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茂木内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成20年9月9日(火)10時45分~11時01分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

おはようございます。

特段私のほうからはございません。

【質疑応答】

問)

アメリカ政府が大手住宅金融会社のフレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)とファニーメイ(米連邦住宅抵当公社)に対する救済策を決定いたしました。昨日の株式市場は好感して株価も上げましたけれども、そもそもアメリカの住宅価格が下げ止まらない限り根本的な解決にならないのでは、という見方もありますけれども、今回の救済策に対する大臣の評価、ご所見をお聞かせください。

答)

7日に、米国政府のほうが、「金融市場の安定」、「住宅金融の円滑化」、まさに「納税者の保護」の3つの目的を達成するために新たな対策を打ち出したわけでありまして、GSE(政府支援機関)2社につきましては政府の管理下に置く、管理下に置くに当たりましても、コンサーベーターシップ(経営正常化に向けて管理下に置く)、もし会社の清算でありますとレシーバーシップという言葉になってくるかと思うのですけれど、そういう正常化に向けての管理下に置くということ。同時に、財務省による両社の最優先株式購入に関する契約の締結、そしてGSEへの信用の供与、GSEモーゲージ債券の購入等による支援策を講ずることとしたわけであります。これにつきまして、GSEの財務悪化懸念による市場の混乱等を収束させるための取組みが迅速になされたものと思っております。

実は、先日、米国を訪問させていただきまして、米国の当局関係者とお話をしましたときも、本件については、日本としても大きな関心を持っていると、しっかりした対応を期待したい。こういうことも申し上げてきたところでありまして、まさにそういった迅速な対応が取られたことにつきましては、日本の金融当局としても歓迎をしたい、と考えています。

ただし、グローバルな金融市場におきましては、依然として緊張というものは続いているわけでありまして、金融システムの安定性に関しては高い警戒水準をこれからも維持しつつ、幅広い観点から、注意深くフォローしていきたいと考えております。

問)

これに関連してですけれども、日本の金融機関が、GSE債をおよそ15兆円保有しているというデータもあります。金融庁としても、国内金融機関の保有額について調査をされたはずですけれども、その保有額等について今後公表する考えはおありかということと、今回の救済策で価格の下落とかデフォルト(債務不履行)の危機は去ったと言われていますけれども、金融機関の経営に与える影響についてはどのようにお考えでしょうか。

答)

GSE関連債券の日本の金融機関の保有状況については、決算の公表であったり、マス・メディア等の取材等も受けまして、一部の金融機関について開示が行われているわけであります。ただ、一部といいましても、それがかなりの部分を占めると思うのですが、今の段階で申し上げると、主要行及び農林中央金庫におけるファニーメイそしてフレディマックの発行する債券の保有残高は今年の6月末時点で約10兆円ということで承知をいたしております。持っているのは債券のほうでありまして、株式というものはほとんど持っていないわけであります。

そして、この新しい対策発表後のGSE2社の株価は相当落ちてきておりますが、その一方で、債券の対国債スプレッドで申し上げますと、これは相当ナローになって(縮んで)きている形でありまして、そういった点で、一気に中和できないわけでありますけれど、少なくとも、ここ1日、2日の動きの中で、日本の金融機関に対して悪影響が及んでいるというようには考えておりません。

問)

自民党総裁選ですけれども、10日の告示の前に5人の立候補者が乱立する状況になっていますが、現時点で大臣はどの候補を推されるつもりなのかという点と、22日の投開票まで様々な論争が行われると思うのですけれど、現状いろいろな政策テーマ、財政再建なり社会保障なりいろいろなテーマがありますけれども、何が最大の論争のテーマになるべきとお考えでしょうか。

答)

先週の記者会見で申し上げたときは、候補者が4人になるのではないかと、「あさののぶこ(麻生太郎、与謝野馨、石原伸晃、小池百合子)」というのがバランスのいい名前だと申し上げたのですが、その後3人くらい「いしばしふとし(石破茂、棚橋泰文、山本一太)」とかこういう名前が出てきたわけでありますけれども、結局いろいろな調整の中で、「太い橋については、工事が間に合わなかった」ということなのだと思います。したがって最終的には、5名の候補者が出馬されるということでありまして、金融の分野で申し上げると、「貯蓄から投資へ」の流れを作るという観点で、麻生幹事長の施策は、私は個人的に非常に高く評価をさせていただいております。この点につきましては、大臣就任以来何回かお話してきた点でありますが、同時に今回の自民党の総裁選、活発な政策議論が進むということが必要でありまして、残りの4名候補予定者、苗字が若干変わりまして、「あさののぶこ」から「いしののぶこ(石破茂、与謝野馨、石原伸晃、小池百合子)」さんになったわけでありますけれど、この「いしののぶこ」さんにも頑張って欲しいと思っております。

そういった中で、当然今回の総裁選、幅広い政策テーマ、それはやはり外交安全保障もあります、さらには少子高齢化社会の中での社会保障制度のあり方、そして財政のあり方ということもありますが、おそらく経済担当大臣としてというところもありますが、国民の一番大きな関心というものは、現下の原油高、原材料高、食糧高、そういった中で、景気が弱含み下振れリスクがあるといった中で、景気対策をどうするのか、どういった形で日本の経済の現状を変えていくのか、ということではないかなと思っておりまして、私としてはその点に注目をしながら最終的な判断をしたいと思っています。

一つ言い忘れたことがあるのですがいいですか。9月2日、先週火曜日に雇用・能力開発機構が設置しております「私のしごと館」の視察をする予定でありましたが、総理の辞任発表の次の日ということで延期させていただきましたが、今週の12日金曜日にこの視察を行いたいと考えております。前回と大体同じようなスケジュールになるのではないかと思いますが、今日中にでも具体的な日程については貼り出しをさせていただきたいと思っております。

問)

この雇用・能力開発機構の件なのですが、今日の閣議の前後で総理あるいは舛添(厚生労働)大臣とこれに関してお話しする機会はありましたでしょうか。

答)

舛添大臣と閣議前に話をさせていただきました。何回か舛添大臣とは話をさせていただいておりまして、基本的な考えはお互いの間で変わっていない、同じだと思っておりまして、あの機構については抜本的に変えていかなくてはならないという思いは共有しているつもりであります。

ただ、報道されますと、若干ニュアンスといいますか、どちら側から物を見るかということで、表現振りというのが若干違うふうに映るところがあるかもしれませんけど、基本的な考え方は舛添大臣と私は変わっていないと思っています。

問)

茂木大臣の方は、機構は廃止ということをおっしゃっていますけれども、廃止という方向で舛添大臣との間でも合意できそうな見通しということでしょうか。

答)

これから具体的に詰めていくわけでありますけれど、もちろん私もそうでありますが、有識者会議の皆さんも、初めから廃止ありき、初めから解体ありきということで議論しておりません。相当慎重なご議論をしていただいて、その結果として機構そのものについて廃止、そして組織は解体、そしてまた機能については整理をしていくという、こういうことでほぼ方向性というのは出てきていると、こんなふうに思っているところでありますが、これから具体的な制度設計に入っていかなければならないと思っておりまして、例えば、職業能力開発総合大学校につきましては、おそらく廃止ということについては、舛添大臣と個別には話しておりませんけれど、異存はないと思います。ただ総合大学校の、今度は個々の機能を見たときに、職業訓練指導員の養成業務というのは、卒業しても1割から2割しかないわけですから、これについては必要と言える形ではない、つまり廃止ということになるわけでありますけど、現職の職業訓練指導員に対する再教育・再訓練、この機能というのは必要だという意見も私は十分にあるのではないかと。そうなりますと、この総合大学校を廃止した後で、新しい先生の養成業務、これは無くす、廃止をするのですけれど、もう一方の今いる先生方、これに対する再訓練であったり、この機能をどこが担うかと、これはこれから最も相応しい機関であったり、そういうことを考えていかなければならない、そんなふうに思っておりまして、おそらくそういった新しい受け皿をどうするか、とこういう議論も出てまいります。

さらに申し上げると、例えば、ポリテクセンターにしても、地方に移管をする、民間に移管をする、こういう方向については、おそらく合意が得られると思います。ただその上で、やはり来年からすぐに全部移管という話には実際の問題としていかないわけでありまして、どれくらいの期間をかけてどうするか、こういうことを詰めていかなければならない。そのためにも、大きな方向については早く結論を出す。9月中に結論を出して、その上で細かい制度設計といいますか、具体策というのを一年以内に詰めていかなければならない。一年というのは年末くらいまでに詰めていかなければならない、とそういうことであり、そういう大きな方向が出た上で厚生労働省との間では相当緊密な議論をして、詰めの作業というものをやっていかなければならないと思っております。「タイミングについても最終的に全部がそういう詳細設計まで終わるのはいつですか」とかいう話、「タイミングまで決めるのはいつですか」ということになると、「後何か月かはかかる」。そういうことで舛添さんが言っていることは正しいのです。一方で、大きな方向の結論が出ませんとそういう作業に入れませんから、「それは9月までに出す」と。それについては、私の言っていることを舛添さんにも理解いただいているところでありますから、そういったところで、どういうことを聞くかによって若干ニュアンスの差なりはあるかと思いますけれど、基本的な改革の方向であったりとかスケジュール感について、私と舛添大臣の間で齟齬があるとは思っておりませんし、そのことも今日舛添さんと確認させていただきました。

問)

アメリカの金融不安の件なのですけれども、思い返せば日本でも住専(住宅金融専門会社)を処理した後に民間金融機関の破綻(はたん)とかが嵐のようにやってきたのですが、それを考えるとアメリカでももう一段の何か対策が必要なのではないかと考えもするのですが、そういう民間金融機関の破綻に備えた予防的な対策みたいなものが更に必要かということについてはいかがでしょうか。

答)

これはアメリカの当局として、そういったことも含めて適切に判断するということを期待しているわけでありますけれど、今回打ち出しました施策についても、公的な資金の投入につきましては相当大きな枠というものを持った上で第一弾の対策を打ったという形でありますので、そういった状況を見ながら必要な措置というのは迅速にとれる、少なくとも、これまでの対応を見ている限り、そんなふうに考えております。

問)

前回のアメリカ出張の時、ポールソンさん(財務長官)にはお会いしなかったですけれど、バーナンキさん(FRB(連邦準備制度理事会)議長)とストロス=カーンさん(IMF(国際通貨基金)専務理事)に会われて、そのお話の中でもう一段の、GSEと離れて民間の金融機関の公的資金について言及等はあったのでしょうか。

答)

民間の金融機関に対する公的資金の導入云々についてお互いに当局同士、外部に漏らさないという形でお話をしておりますので、詳らかにできない点もありますが、ご案内のとおりの不動産・住宅市況の中で相当やはりアメリカの金融機関についても厳しい状況というのもありますので、率直な意見交換なりはさせていただいております。

(以上)

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