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渡辺内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成20年7月4日(金)10時28分~10時46分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

おはようございます。

本日の閣議において、国家公務員制度改革推進本部令等、国家公務員制度改革基本法の施行関係3件について決定をいたしました。これは、国家公務員制度改革推進本部を7月11日(金)に発足させるとともに、本部に顧問会議、労使関係制度検討委員会を、本部事務局に次長、審議官、参事官をそれぞれ設置するほか、副本部長として内閣官房長官、公務員制度改革担当大臣及び総務大臣を指定するものです。詳細は行政改革推進本部事務局にお問い合わせください。

もう一つ、閣僚懇談会において、総理から政府における無駄の徹底的な排除に向けてのご発言がありました。「随意契約について改善は進んでいるが、随意契約の廃止を原則とする見直し計画の完全実施を速やかに実現する。また、既に一般競争入札等に移行したものについても、実質的な競争が確保されるよう厳しくチェックを行っていく。公益法人への支出については、国や独立行政法人の支出の無駄を根絶する必要があり、これで済んだものとは考えていない。本日の点検結果をスタート台として、更に全力で取り組まれたい。その際、公益法人への支出を3割削減することを目標としたい。21年度概算要求にあたってもこの目標を念頭に置きつつ行うとともに、できるものは20年度の予算執行から直ちに取り組んでいただきたい。」とのご発言でございました。

金融庁において、行政と密接な関係にある公益法人への支出の無駄の集中点検を行いました。後ほど事務方から詳しいご説明をさせますが、点検対象となりましたのが2法人、財団法人財務会計基準機構並びに社団法人金融財政事情研究会でございました。

財務会計基準機構はご案内のように、我が国の会計基準を作成する委員会を擁した財団でございます。金融庁から国際会計基準審議会等の議論への対応及び付随事務に関する業務委託費として、平成20年度予算額は7,300万円となっておりますが、これは平成18年度まで随意契約であったものを平成19年度から企画競争、競争性のある契約に移行をしているということでございます。平成20年度は効率性・透明性等を更に向上させるための方策を検討いたしております。

社団法人金融財政事情研究会は中国国別研修「税制・財政関連立法研修」事業として100万円の委託を受けておったのでございますが、今般の点検結果を踏まえ、金融財政事情研究会においては、今後、競争性のない契約による委託事業については、国・独立行政法人の事業、いずれについても原則受託しないことといたしました。やむを得ず受託する場合には、国等から選定理由書等を入手し、公表することを条件といたしております。

私の方から以上です。

【質疑応答】

問)

来週、サミットが開かれますけれども、この中で世界経済の動向についての議論が一つ注目になると思います。様々な懸念材料があると思いますが、大臣はどのような議論を期待されるのかというところをお願いします。

答)

サミット、首脳会議ですから財務大臣会合や経済担当の閣僚会議のような細かいところまでは議論が及ぶかどうかは何ともわかりません。ただ、原油高騰、食料高騰、こういったことが金融・資本市場の混乱と極めて密接な関わりがあるという観点から相当議論は行われるものと推察をいたしております。日本としても、こうした原油・食料高騰というのはまさに交易条件の悪化をもたらすわけでありますし、消費税10%分ぐらいの交易ロスが既に発生をしているということを考えれば、極めて深刻な問題であるわけです。サミットでありますから、それぞれの国内事情のみならずグローバルな観点からこの問題は議論されるものと思います。世界経済がダウンサイドリスクをますます顕著にしていく中にあって、今回のサミットの議論が実りあるものとなるよう期待いたしております。

問)

このところ株安、株の値下がりが続いていますけれども、日本経済の現状についてどのように見ていますでしょうか。

答)

マーケットについてはいちいちコメントはいたしませんが、アメリカ経済の減速リスクがいわゆるデカップリング論というものを色あせさせてしまっているなという感じを持っております。先のアジア・ダボス会議でも話題になったことでございますが、輸出主導型の経済成長・景気回復を行ってきた国々においては、やはり相当のダメージを受けることを覚悟しなければならないと思います。日本においては、30年近く前から言われている内需主導型経済構造への転換という構造改革論が、今日においても色あせるどころか、ますますその必要性が高くなってきているということを再認識すべきであろうかと考えます。

問)

年金の運用についてなのですけれども、本日一部報道にもありましたようにGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が赤字になったなどという報道もありましたし、昨日、自民党の検討チームでもSWF(ソブリン・ウェルス・ファンド)のとりまとめの議論がありました。こうした年金の運用についてどのようにお考えでしょうか。

答)

私のところの「金融市場戦略チーム」においてもこの議論はさせていただきました。第二次レポートにも記載をしたところでありますが、年金運用について、より有利な運用を心掛ける、より効率的な運用を目指すべきであるという意見が多かったわけです。自民党国家戦略本部のように、ソブリン・ウェルス・ファンド的な機関を創設するというご意見もございましたし、逆にそのような機関を飛び越えてGPIFそのものをなくしてしまい、国民が直接運用を選べるようにしてはどうかという議論もあったところでございます。いずれにしても年金の財産は国民の財産そのものでございますから、納得のいく運用のあり方を大いに検討していくべきだと考えております。

問)

欧州中央銀行が利上げをしたということです。理由はインフレ懸念ということなのですが、このところサブプライム問題、原油高騰の段階から具体的にインフレ対応ということで、当局が動き出したということで新しい段階に入ってきたと思うのですが、先ほども言及されていましたが、大臣の世界経済のご認識を改めてお願いしたいと思います。

答)

ECB(欧州中央銀行)の利上げが今回で終わるのか、引き続き行われるのかは存じませんけれども、インフレ抑制のための利上げというのは、ある一定ポイントを超えますと逆効果をもたらすことがあり得ると思います。つまり、利上げによってインフレどころか経済そのものを減速させてしまう。あるいは、マーケットの混乱を拡大してしまうというポイントがなきにしもあらずであります。中には、このようなポイントを「デストラクション・ポイント」などと称する人もいるわけであります。今の世界経済のダウンサイドリスクを考えますと、金融政策も相当難しい舵取りを迫られているなという感じがいたします。

今年1月のダボス会議で「財政出動余力のある国は、財政出動すべきである」とIMF(国際通貨基金)のストロス=カーン専務理事が意見を述べられました。あのIMFが財政出動を要求したか、と言って大変な話題になったわけでありますが、まさに今の世界経済の状況というものが一筋縄ではいかないということをシンボリック(象徴的)に表現していたのではないでしょうか。

一方においてインフレ懸念があり、原油・食料高騰で特に(それらを)持たざる国々の人々が大変な目にあっているということを考えますと、これは他人事ではありません。その根源の問題と同時に、なぜこうしたお金の移動が起こっているかということを考えるべきだと思います。少なくとも、目先、真っ先にやらなければいけないことは、金融・資本市場の混乱がどこにあるのかということであります。この混乱があるがゆえにコモディティ(商品)の市場にお金が流れ込んでいるという現実を直視すべきであります。日本の教訓に学ぶならば、まず金融・資本市場の混乱に根本的な解決手段を講じるべきであると思います。

問)

欧州だけが利上げをしたということで、アメリカあるいは日本との金利差の拡大が懸念されています。このあたりについてご所見があればお願いしたいのですが。

答)

金利差というのは、当然利上げを一方がやれば拡大するものと思います。しかし、マーケットの反応は逆の反応が出ていると聞いております。いずれにしても、先ほども申し上げましたように、利上げと言うのはある一定ポイントを超えますと、逆効果を及ぼしかねないという非常に厄介な問題を抱えていることはきちんと認識をしておくべきだと考えております。

問)

今日、火災保険料の取過ぎ問題について、損害保険各社から調査結果を発表する予定になっているようなのですけれども、このような調査結果を受け、金融庁は今後、どのような対応されるのでしょうか。

答)

取過ぎについての発表は、まだ私は聞いておりませんので、その発表を待ってきちんとフォローアップを行っていきたいと考えております。

問)

生命保険の問題について昨日発表があって、今後きちんとフォローアップをしていくということなのですが、生命保険会社の中には今回の行政処分を以って一定の区切り、幕引きができるのではないかという考え方もあると思うのですが、大臣の今のご所見を教えてください。

答)

こういう問題を二度と起こさないということが大事なことです。お客様あっての保険会社でありますから、お客様がとんでもない目に遭うようなことが二度と起きないようにすべきであります。

問)

週明けなのですが、三菱東京UFJ銀行のシステム統合が本番を迎えるということで、5月の第一段階ではトラブルが起きてしまったわけですけれども、今回の統合作業本番について大臣はどのように見ているのかということと、金融庁として何か特別な警戒態勢を敷くなど、どのような監視態勢をとるのかについてお聞きしたいと思います。

答)

この前の統合において、若干の不具合が出たことは大変残念でありました。あのような不具合が出ないようにお願いしたいと思っております。また、今回で最終的な統合が終わるわけではありませんので、引き続き、きちんと統合が行われるようウォッチをしてまいります。

(以上)

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