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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成23年7月15日(金)9時11分~9時38分 場所:国会内)

【大臣より発言】

おはようございます。

今週の水曜日、皆さん方でも行かれた方もおられると思いますが、「郵政等3党合意を実現する会」に、私もびっくりしましたが、与党の200人以上の国会議員が集まりまして、特に社民党は今、野党でございますけれども、社民党の国会議員の皆さんも来ておりまして、私も9時半から財政金融委員会だったものですから、30分間答弁して、駆けつけて、3分間ぐらい挨拶させていただいたのですけれども、大変な熱気でございました。

それを踏まえて、今日、私は閣僚懇でそのことと、もう1点、労働者派遣事業法の改正、これはいわゆる非正規雇用です。非正規雇用の労働者、これを改革しようといって、我々はお互いに野党のときに、民主党、社民党、国民新党で、実は法律を作るときに、民主党のお家の事情もあり、簡単に言えば、連合というのはやはり大企業の労働組合が多いですから、非正規雇用の労働者に対して、なかなか利害が一致しないような部分もあったのですが、それを克服して、政権交代のあった後、あそこの昔で言う労働省の審議会が、自民党の時代に任命した審議委員だけでしたから、非常に困難を極めたのです。

ところが、やはり政治主導で労働者派遣事業法を通したわけでございますけれども、この法律がまだ通過いたしておりません。一体、政権交代したのに、3党合意というのは何をやっているのですか。政権交代なのです。やはり、今でも非婚率16%、最大の原因は非正規社員、非正規雇用や独居老人でしょう。その大きな社会的問題、ましてや働く人に関係するものを、今の政権で解決しないでどうするのですか。私はそのことを、今日は憤りを持って強く申し上げておきました。

本当に、政権交代というのは、やはりアメリカでもイギリスでもありますけれども、やはり政権交代は政権交代のメリットがありますし、それは政権与党ですから、日々の業務に追われます。しかし、そのベースに、やはり理念というのがないといけない。それが、やはり小泉さん自身が、ブッシュさんたちの新保守主義の典型である構造改革、その一丁目一番地が郵政民営化だと、こう言って選挙をしたのですから、それを否定するところから、3党合意、連立与党、あるいは政権交代が成り立ったわけです。お金とマーケットが、地域よりも国家よりも上にあるというような考えですから。

私もこの前、アメリカに行ってきましたが、もう今はほとんどアメリカでも、リーマン・ショック以来、ドッド・フランク法と言いまして金融規制改革法、今、バーゼルⅢでも、大き過ぎてつぶせない銀行を、どのように民主的コントロールの下に置くのか、人類の21世紀的課題でしょう。アメリカの歴史を見てご覧なさい。大統領権力と銀行権力と、常に対峙です。フランクリン・ルーズベルトもセオドア・ルーズベルトも、選挙をすれば、皆さん方もよくわかりますけれども、一人の国民は、1年生社員だって社長だって、1票なのです。それが、民主主義政治の大原則。

ところが、経済をほったらかしておきますと、銀行というのは巨大な力を持つのです。それが投票行動を縛ってくると、日本の原子力発電所が問題になってきますように、民主主義の基本原理と矛盾してくるところがあるのです。ですから、資本主義の本場であるアメリカのような巨大な国家でも、歴代の大統領は、銀行に対して極めて厳しい規制をしようという大統領と、「いやいや、もうしっかり規制緩和をしてアメリカの富を増やすべきだ」という人たちが、建国以来ずっと違う意見(となっており)、今、共和党と民主党になってきましたけれども、それが歴史です。

そのことも踏まえて、やはり私は、そういった意味で郵政民営化、郵政改革法案というのは、一つの時代を画す、時代の大きな転換期、21世紀の、まさにリーマン・ショックというコペルニクス的変化を遂げた世界史をどう考えるかという政治家の一つの見識の話として、その中で日本がどうして生きていくのかというか、私はよく言っていますが、官と民とがベストミックス、ベストバランスでないと、本当にこの国というのは、がたがたになってきます。そういった意味で、原点をきちんと踏まえてやっていただきたいということを、私は今日、発言しておきましたので、少し話が長くなりましたけれども、お伝えいたしておきます。

以上です。

【質疑応答】

問)

今の話を整理すると、閣僚懇で郵政改革法案を審議するようにと、強くおっしゃられたということでよろしいですか。

答)

ええ。

問)

それに対して、総理を初め、どういった意見があったのですか。

答)

官房長官が、「党の方にきちんと伝えておきます」と言っていました。前回は、総理大臣自身が、「昨日、(国民新党代表の)亀井さんとお会いして、その話は聞かせていただきました」ということを言われましたけれども、今回は官房長官が、「その話はきちんと(党に)お伝えしておきます」という話でした。

問)

先日、菅総理が、脱原発の方針を突如表明されました。まず、この方針についてどう思われるかというのが1点と、いわゆる菅総理は、政府・与党の議論のないまま、これを発表されたわけですけれども、またその内容も、具体的な時期ですとかプロセスについては明示がありませんでした。これについて、大臣はどのようにお感じになられますか。

答)

3月11日の被災以来、地震、それから津波、原子力発電所の事故、それも今でもコントロールできないということでございまして、残念ながら、今、この人類の歴史の中で、まさにチェルノブイリ、スリーマイル・アイランド、そして福島と、それほど特記すべき21世紀の大きな原子力発電所の事故に見舞われておりまして、避難された方も15万人、そして、一生懸命、官民全力を挙げて、コントロールしようとやっております。そして、浜岡の原子力発電所を、総理が言われて、中部電力がその要請を受けて中止するということが大きな話題になりました。

昨日も、たまたま私は見ていたら、静岡県の県知事が出てきて、私は一部しか見ていませんけれども、「もし浜岡原子力発電所に何かあれば、これは東海道新幹線も、あそこの高速道路もとまってしまいます」と。あれは、(原発の半径)20キロ以内らしいですね。「そうすると、日本が完全に東西に分断します」と。

それほど大きなことが、皆さん、起きているのです。ちょっと目を覚ましましょうよ。私はそう思いますよ、政治家として。

やはり、私も21、2年前、通産政務次官をしまして、原子力政策を推し進めさせていただいた責任者の一人です。逃げません。

しかし、やはりこれほど、何か事故が起きたら、まさにコントロールできない巨大な技術系だということで、私も技術系の人間ですけれども、非常に恐怖感を持っています。ですから、総理が、やはりあれは長いスパンだと思いますけれども、脱原子力を目指すと言われたのは、私は決して悪いことではないと思います。

日本の総理大臣というのは、各役所の上に大臣がいて、大臣もあくまで閣僚です。総理大臣が20年、30年先のことを言ったら、「それは法律がないのではないか。目途がないのではないか」ということを言いますよ。

しかし、本当にそれでよいのですか、この国家。これは、だから役人の主導国家になる、官僚主導の政府になるのです。

ですから、原子力をやるというのは、私も何回も経験があります。法律を10本ぐらい束ねて出して、もう何月何日からこうしてこうして、法律を考え変えてというのが国家の方針です。米ソの冷戦構造のときは、それでよかったかもしれない。

しかし、もう20年前から、それほどのきちんとした、アメリカがリーマン・ショック以来、少し力を失いつつある。EUも、もうユーロを見てお分かりのとおり。しかし、一方、中国は9.5%の経済成長率であるという時代に、やはり国際国家・日本国の一番基本であるエネルギー政策を、一番渦中で苦労された菅総理が言われたということは、やはり私はすごく重たいことだと思います。それはそれとして、それが延命だとか何だとか、非常に卑近なことに曲げて、色々なことを言う人もいますけれども、私はそういう体質そのものが、日本の国をどんどん縮小均衡にしてしまったと私は思っています。

政治家の責任として、菅さんは内閣総理大臣なのですから(その発言は非常に重たいものだと思います。)昔、福田赳夫さんというのは、(日本航空機)ハイジャックのダッカ事件のときに、超法規的な措置で殺人犯を解放させて、結果、法務大臣はすぐ辞めましたけれども、そんなことまで我々は、やはり総理大臣という者に託しているのです、ある意味で。

今度のことは、超法規的とは言いませんけれども、総理大臣というのは、皆さん方に言わせれば、「夢のような話だ。日程がないではないか。法律がないではないか。」何月何日までにどうしてこうして、風力発電をここまでに何%にして、そして、その間に光による発電をこうして、今30%ある原発を10年後には20%にして何とか、そういう計画が欲しいのでしょうけれども、それは官僚がつくればいい話です。官僚が先に出して、それがこんな目標だから全然中身がないと、それは批判するための批判ならいいです。しかし、本当にそこら辺、我々は考え直さないと、この国はどんどんアジアの国の中でずり落ちていく。私は、本当にその恐怖感といいますか、危機感を持っています。

ですから、私は、色々な立場の人がいるということは認めますけれども、それはもうドイツだって、イタリアだって、私はオーストリアに行ったとき、脱原発をやっていました。国民論争の最中でしたけれども、あれはチェルノブイリの事故の一つの反応だと思っていますけれども、そういったことを、21世紀最大の、まだ制御不能な原子力事故が福島で起きて、15万人(が避難しています。)昨日も、何か牛がセシウムで汚染されたということでございますから、そういったときにきちんと中長期的な国家の方針を総理大臣が示すということで、私はむしろ、それが総理大臣の責任だと思います。ほかの評論家が言ってもいいですけれども、やはり内閣総理大臣がきちんとそういったことを(発言されていると思います)。それは当然、民主主義国家ですから、それに対する批判がある、それから賛成もある。

しかし、それがいつまでに、具体的目標がないから何とかと言うのは、これは、皆さん方が、完全に官僚政治を政治と思っておられるから、そう言うのです、私はそう思います。

だから、そこら辺で、やはり政権交代したのですから、21世紀の本当に海図のない航海、あるいは教科書のない世界に踏み出したのですから、思い切ってそこら辺は、中長期的なことも、エネルギー政策、事の是非は別として、総理大臣が一つの判断をきちんと出すということは、むしろ私は責任を果たしていると思っています。

問)

今の脱原発の話とも絡むのですが、首相が退陣の意向を表明している。その首相が、政策の大転換を打ち出すことに対してはどうかという野党の批判もあるのですけれども、これについて、大臣はどのようにお考えでしょうか。

答)

当然、そういう批判はあると思います。私はかつて森内閣の森おろしを、それこそ加藤さん、山崎さん、自見さん、谷垣さんとか小里さん、それから古賀誠さんも最初はいましたよ。それから、亡くなられた運輸大臣の亀井善之さん、これくらいで森おろしをやりまして、当時、野中広務(元)幹事長からも叩きつけられまして、いかに総理大臣というのは、憲法上、三権分立の長が強いかということは知っていますし、この前、(国民新党代表の)亀井さんと話したら、亀井さんは三木おろしのときに国会議員だったらしい。

ただ、いったん辞めないと言った総理大臣は、極めて皆さん方が信じるよりも、感じるよりも強いのです。ですから、やはり辞めない、辞めるということは、総理大臣が自分の意思で決められることなのです。まさに私は、時々の政治家が、要するに進退は自分で決めるべきだと言いますけれども、総理大臣こそ進退は自分で決めることだと、こう私は思います。

ですから、やはり今、本当に千年に一遍の津波ですから、千年に一遍の非常時です。ですから、それは総理の見識において言われたのだろうと思いますから、それはそういう意見もあるのもよく知っています。しかし、私は、そんな意見というのは、あまりにも小さい意見だと思う。やはり、人間とエネルギー、人間と核エネルギー、どうつき合っていくのかということで、むしろ苦労された総理大臣だから、そこに重みがあるのではないですか。

私も、横で見ていましたけれども、3月11日は、非常にやはり目の色が変わっていました。私は、彼とは28年ぐらいのつき合いですけれども、本当に総理として、私は知らなかったけれども、目の色が変わっていたのだけはよく知っています。「何かすさまじいことが起きているな」という、政治家としての予感はありました。

問)

二重ローン問題で、本日、個人向けの私的整理のガイドラインが発表されることになっていますけれども、この対象者のイメージなのですが、これは直接、その震災の被災した個人に限定されるのか、それともそうした被災地の企業と取引のある個人事業主で大きく売上が下がったとか、間接的な影響を受けた二次被災者みたいなところまで幅広に見ていくのか、そのイメージをお願いします。

答)

私的整理ガイドライン、これは個人の話でございます。法人につきましては、もう既に銀行協会で、法人の整理ガイドラインというのがございます。今回、今お話がございましたように、これは主に、個人事業主、あるいは個人の一番大きい住宅ローン、170兆円ぐらい、今、住宅ローンの残高がございますから、個人にとっては大体、普通の人の一番大きな借金というのは、やはり住宅ローンです。これが非常に大きな問題ですけれども、個人に関しては、今までガイドラインがございませんでしたから、破産するとか、そういったことに、直接、そこまで行ってしまうということがあったわけでございますけれども、現在、銀行協会を事務局として、金融界、中小企業団体、法曹界、学識経験者で構成される個人債務者の私的整理に関するガイドライン研究会、これにおいて、鋭意、協議が行われており、本日、研究会で取りまとめるべく、作業いただいているということでございます。

しかし、率直に申し上げれば、これは各役所も関係がありますから、多分、これは前のときは、金融庁も法務省も、それから経済産業省、住宅に関係ありますから国土交通省と、財務省もオブザーバーとして参加しておられますけれども、あくまで主体は民間でございまして、そういったところで、大変ありがたいことでございますけれども、今日、今、一生懸命取りまとめておられるという話は聞いております。これは、いわゆる二重ローン、それから二重債務の問題に関して、これはもう被災直後から非常に大きな問題になっておりまして、これはきちんと何度も国会で言っていまして、総理大臣の方から、内閣官房を中心に、財務省、金融庁、それから住宅がございますから国土交通省、それから中小企業ですから経産省、それから農地もやられていますので農林水産省等々、関係省庁が鋭意やっておりますが、その中の一環として私的ガイドラインというのが、今、出てきております。これも急がなければいけませんから、まだ具体的な内容については報告を受けておりませんけれども、より早く取りまとめていただきたい。被災地の方は困っておられますから、できるだけ早くやっていただきたいということを、金融庁を預かる人間としてもお願いしたいと思っております。

問)

先日、亀井静香代表が、郵政法案に絡んで、今国会で成立していなければ連立を離脱するという可能性に言及されておられたのですけれども、大臣としても同じような覚悟というか、そういう状況になった場合というのは、可能性もあるというようなお考えなのでしょうか。

答)

私は、最初に申し上げましたように、やはり3党で連立を組んだということは、あれを読んでくださいよ。全部、小泉の構造改革によって、日本の社会保障のセーフティネットがずたずたになった。地方は切り捨てになって、貧富の差ができたということは、最初の書き出しでございます。私はたまたま国民新党の政調会長でしたから、あれは(民主党の)直嶋さんと(社民党の)阿部知子さんと私で書いて、結構もめたのです。全部、民主党は党本部に持って帰って、当然、正式な機関がありますから。社民党は社民党で機関がある。我が党は綿貫さん、それから亀井さんなどがおられまして、これはなかなか各党各会派でまとめるのを苦労して、選挙の公示の1週間前にまとまった。あの六つの中にきちんと書いてあるわけですから、それはそれは重たいものですから、今、衆議院で特別委員会をつくっていただいたことはありがたいと思っています。

しかしながら、全然メンバーを出さない政党もございまして、やっとメンバーが出て委員長が決まったのでございますけれども、ご存じのように衆議院で特別委員会をつくるというのは、これは大事な問題だから、特別委員会をつくってきたわけです。それで付託もされていないというような段階で、それはもう亀井先生の言われることはよく理解できるし、「信なくば立たず」という言葉がありまして、何も文章にしなくてもと、やはり約束したことは命をかけて守るというのが(筋であり)、この場合、文章に、私が何回も言っていますように、小沢一郎さん・綿貫民輔さん、鳩山由紀夫さん・亀井静香さん、それから、菅直人さん・亀井静香さん、これは両党の党首、公党の党首が署名、捺印しているのですから、これをきちんとやっていただくということは、もう大原則だと私は思っておりますし、非常に決然たる決意を国民新党の党首としてあらわされたということに、大変敬意を表しています。

問)

ヨーロッパの債務問題なのですけれども、日に日に深刻度を増している感もあります。日本の金融機関の経営や、あるいは金融市場を通じて色々な影響も考えられると思いますが、これに対するご所見を。

答)

ヨーロッパの金融市場につきましては、ギリシャに始まりまして、それからアイルランド、そういった国の債務問題が非常に大きな問題になっておりまして、私は1月にパリに行きまして、今度、IMFの専務理事になりましたラガルドさんにお会いしたときも、ちょうどアイルランドの債務の問題が、ヨーロッパで大きな問題になりまして、それを救済するためのユーロ債を出したということで、行った日に(日本の)財務省がきちんと20%を買うということを確約しまして、非常にそのことでラガルドさんにも好感を(持って頂きまして)、「ありがたい。日本がきちんと20%買うとアナウンスしていただいたので、おかげさまでユーロが、少しきちんとなった」ということを私自身に言われまして、ヨーロッパが、EUをつくりまして、もう皆さん方、ご存じのように、あそこは経済的に強い国、弱い国、あるいは財政赤字の多い国、少ない国、色々あるのです。そういった違いを克服して、やはり共通通貨、ユーロをつくって、確か4億人のマーケットですか、アメリカと同じ経済規模の連合体をつくっておられるわけですから、これが、今度はまたギリシャの問題において、国債の金利が上昇したというような話も聞きます。

いずれにいたしましても、これはやはりドル圏、ユーロ圏、それから今、一番成長著しいアジアの経済圏でございますから、そういった意味で、欧州の債務問題が、今はよく欧州議会の中で首脳会議などを開いて、きちんと解決しております。金融庁とすれば、ぜひEUにおける議論を踏まえて見守っていきたいと思っております。

(以上)

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