亀井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要
(雑誌・フリー等の記者)

(平成22年3月19日(金)9時10分~9時56分 場所:金融庁大臣室)

【大臣より発言】

今日は、閣議では別に皆さんに報告するようなことはありません。

何か皆さん方からあれば。

【質疑応答】

問)

フリー(ジャーナリスト)の岩上です。

企業の役員報酬の件でお尋ね申し上げたいのですけれども、亀井大臣は、「1億円以上の報酬を受け取っているような役員に関しては、個人名とその金額を今年3月の決算から発表すべきではないか」というふうに提案されているということで、経済界からいろいろ反発もあるそうですけれども、このお考えといいますか、狙いといいますか、また、財界に対する大臣のメッセージもあると思いますので、その辺りをお聞きしたいと思います。

答)

私は、やはり企業というのは、ある面では社会的な存在だと思いますよ。別に、私は社会主義者でもなければ何でもないのですけれども。完璧に、すべて経営が密室で行われて良いというものではないので。これは、特に上場企業の場合、株主また一般の国民の方々の、いわゆる判断というか、それが尊重されながら経営されているわけですから。そういう意味では、「何でもかんでも晒してしまえ」という気はありませんよ。だけれども、一応の、ある一定水準(1億円)以上の報酬をとっておられる役員の方については、(報酬を)明らかにするということは当たり前ではないですか。

国会議員もそうでしょう。公務員もそうですよね。だから、それは別に…。うち(金融庁へ)のパブリックコメントを見たら、経済界は全部、ほとんどが「亀井というのは悪い野郎だ」と言って反対していますね(笑)。悪いやつに決まっているけれどもね(笑)。だけれども、私は、もう自信がある人は何億(円)(報酬を)得ておられようと、「おれはそれだけの仕事をしているのだ」と。従業員に対しても、「それだけちゃんとしたあれ(仕事)をしているのだ」という自信があれば、別に、国民の皆さん、株主の皆さんが知ることになったって別に問題はないのではないですか。胸張って。

副大臣)

ちょっと補足させていただいて良いですか。

その話は、平成12年、13年のころの産業構造審議会のころから議論が積み重ねられてきていて、「開示したほうが良い」というのが経済界の意見でもあり、その後、日経新聞なんかも社説で「開示すべきだ」ということも書き、そういう長い議論の積み重ねがあって、現に、アメリカでも上位5人は開示されているというようなこともあり、経団連の事務局からも意見を聞き、そして今回の展開になっているという経緯は事実関係として申し上げておきますので。

答)

私が、特別、思いついたわけではないですよ。

問)

ちょっとだけ確認なのですけれども、ということは、経済界の「開示すべき」という方向性が決まって、最後の一押しで、亀井大臣がその決断を下したところ、今度、反発が来ているということですか。

副大臣)

いやいや、違いますよ。

問)

経済界の反応が急に変わったということですか。

副大臣)

うん、急に変わったという感じですね。

問)

それは、またメディアの誘導みたいなことがあるわけですか。

副大臣)

分からないですね。それは分からないですけれども、パブコメを出す段階では、経済界の皆さんも「アメリカも上位5人だし、1億円が基準であれば問題ないだろう」ということでパブコメにかかったのですけれども、かかった瞬間に、何かそれまでと反応が変わったというのが実態です。

答)

反応が変わったということは、自信のない経営者が多いということでしょう。

問)

香港フェニックステレビ特派員のリーと申します。

ちょっと今日は、国際的な話題に関してお伺いしたいのですけれども、今、アメリカの議会で、中国の人民元の切上げに関して制裁法案が提出されています。もしこの法案に応じない場合は、中国に制裁措置をとると。ただ、中国政府が、今、「時期尚早だ」と言っているのですけれども、大臣のお考えと、あと、もしできれば日本政府のスタンスも教えていただきたいのと、それから、今まで日本も円高の外圧を受けたこともあるのですけれども、今、まさしく中国も同じような立場に立っていて、これは、今の中国のやり方について、日本政府は多少理解できると思われることもあるのですけれども、いかがでしょうか。

答)

結局、中国経済が強過ぎるからそういう反応が起きているので、ある意味で、中国政府としては、嬉しい悲鳴という面があると思いますけれども、中国もそうした中で、自国経済をどう誘導していくのか、それと世界経済との協調という面との舵取りだと思いますよ。それは、中国政府がその辺りをちゃんと判断してお進めになれば良いことであって、日本から「どうしなさい」と言える立場では…。今、日本の経済は弱いですからね。

問)

アメリカのやり方に関しては、賛成ですか、反対ですか。

答)

アメリカは、しょっちゅう、他所の国のことについてああいう反応をするのですよ。だから、今からだって中国はどんどんやられますよ。やはり、それに耐えながら頑張っていかなければいけないのではないですか。また一方では、中国自身が、日本に対しても、世界に対しても協調していくという姿勢も示していかないとね。

問)

不動産経済研究所(不動産経済ファンドレビュー)の中澤です。

昨日、地価公示が発表されまして、東京は、下落率が昨年前半よりは落ちていると。「金融市場の安定が寄与しているのではないか」ということも言われているのですが、何かご所見があればお伺いしたいのですけれども。

答)

これは、デフレスパイラルと言っても良いような状況が続いていれば、結果として、当然起きてくるわけであって、残念ながら、今の日本経済というのが非常に厳しい状況にあるという結果だと思います。

私は、昨日だったか、総理に会ったときに言ったのです。いろいろな指標があるけれども、それも去年の暮れは「(落ち込み方が)鈍化した」みたいな書き方をする。私も、長い間、政府統計とかの発表を見ていると、発表は常にこう、頭だけ上げながら(下方シフトして)沈んでいくと、こういう発表をするのですよ。こう(常に上向きに)なれば良いのですよ。そうではないのですよ。こうやり(頭だけ上げ)ながら、こうして(下方シフトして沈んで)いく。総理は「ああ、そうか。こう、なるほどな、うまいこと言うな」と言ったけれどもね。

だから、私は、統計数字の発表その他を含めて、月例経済報告でも言うのですけれども、これは、数字の奥にあるものを、政治家、また行政が見抜く力がなければ、やはり経済運営、財政運営を間違えると。やはり、今の状況は、まだ(平成21年度)補正がちょっと効いているところもあるけれども、(平成22年度)本予算の成立・執行で、きちんと潰れずに行くかどうかということなのですけれども、あまりにもデフレギャップがでか過ぎるのでね。私が総理に申し上げたのは、アメリカや中国が大胆なことを、特に、アメリカなんて貧乏世帯で、日本や中国から借金しまくってしまって、国内も財政赤字で大変な状況の中であってさえ、オバマ(米大統領)は、ああいう緊急に70兆(円)(規模の対策)の手を打ったわけでしょう。

日本が財務省の手に乗せられて…。私は総理に「財務省の手に乗せられてやっている限りは、こういうデフレスパイラルの中から絶対に日本は出られませんよ」と、「そこからどう脱出して、大胆な、思いきった手を打つかということだ」ということを申し上げました。総理はよく分かっておられますよ。あの方は非常に聡明な方なので。ただ、宇宙人ですからね(笑)。宇宙からの電波が、末端までなかなか届かないのですよね(笑)。あなた(大塚副大臣)なんかも、よく総理に言ってくださいよ。いや、総理は(大塚副大臣のことを)非常に信用しているのですよ。

問)

フリーライターの高橋清隆と申します。

郵政改革の内容について一点確認なのですが、信金・信組の代表者がペイオフ上限引上げに反対された理由というのは、「預金保険機構に支払う保険料が上がるから」という理解でよろしいのでしょうか。

答)

いや、そんなことよりも、私が言われた理由というのは、「おこぼれがなくなるから」ということなのです。だから、私は「それは何じゃ」と言ったのですよ。簡単に言ったら、(中小金融機関の信用力は、)メガバンクの信用力に比べて落ちるから、預金獲得という面においても不利なわけでしょう。1,000万(円)以上預けたら、「万一の場合、この信組・信金では危ない」と思うから、「それ以上は預けない」という。だから、そこをあれするには…。メガバンクは大丈夫なのですよね。まさか三菱が潰れるとは思っていないですから。それに対して、そういう信用力が弱いと見られている金融機関の信用力を上げるには、ペイオフ(限度額)を上げてあげれば良いわけでしょう。

問)

「おこぼれ」というのは…。

副大臣)

みんな1,000万(円)だと、預金者はメガバンクにも1,000万円までは安心して預けるけれども、1,000万(円)以上は心配だから他所に預けようとするので、彼らは、それが信金・信組に回ってくるという意識だったわけですね。

問)

信金・信組だけ(ペイオフ限度額を)上げるというわけにはいかないのですか。

答)

それは難しいのですけれども…。だから、ある面では、メガバンクは関係ないのです。信用力があるわけですから。

問)

あくまで一律という前提では…。

答)

いや、だから、メガバンクは、ペイオフはあまり関係ないのです。もともと信用力があるわけで、潰れると思っていないですから。ところが、信金・信組の場合は、潰れると思っているのを1,000万(円)までは保証してもらえると思うから、預金者の心理にとっては、そのラインが効くわけです。

問)

上げるというのは一律、都市銀行も…。

答)

だから、「1,000万(円)(の上限額)をもっと上げてあげましょうか」と言ったら、「いや、結構です」と言うから…。理由は、「今までメガ(バンク)のおこぼれが来ていたのが、そのまま1,000万(円)以上(の預金)が全部メガに行ってしまうから、おこぼれがなくなるから嫌です」という。「あんた、そんな消極的な経営していて良いのか」と私は言ったのです。

一方で、ゆうちょ(銀行)については、「政府の信用力というのが、自分たちの競争の脅威だ」と言うわけでしょう。「おかしいではないか」と。「だから、そういうあなた方の競争力をつけてあげるという形で、ゆうちょ(銀行)の後ろに政府の影が見えるというのであれば、あなた方も、(ペイオフの上限額を上げれば)1,000万(円)以上の(預金がある)場合でも、万が一の場合大丈夫だ」と。とにかく「それは嫌だ」と言って、「ゆうちょの(預入)限度額を上げるのは嫌だ」と言うのは、「ちょっと私にはよく分からんな」と言ったのです。

問)

ちなみに、金融業の場合は、(ペイオフ限度額の)ラインというのは信金もメガバンクも常に一緒という前提で、今のご議論だったわけですか。

答)

それは一緒…。私は信用力の話をしているのですよ。今度の(ゆうちょ銀行の預入)限度額の問題で常に言っておられるのは、「ゆうちょ(銀行)の場合は、背後に政府がついているから、信用力が強いから潰れる心配はないので、そちらへどんどん預金が行ってしまう」と。「(ゆうちょ銀行の預入)限度額を取っ払うと、どんどんそこに(預金が)行ってしまうから」ということを言っておられるわけですからね。(これは)信用力の問題なのですよね。

問)

週刊朝日の川村と申します。

生方副幹事長のお話、主に田村政務官のご意見を…。

答)

いや、私の会見ですよ。政務官の会見ではありません。私に聞いてください。

問)

そうすると、さっき、ちょっと出ていなかったのですが、これから連立の運営とか政権運営にも影響が出てくるのではないかと思うのですけれども…。

答)

何がですか。

問)

生方副幹事長の問題というのがですね…。

答)

今も、ちょっと、これは下(記者クラブ)の人たちに聞かれたのですけれども、それは民主党のことであって…。

問)

民主党がガタガタしていると、政権にもちょっと影響があるのではないかと思うのですが…。

答)

そんなことで…。党の問題はここで言うことではないからね。

政務官)

別に、連立には影響しないのではないですか。

答)

影響しないですよ。それは、ただ、やはり民主党は結束して、内部で叩き合いをやるならいくらやったって良いですけれどもね。別に、私が衛生兵として行って介抱してやることもないでしょうしね(笑)。

政務官)

そうならないようにしっかりと。

答)

だから、ここは私に対するあれ(会見)ですし、そういう民主党内の事情を私が話す立場ではないですけれども、ちゃんとやってくれれば良いのではないですか。国民新党は、みんな公然と私の悪口ばかり言っているでしょう(笑)。だけれども、私はこんな(解任するような)ことはしません。それは、それぞれの党のあり方があるわけですからね。そういうことではありません。

問)

先日、ビートたけしさんがフランスの芸術文化勲章を受章されましたけれども、大臣も油絵をご趣味にされていまして、芸術に関してはいろいろとご見識が深いと思うのですけれども、たけしさんの作品についてどう思われるのかということと、今回の受章についてどのように感じられたかをお伺いできればと思います。

答)

あの方は天才ですよ。ちょっと柄が悪いですけれどもね(笑)。私は、やはり天才だと思いますよ。マルチ天才ですね。何でもやれるのですね。これは、日本にとっても誇らしいことですね。

問)

どういうところが「天才だ」というふうにお感じになりますか。

答)

もう、それは感性が優れていますね。また、感性を具体的に…。映画だってそうでしょう。あるいは、別な、テレビのああいうキャスターみたいなことをやったって、ひと味違いますよね。だから、そういう意味でやはり天才ですね。

問)

作品については…。

答)

作品を見て…。前に、映画か何かをちょっと見たことがありますけれどもね。大体、私は見る時間がないですし、テレビを見ないですから。見る機会は少ないですけれども、たまたま見るあれでも、テレビなんかいろいろ出ておられて、(そこで)言っていることだって、やはり、さっき言った感性の鋭さというのを感じますよ。あの人の場合は、普通のあれと違いますね。

問)

東洋経済新報社の浪川です。

お尋ねしたいこととお願いということなのですけれども、郵政なのですけれども、大臣が齋藤社長と会談なさったときにも出てきている話だと思うし、政策会議で委員の先生方もそういうことをおっしゃっているのですけれども、何かと言うと、郵便の誤配の問題なのですけれども、「民営化に伴って誤配が増えた」という見方があるのですが、データとしてそういうのは全然(示されて)なくて、本当に誤配が増えたのか分からないのですけれども…。

質問は、大臣がその議論をなさるときには、データに基づいて議論をされておられるのでしょうか。

答)

この間、誰だったか、(国会で)私に質問したときに、(郵政に関する)調査結果を示してきました。郵政民営化してから、「お客も70%以上満足している」、「すべてうまくいっている」という調査なるものを私に示して、「何でこんなうまくいっているものを、こんなに乱暴に変えようとしているのですか」みたいな質問があったのですけれども、私は、その調査を「それは嘘だ」と言ったのです。あれは後から聞いたら、日本郵政が、去年の6月ごろにやった調査を示したのです。それは、自分たちの立場を正当化するために、極めて作られたあれ(調査結果)だったと思うのですけれども、そういう意味では、なかなか実態が出てきません。

ただ、言えることは、監視カメラが特定郵便局長の席を狙っているわけですよね。特定郵便局長が自分たちに反抗しているというので、監視するカメラがすべての郵便局、山の中の郵便局にも設置されています。2階へ行って、そのビデオを見ていると、誰と会っているのか、亀井と会っているのではないかとかではないだろうけれども、そういうことまでやってしまっていますね。それから、部屋は3つに仕切ってしまって、お互いに協力ができないと。

今までのように、郵便配達をしている人が、おじいちゃん、おばあちゃんに頼まれたら預貯金の出し入れまでやっていった、(今、)それはできないわけでしょう。そういうことの中で、山の中では、従来、郵便配達をする人は、それで代価をもらうのではなくても、買い物の手伝いをしていたことが多いのです。それぐらい山の中、特に、お年寄りにとっては、郵便配達をしている人が、まさに生活の手足みたいな役割を果たしていたのですよ。それを民営化したら一切駄目。禁止されてしまったでしょう。それでまた、駆り出すのはアルバイトです。ほとんど正規の社員ではなくてアルバイトという形にしていくわけですから、従来の中身ががらっと変わってしまったのですよ。だから、非常にモラルが低下した中で、遅配なんて起きるのは当たり前なのです。誤配も起きてくるのは当たり前の話なのですね。

問)

大臣のおっしゃることは、とてもよく分かるのですけれども、データに基づかないで「誤配が増えた、増えない」と言うのは、郵政職員に対する侮辱にもなるのではないですか。

答)

だって、現実がそうです。ただ、日本郵政は、「自分たちがいわゆる改革なるものをやって、うまくいっている」というデータしか出さないですから、やったってしょうがないでしょう。そんな作られたデータを出したって…。この間、(国会での)質問のときに(調査結果を)見てびっくりしてしまったのですけれどもね。あんなデータの出し方で、誰が考えても逆のデータですよ。そんなもののデータをとったってしょうがないのですよ。それで、去年の暮れに経営陣が変わったわけですから、新たにそういう調査もしなければいけないでしょうけれども、現在で、実態をきちんと反映した調査をやっているかというと、やっていません。ただ、特定郵便局なんかがやった調査はありますよ。そんなものはあります。それは、また皆さんから、「『郵政改革けしからん』と言っている連中のデータだから一方的だ」と言われるだろうし、実際は、データの捉え方は難しいのです。

問)

おっしゃることはとてもよく分かるのですけれども、ということは、今まで、データがないところで議論しているということですか。

答)

そうではありません。我々は、生のあれ(声)を聞いていますよ。あなたたちみたいに、東京でこんなこと(執筆活動)をやっているのと違うのですよ。あなたたちは、地方を回りましたか。郵便局を回りましたか。

問)

回っていますよ。回っているし、私も、いろいろな方に聞いていますよ。そうすると、「誤配が増えた」という人と「増えていない」という人の二つに分かれてしまうのですよ。

答)

それは、何を基準に「増えたか」「減ったか」ということもありますよね。

問)

確かに、質問の仕方もあるのだと思います。

答)

あるけれども、全体としては、これは現に、みんな下を向いて、いい加減に仕事をしてしまっているのですよ。過大なノルマをかけられて、年賀状を一人に2,500枚も割り当てられてしまって、「捌かないと契約をしない」、「クビを切るよ」とやっていますよ。そんなことの中で、ノーマルな仕事をするはずが…。あなたみたいな真面目な人ならやるかもしれません。普通なら、嫌になってしまって、やらないのは当たり前なのではないですか。虐げられても、虐げられても生真面目にだんだんとやっていく。そんな聖人君子のような人たちばかりだというふうには期待できないですよ。やはり、ちゃんと働くような環境を、そういう扱いを、人間として大事にするということをやる中で、そういう人たちがまともに仕事をしていくのです。それをしていないでおいて、「誤配もない」、「遅配もないだろう」と言っているのは嘘だ、と、強弁だ、と思います。私は自信を持っていますよ。私も田舎ですけれどもね。

問)

保険毎日新聞の園田です。

共済の新法で、今でもオレンジ共済まがいのひどい共済を運営しているところもあるようなのですけれども、今回の保険業法の適用除外で、「すべて規制緩和する」というようなことを言っている人たち(がいるのですが)、そういう方向性にはあるのでしょうか。

答)

これは新法、法律を作ります。もう用意しています。

問)

新しい法律では、そういう…。

答)

そういうことはちゃんと、そういうことが起きないような形で、もうオレンジ共済と同じような(ことが起きないような形で…)。実際問題、中にはひどい運営をしているところがあるのですよ。やはり、そういうものをそのままにしておくわけにはいかないですね。ちゃんとした経営をしてもらう。契約者との関係においても、そういうことをきちんとしていくということを前提にして、今、法律を準備していまして、だから、これは4月初めぐらいに出せるのですか。

政務官)

そうですね。そこら辺を目標に…。はっきりは分かりませんけれども。

答)

これは最初、「1年ぐらい実態調査をした上でやる」と言うから、「駄目だ」と言いました。「それだったら、本来なければいけない共済まで潰れてしまう。もたない」と。だから、これは、「もう直ちにやれ」ということで、今国会、だから4月には法案を出します。

私が中間(検討段階)のやつで中身を見たら、今、あなたが心配しておられることも、完璧に、100%とはいかないでしょうけれども(配慮されています)。ただ、私は、性悪説の立場をとらないですから。性善説の立場でありながら、契約者が不利な目に遭わない(ような)、一部の人たちがそれを利用して不正を行うことがないような、そういう中で存続できるにはどうしたら良いかという観点でやっていますから。

問)

マガジンX(エックス)の島田と申します。

ファミリー企業の件で、例えば、「郵政福祉」が、郵政事業から一手に備品の下請けを請け負って納品している中で、平均年収が700万(円)とか超えているという…。つまり、「随契で請け負っている会社の平均年収があまりにも高いのではないか」といって調べているものもあるのですが、その辺りどう直していくのか…。

答)

ファミリー企業は、今度、思い切ってやります。これは、社長とも話したのですけれども、どうしても郵政事業に必要であり、ファミリー企業になっているものは子会社にします。子会社にして、ちゃんと監督とか、それはきちんといく形で。そうではないものは、もう契約しません。だから、排除するということですね。

問)

基準はあるのですか…。

答)

いや、今、それを作っています。もうそういう無駄な…。今、道路公団の民営化がされたでしょう。同じことをやって(しまって)います。だから、民営化は必ずしも良くないのですね。

今度の日本郵政だってそうですよ。民営化されたというので、そういうものがコバンザメのようにくっ付いてしまって、生き血を吸っているのですよ。道路株式会社はそうでしょう。私が建設大臣のとき、道路公団にコバンザメのように張り付いている幹部の天下りのファミリー企業と全部随契でやっているから、すべて競争入札をしたのです。

ところが、道路公団を民営化してしまったでしょう。民間会社になってしまったから、元に戻ってしまいました。また、ファミリー企業がバァーッと張り付いてしまって、そこに儲かるような形で随意契約がどんどん流れていくから、実際は、大変なことになっているのですよ。しかし、誰も制御できない。猪瀬(直樹氏)ではないですけれども、「民営化したらすべて良くなる」ということで、結果としては、民間会社で(モニタリングが)身軽になってしまうでしょう。国会で問題にされるわけでもないし、役所からこうされるわけでもない。自由に、そういうファミリー(企業)を太らすという経営になってしまうのですよ。今の道路会社はいい例ですね。日本郵政もそうなってしまっています。だから、それはもう思いきってやります。その結果、私は殺されるかもしれないけれども、しょうがないですね。

問)

フリーの竹川と申します。

先日、大臣が、「福祉経済は漢方薬で、じわじわしか効かないので、即効性のある経済対策が必要だ」ということで、今週、鳩山総理大臣ともお話しされたと思うのですが、その即効性のある経済対策について、何か具体的な話し合いなり、何なりが行われたのでしょうか。

答)

私は、総理に、「例えば」と言って申し上げたのですが、「それも良いな」と言っていました。例えば、北陸なら新幹線が、凍結ではないですけれども、事実上止まっているでしょう。駅舎だけできていて。ああいうところに、今度、臨時に、5月でも6月でも100億(円)でも200億(円)でもバシッと…。事業を進めるわけです。出してみなさいよね。それは、北陸の人たちは「山陰に日が差した」みたいな形で元気が出ますよね。バッと思いきって。

また、北海道だってそうでしょう。総理の地元がありますけれども、札幌まで新幹線をバシャーッとやってしまうと。それも100億(円)から200億(円)を追加でバンと(予算を)つけると。あと、今度は北海道一周の新幹線を作ってしまう。そういう、地域によって元気が出るのは全部違うのですよ。北海道でこれをやれば元気が出ると。少なくとも気分が明るくなると。北陸はこう、沖縄はどうだと。沖縄は、私は「カジノをやれ」と言っているのですけれども、それは、今、基地の問題もいろいろ、普天間の問題で皆さんご苦労されているのですけれども…。四国は何なのだと。四国だったら、あれは宿毛市なんていうのは、空港まで3時間かかります。私は行った(ことがある)けれども、あそこに私が植えた桜が大きくなっていると言われて見たけれども、行ってびっくりしました。あそこはどこから行ったって3時間かかります。高速道路もないのですよ。そういうようなところを、「コンクリートから人へ」とばかり言っているから誤解されるので、「コンクリートから人へ」ということですけれども、やはり必要なものはやるということで、「そこは高速道路をバァーンとやりますよ」と、総理がバァーッとおやりになられたら、そこだけではなくて、四国の人たちはワァーッと元気が出るのですよ。地域によって全部違うのであって、それぞれ営みや地域性がありますから、それに合ったことを大胆に、思いきってバシャーッとやらないと…。財務省が作ったような補正予算をやったって意味がないのですよ。財務省の役人が机の上でゴタゴタやって。そうではなくて、「地域の人の心を打つ、『おっ、元気出そう』という気持ちの出るようなことを、総理自らがおやりなさい」と言ったのです。「あなた自身が鉛筆なめなめ、データを集めて良いから、よし、これをやるぞ」と。「これはやる」、「これをやれ」と。私もちょっと意見も具申いたしましたけれども。今からやることは、とにかく、六本木ヒルズの上から目薬を点すようなことをやったって駄目なのです。そうではなくて、やはり「やるぞ」、「頑張るぞ」と、元気の出るような大型の対策をやらなければいけません。

皆さんご承知のように、アメリカだって、日本から官民合わせて200兆円ぐらいお金を借りているでしょう。中国からは100兆円ぐらい借りています。自分の国も財政赤字。それが、オバマ(米大統領)なんて70兆円の緊急対策をやって、そのうちの7割が公共事業ですよ。中国だって、サブプライムローンが破裂してしまって世界中が大変になったときに…。中国は、日本みたいに議会を通す必要はないですから。中国というのは便利な国なのですよ。自由主義経済の良いところを使って、あとはパーッと。適切な政策を直ちに、60兆(円)の、これは、全部公共事業ですよ。バァーッとやったでしょう。それで景気がワァーッと。バンッと落ち込まないで来たでしょう。

だから、世界のどの国も思いきったことをやっている中で、日本だけが財務省に乗っかってしまってね。財政規律という化け物は、本当に幽霊ですよ。それは、当たり前なのです。財政規律が必要か、必要でないかと言ったら、誰だって「必要だ」って言うに決まっているのですよ。それを盾にとって、大型の財政出動をさせないようにしているでしょう。それこそさっき言ったように、数字がそれを後押ししてしまって、「良くなります、良くなります」と、(実際には)こう下がってきているわけでしょう。そんなことをやっているから…。

私は威張るわけではありません。私は、ずっと日本経済を見てきているのですから、財務省という役所がどういう役所かということは、ずっと見てきています。私が(自民党)政調会長のとき、予算を組むときに(財務省は)出入り禁止にした。当時、主計局長なんかは二度出入り禁止にしました。「おまえたちは会社で言うと経理係だ」と、「おれは事業部長だ」、「事業部長が党主導でやる」とやったのですよ。だから、(GDPが)2%、成長が戻ったでしょう。私の言うことを聞かないで、龍ちゃん(橋本龍太郎元総理)が緊縮財政にいってしまったから、マイナス成長に落ちていたのですよ。財務省の手に乗ってしまって。財務省の言うとおりやっていると、間違いなく緊縮財政にいってしまうのです。それで龍ちゃんが間違った。これは、当時のテレビ中継を見てもらえれば分かるのですけれども、総理と私は予算委員会で対立したのですよ。私は閣外に出ていた梶山(静六 元衆議院議員)さんとあれして、「駄目だ」と言ってやったのですけれどもね。

だから、あのときマイナス成長に落ちていたでしょう。だけれども、龍ちゃんが偉いのは「ああ、しまった」ということで…。皆さん覚えているでしょう、「アナウンスなき政策転換」ということをやったでしょう。それで、政策転換、積極経済に動いたのです。ところが、時、既に遅しで、参議院は負けて退陣して、その後の小渕(元総理)さんが積極財政へ転換してしまったでしょう。私は(自民党)政調会長をやって。財務省は出入り禁止にして、この間やめた津田(元財務事務次官)なんかも出入り禁止にされて。「こちらがやる。おまえたちは、そろばん勘定やれば良いのだ」と、「こちらの指示したことを計数整理すれば良いのだ」と。それをやって、初めて経済の実態に合った対策が打てるのです。今のように、財務省の言うとおりになっていて…。だって、別に、彼らは経済が悪くなったって給料が下がるわけではないのですから。相変わらず局長は局長なのです。主計官は主計官なのです。こんな演説をしたってしょうがないのですけれども、だから、そこのくびきから脱しないと…。デフレ脱却は、財務省脱却ということなのです。

この間、勝(財務省主計局長)に「ちょっと今度、話をしよう」と言ったのですけれども、「ぜひお願いします」と言っていたけれども、この内閣は「脱官僚」ではないのですよ。「脱財務省」をやらなければ駄目なのです。他の役所なんて、財務省との関係では植民地ですよ。本当ですよ。権限なんてないのですから。今は、特にそうなってしまったのではないですか。今まで、かつてなんか、大蔵(省出身)の同期のうちの半分ぐらいは次官になってしまったのですよ。他の省の次官になっていくでしょう。特に、省庁が統廃合される前でひどかったのは、経済企画庁だとか防衛庁の次官までやられたのですね。彼(田村大臣政務官)も大蔵省出身ですね(笑)。大蔵省が、各省も全部支配しています。本当ですよ。だから、「脱官僚」ということは「脱財務省」ということなのです。幾ら他の役所をいじめてみたって、それは駄目なのです。他の役所の人事をどうだこうだと言ったって、そんなものは植民地の司政官の人事をいじるだけの話なのですよ。本国をいじらなければいけません。本国とは財務省です。その腹がなければ、これは、公務員改革なんかできません。結局は、格好だけになってしまうのですね。

こんなことを言ってはおかしいですけれども、鳩山政権はその覚悟をするかどうかなのです。幾ら形だけの改革をやったって駄目なのです。それを動かしている人間を掴まなければいけません。総理が、それを動かしていけば良いのですよ。掴まなければ駄目なのです。死にものぐるいに仕事をさせる、それが「脱官僚」なのです。

こんな演説をして、あなたたちに言ってもしょうがないのですけれども、本当にそうですよ。だから、今も相変わらず財務省主導で、この間の、去年の暮れからの補正予算から本予算だってそうですよ。あれは、ある意味で、私と財務省との戦いだったのです。だから、そういうことをどうやっていくかということを考えないと、幾ら政務官を増やしてどうだこうだと言ったって、これは各役所がエクスキューズできるだけなのです。「政治主導だから、政務官やってください」と。彼らは、裏で舌を出して遊んでいるだけになってしまいます。そんなことをやったら、日本というのは大変なことになりますよ。

能力で言うと、政治家の優秀なのと役人のあほはチョボチョボなのですよ。彼(田村大臣政務官)とか大塚(副大臣)君なんかは別ですけれども、トータルとして見れば、やはり、役人は能力的には優秀なものを集めているのですよ。それは現実なのです。それから仕事を取り上げてしまって、「脱官僚だ」とやって、国民の中の相当優秀な部分が集まっているところに仕事をさせないでおいて、あほな政治家が、私が、やったって、こんなことはやれるわけがないではないですか。子供が考えても分かる話なのです。「脱官僚」というのは、政治が方向を示してバシッとやって、役人がマシーンとなって、それをこなしてやっていくというのが「政治主導」なのです。それを勘違いしていては駄目ですね。あなた(田村大臣政務官)もそう思うでしょう。

政務官)

はい。

答)

彼(田村大臣政務官)なんかは一生懸命やって、役人を使いまくっています。さっきの貸金(業法施行に係る検討)なんかにしても、彼と大塚(副大臣)君が…。彼(田村大臣政務官)が中心ですよ。もうずっとやって。金融庁なんて、私はあほですから、私が「カバチ」を垂れたって、みんな「ヒーン」と言って笑っているわけです。そういう点、鳩山(総理)は今度の人事は偉いのですよ。私みたいなあほを、国交大臣ならまだしも金融(担当)大臣にしたのでしょう。それは、世間だって不安がりますよ(笑)。まあ、金融関係(者)なんて、(むしろ)不安があるというよりかは、私のことをなめているのでしょうけれどもね(笑)。ちゃんと周りに大塚(副大臣)だとか田村(大臣政務官)とか、こういう優秀なのをちゃんと配置しているのですよね。そういう点は、良い人事をやりますね。そういうことです。

問)

金融財政事情の吉田と申します。

郵政法案なのですが、来週以降、法案提出まで具体的にどんなスケジュールになりそうでしょうか。

答)

大体、月曜は休みでしょう。火曜日に、原口(総務)大臣や郵政の齋藤社長と、ここで、最終的な意見を聞きます。だから、火曜日の夜、行いの良い私が「斎戒沐浴(さいかいもくよく)」して、妙な女性とデートなんかもしないで、真面目に一晩考えて、それで翌日に結論を出します。そういう予定です。

問)

法案提出は4月になりそうでしょうか。

答)

骨子は大体できていますから、具体的なことは、中身がキュッキュッと入っていくと、大体、月末から月初めぐらいですか。

政務官)

早くて、そうですね。

答)

だから、閣議に出すのは4月でしょうね。

問)

保険銀行日報の片岡と申します。

今の質問とダブるところがあるのですが、郵政改革の限度額、業務範囲について、決定に向けてどの程度固まっているかを教えていただければ…。

答)

だから、今まで精力的に、彼(田村大臣政務官)なんかも本当に汗をかいてくれて、幅広い意見をずっと聞いて。また、さっき言ったように、非正規雇用は(社員全体のうちの)半分なのですよね。しかも、ノルマを課して非人間的な雇用の経営で…。これを変えます。今の日本を覆っている、人間を人間扱いしないというような経営形態は、日本郵政が(悪い)見本になってしまっています。(社員全体のうちの)半分が非正規社員になってしまっています。今、大企業が、(社員全体のうちの非正規社員の人数が)大体、3分の1でしょう。それをもっと極端にすると、まあ、郵便という特殊事情もありますけれども、半分になってしまっているのですよ。だから、これを大体10万人程度を目標にして、これを正社員に変えていきます。これは、もう具体的なことを、今、準備していますけれども、齋藤社長も極めて意欲的に取り組んでくれています。

それと、さっきもお話ししたようにファミリー企業を整理して、ちゃんとするということ。それから、物品調達。2年前から、地方で調達していたのを中央調達に切り替えてしまいました。これを、また地方の調達にします。そういうこととセットなのです。そうすると、人件費だけで3,000億(円)以上アップすると思いますよ。ファミリー企業等を整理するのは、その分でプラスが出てくるのですけれども、そういうことで経費が上がったって、こんなのは「(正当な)原価だ」と言っているのです。人間を人間扱いしないで働いてもらって利益を得ようなんて、これは間違っています。こんなもの、基本が間違っているのです。ちゃんと人間として大事にしながら、誇りを持って、希望を持って働いてもらうような職場で、それで税金を注ぎ込まないでちゃんと経営ができる経営体にするにはどうすれば良いのかと。だから、私は齋藤社長に「セットの話だぞ」と言いました。経営形態をどうするのか、限度額の問題を含めて、そういうものをちゃんとしてと。ちゃんとした経営ができるにはどうしたら良いかという観点で私は決めるわけですから。セットなのです。「それが決まらない限り、私は決められない」と言って、今日まで来ています。

問)

例えば、(ゆうちょの預入)限度額について、もう引上げは決まっていると。額の問題で、今、詰めに入っているとか…。

答)

別に、そういうことを含めてです。一方で、「(限度額を)下げてくれ」というところもあるのですから。

問)

まだ引き上げるかどうかは、まだ…。

答)

だから、それは言ったでしょう。火曜日に、最後の意見をここで聞きますから。

問)

そのときに、同時に額も決めてしまうと…。

答)

いやいや、さっき言ったでしょう。それは(意見を)聞くのであって、聞いた後に、総理も「任せる」と言っているのですから、一晩よく考えて、それで、そういう、さっき言ったように、ちゃんとした経営がやっていける、そういうやるべきことをきちんとやった上で、税金に頼らないでちゃんと利益が上がっていくにはどういう仕組みにしたら良いのか、ということになるわけです。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る