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渡辺内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成20年 8月 1日(金)13時50分~14時10分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

先ほど臨時閣議において辞表を提出してまいりました。

この短い期間ではございましたが、振り返って結構中身の濃い閣僚経験をさせてもらったと思います。行革においては昨年、今年と大変大きな法案を通過させていただきました。各種懇談会においても、かなり大きな課題についての答申を出していただいたと思っております。公務員制度改革の他にも、例えば政策金融改革についても行いました。独立行政法人(独法)改革も行い、独法通則法の整備も手がけたわけであります。年金業務組織再生会議にあっても、新しい日本年金機構のあるべき姿について議論をいただきました。

一方、金融担当大臣としても、一昨年の副大臣としての就任後、8ヶ月間のブランクを経て再びこちらに戻ってまいったわけでございます。その後、ご案内のように「市場強化プラン」を策定し、国会で通していただいたわけでございます。この「市場強化プラン」の実行を着実に今後進めていくことが肝心でございます。また、サブプライム・ローン問題に端を発した世界の金融・資本市場の動揺というものは未だ収まる状況にはございません。したがって、こうした危機に対する感覚を研ぎ澄ましながら、危機管理を着実に行っていくことが大事であります。

日本の官僚制度というものが、各省割拠主義の下で、総合的な国家戦略の企画・立案に欠けるところをこれまでさんざん指摘をしてまいりました。私が国会議員になりたての頃、日本においては大変な危機に見舞われたことがございました。あのような前代未聞の危機に対応するのに、残念ながら当時の政府が正しい処方箋(せん)を持ち合わせていなかった、そういう思いがございます。その後10年以上経過をし、やはり日本に必要なものは総合国家戦略であるという思いを強くしてまいりました。

残念なことに、日本の政治・行政モデルというのが非常に時代遅れになっている、そう言わざるを得ない状況が続いてまいりました。行政モデルにあっては、人事制度、予算の仕組み、定員管理、法令審査、そういった各領域において現状維持を指向せざるを得ない、大胆な転換ができない仕組みになっていたのではないでしょうか。公務員制度改革を突破口にして、そういった国家の大改造を行っていく必要があろうかと思います。

同時に、政治モデルというものを大胆に転換していく必要がございます。中選挙区時代の派閥均衡、年功序列という政治モデルを我々は捨てたはずであります。残念ながらその残滓(ざんし)がまだ残っているような気がしてなりません。やはり、政治モデルの大転換ということも今後、必要になってくるのではないでしょうか。やはり真の議院内閣制を目指すということであれば、総理大臣が頻繁に変わるというのは、夢のまた夢ということになってしまいます。

「一内閣一閣僚」というキャッチコピーが小泉内閣の時代にございました。これは、真の議院内閣制を実現するための方策としては大変正しい考え方だったと思います。毎年、閣僚人事が定例的に行われ、そして1年足らずで次の大臣に変わっていくというのでは、政治主導というものは望むべくもありません。やはり、行政モデルの大転換を目指すわけでありますから、同時に政治モデルの大転換、これも必要になってくると思います。

私の方からは以上です。

【質疑応答】

問)

午前中の会見で大臣が「まな板の上の鯉」だというお話がありましたが、現時点で総理の方から続投について打診等ございましたでしょうか。

答)

特にございません。

問)

安倍政権以来の閣僚として務めてこられた中で、自己評価という話はいただきましたが、やり残したことはどういうことがあるか教えていただけますでしょうか。

答)

これから具体策作りが大事であります。金融においては既に金融商品取引法の改正法を通していただいておりますので、できるだけ早く実現をしていく作業が求められます。また、先ほども申し上げましたように、世界的な金融・資本市場の動揺がまさに世界中を席捲(せっけん)し、いろいろなマーケットに飛び火をして、食料、資源の価格の高騰を招いているわけであります。こうした問題はグローバルな視点から解決をしていく必要があろうかと思います。日本の歴史の教訓、これを言い続け、国際的な枠組みを作っていくことが大事であろうかと思います。

一方行革の分野においては、先ほども申し上げたように、公務員制度改革のいよいよ具体策作り、内閣人事局をはじめ、まさに歴史的な大転換の具体策作りに入っていくわけであります。独法改革においても新しい段階、独法というイギリスのエージェンシーに学んだ制度が新しい段階に移行をする、そういう通則法の改正を用意しているわけでございます。次の臨時国会でこれらの法案を、独法通則法は臨時国会で、公務員関係、例えば内閣人事局の法改正は来年の通常国会でという具合に着実に改革を進めていくことが大事であろうかと思います。

問)

もう一点ですが、総理が内閣改造、自民党役員人事に着手しておりますが、報道等によりますと、町村官房長官が留任、また麻生さんが幹事長にという方向になっているようですが、新しい内閣と党執行部に対して求めることを改めて教えていただけますでしょうか。

答)

私の立場からいきますと、改革を着実に進めていく、そういう決意が必要であろうかと思います。改革が途中で頓挫(とんざ)をしたり、骨抜きになったり、あるいは骨が入っているようで小骨が抜かれていたり、ということがあってはならないと考えます。改革に対する不退転の決意、これを持って望んでいただきたいと思います。

問)

金融のことなのですが、やり残したことの関連で、市場強化プランの実行に移していくことが大事という話なのですけれども、特に重要な政策に優先順位を付けていくとしたら、どういったものから取り掛かっていくのが大事だというふうに思われますか。

答)

要するに、端的に申し上げれば、日本市場が使い勝手のよい、世界中からまた日本国内からお金が集まる、そういう市場にならなければいけないわけでございます。したがって、いろいろな種類の多様な投資家が集まって経済を活性化していくことに貢献できるような、そういうマーケットにしていくことが大事であろうかと思います。

問)

二点お伺いいたします。1点目は、この1年はサブプライム問題がずっと続いていたわけですけれども、大臣として、サブプライム問題についてこの1年をどう振り返られるかということと、まだこの問題は尾を引いておりますが、収束の見通しについてお考えをお聞かせ下さい。2点目は、大臣はアメリカ経済に対する後退懸念に強い危機意識をお持ちだと思いますけれども、我が国の金融機関、金融行政にとっても、警戒水準を高めながらということを繰り返しおっしゃっていますけれども、金融機関のトップーマネジメントの人達に、広い意味でのリスク管理も含めてメッセージをお願いしたします。

答)

いつも申し上げるように、日本の教訓がドンピシャリ当てはまる状況になっていると思います。流動性の危機の背景にはソルベンシー(支払い能力)の問題がある、まさについ先日のファニーメイ(米連邦住宅抵当公社)、フレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)の問題というのは、いよいよソルベンシーの問題が前面に出てきたということが言えるのではないでしょうか。日本では10年前の危機の時には、半年に1回くらい大事件が起こっていたのです。当時は、半年毎の中間決算をやっていたわけです。今は四半期開示でありますから、大体3ヶ月か4ヶ月に一度、ドーンと問題が起きる、それがもう1年前から続いてきているのです。そういったことを考えれば、まさしく日本が経験したように、どれくらい損が出ているのか、その損失をまず計ることが大事であります。一方、この損失がなかなか確定しないというのは、まさにアメリカ経済のネックとなっている、住宅価格が下げ止まっていないというところに非常に大きな要因があろうかと思います。したがって、この住宅価格がどれくらい下がるのか、そういったシミュレーションは常にしておく必要があろうかと思います。

日本はベルリンの壁崩壊後、真っ先に危機に直面した先進国であります。今、欧米の巨大複合金融機関が日本と構造的には全く同じ問題に直面している、つまり不良債権問題、ソルベンシーの問題に直面をしているということを考えれば、この問題からいち早く立ち直った日本の金融機関にとっては、まさに「ピンチはチャンス」だということが言えるわけであります。こういう時こそ、まさに攻めの姿勢に転換をする。リスク管理は極めて大事なことでありますが、金融機関はそもそもリスクを取ってなんぼの世界であります。この根源的なチャレンジ精神を忘れてはいけないと考えます。

問)

人事についてなのですが、これまでの自民党の役員人事の調整で、麻生太郎さんが幹事長に内定していますけれども、来るべき選挙に備えて、国民的に人気のある麻生さんを幹事長に据えたとも言えるかと思いますけれども、この人事をどういうふうに受け止めていますか。

答)

麻生(前)幹事長は、2回目の登板かと思います。大変経験豊富な方ですし、また国民的な人気も高い方でありますから、福田体制を党において支えるうってつけの人材として、福田総裁がお選びになったものと思います。

問)

内閣支持率、今のところ低迷状態が続いていますけれども、これをきっかけに政権浮揚につながるというふうに思われますか。

答)

要するに、内閣改造と人事の刷新というのは、そういった思惑も取りざたされていますが、基本的に何を実現するかといった観点が大事だと思うのです。福田内閣が掲げている様々な課題を実現するには、どういう人材がよいのかといった観点からお選びになっていると思いますので、その副次的な効果といいますか、結果として支持率の動向というのがあるのだろうと思います。最初に支持率ありきということではなくて、これは結果の問題であろうかと思います。

どうもありがとうございました。

(以上)

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