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茂木内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成20年9月24日(水)09時31分~09時53分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

先ほど閣僚の辞表取りまとめの閣議も終了いたしました。短い期間でありましたがみなさんに大変お世話になりましたことを、冒頭、心から御礼申し上げます。

金融担当大臣としては、特に先週のリーマン(・ブラザーズ)の破綻(はたん)から始まりまして、AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)に対する公的資金の注入、そして米国当局が金融危機に対する包括的な対策を発表と、めまぐるしい1週間でありまして、もちろん市場の混乱の収拾に一定の期間を要すると思いますが、大きな方向というものは見てきたのではないかなと感じているところであります。この2か月を振り返ってみますと、8月の末には金融庁としての税制改正要望、「貯蓄から投資へ」の流れを作るといった改正要望をまとめさせていただきました。また、先月末には「安心実現のための緊急総合対策」の策定にも関わらせていただいて、さらに9月2日には中小企業金融の円滑化に向けた今後の対応についても公表させていただきました。いろいろなことができたのではないかと思っているところであります。

また行政改革の分野におきましては、独立行政法人の見直しの中で、焦点となっておりました雇用・能力開発機構の存廃につきまして、行政減量・効率化有識者会議の方で、機構については廃止、そして組織については解体、さらに機能については整理と、大きな方針の取りまとめも行うことができました。

さらに、公務員制度改革に関しましては、基本法を受けまして顧問会議を既に2回開催することもできまして、今後の作業に向けてのよいベースを作れたのではないかなと思っているところであります。

おかげさまで皆さんの協力もありまして、この2か月弱、よい仕事をさせていただいたかなと思っているところであります。本当にありがとうございました。

【質疑応答】

問)

内閣の総辞職ということです。改めて閣僚としてのお立場から福田内閣をどのように総括されるのかということについてお伺いします。特に、福田内閣がわずか1年で終わった要因としては衆参ねじれ国会が指摘されているわけですけれども、この点を含めてお願いしたいと思います。それと、先ほどの話にもありましたが、大臣就任の2か月弱を振り返って、改めて金融(担当)大臣、行革大臣(行政改革担当大臣)の仕事について、なしえたことと、やり残したことについて教えてください。

答)

今日閣議でも、総理談話の中にねじれ国会の話といいますか、国会で苦労されたという、そういう衆参でねじれがある、ある意味異なる民意の下で、衆議院、参議院が構成されているという状況は何らかの形で打開をしなければいけない。おそらく、近く予定される衆議院の解散総選挙によって、本当の意味での民意と、それを確認することによって内外様々な課題、大きな課題があるわけですから、それに対して、政府、また国会が一体になって取り組めるような体制を作っていくということが、今、なによりも求められていることだと思っているところであります。

それから、大臣としてのこの2か月弱の仕事でありますが、冒頭申し上げましたように、おかげさまで充実した仕事ができたのではないかなと実感をいたしております。そういった中で、金融で言いますと、まだ国際金融市場の混乱というものは完全に収まったわけではありませんから、さらに警戒水準を高めて、国際金融の動向であったりとか、米国市場の動向であったりとか、しっかりとフォローしていかなければいけないと思っておりますし、同時に、国内におきましては、実体経済弱含みの中で、中小企業金融の一層の円滑化に努めていくということが今後の課題としては残っていると考えております。それからまた、行革の分野におきましては、雇用・能力開発機構についての大きな方針というものは決めさせていただきましたが、これからその方針をベースとしまして、厚生労働省ともいろいろ議論をしながら具体的な、詳細な制度設計を年末までに詰めていくという作業は残っていると考えております。また、公務員制度改革につきましては、この後、当面は来年の通常国会に向けて、内閣人事局のあり方を決めていかなければならない、さらには3年のスパンの中で国家戦略スタッフであったりとか、様々な作業というものが残っておりまして、まさに基本法で決められたことをしっかり進めていくと、これは道半ばだと思っております。

問)

自民党の新総裁に麻生氏が選出されたのですが、この結果についてどのように捉えていらっしゃるかということについて伺いたいと思いますが、麻生氏の経済政策については積極財政路線と証券優遇税制が挙げられると思うのですけれども、これをどのように評価するのかということについて教えてください。それと、一部報道で、次の金融担当大臣に中川昭一氏が財務省と金融庁を兼務するという報道がありますけれども、大臣、この点について何か伝えられているようなところはあるのでしょうか。

答)

人事については伝えられておりませんし、まさに新総理がお決めになることだと思っているところであります。証券優遇税制、「貯蓄から投資へ」の流れを作るという税制については、私は必要な税制だと自分でも考えております。この点に関しましては、当時の麻生幹事長からも後押しをいただきながらよい方向性が出せたのではないかなと感じております。一方、実体経済が相当厳しい中で、何らかの形の景気刺激策は必要だと今考えております。ただそれが、ばら撒きにならない形で、どう経済の再生であったりとかそういったものにつなげていくような、きちんとした集中と選択、これをもったものにしていくということが重要なのではないかなと思っております。

問)

金融の関連で、野村ホールディングスが、破綻したリーマン・ブラザーズのアジア部門と欧州部門の買収を発表しました。三菱UFJ(フィナンシャル・グループ)についても、モルガン・スタンレーに最大20%出資するという表明をしています。サブプライム問題のダメージが少なかった日本勢が、高収益を誇った米国の名門投資銀行に攻勢をかけるというような構図になっているわけですけれども、一方で、日本勢が米国の金融機関の損失を被ってしまうのでないかとか、日本勢に米国金融機関のマネージができるのかという懸念も指摘されています。おりしも東京市場の国際競争力強化がテーマになる中で、こうした日本の金融機関の動きについて、大臣はどのような評価をされますでしょうか。

答)

基本的には、この問題は個々の金融機関の経営判断の問題だと感じているところでありますが、少なくとも、例えば、リーマンにつきましては、破綻ということでありまして、その引受け先なりが早期に決まるということはマーケットから見ても好感をされることだと思っております。そういった中で、当然、我が国の金融機関、適切な経営管理、それからリスク管理を前提としつつ、状況に応じて的確な経営判断が、資本参加であったりとか、部門の買収であったりとか、そういうことを含めてでありますが、そういったことを通じて、国際金融市場全体の混乱が早期に安定の方向に向かうということは期待をしたいと思っております。

問)

今日の閣議では、最後総理からはどのような話があったのでしょうか。それに対して閣僚からはどういった発言があったのでしょうか。

答)

内閣総辞職にあたっての内閣総理大臣談話というのが出ておりまして、「衆参決議が異なる、この未曾有の国会状況の中、私は揺るぎのない使命感を心内に秘め、内閣総理大臣に就任いたしました。私の使命感、それは自身の内閣の寿命を考えず、日本国と日本国民に明確な道標を提供し、この道標を確実に次の世代にバトンタッチしていくことでした。国会運営が遅滞を生じざるを得ない状況下、補給支援特措法案成立のために臨時国会は再度の延長を要し、歳入関連法案も予算成立から1か月あまり遅れ、日銀正副総裁人事は4人もの候補者が否決されました。理由の如何にかかわらず、結果として十分な対応ができなかったことにつき、国民に対し責任を痛感しておりました。

私が何よりも重く考えていたことは、「政治に対する国民の信頼」であったからです。今日、国の内外は大きく変化しています。政治・行政の、「生産力の拡大強化」という従来の考え方や手法だけでは、国民の幸せにつながらない時代になりました。これまでの政治や行政を根本から見直さなければならない。消費者庁設置法を決定したのはその一例であり、道路特定財源の一般化、国民の立場に立った行政を展開するための公務員制度改革、さらには徹底した行政経費の削減などに、全力を尽くしました。私の想う「国民目線」とは、これらの施策を連携させ、構造体として作り上げていくことです。この改革は緒についたばかりですが、その進むべき道標を立てることはできたと考えております。我が国は、景気の転換点を越えました。また、資源の逼迫と価格高騰、低炭素社会への転換、行き過ぎた金融経済が引き起こす問題、人口減少などの、構造的課題への対応にも迫られています。私が、洞爺湖サミット等を通じて提言した環境問題への取組みをはじめ、内外の課題に対峙する今、何よりも大切なことは政治の安定です。私は、自らの使命感に基づき、内閣総理大臣を辞任いたしました。これまでの国民の皆様の温かいご支援に対して、心よりの感謝を申し上げます。」こういう談話がございまして、同時に総理の方から閣僚の皆さんには本当に尽かさず大変ご苦労様でした、とこういうことばがございました。これに対して伊吹大臣それから斉藤大臣、これは公明党から出ている閣僚ということで、それぞれ総理に対して労いのことばがございました。

問)

組閣の情報なのでまだ決まっていない部分もあるのかもしれませんが、財務大臣と金融担当大臣が兼務するということが事実であれば、10年前の財金分離ということを掲げて今こういう金融庁が発足しているわけですが、そうなると金融庁という、財金分離が形骸化する恐れもあるのではないかと思うのですが、この点に関していかがでしょうか。

答)

議院内閣制の下での政治のリーダーシップの話と官僚組織としての組織運営体制の話と、これは必ずしも一括では議論できない問題ではないか、とこんなふうに思うわけでありますが、いずれにしてもこれは任命権者の総理がお決めになることでありますし、まさにそこの中でどういう運営がなされるかということで評価される問題だと思っております。

問)

野村がリーマンの事業を引き継ぐことで人員を5,000人受け入れるという、この5,000人という数字と、三菱UFJフィナンシャル・グループがモルガン・スタンレーに対して約1兆円弱の出資をするという、この1兆円弱という金額、規模についてどう見られていますか。

答)

個々の経営判断の問題でありまして、先ほども一般論としてのお話を申し上げましたが、いくらが妥当であるとか、何千人を受け入れるのが良い悪い、とこういう問題については恐縮ですが大臣としてはコメントできません。

問)

金融の方でこの混乱の事態というのは、まだどういう収束を見せるのかというのは進行中ではあると思うのですが、この2か月間を振り返って、これまでアメリカの投資銀行というところが主に牽引する形で引っ張ってきたこの資本主義経済のあり方というか、こういうものが今後どういう方向になるのか、修正されるのか、あるいは投資銀行というのがこのようにして全部FRB(連邦準備制度理事会)の管轄下に入って、そういうモデルというのがもう崩壊していくのかどうか、位置付けというのがどういうことになるのか、なかなか難しいと思うのですがお聞かせいただきたいのと、あとその中で日本勢というのは逆に攻勢という形で出ていますけれども、一方でこのように金融の競争力を強化という流れに少し水をさされる形になるのかどうか、そのあたりの考えというのを聞かせていただけますでしょうか。

答)

大変難しい、1時間くらいかかりそうな質問をされてしまいましたが、日本のバブル崩壊以降の一連の流れと今回米国に端を発した金融の混乱を比べてみると、やはりスピードと広がりというのが明らかに違うと感じておりまして、日本の場合バブルの崩壊から山一(山一證券)、拓銀(北海道拓殖銀行)の破綻であったり公的な資金の投入、これまで大体7年のスパンがかかっているわけでありますけれど、アメリカにおきましては昨年の夏にサブプライム・ローンの問題が顕在化しまして、その後大手の投資銀行の破綻であったり、公的資金の導入とこういうことまで一年弱ということですから、相当そのスピード感というのが早くなっているなと、率直に申し上げてこの1か月位を考えますと私が想定していたスピード以上のスピードでいろんな物事が進んでいる、とこんなふうに感じております。同時に、当時の日本はいわゆるローンという20世紀型のものによります金融危機という形でありましたが、今回の場合は証券化商品を通じて一気にいろいろな問題というのが世界に広がる、そしてまた、価格につきましても証券化商品でありますから土地、不動産の価格が下落をするとそれがその瞬時に商品価格に影響すると、こういった形でスピード、そして広がりといったものが違うのではないか、とこんなふうに考えております。そういった中で金融の再編を取りましても日本の場合、10年位の中で金融の再編が国内において、少なくとも銀行において進んできたと、これに対しましてまさに今起こっている金融の再編というものは、国境を越えたまた業態を越えた再編というものがまさに起こっているということで、よりダイナミックな動きではないかと、こんなふうにも見ております。おそらく反省点というものもあるのだと思います。この今回のサブプライム・ローン問題を振り返ってみてというタイミングではないかもしれませんけれど、例えば行き過ぎたレバレッジ、これに対してどうするか、今後そのリスクの所在というのを的確に捉え、そしてまたリスクを最小限に抑えるなりの手法といったことをやはり考えていかなければいけない、とそんなふうに思っております。

問)

その反省点という意味では、例えば金融庁でも中小企業金融の円滑化で検査体制をどう見直すかであるとか、国際的なリスクのあり方をどうウォッチしていくかと、金融庁自身も何か変わらなければいけない点や今後改善していかなければならない点がいくつかあると思うのですが、2か月間見ておられて率直なご意見はございますか。

答)

確かに環境の変化というのは大きいわけですから、その時々の環境に応じて組織運営のあり方というのは不断に見直していく必要はあると思っております。ただ私は率直に言って、金融庁の職員はこの2か月弱私の下でよく仕事をしてくれた、とこんなふうに思っておりまして、ご案内のとおりリーマンの破綻の懸念が出た時から、9月15日は祝日でありましたが幹部総出であらゆる事態について対応にあたってきたというこの一例を取ってもそうでありますが、常々私との情報の連絡であったりとか、非常に的確にやってくれた、スピーディーにやってくれた、とこんなふうに思っておりますし、新大臣の下でもまだまだいろいろな意味での問題が起こってくる、とこんなふうに思いますが、しっかりした仕事を続けてほしいと思っております。

(以上)

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