亀井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(雑誌・フリー等記者)

(平成21年10月16日(金)09時43分~10時17分 場所:金融庁大臣室)

【大臣より発言】

今日は、閣議では金融庁絡みのことは別にありませんでしたが、今日で政権発足後1か月ですね。私の守備範囲の中で、鳩山政治を実現していくための具体的な取組みも行い、かつ政権全体、基本政策閣僚委員会のメンバーという立場もありますから、そういうことでつまらないなりにも努力をしておりますが、総理も、国際社会においてもすばらしい発信をしながら頑張っておられるし、国内においても、前政権がやった無茶苦茶な予算の執行停止を全閣僚が努力して大体うまくいっている中で、いよいよ来年度予算編成、まずその前の補正予算等の状況に入っております。私は前にも総理にも申し上げているし、閣僚懇で今日も言っていますが、「前政権のやったでたらめな予算を全力でスクラップすることは大事だ」と、それだけではなくてビルドをやらないと大変な話になるので、今日も閣僚懇で申し上げました。ビルドのための、政策があるもの(ため)の予算ですから、予算の裏づけのない政策なんて絵に描いた餅になってしまうわけだから、1、2月の補正予算に向けての準備、また来年度予算編成に向けて、もう自公時代のように、役人がやってくるのを大臣がそれに乗っかるみたいなことではなくて、鳩山政治を実現するためには何を自分の仕事としてやるべきか、という観点から、大臣が主導をしてやらなければ駄目だということを強く言っておきました。今日も、環境大臣が25%を国際的にアピールするのであれば、それについてこの内閣としての予算上のメリハリをつけるべきだということを言ったりもしたが、私もそれは同感だと。それを環境省はどうやるの、関連する省庁はどうするのだ、というようなことを国家戦略局担当大臣、また官房長官等を中心にやっていかないと、結局は来年度予算編成に向けて概算要求がもう動いているわけです。1、2月の補正予算が、下手すると役人がこの(前回の)補正でカットされた分を形を変えて出してくる程度のことになりかねない。本当に内需創出をしていく、そうした中身のものになっていかない危険性がある。だって、来年度予算編成もやるわけだから、その中で1月はもう目の前の話になってくるわけだから。だから、そういう意味で、大臣が主導的に環境問題も含めて、補正予算においても、この内閣で鳩山政治を実現するという観点、そういう観点から取り組んでいくべきだろうと。私は、この間も総理に申し上げたけれども、今日はその点もちょっと言っておきました。

そういうわけで、私どもの守備範囲のことで「モラトリアム」、財研の記者が、何か貸借関係を一気にパーにするみたいなことで(報道して)、バンバン叩いて、彼らが勝手に想定しておいて「けしからん」みたいな、今のマスコミは、おかしなことやりますね。そういういろいろなこともあったのだけれども、副大臣や政務官が大変な努力をしてくれまして、各界いろいろなところの考えをどんどんと聞いて取り入れながら、私が頭の中で描いていた、鳩山総理の頭の中にあったそういうものが、大体、当初予定したとおり、今でき上がりつつ、最終段階だと思うのです。それと同時に、金融検査マニュアル、これをちゃんと変えないといけませんので、これも副大臣、政務官で、事務方を督励して、同時にそれをやれるように手伝いでもしてやれ、といって、今、号令をかけていただいております。その前に我々政治家がアバウトに「金融検査はどうなったのだ、おまえはけしからん」と、「あなたたちがおかしな検査ばかりやったのではないか」ということばかり言っていたって、では、新しい検査マニュアルについてどうすればいいか、ということに、我々政治家がきちんと詰めたマニュアルが出せるわけではありませんので、今日4時から金融庁の会議室で、(これまで)弱肉強食の社会をつくっていくための金融政策、その線に乗っかった検査を心ならずもやってきた検査官に、その経験、今の実態を踏まえて、新しい政権の方針に従った(金融)検査マニュアルはどういうものがいいのかということの意見を4時からちょうど1時間ぐらいかけて聞こうと思っています。そういう意見を、こちらが出すよりも、検査官も全部も知っていますから、東京、あるいは東京近辺でやっている人たちにできるだけ集まってくださいということを昨日指示しております。この法案と同時に金融検査マニュアルも変えると。結局、簡単に言うと、今までのような金融機関の財務体質がどうの、というのは大事なのですが、財務体質の健全化という視点からだけの検査と、それに支障があるような融資、「あんた切っちゃえ」とか、「債権を直ちに回収しろ」とか、「(回収)しないと業務指導をやる」とか、そういうようなことではなくて、貸し手と借り手の関係、借り手の中小・零細企業がその地域社会でちゃんと仕事をして発展していくには、どういう融資をしたらいいのか。返済猶予だけではなくて、追加融資を含めて、そういうことをまた、コンサルタント(能力)を有している金融機関が借り手の相談に乗ってあげて、経営のアドバイス、手助けもしていくというような。この間、金融庁に仙北信用組合の元理事長が来て話をされましたけれども、(元理事長が)言われたように、運命共同体だと。それはそうでしょう。借り手がいなかったら金融機関というのは成立しないのだから。全部ではないけれども、一時、悪徳バブルにだけ融資してあぶく銭を稼ごうと、金融機関もそういう方向に走ったことがあるのだけれども、そうではなくて、健全に金融機関が生きていくためには、借り手が健全に発展をしていく、そのための手助けをしてやる、そういう視点がないと、絶対駄目なのです。今みたいに、集めた金を国債だか、米国債に。8割ぐらい買っているでしょう。やはり健全な借り手を育てて良好な関係を築いていくというのが私は本来の金融機関のあり方だと思います。そういう方向に向けて金融庁は何をやるかと、そういう観点で金融検査マニュアルも、今、(副大臣、政務官の)2人が陣頭指揮をとりながら督励してやってくれています。4時から、これは、本音を言ってもらいたいので非公開です。検査官は、あなた方みたいに図々しくないので、あなた方がいると本音を言わないですから。だから、我々はちょっとそういうことを聞いて、更に勉強して良いものにしたいと思います。

それともう一つ、ちょっと私は守備範囲から逸脱する癖があるのだけれども、しかし、これは別にグラウンドから観客席に入ってやることではないと思います。何度も言いますが、返済猶予しただけでは駄目なのです。仕事がなかったら、先々潰れてしまうのだから。仕事をとる努力を中小・零細企業がしたって、やはり仕事を出すということをしなければいけない。これは全く総理も同意見なのだけれども、そうした、仕事が出ていく努力を今後の政府の経済対策、景気対策の中でこれをやっていくわけです。これはやっていかなければいけません。マニフェスト(に載っているもの)だけでそういうものが出てくるかどうか、若干そのあたりのこともよく検討しなければいけないと思います。ただし、それでいいかというと違うのです。出した仕事で、仕事だけさせられて儲けがない。今、この状況です。皆さん方は分からないかもしれないが、音を上げています。中小・零細企業のお偉いさん方、全部、仕事はあるけれども儲からない。みんな出血していました。とにかく叩かれて、叩かれて、それが嫌だったら、「では仕事をさせない」でしょう。そういうことの中で大企業は120兆をポケットに内部留保したから、今年の7月ぐらいかな、私が御手洗(経団連会長)さんに「それは出しなさい」と言ったのです。そうしたら「出し方が分かりません」と言った。私が教えてあげると言った。やろうと思えば簡単なのです。それはみんなかつての経営者はやっていたのです。それが、話がまた余談になるけれども、小泉・竹中改革によって、利益を得るためには何をやったっていいと、大企業まで、利益を得る道具だというやり方をしてきてしまっているのです。だからそれを変えないと、幾ら鳩山政権が仕事をどんどん出すことをやったって、中小・零細企業が儲からない。ただの働き蜂。それをやはり変えなければ駄目なのです。これも昔から、日本の場合は、下請、孫請け、みんなが儲かるようにしながら、自分たちも儲けるというのがかつての大企業だったと。それが小泉時代から変わったわけです。錦の御旗をいただいて。だから、新政権になったら、そういう弱肉強食の経営はやめてくださいと。大企業の皆さん方もみんなで幸せになるような経営をやろうではありませんかと。私に共鳴してくれている方はたくさんいますよ。東レの前田勝之助さんなんていうのはそうですよ。だから、財界、経団連の中ではむしろ意見が合わない。あそこなんかパートなんかつくらない、正社員でしょう。解雇しない。そういうやり方でもちゃんと業績を伸ばしているのです。下請も大事ですよ、ということで。これは昔の経営者はそうだったのですが、土光(元経団連会長)さんの時代の後に変わってしまった。そんなことをここで私が言っていたってしょうがないのですが、今のマスコミはそういうことを言っても書かないですから、私がそういうことを言うと、すぐ「亀井はけしからん」としか書かないですから、やはり公正取引委員会に来週事務総長以下に来てもらいます。これは独立した委員会でしょう。私が命令・強制する立場ではありませんけれども、優越的地位を利用した、そういう不公正な契約がなされているという実態にもっと強い関心を持って(欲しいと)。公取には、権限があるわけでしょう。あるけど、行使していない。片方がみんなでノウハウを出し合って、「これはあなたの仕事、今度、あなたが遠慮してくれ」と、こうやって、ふるさとづくりをするのもみんなで話し合いをして、そうしたら、「談合だ」、「談合だ」って舌なめずりして行くわけでしょう。そういう良い談合、良い談合は聖徳太子以来の日本の伝統なのです。そういう話を私が言うと何か嫌がられるのだけれども、そういうみんなで協力してみんなで豊かになっていこうという社会に戻さなければいけない。そういう意味では、公取も談合というと鼻をクンクン鳴らして、ダーッと行くのに、そういう下請、孫請けがいじめられていることをみんな見て(いるのに)どうしているのですか。これは駄目です。もう世界が、そういうことは駄目だとなってしまったのです。日本もまた駄目だということで鳩山政権が生まれたわけですから、それで公取もそういう視点から経営してもらわなければいけない。私も金融、郵政で担当大臣だけれども、閣僚、また基本(政策閣僚)委員会のメンバーでもあるのです。国政全体について今日もやるようだけれども。私は、全体の、狭い守備範囲だけではなくて、そういう万般について、私自身がこの内閣の方向について努力しなければならない立場にもありますから。マスコミから見ると、「また亀井は、2つのことが大体片が付いてきたから今度はそっちに手を出す」と悪口を言うかもしれないけれども、返済猶予だけでは駄目なのです。仕事を出して、その仕事がちゃんと、富がうまく分配されていくような仕事の出し方をみんなが努力してやらなければいけないのです。それを公取はもっと関心を持って、場合によっては調査をしてやってほしいということをちょっと話したいと。そういうことで、来週ちょっとやろうと思っています。

【質疑応答】

問)

金融財政事情の冨所と申します。

税制改正の関連なのですけれども、自公政権で少額投資非課税制度というのを推進するというふうに言っていましたが、それは新政権でもそのまま引き継がれるのか、それともそうでないのか、その辺のところのお考えを。

答)

私は前政権がやったことを何でもかんでも否定するつもりはありません。だから、そうした庶民と言ったらおかしいですが、機関投資家だけではなくて、いろいろな方が、そうした資金を出して、それが経済のエネルギーになっていくということについてやるべきことがあれば、自公が出した中身は知らないですけれども、そこだけちょっと疑念がありますが…。

副大臣)

税制改正要望は今日からヒアリングを始めますので、そのヒアリングの中で今の少額投資の問題も出していきます。

問)

フリーの岩上安身と申します。今、亀井大臣のお話に出てきたように、ただ、予算を削るだけではなくて、新しい仕事の創出と景気対策をやらなければいけないということで、それに関連するのですけれども、国債を刷らない、増発しない、ということを言ってきたのだけれども、ここへ来て、やはり国債を刷らなければやっていけないのではないかということを平野官房長官がおっしゃったりとか、鳩山総理大臣がおっしゃったり、あるいはマニフェスト、どうしても国債増刷で駄目だということであれば、マニフェストの一部が(実現)できなくなるかもしれないとか、ちょっと不安げな、揺れたような発言が、でも非常に大きな大事な発言が出てきているので、亀井大臣としてはどうお考えなのか。

答)

これは、私は総理にも話をしました。総理も私も、本当に「鳩」と「亀」というのは意見が一致して、大体同じような考えなのだけれども、やはりさっき言ったように、政策は財源なのです。その財源を確保するのに、今度3兆円カットしたりするのです。こんなものをやったって、補正(カット)なんかで足りるわけがないのですよ。だから、財源はどうやってつくるかという場合に、ただ、すぐ赤字(国債)を起こしてプーッと飛んでいっちゃったら、民主党は「赤字国債を抑制する」ということを簡単に崩しているではないかと、「後どうするの」という話になってしまうでしょう。財源がないと予算が組めないのだから。私が総理に申し上げているのは、特別会計に思いっ切り切り込んでいくことです。2、3日ですぐ出ますよ。私は政調会長もやったし、大臣もやっていたけれども、今、特別会計は役人が抱え込んで、彼らの小遣いになっているのです。誰も、政党も言わないでしょう。政府も何も言わない。これは自由にやっているのです。そこから取り上げるのです。それも自主的に各大臣にやれと言ったって出しやしない、各大臣も役人の世話をやっているから、私が言ったのは、例えば「人斬り以蔵を仙谷(大臣)あたりにやらせろ」と言った。

問)

仙谷行政刷新大臣がそれを専門的にやるということですか。

答)

私が「やれ」と言いました。まだ決まっているわけではないです。誰かが各省のそれだけに任せないで、「おまえのところはこれたくさんあるな。5兆円出せ」とか、それをやれば、それはやはり出てくるのですよ。特別会計なんていうのは自由自在、大体2、3日で出るのです。あっと言う間に。

問)

それはいつやるのですか。

答)

だから、それは総理がそうなりますと言ったら出ますよ。場合によったら50兆ぐらい出ます。200何日あるでしょう。そんなのすぐ出てきます。そういうことをやって、前から言っていることだから、特別会計と一般会計を一体的に運営するというのは民主党とも矛盾しないですよね。そういうことをうんとやったけど、どうしても財源が足らないというときには、建設国債でも駄目、赤字国債。これは私はやらなければいけないと思います。(ただ、)その前にやることがあるのです。

問)

今の段階で国債を出すのには反対ということですか。

答)

反対ではない。私は出していいと思います。ただ、能のない出し方をしちゃうと(いかん)。普通の、今までの利息のつく赤字国債ではなくて、無利子非課税国債。こんなの工夫したらいいのです。1,500兆あるでしょう。遊んでいるとは言わないですが、宙に浮いているのです。産業資金としても活用されていないというわけではないけれども、そういうものを使うには、税金で取り上げるか、借りるしかない。税金でやるのは私は反対だし、やるべきではありません。あと借りるしかないのです。利子を払って借りるか、利子を払わないで借りるか、2つしかないでしょう。だから、私どもも前から言っているように、それは、利息を払わない国債を発行する工夫をしたらいいのではないかと。財源について固定観念で国債も建設国債、赤字国債なんていうのではなくて、そういう意味での「第3の国債」というのを例えば「環境国債」と名前をつけたっていいでしょう。名前は、ネーミングは幾らでも国民が同感してくれるのをつけて、貧乏な人から消費税で取り上げるなんてことをしないで、福祉にも、そういう人たちから取り上げないで、そういう人たちのためにも社会福祉のためにそういうのを使っていくというようなことをやっていけば、私は理解ができます。そういうことをちょっと検討しないと、もう簡単な、短絡的な財源づくりでは(駄目です)。まずは特別会計ですかね。

問)

保険毎日新聞の園田です。郵政の三社の今後の展望とか見通しについてお考えを聞かせてください。

答)

郵政は前にも言ったように、今、私は少年の夢のようなものを考えているのです。総理も描いている。「亀井さん、こういうものやったらええやろ」、「ああ、それいいですね」と言ったのです。それの中身は言いません。皆さんがまたバーッと書くから。言っておきますが、純ちゃんがめちゃくちゃにした郵政事業をその前に戻す気なんて全然ないです。新しい事業の形は、あのネットワークを使うのです。郵貯だって170兆でしょう。この金で国債を買ったり、米国債を買っているようなことではなくて、もっといろいろな使い方があるのです。これは地域の金融機関とうまく協調しながら、いろいろなやり方があります。そういうことを含めて、今までのような郵政ではなくて、地域社会、例えば、介護の拠点というやつがあったでしょう。市役所の支所とか。じいちゃん、ばあちゃんしか住んでいない部屋(家庭)も中にはある。そういうものを使う手もあるし、年金。社保庁はなくなるわけで、ああいう役人に任せなくても、こういう生真面目な集団に任せていくという手もあるわけでしょう。だから、いろいろなやり方がある。あなたもちょっといい知恵があったら教えてください。本当ですよ。そういういろいろな新しい事業を11月に法案を出して、その前に閣議決定で3党が合意した郵政見直しの基本方針を閣議決定したいと思います。というのは、基本法を出せばいいのですが、(国会の)期間が短いでしょう。だから、そこまでは無理だとすれば、閣議決定をとりあえずして、後から国会という形にしたいと思っていますので、そういうことをやって、もう11月からバシッと新しい出発をしていきます。

問)

赤旗経済部の大小島と申します。

先日の10月2日の業者の集会で大臣あいさつに行かれまして、業者は本当に元金据え置きの新しいシステムをものすごく望んでいます。それで、大臣はその時におっしゃった3年間ということと、そういうみんな大臣におっしゃっていたのと若干後退が見えると思うのですが。1年の時限立法と言われたり。

答)

こんな大変なことがあと3年も5年も続くと思ったら中小企業の方ががっくりします。新政権は、この1年で仕事も来る、その仕事の中身が儲けられるようにする、そういうことをやるのだということで、とりあえずこの返済も猶予するということで、でも1年なり2年の時限立法はその時に、残念ながら、また大変な状況が続くようであれば、これは延長したって良いという考えなのです。

問)

一番障害になっているのは何なのですか。今(金融)検査マニュアルのことが挙げられていますけれども、やはり信金とかに聞いても、なかなか元金猶予というのはできないと、その背景に自己査定の問題があると…。

答)

だから変えると言っているでしょう。

問)

それは抜本的に変えられるのですか。

答)

変えます。

問)

別冊とかではなく。

答)

日本共産党みたいに硬直していません。(笑)

副大臣)

今日、赤旗さんからご質問いただいたことは画期的なことでございまして、これですみませんが、お時間がありまして…。

答)

赤旗もいいし、自民党の自由新報でも構いません。気さくに来られたって、構わない。それではまた。週2回やっているから、また。

(以上)

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