亀井前内閣府特命担当大臣退任記者会見の概要

(平成22年6月14日(月)11時17分~12時16分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

皆さん、短い期間でしたが、お世話になりました。こんな性格ですから、皆さんに不愉快な思いをずっとかけ続けてきたと思いますが、私は、大臣として、取り立てて新しいことをやろうとしたわけでもありません。日本を少しでも人間らしい世界にしていきたい、その一念で、私の所掌の仕事について進めてきたわけでありますが、幸い、(大塚)副大臣、(田村大臣)政務官、本当に素晴らしい男たちに恵まれて、また、長官以下、本当に金融庁の職員というのは真面目で、一途で、良い職員ばかりだと感じました。矢継ぎ早に、次から次へと私が仕事をお願いしたものですから、徹夜での仕事も相当期間やったと思います。音を上げずに頑張ってくれました。そういう意味では、私にとって、本当にありがたい期間でありました。

後任は自見(新大臣)君にお願いして、彼に希望どおり就任してもらいました。私と、もちろん基本的な考え方その他、軌を一するところが多いわけでありますから、今後とも、私の思いも、ある面では引き継ぎながら頑張っていくであろうと、このようにも期待しております。本当に、皆さん、ありがとうございました。

そちらの国民新党番記者とは…。来ていないですか。今からも付き合いが続くわけでありますが、金融庁詰め(記者)の皆さん方も、「あんなやつの顔は二度と見たくない」(という)でしょうけれども、たまには、また嫌みを言いに来てください。

本当に皆さん、ありがとうございました。お世話になりました。

【質疑応答】

問)

大臣として務められたこの8か月間で、ご自身の成果として感じられている部分と、やり残されたことが何かあればお願いいたします。

答)

一つは、小泉・竹中さん時代に持ち込まれた、当時の世界の風潮でもあったのですけれども、間違った金融思想というか、それが、残念ながら、あっという間に日本を席巻してしまっていたわけですが、それを変えたい、そういう金融行政を私なりに推進いたしましたが、いわゆるモラトリアム法案を始め、そういうことについて、残念ながら、まだ金融界の全面的な理解と賛同を得ているとは思いません。

しかしながら、金融庁の行政の姿勢ががらりと変わったことによって、金融界の皆さん方も、「時代が変わった」という一つの認識の下で、自分たちの仕事についても「従来とは違った、ある面では、価値観に基づいて仕事をしなければいけないのではないかな」という意識も、相当、強くなってきているというようにも感じます。モラトリアム法案の実施状況を見ましても、自主的に法律の趣旨を体して、あるいは、さらにその先に進んで「社会的責任を果たしていこう」という金融機関も、全国で相当出てきているような状況が生まれていますので、そういう面では…。いつ逆流が起きるのか分かりませんけれども、今は、相応になってきたという感じがします。

今度、何か郵政改革法案が臨時国会送りになったことで金融界もキャッキャと騒いでいる声も若干ないわけではありませんが、そんな空喜びをしてもしょうがない話であって、もう時代がどんどん流れていっているということを、やはり真剣に考えていかないと。過去、日本の金融界自体が、もう大変な経験もしているわけですから。それについては、残念ながら、金融界自身が招いた、そういう面があることは…。全部が責任だとは言わないですけれども、(責任が)あるわけであって、また、アメリカにおいても、外国においても、一度間違った方向にいけばどういう結果が生まれるのか、ということを学習されたはずでありますから、今後、(自見)新大臣の下で、こうしたことについて、ある面では謙虚に、堅実な、しかし、元気な歩みをしていただきたいと。

ある意味では、金融界は元気がありません。やはり、金融界自体が、本当に、消極的な手数料稼ぎみたいなことになっていってしまっています。そんな状況で、本当に、直接、間接の金融機関としての責任を、今後、果たしていけるのか。グローバル化の中において、我が国の金融機関が世界の金融機関に伍して消極的な姿勢だけで身が守れるのか、というと、私は、そうではないと思います。世界的な、やはりある面では「責任を果たすのだ」というような積極的な意欲、気概を持って、金融界に進んでもらいたいと思います。

郵政については、残念ながら、今国会で処理する、そうした両党間における約束が守られなかったということの中で、参議院選挙後の臨時国会最優先処理という形で送られたわけでありますけれども、これについては、私は、当然、このことについても新たな協定を取り結んだわけでありますが、協定を取り結んだからといって、反故(ほご)にしてしまったら意味がないわけですが、国民が見ているわけでありますから、やはり、政党間におけるそうした約束、信義を守らなくなれば、私は、政党政治は死んでいくと思います。その都度その都度の世論と称するもの、「と称するもの」と私は言うわけでありますが、そういうものに身を委ねて、選挙に勝つことだけを考えた政治をやっていった場合、私は、その国は大変な事態に立ち至ると思います。「選挙のために政治をやる」などということを繰り返して、その国がもつはずはないわけでありまして、そういう意味で、参議院選挙(後)に先送りになったわけでありますけれども、それがきちんと果たされていくのかどうかということは、我が国の将来にとっても…。何も郵政の問題だけではないのですね。我が国の政治のあり方、今後について、極めて大事なことであろうと思っております。

菅総理は、そのことをきちんと分かって、今後、これについても取り組んでいかれるだろうと。何も郵政だけではありません。保険業法の一部改正、派遣法の問題、こうした問題も、当然、当面処理すべきことを処理できるにもかかわらず、(処理)しないで選挙に入るわけでありますから、選挙が終わった後、こういうものをどう処理するのか、ということについては、大きな責任があると思います。

問)

毎日放送の福岡です。

地方の選挙協力の点なのですけれども、民主党との選挙協力なのですが、郵便局長会とかの末端のほうを取材しますと、今回、(郵政改革法案が)成立しなかったことに関してかなりの失望感があるのですが、今回、(国会を)通らなかったことと、もし通っていた場合とで、かなり選挙協力に対する影響力はあると思われるのかどうか、というのが、まず1点と、次、もし国会で通った場合、(亀井前)大臣は「また大臣をやりたい」というお気持ちはありますでしょうか。

答)

誰がですか。

問)

亀井さんがです。

答)

後のほうから先に…。そんなことがあるわけがないではないですか。もう自見(新大臣)という、私などより数倍、能力その他も上の者がちゃんと座って、彼がきちんとやりますから。

それと、選挙協力の問題ですけれども、これは連立を組んでもいるわけですから、国民新党が候補者を立てていない選挙区については、あたう限りの、我々としては、選挙協力を誠心誠意いたします。これを近いうちに、具体的にどの候補者を推薦するのか、ということは決定したいと思っています。郵政の方々がどういう思いで取り組まれるか、そこまで私が申し上げるわけにはまいりませんけれども、ここでガックリこられないで、参議院選挙後、希望を持って、政党間で約束していることですから、私は、それぞれお過ごしになったら良いだろうと。その一つに選挙があるわけですけれどもね。

問)

日本インターネット新聞社の田中龍作と申します。

大臣、心残りだと思われますが、郵政の非正規社員の正社員化ですが、ちょっと無神経な質問ですが、万が一、国会に、今度の参議院選挙結果でねじれが生じた場合、これは宙に浮いてしまって人的被害が出てくるのではないかと思うのですが…。

答)

私は心配していません。齋藤(日本郵政)社長が、「きちんとやる」ということを、現時点で、私にも言明しておられますからね。これは、ちゃんと日本郵政が、従業員を人間としてきちんと尊重しながら、希望を持って働いていただく、そういう職場でなければ日本郵政は再生できません。齋藤社長は、固くそれを信じているわけでありますから、この間、発表したように、予定どおりそれに取り組んでいくということです。何の心配もしていません。

問)

先ほど、大臣は、選挙協力について「誠心誠意、民主党と協力する」というお話でしたけれども、一度、公党と公党の約束を破られた立場であるのですけれども、どうして、まだ誠心誠意の協力関係を続けることができるのか、ということを、改めてお聞かせいただきたいのと、菅政権が、将来の消費税引上げを前提とした税制改革の超党派の議論を呼びかけていますけれども、(亀井前)大臣と菅(総理)さんの税についての考え方は真っ向から反対だと思うのですけれども、国民新党もしくは亀井さんとしては、この菅(総理)さんの呼びかけについてどう応じるおつもりがあるのか、ということについてお聞かせください。

答)

まず、1番目(の質問)ですけれども、これは、この度、両党間でもろに、そうした、約束が反故にされたという、両党間で(そういう)事態が起きたわけですけれども、しかし、私ども(国民新党)は、簡単に言うと、民主党相手にやっているのではないのです。この日本をどうするか、国民の生活をどうするかという視点で、私どもは国民新党を結党して、立ち上げて、今日まで来ています。民主党とも社民党とも、そういう視点で、国民新党だけではやれないですから、両党と協力関係を結んで、そして、我々が考えている政策の実現をどういう事態になってもやっていくと。執念深いのですよ。事実、マイナスの中から結党してここまでやってきているということは、相手が裏切ろうが何しようが、そんなことで諦める、そんなやわな党ではありません。今回は反故にされましたけれども、参議院選挙後も「やる」と言っている以上は、私どもとしては、それに向かって、やはり民主党も勝ってもらわないと困るわけですから。だから、民主党にも勝ってもらおうということが国民新党の、やはり、政策を実現する上においては大事ですから、そういう意味では、反故にされて「腹が立たない」と言えば嘘ですけれども、そうではなくて、民主党に少しでも勝ってもらうように全力を挙げてやります。

これは、もう当たり前なのです。「腹が立ったから止めた」というわけにはいかないのです、政党間では。ここが、やはり個人の関係とは違うのですよね。個人の関係だったら、すぐ「いや、こいつなんかと付き合うか」ということがやれますけれども、政党との関係はそうはいかないですよね。そこが、やはり公なのですよ。政党というのは公の仕事をしていますから、それを実現するためにはどうするのか、ということを常に迫られていくのです。私などは、小沢(民主党前幹事長)さんともそうです。喧嘩して手を握って、喧嘩して手を握ってですよ。民間の中では考えられないことが、やはり政治の世界では起きてしまうのです。自分だけが良い気持ちになっているわけにはいかないのですね。そういうことですので、我々としては誠心誠意やります。

ただ、具体的にどこをどう、ということについては、いろいろやり方も考えなければいけない面もありますけれども、これは大所高所から判断します。ただ、自民党の中にも、前回の郵政(選挙)のときに反対された方が候補者になっておられるところがあるでしょう。自民党ではなくても、無所属の方を含めて。そういう方々に対してどう対応するか、という問題もありますけれども、郵政だけが、また一方では、政治ではありませんから、そういうことを含めて、ちょっと2、3日のうちに検討してお答えします。

問)

もう1点、消費税についてですね。

答)

これは、税制について、常に与野党が議論するということは、お互いに、マスコミ向けに適当なパフォーマンスを言って国民を惑わすようなことを言わないで、本当に、真剣に税制のあり方を常に検討する、未来に向かってね。ということは、当然のことです。

ただ、それに、野党を含めて全党が乗ってくる、今、状況なのかどうか。これは、選挙の前というのは、なかなか野党は乗りにくいでしょう。我々にしたって、それは議論に一緒に乗りますよ。

だけど、何度も言うように、税だけをいじってもどうしようもないのですよね。経済をどう活性化していくか、ということを考えないと、税金の取り方ばかり考えても、経済が死んでしまったら税は上がってこないのですから、税収は上がらないのですよね。だから、そこらを含めて、税制についてのそういう真剣な検討も必要ですけれども、デフレスパイラルからどう脱していくのか、経済をどうきちんと持ち直していくのかという、そういうこと全体について、やはり、与党は真剣に考えるべきでしょうね、税制だけが前に来るのではなくて。井戸が枯れてきているのに、釣瓶を降ろして汲み上げることばかり考えても、これは不可能なのです。こんなものは不能犯なのです。やはり、井戸水をどうやって溢れさせていくか、ということを考える中で、汲み上げ方を…。公平性の問題もあるでしょう。いろいろな問題も含めてどうするか、ということを考えないといけません。

今のマスコミもそうですけれども、皆さん方はそうではないかと思いますけれども、そうかもしれないですけれども、財源がないとすぐ「増税だ」と言っても、実態はそうはいかないのですよ、これは。過去が示しているでしょう。皆さん方は若い方が多いですけれども、若い方にしても、日本の最近の全部がそうでしょう。示しているわけですよね。そういう経験を無視して、経験から学ばないで現在の状況に対応していこうなどと、そんなことを考えても駄目ですね。絵空事です、それは。国民に対して責任を持つという立場では、トータルな視点で税制も考えなければ駄目だと思いますね。

菅(総理)さんは非常に優秀ですよ。知性溢れる人物ですから、そういう点は分かっておられると思います。要は、そうした経済をどうしていくのか、という視点に立った今からの経済運営。この選挙も、国民向け、選挙向けに甘いことを言うのではなくて、本当にどうしないといけないのか、どうすれば立ち直れるか、ということを、私は、政府としても真剣に国民に訴えていくべきだろうと思います。うち(国民新党)も連立を組んでいますから、その一員としてそうですね。

問)

フリーランスの畠山と申します。

今回、1週間も経たないうちに政党間の約束が反故にされたわけですけれども、そういう政党というのは、また約束を反故にする可能性もあるのではないかと思うのですが、その場合はどうされるのか。また、国民はいつまでそういった政党を信用していれば良いとお考えでしょうか。

答)

それは、今も、ちょっとお答えしたことと関係するのですけれども、やはり、我々は、国家、国民のために頑張らなければいけないのですよ。叩かれても叩かれても、踏みつけられても踏みつけられても、馬鹿にされても、軽んじられても、腹が立って「止めた」というわけにいきません。そういう意味では、腹が煮えくり返ったって、一縷の望みがあれば、それを求めていかなければいけないのです。私など、性分としては、それがなかなかできにくい性分ですけれども、しょうがないですね。政治をやっている以上は、国民新党としても、我々も政党である以上は、せざるを得ないのです。将来、民主党がそれをどうするのかという問題は、さっきもちょっと言いましたように、同じことを何度も繰り返してしまったら、いかに今の国民の方が…。「そんなことはどうでも良い。パフォーマンスだけおもしろければ良い」ということを考えられる国民が多くなっていますけれども、パフォーマンスだけでいつまでも国民が喝采されますかと。私は、最後は国民だと思います。そういう国民の目を、民主党が今後どう感じていくか、ということだろうと思います。「国民なんて、適当にパフォーマンスとか適当にあれしておけば、選挙でも投票してくれるし、今後も大丈夫だ」と、高を括っていけるのかいけないのか、それは民主党が真剣にお考えになれば良いことであって、しかし、私は、菅(総理)さんとも長い付き合いですけれども、非常に、そういう意味では誠実な人ですから、今度の(選挙)は本当に苦渋の参議院ですね。

本当の天気の晴れ間に「ピクニックやりましょう」などと言っても、空の天気はすぐに変わってしまうのです。私は、そんな支持率頼みで…。自分への支持率ではないですよ。党への支持率頼みで選挙をやるというような政治家は、私は、立候補を辞めたら良いと思います。それは、選挙に出る資格はありません。もちろん党への支持も大事ですよ。大事ですけれども、目の前の政治課題は捨てても、「早うせんか、早うせんか、晴れ間がある間に」などと、そういうことが許されるのかどうか。今度の選挙、私は、民主党に頑張ってもらいたいと。そうでないと困るのですから、こっちも。

問)

「晴れ間に」というのは、輿石参議院会長のことでしょうか。

答)

何のことですか。

問)

「晴れ間に選挙をやってほしい」とか、思っていらっしゃるのは…。

答)

だけど、私が聞いているところによると、参議院の相当数の方がそういうことになってしまったということみたいですけれどもね。

問)

世界日報の野村と申します。

「第3の道」ということで、消費税を増税して景気を好くするということが言われておりますけれども、これについて亀井代表のご所見をお伺いしたいのですけれども。

答)

菅総理も、必ずしも…。「第3の道」というのは、増税によって、そのお金を有効に使って需要を出して、それで経済を活性化するという、必ずしも、そういう短絡的なことを言っているわけではないので。ただ、「増税ということが、あとはお金の使い道さえ間違えなければ、必ずしも経済にマイナスではない場合もあるのだ」ということを総理は言っておられるわけですから、「即、増税をどんどんやって、お金を作って、それをうまく使えば景気はちゃんとなる」などということとをおっしゃっているのではないと思いますよ。まず、経済が好くないのに増税しても(税収は)上がってこないでしょう。釣瓶を幾ら、今までの小さい釣瓶から大きい釣瓶にしても、水がなくなったら(税収は)上がってこないのですよね。

そういう意味で、私は、総理が必ずしもマスコミが報道しているような…。私は、菅(総理)さんと話すことも割と多いですからね。ただ、増税ということについては、「『増税、即景気が悪くなる』というようにまで考える必要もないのではないか」という意味のことを言っておられるのですけれどもね。しかし、今から、では実際、増税を先にやって景気対策を後にして、ということを、政治手順としておやりになることはないと思いますよ、あの菅(総理)さんが。やはり、景気を好くしないで増税措置をやっても税収は上がらないのですから、こんなことは。分かっていると思いますよ。

菅(総理)さんと私とのあれは、別に、基本的に違っているわけではないのですけれども、具体的に財政再建をやっていくのに、どういう手段、どういう手順、そういう面で少し違いがあるということかもしれませんけれども、基本認識は、私は、今まで、(国会の)財金(委員会)なんかでもお互いに答弁する中で言ったりしていますけれどもね。まあ、今から、またよく話しますよ。

問)

郵政(改革)法案なのですけれども、鳩山政権下で準備していた間に政権の支持率がどんどん下がっていったことを思えばなのですが、国民の理解を十分得られていたかどうか、という点が疑問なのですけれども、その辺りはどうお考えでしょうか。また、臨時国会までに、批判の多い部分、例えば、限度額を引き上げるとか、そういったものを少しでも見直す余地というのはあり得るのでしょうか。

答)

あなたの社のおっしゃるとおりにやるつもりは、全然、おそらくないだろうと思いますよ。ごめんなさい。

問)

不動産経済研究所の中澤と申します。

(亀井)前大臣は、常々、「大臣の地位には恋々としない」ということをおっしゃっておりましたけれども、今回、郵政改革法案が通らなかったことで、郵政(改革)担当大臣だけを辞めるという選択肢はなかったのでしょうかという、金融担当(大臣)は引き続き行うということはできなかったのか、ということをお伺いしたいのですが。

答)

それは、両方一体となって任命されたわけですから、そこは、「分けて」なんていうことはないですし、また、私として、「内閣の一員として留まるべきではない」という判断ですから、「一部ならやりましょう」、「一部なら」という、そういう気持ちは全然なかったです。ちゃんとけじめをつけないと、私も国民の方々に約束したことですからね。大臣としても、それを政党間の約束という裏打ちの中でやっていったわけですから、けじめをつけないといけないということです。

問)

フリーランスの上出です。

既に出ている支持率とかの関係なのですが、改めて、既に、言われていると思いますが、今、極端に「V字型(回復)」と言われている民主党への支持率をどう読まれて、そして、これからいろいろな問題が出ていく中で、亀井(前)大臣としては、何をポイントにこの国民の変化というのを読んで選挙に対応されていこうとしているか、というのを、もし具体的にお聞かせいただければ嬉しいのですが…。

答)

今の(菅)総理に対する支持率が今後もぐんぐん上がっていくことを私は期待します。やはり、この参議院で与党が過半数をとれないという事態というのは、これは大変な事態になるわけですから。国民新党だけがいかにしゃかりきに頑張ったって、ご承知のように、ちっちゃな党になかなか振り向いてくれないわけですからね。国民新党も頑張りますけれども、民主党にも頑張ってもらわなければいけないと。そういう意味では、私は、もうこうなったら神に祈るような気持ちで支持率も上がってもらいたいと本当に思います。そうでないと大変なことになりますね。過半数割ってしまいますとね。

問)

支持率が上がった一番大きな要因というのは何だと思いますか。「小沢離れ」と言われていますが。

答)

よく分からないのですよね。芸能人の人気がバーッと上がったり、パッと捨てられたり、めまぐるしいでしょう。政治に対する国民の方々の感覚も、何か大脳皮質でじっくりと考えた上で、支持するとかしないとか決めておられない面も非常に強いのではないかと思いますよ、本当に。私は失礼なことを言いますけれどもね。非常に、感覚的な面が非常に強いと。

その中で今後の政治が進んでいくということになると、だから、私は、政治家はよっぽど、本当によっぽどの覚悟をしながら政治をやっていかなければいけませんよね。毎日、最近、特に電話調査か何かで簡単にやってしまうでしょう。あまりお金をかけないで、各社ともね。それを毎週出しては、「上がった」、「下がった」とやって、政治を、本当にマスコミが世論調査で誘導してしまっているのですよ。「風にそよぐ葦(あし)」ではないですけれども、そういうふうに、政治というのがフラフラしていく状況になってしまったら…。今度だってそうでしょう。支持率がグーッと上がったということで、当面の、しつこいようですけれども、政治課題を放り投げてしまうようなことになってしまうでしょう。

(だから)といって、皆さん方に「支持率調査を止めろ」なんていうことを言っているのではないですけれども、そうした支持率にあまりこだわらないで、場合によっては、「支持率が0(ゼロ)になったってやるべきことをやるのだ」という、私は、何も世論を無視しているということではなくて、それぐらい政治家に、政党に覚悟もないと。そんなことを言ったら代議制の意味がないですから。代議制という、今の民主主義の意味がなくなってしまいます。いつも家庭との間をつないでおいて、「これは賛成ですか」、「この法案賛成ですか、反対ですか」と、パッパッパッと国民の方が「はい賛成」、「反対」で法案が全部そうなってしまうでしょう。こんなにメカが発達して、情報技術が発達していれば、そういう、いわゆる直接民主主義ですね。直接民主主義に切り替えたら良いのか、という議論まで起きてきますよ。

そうではなくて、今までのやり方は、やはり、自分たちが選んだ政治家にある一定期間、(衆議院なら)4年間ですね。参議院なら6年間。政治の判断を、やはり委ねるという前提で、日本の代議制民主主義というのは進んでいるわけですよ。それを、選ばれた方は自信がなくて、「選んだ人の気持ちが今はどうだろう」、「ああだろう、ああだろう」ということだけを気にしながら進んでいく(という)ことが、本来の意味の代議制民主主義のあれに適っているのかどうかという深刻な問題があると思いますよ。

ある意味では、もうちょっと長い目で見て、「あなたが私を選んだのだから、あなたが私を選んでくれたのだから、その信頼に応えるために、今は、あなたの考え方に反しているかもしれないけれども、あなたの気持ちもよく分かったけれども、しかし、あなたの意に反したことをこの際やるかもしれない。それは次の選挙でそれを判断してくれ」というような覚悟を、政治家なり政党が持っていかないと。その都度、新聞社がやる1週間ごとの世論調査の中身によって、政策判断とか、いろいろな判断が全部変わっていくようなことをやり出してしまったら、そんなのは持つのですかね。日本は深刻な状況になってきたのですね、そういう意味では。

問)

フリーランスの佐々木実といいます。

小沢一郎(民主党前幹事長)さんについてちょっと伺いたいのですけれども、鳩山政権時代は、民主党の中心に小沢幹事長がいて、政界の中心に小沢さんがいたと思うのですけれども、国民新党代表の立場と、それから金融・郵政(改革)担当大臣として、小沢さんの幹事長としての仕事を、改めてどういうふうに評価されているのか。それから、「これから一兵卒としてやっていく」という小沢さんとどういうふうに付き合っていくのか、ということをお聞かせください。

答)

小沢(民主党前幹事長)さんは、私も、ある意味では長い付き合いですけれども、「ひたすらな道をまっしぐらに」という人なのですよ。政治的な道はね。あの方がやっていることは。妥協しないでしょう。まっすぐに突き進んでいく。それが順調にいくときといかないときがあるということだと思いますけれども、私は、鳩山総理が、政策その他については、やはり総理として自分で判断をして進まれることに対して、小沢(民主党前幹事長)さんが、一々、「あれをやってはいけない」、「これをやってはいけない」というような采配はされなかったのではないですか。私自身、いろいろな関係で小沢(民主党前幹事長)さんとも接触もしていますけれどもね。それは任せてしまっているのですよ、そういう面では。ひたすら自分は党務に専念するということで分担してこられたことは、これは格好だけではなくて、間違いないと思いますよ。

ただ、去年の(補正)予算の編成のときに、習(中国)副主席が来られた晩餐会を官邸でやっているときに私の携帯が鳴って、出たら小沢さんですよ。小沢さんが、「今、こんな予算を組んで、亀井さん、大丈夫なのかい」と言うのですね。「経済は大丈夫なのか」と言って、私がこうやっている最中に電話がかかってきましたから、私は、「小沢さん、それは、あなたは政権党の大幹事長でしょう」と、「あなたが、やはりそれは、『予算編成を含めてこうあるべきだ』ということを、やはり、きっちりとおっしゃって、それで主導していかれるのが当たり前ではないですか」と。「いや、私は政策には口を出さないことにしているから」と。「(だから)といって、私におっしゃるのはお門違いでしょう」と私はそのときに言ったのですけれども、やはり、そういう、「自分は、政策は任せているのだ」という立場をとられるのですよ。常にとられている。だけど、あのときは「そのままちっちゃな予算が組まれていったら大変だ」と思われたものだから、つい思い溢れて、連立を組んでいる私のほうに「困ったものだ」というようなことで電話が来たので、私は、「あなたは政策には口出さないなんていうことを言わないで、あなたが責任を持って、それは、『ちゃんとした予算を組まなければいけない』と思うならおやりになったら良いではないですか」と言った場面もありました。やはり、それぐらいあの人(小沢民主党前幹事長)は自制していることは間違いないですよ。

だから、陰で操ったとか操っていないとか、これは、マスコミがくっ付けたあれなのですよね。大変な人数をあの方(小沢民主党前幹事長)は従えておられましたからね。あの方(小沢民主党前幹事長)は、そういう点で、自制心というか、「一度言ったらそれに従って私はやるよ」という、そういう性格ですよ。

問)

フリーランスの畠山です。

(亀井前)大臣は、記者会見のオープン化ということに関して、これまで、フリーや雑誌の記者に参加を認めてこなかった記者クラブに対して、2回の会見をずっと開いてこられたわけですけれども、最後の最後になって、ようやくフリーや雑誌の記者もクラブの方々と同じ場所で質問ができるようになった…。

答)

今から、今後はこれでやるのですね。

問)

それはちょっと分からないのですけれども、最後の最後は一緒に、今、合同でやっているわけですけれども、大臣の…。

答)

こっちが頼んだわけではないですよ。

問)

そうなのですか。

答)

うちが頼んだわけではないですよ。あなたたちが勝手に殴り込んできたのですか(笑)。

問)

「殴り込んだ」というか、勝手にお邪魔している感じなのですけれども…。

答)

勝手に邪魔して、一番前(の席)を陣取ってしまっているのですね(笑)。

問)

いや、空いていたので…(笑)。

(亀井前)大臣が、週に2回、2つの別々の会見を開いてこなければ、おそらく、この問題というのは明らかになることがなく、フリーや雑誌の記者というのはずっと(記者会見に)参加できなかったと思うのですけれども、最後、合同になって、ご所見がありましたら伺えればと思います。

答)

私は、記者会見をやる場合はオープンにしたら良いと思っていますよ。それを、一つの記者クラブという、会員制か何か知らないですけれども、それだけに限定されるとなると、私がとったみたいに、二度(記者会見を)やり、今度は、三度も(記者会見を)やらなければいけないかもしれません。時間に限りもありますし、体にあれもありますから、その辺りは、やはりオープンにしていくということを考えられたらどうかなと。私が押し付けることではありません。こんなことは押し付けることではありませんからね。まあ、仲良くやってくださいよ。

問)

(郵政改革・金融担当)大臣就任以来、(亀井前)大臣の右腕として動いてきた大塚耕平副大臣がいらっしゃると思うのですけれども、一部では、「亀井派」と言われるぐらい(亀井前)大臣の薫陶を受けている、というような感じなのですけれども、今回、大臣を辞めるに当たって大塚副大臣と何かお話をされたのか、ということをちょっとお伺いできればと思っているのですが。

答)

彼(大塚副大臣)と相談するなんていう時間的余裕はなかったですからね。また、相談してどうこうすることでもないですしね、この問題は。彼(大塚副大臣)は、「日銀出身にしては珍しく」と言うと日銀が怒るかもしれないですけれども、頭が良いだけではないですね。これは、物事の本質を見通す力がありますし、それと、本当に、実行力というか、フットワークも物凄く良いですね。そして、何よりも人間が良い。だから、これは本当に素晴らしい。

私が、去年の12月ですか、天皇陛下の誕生日のとき、宮中に大臣や副大臣が招かれたときに、彼(大塚副大臣)は遠慮深いのですよ。他の副大臣は、天皇陛下を取り巻いてこうやっているのに、傍に行かないでいるものだから、私が彼を陛下の傍に連れていって、「陛下、これが本当の大臣です」と言って、私は、陛下にご紹介したのですけれどもね(笑)。陛下には、そういう意味では、冗談の嘘を言ってしまったわけですけれどもね(笑)。彼(大塚副大臣)は、本当に素晴らしいあれですよ。彼(大塚副大臣)が大臣を務めたほうが良かったぐらいな…。人当たりも良いですしね。また、田村(大臣)政務官も、本当に、彼は大蔵(省)出身で、金融庁の連中とは、本当に、一緒に毎日仕事をしていたのではないですか。そういう意味でも、私は非常に助かりました。

だから、鳩山(前総理)さんというのは、非常にきめの細かい人事をやっているのですよ。私みたいな「がらっぱち」はやはり危ないと。そういうのをちゃんとつけているのですね。本当に、私は幸せだったのです。そういう意味で幸せ。自見(郵政改革・金融担当大臣)君も幸せだと思いますよ。ああいう2人で、そのままね。

それと、長官以下、職員も本当に良いですね、ここ(金融庁)の職員は。今も講堂であれしたのですけれども、別れるのは名残惜しいような気もします。「もうちょっと私の歌を聞かせたかった」と、さっき私はお別れの挨拶をしたのですけれども、良い職員ばかりですね。

問)

東洋経済の浪川です。

初めて、金融以外の質問を最後にさせてもらいます。どうして、郵政とかそういうのがこうなったのかなとずっと考えていたのですけれども、今日の(亀井前)大臣のお話を伺っていて、ぜひともお伺いしたいと思ったのは、支持率でブレるとか、こういう結果になるとか、要するに、比例の度合いが強過ぎるのではないですか、選挙で。私は、比例で当選した国会議員は顔も知らないし、顔も知らない人が「チャイルド」とか言われて歩いているというのも非常に奇異だと思っていたのですけれども、前大臣は、その点いかが思われますか。

答)

とにかく私も知りません。分かりません。本当に分からないですよ。そういう意味では、ちょっと変質しましたね、この制度によって。私は「比例制度が悪い」と言っているのではないのですけれども、国民との間の距離感。距離感というのは、人間的な距離感が薄れたのです。「そんなものはどうでも良いではないか」と、政策とかそういうもので選挙民は判断すれば良いので、「人物の人柄がどうだとか、人間がどうだとか、そんなことはどうでも良いのだ」という考え方もあるわけですけれども、しかし、政治は、最後はどういう人間がどういう政策を実行するか、ということなのであって、コンピュータに入れておいて、政策だけがポッポッポッポッと数の論理だけでいくものではないと思いますよ。

「イギリスの制度を見習って」みたいなことをよく言っているのですけれども、あそこなんかは、選挙民と候補者との関係が非常に希薄でしょう。では、大英帝国はかつての栄光を維持できたのか、というのですよね、そういう国家であってね。だから、猿真似だけで…。今、アメリカの猿真似ばかりやっているのですけれども、それで日本が今後大丈夫なのか、という問題がありますよ。選挙制度も大変です。

私は、今度…。まあ、雑談みたいなことになってしまいますけれども、2つ(国会の)委員会があるでしょう。財金委員会と総務委員会。大臣席に座って見ていて、民主党席を見ると、みんな若くて良い男ばかりがズラーッと、これっぽいのを含めてね。ところが、フッと自民党席や国民新党の席を見たら、ダサいこと、ダサいこと。「これでは選挙は勝負にならないな」と思いますね(笑)。国民の今の感性の中で、政治家はどこへ行くのか。非常に心配ですね。私みたいな男はもう選ばれなくなるから良いのかもしれないですけれどもね。顔も悪いですし、性格も悪いですし。良いのかもしれないですけれども、ちょっと心配なことがありますね。

問)

(亀井前)大臣はご存じですか、完全比例制を導入した国で崩壊した国があるのですけれども。ドイツのワイマール共和国なのですけれども。

答)

だから、民主主義というのは、何も神様が決めた「これが一番良い」というのがあるわけないのです。全部、国によって違うでしょう。民主主義という名の下で、実際、独裁国家もたくさんあるわけでしょう。だから、ネーミングだけで中身が一緒というわけではありません。まあ、日本はどうなるのでしょう。私は、皆さん方にお願いしますよ、若い人ばかりですからね。皆さん方もイケメンが多いですけれどもね。まあ、イケメンでない人もいますけれどもね(笑)。やはり、生きとし生けるものの生きている辛さ、こういうものを、やはりみんなが分かろうとする、政治家もそれを分かろうとする、そういうことがなくて、私は、その社会が、本当に長い期間健全であり続けるはずはないと思いますよ。今までの世界の歴史を見たって、一時的には繁栄する場合もありますけれども、結局、駄目になってしまうのですよ。

そういう意味で、何度も言うように、日本の社会が変質してきていますから、これをどうしていったら良いのか。私は、別に神様ではないですから、「私の言っているようにやったほうが良い」とは思っていませんよ。全然、思っていないですけれども、今、進んでいる方向というのは、やはり間違っていますよ、これは。皆さん方は記者なのですから、ちょっとそこらを頑張ってくださいよ。私なんかより力があるのですから。

それと、こんな席で…。最後に、皆さん方に「イタチの最後っ屁」で言いますけれども、皆さん方に、時々失礼なことも言ったでしょう。「あなたの新聞、今朝、書いてあることはこういうことで、あなたは賛成か」と言って。金融庁関係の記事について、あるいは郵政関係の記事について、「出ているとおり賛成か」と言ったら、「いや、私は賛成ではありません」という記者がいましたね。まあ、正直なのですけれどもね。私は、番記者である以上は、自分の考えと違った記事が本紙に載っていることについて、恥ずかしいと思わなければいけませんよ。自分が担当記者として命じられている以上は、「担当分野については自分が責任を持って紙面を作るのだ」ということがないと、何のための担当記者か分かりませんよ。それは、意見は違いますよね。各社のいろいろなものも違います。論説の連中もあほみたいなのがたくさんいますから、そうはいかないですけれども、やはり、担当している分野について、本紙の記事については自分が責任を持たないと。そうではないというなら、デスクのネクタイをこうやってでも自分の思うような記事を載せさせないと。それが、番記者の番記者たる所以だと思いますよ。「それが嫌なら配置転換してくれ」、「私は務められない」というぐらいのことは、私は、やる「誇り」を、ぜひ番記者の皆さん方に持ってもらいたいと。本当に思いますよ。皆さん方、単なる駒にしては存在がでか過ぎるのです。でか過ぎるのですね。そういう「イタチの最後っ屁」でございます。

問)

(亀井)代表は、辞任に当たって、後任に自見(国民新党前幹事長)さんを推薦して、起用されたわけですけれども、民主党ではなくて、国民新党の方に後任を任せられるということについてはどのように感じていらっしゃいますか。

答)

これは、連立を組んでいるのですから。「また連立は続けましょう」ということになったわけですから、やはり、私が担当していたことを臨時国会では…。全部ではありませんよね。郵政だけが政治ではありませんから。だけれども、そのうちの重要なものについて、「(参議院選挙)後の臨時国会でやる」ということですから、やはり国民新党から(閣僚に)出て、それをこなしてもらうというのが一番良いでしょう。まあ、民主党といって、それは大塚(副大臣)君辺りがなってくれるのが一番良いかもしれないですけれども、国民新党も立場がありますからね。そういうことです。

問)

(金融担当大臣の)任を離れて、最後に伺うのは大変恐縮なのですが、(6月)11日に、金融庁が日本振興銀行を告発しました。在任中は、この銀行に対する思いもあったかと思うのですが、これについて今のお立場でのご所見を。

答)

あのときに私に決裁を求めてきましたから、内容説明を受けた後、「はい、そのとおりやりなさい」と。私の最後の指示でしたかね。金融庁の担当に「そのとおりやりなさい」と(言いました)。

どうも皆さんお世話になりました。

(以上)

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