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渡辺内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成20年7月15日(火)10時40分~10時59分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

おはようございます。

格付会社に対する公的規制の枠組みの検討について申し上げます。

格付会社をめぐっては、サブプライム・ローン問題を受けて、利益相反の防止の徹底、あるいはディスクロージャーの拡充の必要性等が指摘されてまいりました。最近の国際的な動向として、IOSCO(証券監督者国際機構)による基本行動規範の改定が5月に行われました。また、米国SEC(証券取引委員会)による包括的な規制改革案の公表が6月から7月にかけて行われております。ヨーロッパ、EU(欧州連合)財務相理事会における、登録制度導入の決定も今月行われたところであります。

格付会社について、サブプライム・ローン問題に見られる市場動向、及びこうした欧米当局の動向を見据えつつ、登録制度を含め国際的に整合的な公的規制の枠組みの検討を事務方に指示をしたところであります。具体的な内容については、今後、事務方において検討を進めていくことになります。詳しくは事務方にお問い合わせいただきたいと思います。

私の方からは以上です。

【質疑応答】

問)

米政府は、ファニーメイ(米連邦住宅抵当公社)、フレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)への公的資金注入も含む支援策を表明しました。まず、この支援策への評価をお聞かせください。

答)

1週間のうちに株価が半値くらいになってしまうという非常に危機的な状況の中での危機対応として決断されたものと思います。日本の歴史の教訓―流動性の危機の背景にはソルベンシー(支払能力)の問題があるということ―を、かねてから申し上げてまいりましたが、まさしく今回もその教訓がドンピシャリ当てはまったのだと思います。こうした危機を踏まえ、迅速な決断をされたことは大変結構なことだと思います。

日本の金融機関もGSE(政府支援機関)債を大量に持っております。また、GSE債はアジア勢、なかんずく日中の官民で持っている部分がかなりあるわけです。したがって、この問題は対岸の火事というわけにはまいりません。我々としても、警戒水準を高くしてこの問題は注視をしてまいりたいと考えております。

問)

関連してなのですが、投資信託で例えば2社が保証する住宅ローン担保証券を組み入れた商品がかなり日本で販売されているわけなのですが、こういうところへの影響というのもありやなしや、という見方も出ておりますが、こういう投資信託なども含めて、今後どのような対応を検討されますでしょうか。

答)

個別の商品については言及いたしませんけれども、この問題は迅速に危機対応がなされることが大事であって、マーケットや投資家のみなさんに疑心暗鬼を起こさせないということが非常に大事なことであると考えております。ディスクロージャー(開示)が非常に求められることであろうかと思います。そうした観点から、我々もきちんと警戒水準を高くしてウォッチをしてまいります。

問)

TCI(ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド)のJパワー(電源開発)株の買増しをめぐる問題ですが、これについて中止命令に対して不服を申し立てないという旨を(TCIが)発表しました。この問題については一旦収束するという形になりますけれども、改めて一連の経緯を振り返っての評価をお願いいたします。

答)

個別の投資判断についていちいち言及はいたしませんが、日本という国は開かれた国であります。開かれたマーケットで内外無差別の投資を歓迎している国でありますから、そういう観点から引き続き説明責任を果たしていくことが大事なことであろうと思います。

問)

先ほどのGSE債ですけれども、国内金融機関が保有しているGSE債の保有額で、現在わかっている額をご存知でしたら教えていただけないでしょうか。

答)

詳しくは事務方にお聞きいただきたいと思いますが、それぞれの金融機関においてIR(投資家向け広報)資料等でディスクロージャーはされているかと思います。今のところ正確に全体像を把握してはおりませんが、GSE債をどれくらい保有しているかについてのヒアリングや情報交換は進めているところであります。

問)

本日、国家公務員制度改革推進本部の初会合があったかと思いますが、期待されている点をお聞かせ下さい。

答)

先ほど第1回目の国家公務員改革推進本部会合を行ってまいりました。本部長に総理、副本部長に官房長官、総務大臣、そして私の3名が充てられたわけでございます。この本部の下に事務局が置かれ、ご案内のような体制でスタートしたわけであります。

今回の改革の大きな柱の一つが各省の縦割りの弊害を打破する、各省割拠主義を打破するというところに大きなポイントがあるわけでありますから、来年の通常国会にその内閣人事局を作る法改正を行うべくこれから鋭意取り組んでいくわけであります。本日の会合において私からもまた改めて関係閣僚にご協力を要請したところであります。総理からも力強いお言葉をいただいたのは大変私にとってはありがたかったということであります。

問)

冒頭の格付会社の公的規制の話ですが、これは今後、どのくらいのスケジュール感で規制の内容を詰めていかれるのかということと、現時点の格付会社の問題点といいますか、どういったところを問題視されているかというのを改めてお聞かせ下さい。

答)

今後、アメリカ、ヨーロッパの動向を見ながら、金融審議会で検討していくことになろうかと思います。できるだけ早い機会に検討は開始したいと思いますが、秋以降というスケジュールになろうかと思います。

問)

現時点でどういったところに問題があると見ていらっしゃいますか。

答)

格付けがいきなりいくつも下がってしまったりしたことから疑心暗鬼が広まったわけでして、そういったことは一体どこに原因があったのか、いろいろな指摘がございます。そうしたことを回避していくためのよりよい手法はどういったことがあるのか、例えば、先ほど申し上げたように登録制がよいのかなど、いろいろな手法が考えられるわけですが、日本だけでやっても意味はございませんので、国際的に整合性のある枠組みを作っていくことが大事であると思います。

問)

先ほどGSE債について、アジア、日中の官民で持っているというご発言がございましたけれども、正確な数字は忘れましたが、日本の官民で数十兆円持っているということで、民間の側の保有額みたいなものを調査していくということですが、官の方の保有額はどのように把握されていらっしゃるのでしょうか。

答)

これは、外準(外貨準備高)(における保有額)がディスクロージャーされておりませんので、財務大臣にお聞きいただきたいと思いますが、私のところの(金融市場)戦略チームで調べましたところ、これはアメリカの財務省の方の資料でしょうか、GSE債といっても別にファニーメイ、ジニーメイ(連邦政府抵当金庫)だけではありませんが、GSE債のアジアの保有額が大体8,000億ドル位でしょうか、これは、ちょっと古い数字ですが、2007年6月末ですから1年以上前の数字になりますけれども、アジアで8,000億ドル保有している。全体で、GSE債が当時1兆3,000億ドルくらい、アジアがそのうちの半数以上、そして、日本と中国で、大体日本勢が2,280億ドル位ですか、中国が3,760億ドル位となっております。シンガポールなどは非常に小さく、大体50億ドル位しか持っていないです。したがって、日中で非常に多くのGSE債を抱えているという現実があるわけでありますから、これはもう他人事ではないということであります。

問)

それは日本の官民ということでよろしいですか。

答)

官民です。地域別の米国証券保有残高、株式、財務省証券、機関債、GSE債、エージェンシー債、ABS(資産担保証券)、非ABS、社債等々、ディスクロージャーされている数字をまとめたものであります。

問)

GSEが保証しているRMBS(住宅モーゲージ担保証券)の保有状況で何か把握していることはございますか。

答)

そういったことも含めて今調査をしております。

問)

ちょっと記憶が不確かな面もあるのですが、確か財務省の方が資産の多様化をする時に、GSE債とかを保有できるようにする時は一回アナウンスがあったかと思うのですが、その後、いくら保有しているか、対外、外国の有価証券みたいな枠ではディスクロージャーされていますが、その内訳についてはされていません。まさに大臣がおっしゃったように対岸の火事とはいかない、警戒水準を高く見ていくというところで、金融市場の関係者からも官のところでいくらかというあたりが関心の高いところだと思うのですが、金融担当大臣として、そのあたり政府の中で情報公開をどのように考えていらっしゃるかという点についてお願いします。

答)

これは額賀財務大臣にお聞きをお願いしたいと思います。民間でどれくらい持っているかが分かれば、官の方でどれくらい持っているか単純計算で分かるわけですから。

(以上)

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