亀井内閣府特命担当大臣初閣議後記者会見の概要

(平成21年9月17日(木)0時20分~1時36分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

このたび、私が金融担当という、そうした役割を果たせということで受けてまいりましたけれども、さっきも、ここの幹部の職員とも話しておったのですが、金融というのは体に例えれば血液であって、これがうまく回っていかないと人間の体はうまくいかないのと同じように、経済だって社会生活だってうまくいかないわけですから、それをどう、うまく回していくかということは、本当に、国家にとっても国民にとっても一番大事なことだろうと思います。

先ほど(官邸での記者会見)もちょっと言いましたけれども、今はそれがきっちりと機能していない。それは国民の中の一部の人たちにとっては機能しているかもしれないけれども、国民の、いわゆる相当数の人たちにとっては、自分たちの生活のために機能していない、自分たちが生きていくために機能していない、そういう状況に、残念ながらなってしまったのです。

これは先ほど言った市場原理至上主義というか、利益を得るためには、金をもうけるためには何をやったってもいいんだという倫理観、そういうものの中で、さっき(官邸での記者会見で)だれか、モラトリアムをやると言ったら銀行協会かどこかが反発しているなんて質問していたけれども、自分たちは利益さえ上げればいいのだ、と小泉さんがそういうことを奨励したという面もある。それに乗ってしまって、自分たちの社会的責任というものを考えないということを、銀行から何から、やり出してしまったと。そういう状況が、もっと自公政権が続いていった場合には、本当に日本経済は大変な状況になるし、国民の相当数というのは、本当に大変なことに、私はなっていくだろうと思っていました。

鳩山政権が生まれたのは、ある意味では私は神の手が動いたと、アメリカでは神の手が動いてオバマ政権が生まれたけれども、日本では神の手が動いて鳩山政権が生まれたと、私はこのように思います。

ぎりぎりのところで、今、土俵の俵に足がかかった状態であると思いますが、鳩山政権がそうした、今までのことをきっちりと総括をして、新たな、ある意味では革命的な政策を展開をしていかなければ、こんな状況を変えるということは、私はなかなか難しいだろうと思っております。

そういう意味で、金融担当大臣を拝命したということは、非常に我々にとってありがたいことで、鳩山総理と私は、この1年以上、週1回の定期協議で、いろいろな話をずっとしてきた仲でもありますから、時代の認識、経済の認識、今後どうしたらいいかというようなことについては、おかげさまで共通の認識、そういうものが生まれてきておったと思います。

そういうことの中で、鳩山総理は私にこうした大事なことを託したんだと、非常にありがたく思っておるわけでありますけれども、郵政の見直し、これというのは、そんな無茶な政治の象徴的なことですから、当然これをやりますけれども、これも我が国の金融に大きく関係している分野ですね。ただ郵便の集配業務というだけではありませんね。やはり、国民経済的に明治以来のネットワークでお金を集めてきておる、そういうお金をどう使っていくかと、そういうことをきっちりと考えて、そういう運用もしていかなければならないだろうと思います。

それには今のような、もう集金機能がなくなってしまっているような状況を、民営化で、どこだったか知らないけれども、350兆円を手に入れようと思ってM&Aをかけて手に入れようと思ったところが、今の状況だったら食指は動かなくなっていると思いますよ。そうした金融機関としての活力とか、そういうようなものはなくなりつつありますね、今のまで放っておいたら。だから、そういう意味では、外資も最初それを狙ったわけだけれども、それぐらいもうだめになってしまった。非常に深刻だと思いますから、これもきちっと見直しをする。これはきっちりとやります。

株を凍結という処置は当然とりますけれども、その上で基本法を年内につくって、これを臨時国会で成立をさせていくと。そして、その後、百七十、百八十本、法律があるから、その関係をちゃんと、もう一回直していくというような作業を、通常国会にかけてやっていかなければいけませんので、大変なことなのです。

私は本来、怠け者だから大変なのだけれども、長谷川憲正、彼は仕事ができるし、詳しいし、それを含めて、また総務省の生まれ変わった連中も、嫌々ながら郵政事業を解体することに手を貸したわけだけれども、今度は蘇らせるというか、もっとすばらしい事業体にしていくために彼らに知恵もどんどん出させるということで、みんなで力を合わせてやっていきたいと、このように思っております。

私どもは、だから、占領軍のように旧郵政省に乗り込んでいって、今まで郵政民営化を推進してきた役人を心を入れかえさせて、心を入れかえてもらう。これはもう、革命と同じで、変わったんだから。その新しい私どもの方針に従って、ちゃんとやってくれと。それが嫌なら、嫌な仕事をするほど人生つまらんことはないから、辞めていけばいい話であって、そういう意味で心を新たにして協力をしてもらいたいと。彼らの持っておる優秀な能力、それを我々はどんどん活用もしていきたいというように、今思っております。

さっきのちょっと前に戻るけれども、毛細血管まで血液が回らなくなったり、あるいは、もう血抜きが行われているのです、逆に言うと。私の友人の税理士なんかがみんな言っているのは、黒字倒産が多いと。もうかっているのだけれども。貸しはがしです。これが激しくて、商売やっておれないというので、倒産をするとか自主廃業をしていくというのが非常に多くなっていますね、これは一番いかんことなのです。そうではなくて倒産をしていく、というのも、これもいかんことだけれども。将来に経営していくという意欲を失ってしまって、現在利益は得ているのに店じまいをしていこうというような、そういう状況、これが中小企業、零細企業に蔓延してしまったら、日本経済は死んでしまいますよ。大企業といったって、あれは中小零細、下請が作っている部品も一緒にして完成品を作っているだけの話であってね。そういうところが今みたいに力を失っていくような状況を放置しておったら、これは大企業だって立ち行かなくなっていきますね、そういう意味で。

といって、工場を外国に、中国やベトナムに出していくなんていうことをやり出したら、空洞化してしまいますからね。だから、そういう意味においても、中小零細企業を、この際にきちっと立ち直らせて、「頑張ればまだやっていける」と、当座3年なら3年、「この借金の返済を猶予してもらえる」ということであれば、私は大変な力を得ると思います。そういう処置ぐらい当たり前な話です。「そんなことをやってしまったら金融機関が困るではないか」とか、冗談ではない。金融機関なんか、そんなこと言ったらおかしいけれども、ジャブジャブ金はあるではないですか、金があったって貸さないのだから、金融機関は。そういう実態を置いておいて、銀行とかがモラトリアムをやることに反発するというのは「冗談じゃない」と私は言いたい。

金融機関というのは、ここで自分たちの社会的責任、使命、これをきっちりと考えて、「今から実質モラトリアムに対しては全面的に協力をする」ということでなければいかんと思いますし、協力してもらいます。中身についてどうするかというのは、金融庁の皆さん方の知恵もかりて、能力もかりて、早急に詰めていきたいと。

前に3党で一応法案を出してやっていますけれども、あれにこだわらないで、もっと有効な、現実的な方法はないかということを全力を挙げて検討して、できるだけ速やかに、これを実施をしていきたい、このように考えておりますから、皆さん方も金融のベテランなんだから、知恵を貸してください。批判する前に、「やるのなら、こういうことに気をつけてやった方がいいよ」と、「こうやった方がもっと効果があるよ」と、「こうやった方がもっと中小企業を含めて、企業の活力が出てくるよ」と。皆さん方は専門家なのだから、そういう知恵があるとすれば、ぜひそういうものをいただきたいと思います。

我々は、そういう意味では金融業界からの意見もどんどん聞きたいと。現実にお金を貸しているという、実務家なのだから。そういう立場からも、金を借りている中小零細企業が助かって元気を出すにはどういう方法があるかというようなことについて、金を貸している金融業界もいい知恵があればぜひいただきたいと、私は思っております。そういうことも我々としては取り入れながら、これは実施をしてきたいと、このように考えております。

また、中小企業対策だけではなくて経済が活性化をしていくためには、やはり証券市場を含めて、直接金融、あるいは間接金融というものをきっちりとしていくということをやらなければいけないと思います。証券市場にしても、今(売買の)6割ぐらい外資だと、外人の売買だというのだけれども、日本人にとってみても、証券市場に投資をしていくという積極的な意欲が出てくるにはどうしたらいいんだろうか、というようなことも、私はもっと研究する必要があると思います。

1,500兆円という金融資産があるのは現実の話ですから、そうした金が社会経済的に有用に使われていないという現実を放置しているのが、自公というのは、そこはやっていないのですね。それが更に証券市場に入ってきて、それが産業資金等に使われていくというようなことは、これは国家経済的にも極めて大事なことです。そういうことになっていくには、どういうことをやればいいのかというような問題も検討して、打つ手はどんどん打っていかなければいけないと思います。

アメリカで例のサブプライム・ローンがあんなことになってしまったのだけれども、そういういろんな金融商品、そういうものが本当に、最終的に弱者に対するしわ寄せみたいなものにならない形で、そういう金融商品等が健全に伸びていくにはどういうやり方がいいのかというようなことも、金融庁は専門なのだろうけれども、検討していきたいと。健全な金融商品、私はそういうようなものも、今から政府や金融庁が力を入れて、そういうものをつくり出す努力もしていけばいいと思うけれども、羮に懲りて膾を吹くみたいなことを私はやる必要はないと思います。しかし、アメリカのやった、ああいう大変な経験、これはきちっと生かしていくということもやらなければいけないと思いますから、そこら辺も金融庁の今後の勉強の課題でもあろうと思います。

要は、経済を成長させなければだめなんです。経済を成長させないで、それで我々の生活を豊かにしようなんて、そんなことはできないのです。日本は金融国家として金の貸出だけで利益を生んで、それを分配して生きていくなんてことは、これは日本の場合はできません。やはり第一次産業、第二次産業、そういう実体経済、これをしっかり成長させていくという、そういうことが基本になければ。金融商品だけを世界に売りまくって儲ければいいみたいなことを言ったって、私は非常に危ない綱渡りになると思うのです。やはりそれには実体経済、第一次産業、第二次産業という、そういうものをきっちりと振興させながら、そういうものとの関連において、第三次産業、第四次産業というのが繁栄をしていくという形になっていかないと、日本経済の本当の意味の発展はないだろうと思います。

成長率なんかでも、3%がいい、5%がいいなどと、いろいろ言っているけれども、私は率だけ言うのはナンセンスだと思いますよ。そうではなくて、中身なのです。何%経済成長した、3%経済成長、5%経済成長、その数字の中身が私は大事だと思う。経済が成長する中で、富の配分が適正に行われているのか、国民全体を豊かにして、みんなを豊かにしていくという中で、経済が3%成長する、5%成長していくことなのかどうか。一部の人たちが巨万の富を得るということで成長率を何%か上げて、後の人間がひどい状況になっている、そんな成長率というのは私は意味がないと。

そういう意味で、経済が成長していく場合、中身、これをどうしていくか。富の分配、小泉さんの始めたことの一番の間違いはそれなのですね。力が強い者がどんどんとっていってしまって、後の者はありつけなくなってしまった。それで格差が開いてしまったわけでしょう。

私は、格差の是正というのは、お金持ちを貧乏人にすることではないと思うのです。格差の是正というのは、そうではなくて、お金のない人、貧しい人たちが豊かになっていく、これが格差是正なのですね。そのためにはどうしていくかと。今のように上っていく階段をスパンと切ってしまって、だれもかれも、「人生出発するのはフリーターで出発したい」なんていうのは、そういう人もいるかもしれないが、「自分は正社員よりも、臨時の方が給料がいい」なんて、みんなが望んでいるわけではない。派遣社員がいいと思って望んでいるわけではない。学校出て人生を出発するのに、そうしたことしか用意されていないというのは、やっぱりおかしいのですよ。企業の中で、やはり階段を上っていけるような、そういうこともきっちりするということが、やはり大事なことだし、そういうことを含めて、一部の人たちだけが飼巣を得て、他の者はそのための働きバチだというような観点で、経済を運用すべきではないし、社会も運用をすべきではないと私は思っています。そのための経済政策はどうしたらいいかと、金融政策はどうしたらいいかということなのであって、ただ金が儲かればいいということだけの金融政策、それはアメリカが失敗したあれにつながっていく話なのです。

成長率というのも大事だけれども、中身なのですね。中身がどうかということを我々は余りにもおろそかにし過ぎていたのではないのですか。鄧小平が、かつて「黒い猫でも白い猫でも、ネズミをたくさんとった方がいい猫だ」なんて言ったというけれども、それも当時の中国にとってみれば、そういうことで刺激をしなければいけなかったという面があるけれども、やはりただ「金を儲ければ優秀なんだ」と、「できないやつは能力がないのだ、負け組だ」と、こんな空気が定着しつつありますよ、今の日本では。

しかし、やはり今の若い者たちが、みんなが頑張れば、自分も上昇していけるのだと、ちゃんとした生活がしていけるのだという、そういう階段を外してはいけませんよ。小泉改革はそれを外してしまった。そういう意味で、この新政権というのは、ある意味では、小泉さんのやった逆をやればいいのです、簡単に言って。余り難しいことではない。小泉・竹中のやった逆をやればいい。そういうことを私は金融政策の面において、やっていくつもりでありますので、ぜひひとつ、皆さん方はプロですから、私に対しても、生意気なことを言いますから、私は別に分かっているわけではないから、大臣室なんかにも気軽に来てください。気軽に来て、本当にいろいろ教えてください。余り四角四面では本音も出ないでしょうから、茶でも飲みながら、いろんな形で皆さん方のプロ中のプロが、私にいろんな意味で教えてくれれば、私はいい仕事ができるだろうとも思っておりますので、よろしくお願いします。

【質疑応答】

問)

今お話があったように、モラトリアムですとか、郵政で言えば株の凍結ということが今後求められてくると思うのですけれども、実際にスケジュール感というか、実現に向けて、いつごろまでにというイメージは何かありますでしょうか。

答)

これは、もう既に具体的な準備を内々に始めていますけれども、金融庁の優秀なエンジンの協力も得て、急いでやりますから。時間をかけたらいい話ではないので、今は9月の半ばでしょう。できるだけ速やかに。これは法律事項になりますから、訓示規定ではしようがないから。「あなたたちが貸した金は、3年間返してもらうのを猶予しなさいよ」と、銀行その他に私が言ってみたところで実効があるとは思えませんから、法律によってやっていかなければいけないとなると、臨時国会が、よくわからないけれど10月の中旬までに開かれるかと思いますけれども、臨時国会においては、法案をきちっと整備して出すということですから。だから、銀行協会も「けしからん」と思ったら、それまでに私に言ってくればいい。私は、言い分は謙虚に耳を傾けて聞きます。

問)

あと、これから官僚との関わり方というのが変わってくるとは思うのですけれど、仕事を進めるに当たってどういう形をイメージされていますか。

答)

とにかく私がさっき言ったように、新しい方針に従って仕事をするのが嫌な人は辞めてもらえばいい。そんな無駄な人生はない。私は別にそれで警察を辞めたわけじゃないけれども。人生は一度しかないのだから、「今度おかしな大臣が来たから、そのもとで新しいお城で仕事をするのが嫌だ」と思えば辞めればいいじゃない。それは局長だろうが幹部だろうが誰だろうが、私は辞表をとりますよ、それは本人のためでもあります。そうじゃなくて、「ちょっとおかしな大臣だけれども、その考え方について、一定、自分の頭を整理して、一緒に知恵を出して頑張ってやろう」と思う者は全力を挙げて頑張ってもらいたい。そういうことに尽きます。

問)

郵政見直しに関してですけれども、亀井大臣は先ほどの会見でも、昔の姿に戻すということではないというふうにおっしゃいました。だけれども、今現在4分社という体制に由来する問題であるとか、いろいろ問題があるということなのですが、これから見直し法案に向けて、具体的にはどのような姿になるのが望ましいと、その事業形態を含めて、その辺どうお考えでしょうか。

答)

私はもとに戻す気はないんだから、今から、精力的にあるべき姿、それにはどうしたらいいかということを、今度は長谷川憲正、彼を政務官で入れることになると思いますけれども、彼が中心になって、総務省のお役人の方と、みんなとも相談もしながら、中身をどんどん詰めていきたいと思っておりますが、今のような三事業でずたずたになっている状況は、一体化しないといけませんね。

鳥取県で智頭というのがあるでしょう、山の中。小さな郵便局で3つに分けているのです。行き来ができないようにしている。小さな郵便局で、お互いに仕事を協力してやることはできないでしょう。そんなことで、うまくいくはずがないでしょう。今までは、配達していた人が貯金等を集める業務をしておったけれど、今やそういうことはできないでしょう。そんな、現実離れしたことを民営化としてやってしまうというのは、まず一体化をやらなければいけませんね。一体化したからいいというものではない。後は、それをどういう形に持っていくかと、これは急いで検討をやります。今、頭の中にこれ自身タイトなものがあるわけではありませんが、これはきちっとやります。経営陣もそういう意味では、今までと状況ががらっと変わってしまったわけだよね。いわば革命だから、革命が起きた後も経営陣としてやる度胸があるか、ということを含めて。

結局、会社だって役所だって人なのです、機械ではできないのだから。郵政だって、社長は、重役は、部長は、と生身の人間が仕事をしているわけだから、そういう生身の人間をどうするかという問題もあるわけです。形だけの面従腹背だったら、これは意味をなさないでしょう。そこらを含めて取り組んでいかなければいけないかな。これは大変な仕事だ。こうむちゃくちゃにされると大変だ。大変だけれどもやらなければいけませんね。

問)

今、経営陣の話がありましたが、西川社長についてはお辞めいただくのが当然だというようなご発言がありましたが、ほかの経営陣についても、刷新を含めて検討していくということなのでしょうか。

答)

今は、民営化をしていくという間違った方向へどんどん行っちゃうでしょう。間違った経営をやることを一生懸命やっている役員が、心を入れかえて、頭を丸めて、新しい方針に従ってやりますという者が出てくるのかな。私は出てくれば受け入れますよ。ただ、そういうことが実際に起きるのかというと、なかなか起きにくいのではないのですか。

経営陣について、私はそれぞれが、自分たちのやってきたことと逆な方向になっていくわけだから、みずから判断して、こんな会社の経営陣に身を置くわけにはいかないと判断をして、離れられるという事態が起きてくるのではないの、恐らくね。それはもう、自主的にそうなっていくだろうと私は思っています。強権発動して、生首切れみたいな、そんなことはしなくても、そういう良識において、がらっと方針が変わるわけだから、そうなってくるのではないですか。

問)

そうしますと、西川さんが頭を丸めて出直すといった場合、それは賛意を認めるということですか。

答)

それは、今、私が一つの例えとして言ったので、なかなか現実には難しい話でしょう。方針ががらっと変わるわけでしょう。がらりと方針が変わった中で、社長以下が、経営陣が、その下の職員になれば別ですよ、そういうトップの経営陣等が、これはしようがないと、頭を丸めてでも、では「社長を務めましょう」とか「重役を務めましょう」ということには、現実においてはならないのではないのですか、現実においては。

ただ、とにかくそういう経営陣を、私が生首切るみたいな形でのそういうことは、私はしたくない。みずからの判断で、出処進退はお決めになるということが一番望ましいことだと私は思っています。

問)

政権交代後、初めての閣議と閣僚懇が行われたわけですが、その場では政と官のあり方の申し合わせなども行っていますが、大臣からは閣僚懇で何か発言をされたのでしょうか。また、自民党政権時代と比べて、変わったなと思う部分があれば教えていただけますでしょうか。

答)

一つの方針は示されているけれども、それが実際どういう形で実行されていくのかということについては、それは期待していますよ。期待はしているけれども、成果がどう出てくるかということは、分かりませんね。しかし、成果を出さなければいけないでしょう、死にものぐるいで。

ただ、私が言っているのは、「役人はけしからん、敵だ」といえば済む話じゃないということ。やはり、本当にけしからん役人は辞めてもらうとか、ポストから外すとかいろいろな方法はあるけれども、やはり役人が一生懸命仕事をしようと、新しい方針に従ってやろうという気持ちにどうさせるかということが、一番ポイントなのだと。

それは、鳩山総理にも言ったのです。役人との関係で、協力しようという気持ちにさせないで、横を向いているようでは、組織上の形だけの強制ではなかなか大変だよと。やはりそうではなくて、役人が「鳩山政権がこういう方針でやるというのなら、それに協力しよう」と。それに従っていこうという気持ちにどうなってもらうか。「そういうことがないと、脱官僚というのはうまくいかんよ」ということを私は鳩山総理にも前から言っていますけれども。鳩山総理は、「それはそうですね」と。人間の社会だから、組織なんだから、機械と同じようにはいかないから。

今日出しているあれ(政・官の在り方)について、「うまくいきそうもない」なんていう結論を今出すようなことは何もないでしょう。記者会見を事務次官にさせないとか、それは別に何てことないのではないですか。取材なんかに行けばいいんですよ、皆さん方。私はけしからんとは言わないよ。取材に行くのは自由ですよと。私の命令に従って仕事をしているわけでしょう。それがどういう仕事をしているのかということをあなた方がフォローしていくというのは当たり前の話で、マスコミ人として、それに対して、役人が隠さないで、「『大臣のこんな無理難題』と思ったけれども、こういう命令をされたから四苦八苦しながらこうやっていますよ」という、そういうような実態を皆さん方の取材の中で、話をするということは、私はけしからんなんていうつもりはありません。ただ、事務次官が会見をしなくなった、これは大臣がしたり、副大臣がやればいい話だし、それは省としての話だから、ということです。

今日いろいろと質問が出てましたが、省としての判断は政治家がやるということでいいのではないですか。ただ、マシンとして、マシンがどういう仕事をしているかということを、皆さん方が取材でどんどんフォローする、これは当たり前です。

問)

閣僚懇で何か大臣から発言をされたことはありましたか。

答)

今日の閣僚懇はそんなこと言わないです。当たり前のことだから、言う必要もないし。私が今言っていることは、官房長官も否定しないと思うのですよ。今日も言っていたでしょう。総理も否定しませんよ。

問)

金融行政で幾つかお伺いしたいのですけれども、まず第1点は、現在世界的、国際的に金融機関の健全性を確保するために規制強化の流れ、議論が進んでいます。これについて、邦銀にとっては現在の流れのままで規制が入ると、大変ネガティブだという議論、指摘がありますが、この点について大臣のお考えを聞かせてください。

答)

これはさっき、ちょっと言ったでしょう。それはアメリカで大変なやけどをしたわけだから、その経験を踏まえて、野放図に欲望が爆発するままに任せておいたら被害者が出るに決まってるわけだから、やはりそういう被害が起きないように、やはりある一つの範囲の中におさめていくという努力は、日本の場合、金融庁はしなければいけないと思います。

問)

それは、規制強化は進めるべきだという認識でいらっしゃるという理解でいいですか。

答)

強化とか強化でないという話ではないのです。現実どううまくいくかという話なんですね。そのためには、「ではここは規制しないといけない」と、「ここはもうちょっと充実していいのではないか」という場面もあると思います。

だから、何か金融庁がやれば、それは規制だとか助成する場合だってあるんだから、そういう規制とか助成とかいうことを言う前に、どうしたらうまくいくのかということ。それを考えることが役人の仕事でしょう。最初から、何か役所が規制だという考え方というのはおかしいと思います。

問)

2点目の質問です。モラトリアムについて、お伺いさせてください。端的に言うと、「借りた金を返さなくてもい」という政策だと思うのですけれども・・・。

答)

そんなことないです。3年間だけ猶予して。

問)

3年間は返さなくていいという話ですよね。これはある種、結構劇薬だと思うのです。薬を投与した場合はいい面と悪い面が出てくると思うのですけれども、悪い面について何かあるのか、悪い面が、負の効果があるのかないのかというような、大臣のご見解を聞かせてください。

答)

それは、借金を返さなければいけないと思って、一生懸命やって、「ああこれで助かった」といって、経営が気分的に緩むということはあるかもしれない、楽になって。だけれども、それは、そんな大した負ではないので、むしろ将来に向かって頑張ろうという意欲が出てくる方が、私は大きいと思います。返さないというわけではないんだから。今だって、個別の企業はやっぱり銀行に、返せといったって金がないんだから返せなくて、返さない場合だって今もあるわけです。個別には、個々には起きているわけです。また、銀行だって「返して」といったところで返せない場合、では倒産に追い込んで競売にかけるかと。そうやって潰すよりも、企業を存続させて、当面は返すのを猶予しても、将来その会社がちゃんとしておれば、将来儲ける可能性があると思えば、当面返済を猶予してあげると。あるのですよ、現在も。

だから、個々にそういうことはあるけれども、なぜこういうことが起きたかと。それは、力関係において難しいということ。個々の企業が自分の努力で「もうちょっと待ってくれ」といっても、なかなかそれは難しい。だから、それを国として3年間は金融機関は待ってやりなさいと。そうすることによって、借りている方が3年間なら3年間返さなくて、全力を挙げて経営努力をするという、そういう環境ができるということですよ。そういうことだから、何だってプラスもあればマイナスもあるから、負の部分だっていろいろあると思うけれども。

問)

もう3年間返ってこないと思ったら、「金貸し」は金を貸さないのではないですか。

答)

今、返しても貸さないのです。この現実があるのです。一生懸命返したって貸してくれない。そうでなければ、こういうことは考えませんよ。そこまで今の金融機関というのは劣化しているのです。現実が。だから、私はこういうことを言っているのは現実を踏まえて言っています。借りた金を返すのは当たり前です。だれが考えても当たり前。しかし、それがなかなか返せないときは、貸した方は、「では待ってやる」というようなことを今まではやっていた。それを今は貸しはがしという非常に激しい形で、返せ、返せと。かつては信用金庫だって、銀行だって、これは大変だなと、ちょっと待ってあげようと、そういう関係。これが日本的な金融だったのです。ところが今はそうではなくなっている。返せないならしようがないと、競売にかけるぞ、という話になっていっている。日本的な関係、日本的な経営が否定されてしまっているから、そうなれば、国が出動していかざるを得ないということ。本来は、金融機関が社会的責任、モラルがちゃんとしていれば、こんなことをやるなんて言う必要はない。今の金融機関というのは、やらないから。雨が降っているときは傘を貸さない、天気のいいとき傘を貸そうと、こんなことばかりやっているでしょう。そういう金融業界に対して、どんなに反発したって、こういう形で、「あなた方は社会的責任を果たそうとしないから果たしなさい」ということをやるということです。

問)

先ほどのモラトリアムの話で、3党の合意していた貸し渋り・貸しはがし防止法とは違う形でやるとおっしゃったと思うのですが……

答)

いや、違う形とは言っていないのだけれども、あのままでいいのか、もうちょっと形を変えて踏み込んでいくことをやった方がいいのか、これはちょっと検討しようと思います。

問)

あの法案の中を見ると、この「モラトリアム」という言葉までは突っ込んでは書いていなかったと思うのですけれども、このことに関して、改めて民主党、社民党と協議をするという考えはあるのでしょうか。

答)

一応、政策協議で合意していますから、一応はね。基本的な考え方はこっちも言っているし、民主党も社民党も合意していますから、基本的な点において、齟齬が起きる可能性はないと思います。ちゃんと後で文言にもきちっと入れていますから。若干の実務上のいろんなことはあると思いますけれども、基本的には3党で、これで「実施できない」ということにはならない。もう鳩山総理もやると言っています。私が大きな声で「やろう」と言ったら、「おお、やろう」と言ったのです、あのときね。それで3党協議がぐっと進んだと。

問)

そのモラトリアムなのですけれども、それは何か条件をつけたものに適用するのか、それとも一律的なのか、そこをはっきりお願いいたします。

答)

だから、そのことを今からいろいろ検討する、中身を検討しようと思っています。

問)

一部適用ということはあり得るということですか。

答)

だから、それを、今考えているのは、中小零細企業は事業資金とか、運転資金で借りたものだけではなくて、サラリーマンが住宅ローンで借りている、そういうことまで含めて対象にしようと思っているのです。そういうことを含めて、もうちょっと幅広く検討しようと思います。

問)

逆に言うと、小さい地方金融機関の中には、中小企業とか個人向け融資が大半のところが多く、そこが3年間何も入ってこないとなったならば、そちらの方も経営も成り立たなくなる……

答)

そんなことはないです。日銀でもどこでも、どんどん金を貸してやればいいのです。そんなことは簡単です。政府が直接やらなくたって、いろんな形でそういう資金供給をする方法は幾らでも、協定でやる方法だってあるわけだから。それは、やり方であって、そういうことをやったからといって、信用金庫が潰れるということにならないのです。

問)

改めて政権に入られて、財政再建とか消費税の議論というものに対しては、どういうふうにお考えか、伺えますでしょうか。

答)

消費税は絶対上げません。

問)

議論もしないということですか。

答)

私は言っているのです、鳩山総理にも岡田副総理にも、「上げないものを議論したって意味ないではないか」と。税というのは、消費税だけじゃない。所得税もあれば法人税も、いろいろな税があるでしょう。税制全般について議論をするというのは、これは当然やらなければいけないけれども。消費税だけとりたててやるなんていったら自民党と一緒で、「消費税を上げるんだ」ということと同意語になってしまうのです。消費税だけ取り出して議論するなんていうことをなぜしなければいけないのか、と言ったのです。

問)

それと財政再建については。

答)

財政再建は、これは、今はどんどん財政赤字が増えていくことは、ああ結構だ、結構だというわけにはいかない。今の時代の自公というのは、選挙に勝つためには幾ら借金したっていいというので、べらぼうなばらまきをああいう形でやってしまったけれども、私はやはり、財政の健全化というのは絶対必要だと思う。

ただ、日本国は1年や2年や5年や10年でなくなるわけではない、潰れるわけではない。国家というのは永遠に続いていくのですよ、50年も100年も200年も。財政というのは、そういう長期の視点に立って、やはり私は考えていくべきだと思っています。だから、今抱えている財政赤字というのを5年間で解消しようとか、あるいは10年間で解消をしようとか、私はそんなことによって現実の経済を殺してしまうことをやるのは、全く逆だと思っています。要は、経済が成長しない限り、これは借金は返せない。

私は小泉さんと総裁選のときに決定的に違ったのはそこなのですね。経済を成長させていくことによって、当時の530兆円の財政赤字というのは減っていくのであって、あなたが言っているように、緊縮財政でと、これは財務省があれしたわけだけれども、経済を萎縮させて収縮させていって、それで財源ができるはずがない。だから、経済を爆発させるためには、今短期的には、国債発行をせざるを得ない場合もあると。国債発行は絶対だめだという立場をとって、財政を収縮させていく方に力点が行ってしまった場合というのは経済が死んでいって、税収が上がらなくなると。結果としては、これはもう、借金に頼らざるを得なくなってしまう、私が言ったとおりになったでしょう。

この7年間で850兆円超えたでしょう。300兆円以上増えたのですよ、小泉さんに任せておいたら。そういう結果を帯びてしまうのです。アメリカがかつて赤字国債を解消したのは経済を成長させることをやったから、それで解消できたと。だから、財政の健全化というのは、やっぱり経済を安定的にきちっと成長させていく、長期間。それが基本になくて、単に消費税をとってしまうとか、ほかの税の税率を変えるとか、そんなことによって税収を上げようとしたって、そんなことで国家財政は健全化にならないと私は思います。だから、そういう観点から、予算について財政赤字をなくしていくということは当然大事だけれども、経済を活性化していけるかどうかという、その一番のポイントを外してはいけないのです。経済をどうしたら活性化していくのか、それを外してしまったら、これは小泉さんがやっても同じことになる。大変な間違いをやってしまいましたね、と思います。

問)

そのモラトリアムの件に関して、民間の契約に対して、国が事後的に返済を猶予した方がいいとか、そういうのを半ば強制的にやるのは、これは憲法的に見て、財産権の問題を侵害するのではないかと、事後的にそういう不利益を一方的に負わすということは、たとえ国としてやっても、裁判所で否定される可能性もあると思うのです。法律論的に見て、可能なことなのかどうか、そこらあたりはバランスとおっしゃるのかもしれませんが、どのようにお考えでしょうか。

答)

だから、要は商取引ですね。商取引に対して国家がどこまで関与できるかという問題がありますね、あなたがおっしゃるようにあるんだけれども、現実の問題として、そういう実態が起きている以上は、やはり貸手に対してそういうことをきちっと協力を求めて、さっきも話もあったけれども、それの貸手の方が資金繰りに困るような場合について、国としてちゃんと対応していくと。貸した金が入ってこないから経営に困るというようなことがあれば、それこそ、国家的な見地からそれに対して対応する方法は幾らでもありますよ。でかい銀行は倒れそうならば、税金までつぎ込むでしょう。それは幾らでも国家がそういうときに対して、貸手の金融機関に対して手を差し伸べることはできるわけなのです。そのことと、今まで一番間違っているのは、そういう貸手の大銀行が行き詰まってしまって大変になったら、国が税金までつぎ込んで救済するでしょう。ところが、借手の中小零細企業が困り果てて倒産していくことについては、黙って見ていたわけです。それはやっぱりおかしい。だから、貸手についても信用金庫やそこらが経営上困るということがあれば、それに対してきちっと手を打っていけばいい話なのですね。

問)

中身なのですが、3党合意の中身だといろんな制約がついていて、金融危機に伴うものとか、期間を1年とするとか制約がありましたが、もし今からやろうとするものは、あれよりも制約の範囲は緩やかなもの、より幅広くて実効性のあるものと考えればいいのでしょうか。

答)

これは中身は金融危機になっているから、今起きている中小企業、零細企業の経営危機ですよ、簡単に言うと。経営危機に対応するということが我々の原点ですから、必要なければやることはないんです。そういう状況が解消されていれば。それが今から暮れにもかけて、そういう状況がなかなか解消できないことが続くのであれば、そういうものに対して有効な、それなりの対策をやっていくということだと思いますよ。

だから、例えば中小企業、零細企業に対して助成金、補助金を出していくことだってあり得るのです、政策としては。「借りた金は返さんでもいい」という処置をとらないで、困っている企業に援助してやるという方法だってできないわけではないのです。やり方として助成金という形で。だって、生活保護を出すではないですか。同じ発想でできる。だから、それは「どういうことが、そういう困っている人たちに対して有効であるのか」と。また、そうしたモラルと言ったらおかしいけど、モラルを破壊しないでいけるのかという、そういう検討を今からやりますから、あなたもちょっといい知恵があったら教えて下さい。固定して考えているわけじゃありません。

問)

2点ありまして、住宅ローンに関しても、次の臨時国会で法案を提出するおつもりなのかと、住宅ローンの3年間猶予というお話を言及されていたと思うのですけれども。

2点目は日本郵政の件なのですけれども、株式凍結、民営化見直しというところをもうちょっと限定してお伺いしたいのですが、民営化を取りやめるというところまでお考えなのかどうかお伺いしたいのですが。

答)

株式市場は下げるけれども、もう株式の売却は完全に凍結します。それを郵政公社へ戻すかとかそういうことは考えていません。

住宅ローンの方は、これも我々としては、一つの視野に、サラリーマンが、ボーナスは下がる、給料は減るということで困っている、そういう人たちに対して中小零細企業の事業資金なり運転資金と同じように対処ができないかどうかということは、我々は今検討しています。

問)

臨時国会に法案提出ですか。

答)

それを検討しています。

問)

来週24日から、ピッツバーグでG20のサミットが開かれますけれども、そこでもやはり金融規制のあり方が大きなテーマになると思うのですけれども、今回、財務大臣と金融大臣が分離されたということで、その状況において、財務大臣とどのように連携をとってそこに関与していくことになるのかということと、そこで恐らく日本の銀行にも影響があるような、銀行の自己資本比率規制の問題とかも話し合われることに今後なっていくと思うのですけれども、そういった観点、どのように大臣として今のところお考えか、お伺いできますでしょうか。

答)

今、私どもが聞いているのは、24日からの会議で、きちんとしたタイトな取り決めとか取り組みとか、それが決められるというふうには我々は理解していません。

問)

それでありましても、今後長い目で見て、様々な国際会議がある場でこれまで財務大臣と金融大臣が兼務している状態で、金融のあり方についても財務金融担当大臣がご発言をして、会議に積極的に参加して……

答)

それは、私、今後だって行きますよ。それは当然行きますよ。

問)

今後の国際会議にですか。

答)

それは行きます。それはアメリカだけに任しておけないでしょう。アメリカが決めたことをはいはいと言っていたらひどい目に遭っちゃうじゃないですか、今度は。やっぱり国際金融にしても、そういう枠組みなり同一の歩調をとっていくというのであれば、日本側としての世界金融、世界経済の立場からの発言を、その取り決めの中身についてコミットしていかなきゃいけませんよね。当然の話です。

問)

今度のピッツバーグも検討されることになるのですか。出席を。

答)

中身でそういう具体的なことが議題となって、直ちに何か新たな規制だとか取り決めが行われるということは聞いていませんね。

問)

ただ、アメリカに任せておけないということでしたけれども、やはりそこは何かアメリカの方の方向性に何か問題があるのではないかなというお考えがあるのですが。

答)

問題あるでしょう。だって、ついこの間だって、サブプライムローンで大変な間違いをしているわけでしょう。その後だって、あれを教訓として、そういう国際金融の大きな枠組み、あるいは金融消費についてのきちんとした取り組みをやっているかというと、まだやっていないですよね、はっきり言って。

問)

それは、今後恐らく話し合っていかれる国際的な金融規制のあり方なのですか。

答)

だから、今後そういうことは話をしていかないといけないと思いますよ。場合によっては、私が出かけたり、来てもらったっていい。

問)

国土交通の話ではあるのですけれども、JALの再建問題についてはどうのようなお考えをお持ちでしょうか。一応、金融機関も関係している話ですので、外資が入ることとか公的資金がどこまで使えるのかとか、そういった観点からの現時点のお考えをお聞かせ願えますでしょうか。

答)

JALのそういう経営の問題については、いわゆる我が国におけるそういう金融全体が描いている問題とリンクしている話なのかどうかということを、私はまだよく分かりません。あるいは、それがJAL自体の個別的な状況によってそういう状況に追い込まれているのかも分かりません。

ただ、新聞にこうあったでしょう。500億円とか600億円が必要だということで、アメリカン航空とか(新聞に)出ているところは支援しようとしているわけでしょう。だから、そういうものを日本の国内でそういう資金調達ができなくて、外国の同業者に頼ろうとしているということは、考えてみると、日本人として残念な気はしますね。日本の銀行なり、ほかの企業が、そういうものに対してきちんと資金を貸そうとか出資しようとか、そういうことが出てくるのが一番いいのでしょう。今のところそれがないんでしょうね。そこまで日本経済が弱っているのですよ、逆に言うとね。

問)

モラトリアムの関係でもう一度確認させていただきたいのですが、今さっき「暮れにかけて、中小企業の資金繰りが苦しいような状況が続けば」というふうなお話があったかと思うのですが、それはその状況を確認してから検討するということではなくて、もうこの現状で導入するということについては・・・。

答)

今の状況では、私はもう大変だと思います。それが好転するという、今のところ見通しはないですね。あれば嬉しいことだけど。

問)

それともう一点だけ。中小企業にお金が行き渡る形であれば、必ずしもモラトリアムという形にはこだわらないんだというふうな理解でよろしいのでしょうか。

答)

これはモラトリアムというのが一番具体的に対応しやすい方法だと思いますよ。例えば経営に困っているところに助成金を各業に申請を出させるのは難しいかな。経営姿勢とかいろいろなことを含めて総合的に判断して、ちゃんとした優良企業に対して助成金を出すといった、そういう審査機能もなかなか存在しないでしょう。だから、そういうことは現実問題としてなかなか対応しにくいですね。そうなってくると、やっぱり借りている金を返さないというのではない、3年間ぐらいは猶予して頑張らせるということの方が非常にやりやすくて分かりやすいし、しかも効果があると思いますね。

いろいろなところから、国民新党その他に対しても、ぜひ頼むというのは物すごいですよ。「助かる」と。ほとほと手を焼いているの。企業実態の業益の悪いことに、中小企業、零細企業というのは。あなた方がその立場に立っていないからなかなか分からないんだな。

問)

3年間の借金の返済の猶予というのは、これは元本と利息がありますけど、元本だけ猶予するのですか。それとも元本と利息含めてですか。

答)

そこら辺は今から検討します。鳩山総理は、「利息だけは払わせて、元本だけではどうだい」と。「それはむちゃだ」と言ったことがあるんです。これはアバウトな言い方をしているので、ちょっとそこは検討してやったらいいと思います。

問)

国民新党として、昨年10月に緊急安定化策を出されたかと思うのですけれども、その中に時価会計の無期限停止、あるいは国内基準行の自己資本比率規制の撤廃、あと、日経平均先物取引の早急な廃止等を盛り込まれておりましたけれども、それについてのお考えは現状どうなのでしょうか。

答)

うちの基本方針は、国際的な会計基準その他については、やはり将来的には合わせていくという努力はすべきだと思います。思うけれども、何でもかんでも短兵急にそういうものに合わせていくということは、我が国の会社経営の企業会計の実態を考えないで、私は、画一的にやるということはやっぱりやめた方がいいと思うんです。

将来的には、それは、日本だけじゃなく、アメリカだけじゃなく、ヨーロッパを含めて、中国を含めて、世界が一つの同じような物差しで経済活動をやっていくということは一番望ましいことだけども、しかし、それぞれ文化もあれば伝統の違いもある、生活の仕方の違いもあるし、違いがあるわけだから、そういうものを一挙に、金太郎あめみたいにぴしっとやっていくということが、その国のこの時期をとって、場合によっては大変な悪影響を与える場合もあるわけなのですね。そのあたりのことは冷静に、日本はやっぱり独立国家なんだから、その当たりは冷静に判断をして、我が国の実態、実情をにらんで、そういうものを検討したらいいと思います。

問)

郵政見直しのスケジュールなのですけれども、売却凍結法案と改革基本法案、これはいずれも年内の臨時国会に提出して、成立までお考えということでしょうか。

答)

当然です。

問)

それで、見直しの作業というのは(内閣官房)民営化推進室で行うことになるのでしょうか。

答)

民営化をやるところでやれるわけないでしょう。

問)

総務省で主体になるということですか。

答)

できないですよ。民営化を一生懸命やっているところに逆なことをやれと言ったってできるわけないじゃないですか。

問)

新たな組織をつくるということでしょうか。

答)

だから、そこら辺も検討します。ただ、先ほど言ったように、方針ががらっと変わるんだけども、頭を切りかえて、我々の方針に協力しようという気持ちになってくれて、役人というのは優秀だから、その優秀な頭脳で我々に協力してくれれば、我々はありがたいことだと思うから、活用したいとは思っています。

問)

亀井さんのお話、非常に分かるのですが、郵政の問題は分かるのですが、そうしますと、NTTの問題も途上にあって、その辺の整合性というのはどうとられるのでしょうか。

答)

整合性というのは、どこが問題になるのですか。逆に質問しますけど。

問)

例えば、今、NTTも、純粋持ち株会社のNTTが、NTT東西とドコモとNTTデータを支配しているというか動かしていますね。郵政も同じだと思うのですよ。ゆうちょとかんぽ会社を動かして、その利益でやっていますね。そうしますと、NTTの再編という問題もそれに上がってきて、それは通信の競争制度上も問題になってくると思うのですが、その辺はいかがでしょうか。

答)

ダイレクトに関係ある、関係ないとは言わないけど、いろいろな意味であるけども・・・。だけど、それは3事業一体にしていくというような方針でそうなる、と私は思うのですよ。それを今度中身についてどういう形でやっていくのかというようなことについては、いろいろなやり方がある。郵便会社自体も、ゆうちょとかからの委託だけでやっていくんじゃなくて、別な形での収益のあり方も私は考えたらいいと思うのですよ。

問)

例えばどういうことですか。

答)

例えば、これもうちだけでやらないけども、年金のお金を、ネットワークで集めて支払うとか、そういうようなこともすれば、これは一つの収益を上げる新しいあれにもなるわな。

問)

そうしますと、民営化と逆行すると思うのですが。

答)

民営化をしないんだから。そういうネットワークを、今は社保庁がやっているわけでしょう、役所が。

問)

アウトソーシングを受けるということですか。

答)

だから、そういうことを取り組んでいくことが、いろいろなことを考えればいいと思っています。それは一つの例ですよ。これはよその省庁が関係することだから、今私がやるなんてことを言ったなんて皆さん方が書いたって、これはどうしようもない話だけど、そういうことも将来は検討していけばいいと。

問)

新大臣になられたということで、ちょっと不愉快な質問かもしれませんが、あえてちょっとお聞きしたいのです。金融庁という組織は、やはり透明性とか、倫理観とか、あと、そういう社会的にきちんとした対応をしなきゃいけないということで、例えば反社会的な人とのつき合いを制限するとか、金融機関においては、そういう反社会的な人とのつながりがある人は排除しなさいというようなことをやっています。

亀井さんの場合、古い話になりますけど、かつて特定の事件で、詐欺の事件で有罪の判決を受けた人とか、特定のそういう仕手筋と言われる会社の経営者と親密な関係にあったというのがいろいろな裁判の中で証言として出てきたというケースもあると思うのです。

答)

私も72まで生きていますから、いろいろな人とつき合って、裁判官とか学校の先生、学校の先生が、全部いいというわけじゃないけれど、そういう人とばかりつき合っているわけじゃありませんよね。特に政治家の場合は、いろいろな人とつき合っていきますよ。しかし、その中で、私は後ろ指を差されるようなつき合いをした覚えはありません。あれば、私は塀の中に入っています。政治家に、「世間から指摘を受けている人とまでつき合ったということがけしからん」などと言い出したら、それは、政治家の仕事というのは、いろいろな人とのつき合いの中で政治をやっていると。今、その中でね、倫理観、私は一点の曇りもありません。

問)

その中で、特に例えば銀行側に特定のことで口ききというか、特定の人に配慮するようなことをやってくれと、かつて何かそういうことをされたりとか、これからはこういう金融庁の担当大臣ということですから・・・。

答)

私は今まで、「全然金を貸さない」というから、あんなまじめな会社が貸してくれ貸してくれと言っても貸さないけど、それは貸してやったらどうだいと口をきいたことがありますよ。政治家がそれをやっちゃいかんといったら、政治家は外交とか防衛とかそんなことだけやっているのと同じになってしまう。困った人がいれば、その人たちの力になって助けることも政治家の仕事ですよ。それがいかんといったら、政治家は何をすればいいという話になっちゃう。困った人は放っておけばいいというわけにいかない。

問)

これから、大臣になられたということで、監督権限を持つ、処分権限も持たれるということで、金融機関にそのようなお声がけをされた場合、圧力と捉えられて……

答)

ちょっと待ってください。やってもいないことを仮定の上で聞くのは失礼です。

問)

それは失礼ですけど、心構えのあり方として、これまでの一政治家と立場が違うことに……

答)

そんなこと当たり前のことでしょう。私も子供じゃないんだから、当たり前のことを聞くというのは失礼ですよ。「政治家としてあなたは心構えがありますか」なんてことを、こういう記者会見で聞くなんていうのはナンセンスですよ。心構えがあるから就任しているのです。そうだろうと思うから鳩山総理は私を任命しているのでしょう。あなた方ももうちょっと常識を持って、何でも質問すればいいというものじゃないんですよ。やっぱり無礼なことを言ったりしたらだめですよ。これは言論の自由とは別です。

(以上)

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