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茂木内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成20年8月15日(金)10時34分~10時55分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

おはようございます。

今日、10時から閣議でしたが、その前に9時30分から、緊急事態における初動対処についての閣僚の意見交換会ということで、官邸の中にあります危機管理センターにおきまして意見交換が開催されました。

今日、私の方から一点ご報告がございまして、今皆さんのお手元にも配布させていただきましたが、公務員制度改革に関連しまして、顧問会議のメンバーが決まりましたので発表させていただきます。ご覧のとおりの11名の方でありまして、それぞれに高い見識、そして幅広い見方、鋭い洞察力を持ち、各界で活躍されている皆さんでありますので、ぜひ様々な、大所高所からご意見をいただきながら、この公務員制度改革の具体策、詰めをしっかり行っていきたいと思っているところであります。第1回目の顧問会議でありますが、ご案内のとおりメンバーを見ていただきますと相当忙しい方ですので、日程調整をしなければいけませんが、できれば9月上旬を目指して第1回目の顧問会議の日程調整を行っていきたいと思っているところであります。

私の方からは以上です。

【質疑応答】

問)

先日、13日に福田首相の方から「貯蓄から投資へ」の流れを作るために証券税制の見直しを検討されるように指示があったと思うのですが、8月末には税制改正要望のとりまとめもあると思うのですけれども、その現在の証券税制の見直しに向けた検討の進捗状況や今後のスケジュール感を教えていただきたい。あともう一つ、それも含めた経済対策のとりまとめ状況はどのような感じなのかというところを教えてください。

答)

一昨日、総理とお会いしましたときには、時間を1時間とっていただいたのですが、結果的には1時間半以上にわたりまして、相当具体的な議論もさせていただいたところでありますが、金融、そして株式市場に関しましては、総理から大きく二点お話がございまして、一つが、我が国の株式市場について多くの国民から信頼されるものにするということが大前提として重要だというご指摘でございました。それからもう一点、今質問にありましたような、「貯蓄から投資へ」の流れを推進するようしっかり取り組んでほしいということでありました。私の方からも1,500兆(円)の個人の金融資産をどの世代が保有しているのか、また、ドイツであったりアメリカと比べて、貯蓄と投資の比率を比べてみると非常に投資の比率が低いという具体的なデータをお話ししたりもしました。そういった中で、今後しっかり取組みをするようにということでありますから、まさに税制も含めて今検討しておりますが、8月末に向けて、平成21年度税制改正要望の中には、何らかの形での証券税制のあり方というものを盛り込みたいと思っておりまして、まさに今、最終の調整をするという段階になってきております。

あと、これに関連して「安心実現のための経済対策」、緊急経済対策でありますが、これにどこまでの項目を盛り込むのかということについて、一度、与謝野(経済財政担当)大臣と様々な問題につきまして、例えば中小企業に対する資金供給を円滑化するためにどんな方策が考えられるかということ、検査マニュアルにおけます劣後ローンのあり方の明確化等々につきましても意見交換をしましたが、税制の項目をどこまで書き込むのかということについては、ちょっと与謝野大臣の会見を聞きますと、年末にわたる項目まで書き込むようなニュアンスもおっしゃっていますので、もう一度確認をした上で、そういったことも盛り込んでください、ということでありましたら盛り込みたいと思っております。

問)

13日には、アーバンコーポレイションが民事再生法(の適用)を申請したりして、建設とか不動産業の状況が非常に厳しくなっておりまして、銀行の決算にも影響を与えてきているのですけれども、そういった建設・不動産業の状況悪化と、それが銀行の経営に与える影響をどのように考えていらっしゃいますか。

答)

先日の会見でも申し上げましたが、それぞれの地方においてアンケートを取りますと、やはり資金繰りが一番厳しい業種として、まず建設があがってくる、その次に運輸、小売と、大体こういうような状況となっておりますが、何にしても直近の情報をきちんと把握をしなければならないということで、すでに今週から金融庁の幹部を地方に派遣をしまして、どういった状況かということも掴んでおります。

同時に、ご案内のとおり主要行、それから地方銀行の不良債権処理につきましても、主要11行の第1四半期で、不良債権の処分損が2,341億(円)、前年の同月比で900億(円)以上の損失の拡大、地銀につきましては110行中まだ2行残っているところはあると思いますが、処分損が1,488億(円)ということで665億(円)前年同期に比べて拡大をしているという状況でありまして、これはやはり景気の下振れリスクといったものが高まっている中で、不良債権の処理費用が増加しているということが一つの要因としてあると思っておりまして、経済状況が金融機関に与える影響につきましても、引き続き注意深くフォローしていきたいと思っているところであります。

問)

8月5日の会見でも質問が出ていましたが、念のためですが、今日一応終戦記念日なのですけれども、靖国神社の方への参拝の予定はないというお話でしたが、それに変更はないというご理解でよろしかったでしょうか。

答)

特にありません。

問)

顧問会議の件でお伺いします。この顔ぶれですけれども、経済3団体のトップのほかに、連合の会長もメンバーに入っていますけれども、この4人の方を起用された狙いはどういう狙いから起用されたのでしょうか。

答)

先ほど申し上げましたように、基本的に非常に大きな立場から国家百年の計にかかわるような大改革でありますので、大所高所からいろいろな形で見ていただくということでは、高い見識であったり、それから幅広い見方ができる、そして鋭い洞察力ということから、様々な分野の有識者方に入っていただいたということであります。別にそういった経済3団体のトップであるから、それから労働界のトップであるからということを第一義的にというよりも、基本的には人物本位で選考させていただきました。たまたまといいますか、そういった形で経済3団体の代表であったりとか、労働界のトップの方に入っていただきましたが、そのこと自体は、私はよいと思っております。

問)

関連して、先ほど9月上旬にも第1回目(の会合)をというお話でしたけれど、まず、この顧問会議で話し合ってもらうべきテーマは何があるというふうにお考えでしょうか。

答)

この公務員制度改革につきましては、これから1年以内にやること、3年以内にやること、そして、5年で完成させることと、大きな全体のプログラムがありますので、これをお示ししまして、どういう流れで物事が進んでいくのかということについてご意見をいただきたいというふうに思っています。それから、当面の問題でいいますと、やはり内閣人事局につきまして、来年の通常国会に法案を出すとしますと、相当いろいろな具体的な詰めも進めていかなければいけないと思っておりまして、1回目がどこまで議論できるかということにつきましては、今後会議までに詰めたいと思っておりますが、まずは、大きな流れについてご意見をいただく、それからもう一つは当面の大きな課題について議論させていただくと、このようなことになるのではないかと思います。

問)

会議自体はどのくらいの頻度で開いていく予定でしょうか。

答)

顧問会議でありますから、例えば、毎週開くとか、そういう性格ではないと思っています。必要に応じてお集まりいただき、ご意見をいただくというのが基本になってくると思います。感じとしまして、毎月ということにはならないのではないかと思っており、隔月であったり、そのくらいを基本にしながら、ただ、いろいろな形でご意見をいただきたいので、適時集まっていただくと、こんなふうになるのではないかと思います。

問)

関連ですけれども、この顔ぶれのなかで、例えば、座長等のポストをお作りになるお考えはあるのでしょうか。

答)

作るということになると思いますが、座長につきましては、互選ということになっておりますから、第1回目の会議で決まると、こういうことになると思います。

問)

証券優遇税制の話なのですが、配当金の非課税の話が出ていると思うのですが、それへの現時点でのお考えをもう一度お聞かせ願えますか。配当金の非課税をいろいろ(自民党)幹事長が求めたり、大臣も検討に値するということでしたので。

答)

ご案内のとおり、この配当金、それから譲渡益につきましては、昨年の税制改正大綱におきまして、平成21、22年度につきまして、100万(円)、500万(円)という枠がありますが、軽減税率を適用すると、基本的には本則に戻る部分があるわけでありますが、軽減税率を適用するということが今の時点で決まっております。ただ、現下の経済の状態、更には「貯蓄から投資へ」という流れを作っていくという意味では、もう一段、何らかの対策がやはり必要であろうと、こういう認識を持たれている方というのは多いのではないかと私は思っており、その一環として、麻生幹事長からご提案いただきました、あの案というのは非常に貴重だと思っております。

それから、今、与謝野大臣は経済財政担当大臣でありますが、党によりまして「健康現役社会」のとりまとめを行った時は、確か、私の記憶が確かでしたら、軽減税率10%につきまして、高齢者につきましては10%ではなくて非課税という案も出されているようでありまして、そういったことも含めて、どういった案が一番効果があり、また、現実的なのか、こういうことも含めて8月末までに取りまとめを行っていきたいと思っております。私は、こういう議論がいろいろな形の提案の中で起こってくるということは、現下の経済状況を考えると、非常にいいことだなと思っているところです。

問)

その議論の中で、財務省の方からは、やはり厳しい財政状況の中、財政のことを考えると難しいのではないかというような発言を事務次官はじめ意見が出ていると思うのですが、税収というものとのバランスを考えた上ではどうお考えですか。

答)

物事をスタティック(静的)に見るかダイナミック(動的)に見るかでいろいろと違ってくるのだと思います。税というものにつきましては、その一点の、いわゆるプラス・マイナスという見方をすることもできますが、それによって経済行動がまた変わっていくとなりますと、いろいろな意味で税収というのは変わってくるわけでありまして、この時期やはりダイナミックな見方が私は必要なのではないかと思っていますが、財務省は財務省としてのお考えがあると、それは当然のことだと思います。

問)

証券優遇税制の関連で追加したいのですが、今のところ、幹事長が出されたものと、自民党の合同部会が出したもの、更に、日証協(日本証券業協会)が表面化させたもの、の3案が主なところではオープンになっていると思うのですが、それらはいずれをみても、既存の、金融庁が去年まとめたような形のものに更に上乗せしたり、年齢で分けたりと、税制としては非常に複雑なものにならざるを得ないと思うのですが、税制の簡素化であったり、あるいは、そもそも「貯蓄から投資へ」ということを考えると、景気対策で証券優遇(税制)を考えるべきではないという考え方もあると思うのですが、金融庁としてどういう方向を目指されていくのか、どういう方向で案を出すよう指示されるのか、もう少し教えていただけないでしょうか。

答)

税というものは当然、簡素であり、公平であり、というのがよいというのが当然でありますし、経済活動に対してニュートラル(中立)であるのが究極的に望ましい姿なのは間違いないことです。ただ、それでしたら様々ある租特(租税特別措置)というものが全くなくなるわけです。やはり、何らかの政策意図を持って、そういった租税特別措置であったり、そういうものが組まれるわけでありまして、今の全体の経済状況を考えると私は必要なことだと思っております。

先ほど言いましたように、効果とそれに伴う、例えば事務的な煩雑さであったり、そういったものも総合的に判断をしなければいけないと思っているところであります。それから、「貯蓄から投資へ」の流れを作る、このこと自体というのは、やはり単純に経済政策から離れて議論できる問題ではないと私は思っておりまして、当然「貯蓄から投資へ」というものが進むことにより、企業の行動も変わり、企業の行動等が変われば、全体の経済に対する流れを変えていき、そして企業の収益が上がればそれが労働分配という形で個人にもつながり、消費の拡大にもつながるということでありますから、税というものは、極めて経済活動に密接した分野だと認識しております。

問)

先ほど、アーバンコーポレイションが民事再生法の適用を申請したという質問がありましたが、7月の倒産件数がかなり増加したという統計もありますし、一部で、こういう大型の倒産が相次ぐのは、金融機関がいわゆる貸し渋りをしているのではないかという指摘もありますが、大臣はどのようにお感じになっていますか。

答)

そういったことも含めて、先入観を持たずに、実態の地域の貸出状況等々がどうなるか、こういうことを把握したいということで、繰り返しになりますが、金融庁の幹部を地域に派遣しながら、少なくとも前々回の会見の時はアンケート調査を今年の前半でやります、と申し上げましたが、それによりますと、確かに中小企業に対する貸出残高は昨年の9月からマイナスになっておりますが、その主な要因といいますのは、貸し出し態度よりも、むしろ企業側の営業の問題と、こういうお話を申し上げましたが、それがその足元でどのように変わっているか、こういうことも含めてまずはきちんと把握したいと思っているところです。

問)

個別のお話になりますが、先日、三菱東京UFJ銀行がアメリカのカリフォルニアの銀行に追加出資という形で、完全子会社化をしようという、そういった、いわゆる邦銀が海外進出する動きがこのところかなり加速していますが、このような動きについてどのように見られているか聞かせてください。

答)

今週の火曜日、12日に三菱東京UFJ銀行がユニオンバンカル・コーポレーションを完全子会社化に向けて公開買付けを実施する旨公表したということは承知をしております。本件は個別の金融グループの経営判断に係る事項であることから、特段のコメントはご案内のとおり金融担当大臣としては差し控えたいと思います。一般論として申し上げれば、各金融機関が自らの経営判断の下で将来を見据えた経営戦略に基づいた取組みを行っていくと、そして、それによって収益基盤の強化に努めていくと、こういうことは期待をしたいと、そんなふうに思います。

問)

顧問会議の関係ですが、渡辺前大臣は国民目線で改革を進める観点から会議の完全公開という方針を打ち出していたのですが、茂木大臣はこの顧問会議について、公開するか否かということについて、お考えがあるかいただけますでしょうか。

答)

公開いたします。

問)

完全にフルオープンということでよろしいのでしょうか。その狙いをお聞かせいただけますか。

答)

今、「非公開」と言いましたら、改革が後退と言われますでしょうから。

(以上)

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