に端を発したLCFI(巨大複合金融機関)の資本不足の問題がやはりこうした金融・資本市場の不安定の根底にあり、また、それがコモディティ(商品)市場の不安定さにつながっているということも、今回の会議を通じて改めて痛感をさせられたところでございます。

問)

国内のマーケットの話題の質問をいたしますが、昨日、日銀の方で資金循環統計、個人金融資産の動向について発表しました。2007年度末、株式等リスク資産から、国債であるとか預金の方へ資金がシフトしているという状況が示されたわけですけれども、株安が進んだということでやむを得ないという面もあるのですが、こうした状況について大臣はどのように思われるのかということと、今後、秋に向けて税制改正要望等もあるわけですけれども、何か「貯蓄から投資へ」とう流れを加速するための何か手当てを、例えば税制面でというように何か考えることがあれば、お聞かせ願いたいと思います。

答)

日銀の資金循環統計はまだ拝見いたしておりませんが、一般的に株価が下落する局面では株式投資を控える、キャッシュ・預貯金へお金をシフトするという傾向が一般的にあろうかと思います。また、株式市場が低迷をしておれば金融資産全体の時価総額がそれだけしぼむわけでありますから、個人金融資産もそれだけしぼむことは当然かと思います。「貯蓄から投資へ」の流れを作ることにおいては、いろいろな仕掛けが必要であるかと思いますが、ご指摘のように税制というのは、大きな柱の一つであります。したがって、来年度、税制に向けたどういう税制改正を行っていくか、早急に検討をしていきたいと思います。

問)

先ほどお話がありましたが、国家戦略本部でまとめられた今日の公務員制度改革推進本部の事務局体制の決議について、公募については一部反対している方もいるのですが、その中での決議をまとめたということへの期待、それから、官邸の方へも申し入れるというお話もあったのですけれども、今後どういうことを期待されるかということをお願いします。

答)

これは国家戦略本部の会議の席上でも私が申し上げたことでございますが、今回の基本法は政治主導という極めてシンボリックな形で成立を見たわけです。政府案を国会において大胆に修正をする、それは与野党の垣根を越えた修正が行われたわけです。そこにおいて例えば、これは参議院の内閣委員会でございますが附帯決議がついております。国家公務員制度改革推進本部の事務局長その他の事務局体制を整備するに当たっては、民間人登用を含め、公務内外の人事管理制度に関し、識見を有する人材の配置に努めること、という決議でございまして、まさにこういったことを実現するには、公募という形を取るのが一番相応しいのではないかと私どもは考え、事務方に指示をしたところでございます。残念ながら政府内の調整がまだついておりませんので、最終決定には至っておりませんが、改めて今日、こうして自民党・国家戦略本部においてご決議をいただいたということについては私としては大変心強く思っているところでございます。どなたが行かれるのかわかりませんけれども、杉浦事務総長、あるいは中川(秀直)顧問が官邸に行かれて申入れを行うということまでお決めをいただいたと思いますので、その結果をお待ちしたいと思います。

問)

昨日、ロシアのサハリン沖の資源開発事業のサハリン II プロジェクト(フェーズ2)向けに国際協力銀行等邦銀主導で53億ドルの融資が調印されましたけれども、エネルギーの安定確保とか、資源国ロシアとの関係強化などの面において、日本の金融がどういう安定を果たしていけばよいのかという観点から大臣としてどのような評価をなされているのかお聞かせ下さい。

答)

ご指摘の決定については今初めてお聞きしましたのでコメントは控えますが、一般的に日本の資源外交が、いわば食料資源の争奪合戦の様相を呈している現況の下で遅れをとってはならないと考えます。したがって、官民連携のもとで資源の開発促進を促す取組みが行われることは大変結構なことであると思います。

問)

中小企業金融のことですけれども、金融庁が特定業者に抑制指導をすることはないということを強調されていらっしゃいますが、大臣の認識としては一部貸し渋りのような状況が増えつつあるというようなご認識でいらっしゃるのでしょうか。

答)

お手元にPDF資料(PDF:640K)をお配りしてあるかと思いますが、D.I.をとってみますと、資金繰りの状況が厳しい業界がございます。商工会議所の会員企業のアンケートでは建設業が現状も先行きも85%、83%という非常によくない数字が出ておりますし、また小売、運輸業などにおいても半分を超えているという状況であります。また、不動産業においては資料のマル6でありますが、業況判断のD.I.でありますが、非常によくない結果が出ています。したがって、こうした業況の悪化を受けて貸出態度が非常に抑制をされているということが今回の実態調査の結果、改めてわかったわけであります。こういうことは、想像はついていたわけでありますが、はっきり数字に出てきているということがわかりましたので、その対応を改めて指示をしたところであります。

問)

公務員の話に戻りますが、先ほどのスタッフの公募で、大臣が事務方に指示されたけれども、政府内の調整がついていないとおっしゃいました。この理由と、調整がついていない段階でこのまま推進本部の発足の時期というのが遅れる可能性があるのかどうか、この二点についてお伺いしたいのですが。

答)

推進本部は一ヶ月以内に作ることになっておりますので遅れることはございません。調整がついていないというのは公募に反対をする人が政府内にいるということに尽きます。

問)

関連してなんですけれども、推進本部自体は一ヶ月以内に作るという決まりになっていますが、その事務局長などのポストについては必ずしも一ヶ月以内ではなくても違法な状態ではないと思うのですが、仮に公募等の調整がうまくいかなかった場合は、発足時にポストがいない形でも公募を活用されて決めていかれるのでしょうか。

答)

推進本部は一ヶ月以内に作ることになっておりますので、これは法で規定しておりますから作ります。そのときに事務局長が決まっていないという場合にはそういう状態のまま推進本部は作ることになると思います。

(以上)

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