英語版はこちら新しいウィンドウで開きます

茂木内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成20年9月19日(金)10時57分~11時10分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

今日の閣議後の閣僚懇談会におきまして、例の事故米の問題につきまして、何人かの閣僚からご発言がございましたが、金融の問題、行政改革に対する特段の発言はございませんでした。

閣議とは別件でありますが、中小企業金融の円滑化に向けた実態把握の取組みはこれからも進めていくわけでありますが、中小企業金融の円滑化についてはご案内のとおり、先般9月2日に、金融庁として今後の対応について取りまとめを行い、公表したところでありますが、その中で引き続き、きめ細かな実態把握に努めるということになっております。その具体策の一つといたしまして、経済産業省、中小企業庁と相談いたしまして、全国各地150か所を目標にいたしまして、両省庁合同で、地域の中小企業者と業況や金融の実態等について意見交換を行うことにいたしました。金融庁といたしましては、中小企業に対する金融の円滑化は、金融機関の最も重要な役割の一つであると認識しておりまして、今後ともその実現に向けて努力してまいります。詳細につきましてのスケジュール等については、監督局総務課の方にお問い合わせいただければと思います。

私の方からは以上です。

【質疑応答】

問)

米政府が金融危機の対応として、不良債権を買い取って処理する公的機関の設立構想を明らかにしましたが、これに関するご所見をお願いします。

答)

そういった報道があるということは、もちろん承知をいたしております。その整理信託公社、RTCみたいなものがどのような形になるのか、どういうスケジュールになるのか、現段階で立ち入ったコメントをすることは差し控えたいと思いますが、米当局は、これまでもGSE(政府支援機関)に対する支援と問題解決に向けて様々な取組みを進めておりまして、米当局におきまして更に市場の安定化に向けて取組みを図っていくということにつきましては歓迎したいと思いますし、米国当局をはじめとする海外関係当局と緊密に連携しながら、今後の動向についても注視をしていきたいと、このように思っております。

問)

昨日、日米欧主要の中央銀行がドル供給の協調対策を打ち出しましたが、米市場の影響により、国内金融市場の資金調達環境に何か変化があったというような兆候は見られるのでしょうか。

答)

足下において、市場に対して潤沢な資金供給を日米欧協調の下で進めていくと、こういうことは非常に重要だと考えております。ただ、インターバンク市場における短期金融の動向、あるいはドル資金の取引状況につきましては、日本銀行において正確かつ細かに把握しているものと承知いたしておりますが、金融庁として、我が国の金融機関がドル調達に現時点で支障を来たしている、という認識は持っておりません。

問)

昨日、基準地価が発表されまして、また下落幅が拡大したのですけれども、この地価の下落は地方だけでなく都市の一部も下げに転じていますが、これが金融機関の経営に与える影響等についてどのようにお考えでしょうか。

答)

大きな話で申し上げると、今の日本の状況がアメリカ・ヨーロッパと若干違っているのは、アメリカの場合、サブプライムの問題、これがダイレクトに(直接)金融機関関連の業況に影響を与えて、それが実体経済の方に波及すると、こういう流れであるのに対して、我が国の場合、サブプライムの問題の金融機関への直接の影響は相対的に低いわけであります。一方、世界経済が減速する中で、更には原油・原材料価格の高騰、そして国内における不動産・住宅市況等の問題もあり、実体経済が厳しい状況になる、それに関連して与信関連コストも増えると、こういう流れの中で問題があるのだと、こんなふうに感じているところであります。

現時点におきまして、今回発表された地価の動向等がどこまで金融機関の経営に影響を与えるか、このことにつきまして具体的な数値をここで発表すると、こういう段階にはならないわけであります。何にしても、今は不動産につきまして地域のヒアリングをしましても相当業況が厳しいと、こういう意見は出てきております。金融庁として、不動産業を含め特定の業種に対する融資を抑制することを求めているわけではもちろんありませんし、金融機関に対しても特定業種への融資について抑制的な指導をすることはないと、こういうメッセージをホームページにも掲載したり、そういった施策もとっております。リスクを取るところはしっかり取ると、そういう姿勢を持ってほしいと、こんなふうに思っております。

問)

米国政府の対応なのですけれども、不良債権買取機関のほか、英国との空売り規制の協力など追加措置を検討しているようなのでけれども、現時点で(金融庁に)何か連絡は入っているのでしょうか。

答)

先日来申し上げておりますように、今の金融市場の混乱に関連しまして、当局同士、非常に緊密な連絡をとっております。政府間の問題でありますし、その内容につきまして発表しますと市場に影響を与えたりする項目も出てまいりますが、様々な措置等について検討されていることについては、日本政府としてきちんと情報を把握しているつもりでおります。

問)

イギリスの方では、空売り禁止の発表があったようなのですけれども、こういった空売り規制について日本の対応は何か考えられるでしょうか。

答)

イギリス政府は公表したのですか。

問)

(公表したと)伝えられているのですけれども、英国政府、イギリスFSA(金融サービス機構)の方なのですけれども…。

答)

それはまだ、直接私は聞いておりませんが、基本的にイギリスが日本、アメリカと比べると今一番規制が緩いわけです。どこまでのものをやるか、また正式に政府として決定されたのか、それを見た上でコメントさせて下さい。

問)

先ほど出ました買取機構の件ですが、正式にはこれから構想の段階かと思うのですが、AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)の救済策のときにも大臣は、不動産ですとか住宅市場の本質的な問題というものはまだ残っている、とおっしゃっていましたけれども、こうした買取機構がもしできるとすれば、今アメリカが抱えるサブプライム問題の本質に少し迫ったということにはなってくるのでしょうか。どういうふうにお考えでしょうか。

答)

様々な対策を取っていく中で、当面の金融の安定化、市場の安定化は最重要だと考えておりますが、その根底を見ますとやはり米国におきます不動産・住宅市況の悪化というものがありまして、これがなかなか下げ止まらないという問題が解消されない限り、国際金融全体も安定してこない問題があるわけでございます。そういった中で証券化商品について今後どう考えていくか、これだけレバレッジのかかっている世界がどうなっていくか、こういう問題も一つあります。それから、一方で今ご指摘がありましたように不動産・住宅市況に関してどういう対策を取っていくか、こういうことは、できることとできないことがあると思いますけれども、検討はしていかなければならないと思います。そういった中で、米国におきまして不動産、また住宅市況に対する何らかの前向きな対応を取るということであればそれはもちろん歓迎されるものであると思います。

問)

AIG、リーマン・ブラザーズの関係の余波で、日本の一部の投資信託でも解約の停止とかが起きて一般の投資家にも影響が広がっているわけですけれども、その点についてはどうお考えでしょうか。

答)

投資信託の商品の中にリーマン・ブラザーズの関連の証券が組み込まれているものもあるということは承知をしておりますが、現時点で把握している限りでいいますと、その組成比率というのは比較的小さいものではないかと承知をいたしております。

また、AIGの関連会社が発行した債券を組み入れた投資信託のうちには、確かに、組み入れたAIG関連債券の適正な価格が現時点で算定できなくなったために投資信託自体の基準価額、時価が算定できなくなったり、新規設定や解約の申込み・受付が停止されたものもあるというふうに承知いたしております。この点について申し上げますと、ご案内のとおり、AIGにつきまして公的救済策が発表されたことによりまして市場が正常化に向かうことが期待されておりますし、これによりましてAIGの関連債券の時価算定も早期に正常化し、投資信託の基準価額の算定も可能になる見込みだと見通しを示す運用会社もあると承知をいたしております。

いずれにいたしましても、金融庁として投資家保護の観点から万全の対応が図られるように状況をよく注視していきたいと思っております。

問)

リーマン・ブラザーズの破綻ですとか、AIGの公的支援に至るまでの経緯の中で、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)のリスクの問題がクローズアップされているところだと思うのですが、CDSのリスクの所在がよくわからない中で、これが連鎖破綻の引き金になるというような見方もあります。今後、CDSが世界の金融システムにどういう影響を与えるものなのかというところについて大臣のご所見を伺いたいのですが。

答)

我が国の金融機関におけるCDSの取引状況につきましては、それぞれの金融機関がディスクロージャー資料において開示をしているところであります。金融庁といたしましては、CDS取引を含め各金融機関において全体としてリスク管理がきちんと行われているか、オフサイト・モニタリングや検査においてきちんとチェックを行っているところでありますし、こういった状況におきまして、そういったチェックであったり、これは更に万全を期していきたいと思っています。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る