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渡辺内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成20年 7月29日(火)11時02分~11時19分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

「金融円滑化ホットライン」について申し上げます。

中小企業金融の円滑化に向けて継続的、かつ、きめ細かい実態把握を行うべく、中小企業の方々の声や問題事案を電話によりお聞きする情報等の受付窓口として「金融円滑化ホットライン」を開設いたしております。ホットラインの電話番号はお手元のPDF資料(PDF:556K)のように、03-5251-7755、平日10時から16時まで受け付けております。寄せられた情報については、利用者の同意が得られた場合、金融機関に対してヒアリングを実施するなど検査・監督に活用させていただいております。中小企業の方々におかれては、「金融円滑化ホットライン」に積極的に情報を提供していただくようお願いをいたします。金融庁としては引き続き警戒を怠ることなく、金融機関の融資の動向等についてウォッチしてまいります。詳細につきましては、監督局総務課にお問い合わせください。

私の方からは以上です。

【質疑応答】

問)

最初にこのホットラインに関連することですけれども、最近また不動産業界、あるいは建設業界で一部破綻等が相次いでおりますけれども、その関連で、その要因・原因として、厳しい検査・監督、それに伴う銀行側の貸し渋りあるいは貸し剥がしということがあるのではないかという声が、また一部で出ているようですけれども、このことに関して大臣どのように見ていらっしゃいますか。

答)

これはいつも申し上げますように、金融庁の方から、例えば、不動産業界の融資は控えろ、とか指導していることは全くございません。もしそういった、特定の業種について意図的に金融を引き締めする実態がありましたら、まさにこの「金融円滑化ホットライン」にお話をいただきたいと思っております。

問)

次に概算要求基準のことですけれども、来年度予算の概算要求基準が決まりましたけれども、来年、あるいはいつになるか分かりませんけれども総選挙も控え、また一方で原油高、食料高ということも踏まえ、与党等から歳出増圧力というのが随分強まっております。このことを踏まえながら、内閣の一員としまして、どういう姿勢で予算編成に取り組んでいくかとお考えでしょうか。

答)

予算編成は、2006(年)の骨太方針において、2011年までのいわばシーリングを作っているわけであります。福田内閣においても、この線は踏み外してはいないと思います。一方、景気のダウンサイド(下方)リスクが急速に高まってきているという現実がございますので、マクロ政策は適切に行っていく必要があろうかと思います。マクロ政策というのは、金融政策、為替政策、そして財政政策であります。この3つのうち、どれが使えるのかということを考えながら、財政運営の機動的な対応を行っていく必要があろうかと思います。

問)

次になりますけれども、IMF(国際通貨基金)が金融安定化に関する最新の報告を出しまして、この中で、いろいろ指摘しているんですけれど、世界の金融市場は依然としてもろい状況が続いていて、システミックリスクの兆しも強いままだというようなことを指摘して、なおかつ、銀行のバランスシートの健全性に対する懸念も強く示唆しております。こういうことを踏まえて、世界の金融市場、また日本の金融市場・金融機関の健全性等についての現状認識をお聞かせ願えますか。

答)

IMFのレポートを私も詳しくは読んでおりませんけれども、大変にシビアな(厳しい)レポートになっているかと思います。例えば、(IMFは)先だって、世界の金融機関のサブプライム関連損失が最大で9,450億ドルとの見通しを出しておりますが、これについては据え置きということになっております。また、銀行セクターについては、米国・欧州等の銀行は資本調達を行ってきておりますが、開示された損失が追加資本の調達額を超えている、ということも指摘をしております。信用の質の低下が継続することで銀行は収益の維持が困難となっている、結果として銀行株価は急落し信用デフォルトリスクは高騰している、資産担保証券の市場価格及び延滞率の状況を見れば、4月報告で公表した損失推計、先ほど申し上げた損失については据え置く、ということを言っているわけでして、日本の金融行政を預かる私どもとしては、警戒水準を高くしてウォッチをしていく所存であります。

問)

株券の電子化に関してですが、来年の1月に予定されているわけですが、今のところ、一部の証券会社で対応が遅れているようだという声が高まっておりまして、本当に間に合うのか、障害が起きるのではないかといった懸念も起きております。金融当局として、現状をどのように見てらっしゃるでしょうか。

答)

これはもう何年も前からスケジュールが決まっております。中小の証券会社において、対応がまだ終わっていないところもあるようですが、これは、まだ残された時間がございますので、タイムリミットを考えながらきちんと対応を行っていただきたいと思います。基本的には、この話は、株券のペーパーレス化でありますから、まさにIT(情報技術)の問題です。したがって、どういうITシステムを構築していくのか、自前で出来にくいのであればいろいろなやり方がありますので、共同のシステムを使いながらきちんと対応していただきたいと思います。

問)

アメリカのGSE(政府支援機関)ですが、支援法が上院で可決され、成立する見通しとなっております。大臣のご見解を改めてお願いしたいのと、アメリカの金融市場に関連して、公的資金の注入について言及されていますけれども、もう一段の公的資金注入というお考えをお持ちなのかお伺いしたいのですが。

答)

アメリカの議会がファニーメイ(米連邦住宅抵当公社)、フレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)のサポート関連法案を可決したことは大変結構なことだと思います。日本では住専国会のときに、すったもんだして公的資金の使い方に対して大変深刻な国民の批判を浴びたわけですが、是非、そういった日本の歴史の教訓を参考にしながら、正しいサポートの体制を作っていただきたいと思います。

資本がどれぐらい足りなくなるのかといったことは今の段階ではわかりません。住宅ローンだけですと、例えばバーゼル II の基準ですと、リスク比率35%ですから、8%の自己資本で35%といいますと2.75ぐらいになるわけですが、こうしたことが仮に民間であればオフバラ化されたものについても(自己資本を)求められることになるのでしょう。したがって、どれぐらい資産が劣化しているのかという問題があるわけですから、どれぐらいの資本が必要なのか今の段階では正確に出ていないということになるのでしょう。一方、GSE債については資本ではなく債券ですから、まさしくアメリカ連邦政府のお墨付きを信頼して世界中の投資家が買っているわけですから、いつも言っているようにアメリカ政府においてきちんと対応していただきたいと考えております。

問)

直接のご担当ではないと思いますが、今日の閣僚懇で、安心プラン(社会保障の機能強化のための緊急対策~5つの安心プラン~)について総理や関係閣僚からどのような発言がありましたか。

答)

かなり時間を費やしまして、閣議にかけられたわけであります。総理からは、「国家や社会に対する信頼の源は安心であり、今日の社会保障の現状に対して国民が抱く不安や不満を踏まえ、安心につながる、国民の目線に立ったきめ細かな対策を速やかに実行に移していく必要がある。今回取りまとめられた5つの安心プラン、そして健康現役社会の実現に向けた取組みはいずれも国民の安心にかかわる緊急対策であり、工程表を作成し、1、2年の間に着実に実現を図っていく。特に、医師不足を中心に閉鎖を余儀なくされている産科・小児科の問題や、受け入れ先が見つからずたらい回しといった事態が生じている緊急医療の問題、本年4月の段階での認定施設が229箇所と普及が遅れている認定こども園を飛躍的に拡大させるための抜本改革など「新・待機児童ゼロ作戦」の推進、今なお相当数の若者が正社員となることを望みながらもパートや派遣といった不安定な仕事を余儀なくされている非正規雇用の問題等、厚生労働行政の数々の問題が社会保障に対する不信・不安につながっている現状を踏まえ、行政全般について総点検し、国民にわかりやすく、そして、国民目線に立った信頼される行政を目指すこととする。これらの緊急に取り組むべき課題については、直ちに実行に移していく。また、あわせて、社会保障国民会議においても5つの安心プランの実施状況についてフォローアップをお願いしたいと考えている。内閣をあげて国民の安心と安全の確保に向け、関係閣僚におかれては一致協力して進めていただきたい。」という発言がございました。したがって、社会保障の制度の中で緊急を要する問題について、できるところから速やかに実行に移していくということでございます。

問)

渡辺大臣の方からはこの件に関して発言はなかったのですか。

答)

私の方からは発言いたしておりませんが、金融庁関連で申し上げますと、確定拠出年金制度の見直しの中で、税制要望について、これは懸案事項でございますが、記述をしてございます。確定拠出限度額の引上げ、日本型確定拠出年金における従業員の掛金拠出・マッチング拠出の導入、個人型確定拠出年金の加入対象者の拡大等の記述をしてございます。

(以上)

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