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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成23年10月11日(火)11時25分~12時05分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

私は、10月3日から6日間の日程で、ドイツ、フランス、イギリスに出張して、金融・郵政の当局者等と面会を行ってまいりました。今回の出張を通じて、欧州の経済・金融情勢と欧州の金融システムの安定に向けた今後の取組み等について、各国の当局者等と率直な意見交換を行い、現在抱える課題に欧州の当局者が真剣に取組む姿勢を直接伺うことができました。

また、郵政改革についても、ドイツ及びイギリスにおける郵政事業の改革の現状等について意見交換を行うとともに、我が国郵政改革の意義を国際社会に向けて積極的に発信することができ、大変有意義な出張だったと考えております。

主要な面会先を申し上げますと、ドイツはクルト・連邦ネットワーク庁長官です。これは公的なネットワークですから、郵便も公的ネットワークとしてこのネットワーク庁の所掌に入っておりまして、他に確か電力とか公共機関である鉄道、それらもドイツ連邦政府の場合は、この連邦ネットワーク庁長官の所掌だとお伺いしました。

それから、ゲルデス・ドイツポスト郵便部門の取締役でございまして、郵便一筋というドイツポストの場合は、ポストバンクという日本でいう郵便貯金が、聞いたところ全貯蓄の1%ぐらいと言っていまして、役割が世界的に(比較しても)非常に小さいわけでございまして、その代わりに今、日本で言う県立、市立、町立、村立の公的な貯蓄組合というのがありまして、そこが金融では非常に大きな役割を果たしておりますから、ドイツポストの貯金部門は伝統的に小さい、そういう状態でございました。

それから、ベルナルディーノ・欧州保険年金監督機構会長でございまして、これはEUでございます。この人はポルトガル人でございました。

それから、ラウテンシュレイガー、有名なドイツ連銀の副総裁、女性の方でございましたが、この人とも昼食をとりながら、もう一人、理事の方が同席されましたけれども、色々な意見を聞いてまいりました。

それから、フランスではハース・国家会計基準庁長官、日本も国際会計基準の問題は金融庁にございますから、フランスの国家会計基準庁の長官と会ってまいりました。

それから、イギリスではロード・ターナーさん、UKFSA、有名な英国の金融サービス機構と申しますけれども、日本でいう金融庁の長官とお会いしました。

それから、キングさん、伝統と歴史のあるイングランド銀行総裁です。1946年まで国立ではなかったのでございますけれども、チャーチルが辞めた後、労働党の内閣になって、初めて資本主義、いわゆる産業革命を達成したイギリスでは、実は1945年までイングランド銀行、中央銀行というのは各銀行が持ち出しで作っていたわけでございます。盛んに「法律によって国営化されたけれども、事業内容は全然変わっていない」ということを主張しておられました。まさに(英国は)産業革命、資本主義をつくり出した国ですから、国営というのも、日本などは当然、国営の国立銀行、日本銀行を作ったわけですが、イギリスなどはずっと自然発生的に産業革命、資本主義、金融市場というのが出てきたわけですから、まさにイングランド銀行というのは、1946年、チャーチルが辞めた後、初めて国営になって、何回も彼らが「民間の中央銀行だったときと、国立の中央銀行になっても、一つも業務とかそういったものが増えたものはありません」というようなことを強調していましたけれども、やはり自分たちが新たな産業革命、資本主義、あるいは金融を生み出したシティーの誇りというものを感じました。

それから、ホバーン金融担当、財務省の閣外大臣でございます。

デイビー・ビジネス・イノベーション・技能省閣外大臣は、郵政を担当いたしておりまして、イギリスの場合は非常に窓口の多いビジネス・イノベーション・技能省の閣外担当大臣が郵政を担当しておられまして、この人は自由民主党の党員の大臣でございまして、私は知らなかったのですけれども、郵政3事業を人類で初めてつくったのは、イギリスの総理大臣のグラッドストーンなのですね。世界の七つの海に没することのない大帝国をつくったときの、ビクトリア女王の頃のグラッドストーンとディズレーリという非常に有名な右大臣、左大臣でございますけれども、グラッドストーンが自由党だったそうでして、このデイビーさんは自民党ですけれども、「我々の先輩だ」と。グラッドストーンというのは、今は自由民主党と言いますが、「自由党の先輩だ」というようなことで、やはり歴史の深さと言いますか、そんなことで、グラッドストーンが作ったということも、彼はよく知っていましたし、「その系列を引くのが保守党でなくて自由民主党だ」ということで、私も郵政大臣のときに少しそういうことを勉強させていただきましたので、非常に懐かしく思うと同時に、イギリスの国会議員というのはよく歴史を知っているのだなということも感じさせていただいたわけでございます。

それから、フーガーホースト、オランダの前財務大臣でございましたが、イギリス人のサー・トゥイーディーの後に国際会計基準審議会(IASB)の議長になられた方でございまして、この方ともお話をしてきました。

以上でございます。

【質疑応答】

問)

今し方ご紹介がありましたヨーロッパの件なのですけれども、ヨーロッパは財政、金融の問題が長引いておりまして、民間のデクシアまで混乱が拡大、顕在化しておりますけれども、この問題、日本やアメリカではヨーロッパ当局の、取組の姿勢はともかくスピード感が足りないのではないかという声もありますが、大臣はどのように受けとめていらっしゃいますか。

答)

今ご指摘があったように、ベルギー、フランス等を本拠とする欧州の銀行グループ、デクシア銀行が経営危機に陥り、昨日10日、ベルギー、フランス、ルクセンブルグ政府が救済策に合意したことは承知しております。デクシア銀行は、今月3日月曜日に一部格付会社が、「デクシア銀行を格下げの方向で見直す」と発表したことを受けて株価が急落するなど、経営不安が顕在化したということでございます。このため、翌4日火曜日には、ベルギーとフランスの政府が、同行の預金等債権をすべて保証するとともに、そのために必要な措置をとる旨を明らかにしたところでございます。こういった経緯を踏まえて、昨日10日、同行を分割した上で、ベルギー内の銀行部門はベルギー政府が100%を取得する、公的管理するとともに、残りの部門に対しては、ベルギー、フランス、ルクセンブルグ政府が分担して保証を付与すること等が関係国間で合意されたものと承知しております。デクシア銀行は、我が国には支店、現法を有していないこともあり、立ち入ったコメントは差し控えますが、同行の経営危機が顕在化して以降、関係国により迅速な措置がとられ、私の方は迅速な措置だと思っておりますので、高く評価されるべきものだと思っております。

今お話がございましたように、ギリシャ問題に端を発する現在の欧州の不安な状況については、ご案内のとおり累次のユーロ圏・EUの財務相会合や、ドイツとフランス、メルケルさんとサルコジさんの首脳会議などの場を通じて対応が協議されており、今後ともその進展に強く期待したいと思っております。

それから、私が行ってきた感想を申し上げますと、やはりEUというのは27カ国あります。統一通貨、ユーロを使っているところは17ございます。それで、やはりこの17あった国が、それぞれ国情、国柄、経済、政治システム、政治システムはみんな議会制民主主義でございますけれども、経済は、当然、進んだというか、国際競争力のある、あるいは生産性の高いドイツのような国もあれば、そうでない国もあるわけです。しかし、そんな中で統一通貨、ユーロを使っていますから、各国政府は金融政策について全然決定権がないわけです。だから、あるとすれば財政政策でございまして、そういった意味で、私が申し上げたことは、まさにこの200年、300年、特に産業革命以来、今、イギリスのことを言いましたけれども、世界はナチズムが崩壊して全体主義が終わり、それからソ連が崩壊して計画経済、あるいは社会主義、共産主義の一番大きいところが崩壊したわけです。そうしますと、世界全体に、やはり自由主義といいますか、資本主義といったことになってきたわけでございますが、やはり何といってもこの200年、中心的に世界をリードしてきたのは、産業革命以来、ヨーロッパあるいはアメリカ型の自由主義、議会制民主主義という国でございますから、私は、やはりきちんとヨーロッパのことはヨーロッパで決めて頂きたい。それは、まさに世界中の人が見ています。今までリードしてきた自負と責任があるでしょうから、色々な国よって違いはある。言いたいことは各国、それは政治家ですし、また民主主義ですから、言わないと政党ないし議席が厳しいというところはあるけれども、やはりそこはきちんと共通の利益、大変大きな利益がヨーロッパでもあるわけですから、そういった意味で必ずヨーロッパで話をしてください。私は、決まると確信していると。

そして、決まった後、日本国は、ご存じのように、1月、ヨーロッパ金融安定化基金がありますね。日本国が約50億ユーロの20%の10億ユーロ、約1,000億円強でございますけれども、ヨーロッパ金融安定化基金が債券、ユーロ債を出したわけですけれども、日本がすぐ間髪を入れず、「20%を買います」ということを国際的にアナウンスしまして、私は次の日に、実はラガルドさん、当時のフランスの財務大臣、今、IMFの専務理事になっていますけれども、会うなり「ありがとうございます。日本がユーロ債を20%買っていただいたので、これでユーロが安定します」ということを言っていましたけれども、それほど、かように世界の金融あるいは経済というのは、本当に同時進行的でグローバル化しておりますから、ヨーロッパはヨーロッパで決めていただきたい。そして、きちんと決められれば、日本国としてもできるだけのご協力は、当然、ヨーロッパの情勢が厳しいということで、今、日本だって円高に苦しめられているわけでございます。円高というよりも、むしろユーロ安で結果として円高になっていますし、ドル安でどちらかというと円高になっているわけですから、これは日本の経済社会に与えている影響というのは、景気、雇用を考えても大変大きなものがあるわけですから、それほどきちんとヨーロッパの経済情勢、金融情勢を安定していただくことが、回り回って日本の利益ですから、そういったことを決められれば、しっかり日本も協力することは協力させていただきたいということは、強くお会いした方には申し上げました。

このことは、実は安住(財務)大臣も、この間のG20に行かれて言われたことでございまして、安住大臣とも事前に打ち合わせをしていたことでございます。今日も閣議の前に安住さんに、「打ち合わせたとおり、ヨーロッパの金融あるいは財政当局者に、きちんと私の口からも言っておきましたよ」ということを安住大臣に、今度はすぐG20があるということでございますから、報告もさせていただいておりました。

問)

二重ローン対策の関係で、私的整理ガイドラインですが、この相談件数が少ないのではないかという指摘が国会の中でも出ておりますが、大臣のお考えをお聞かせください。

答)

これは、この間も国会の方で出た話でございまして、個人版の私的整理ガイドラインの適用開始により、10月7日金曜日まで約1カ月半の間で、ガイドラインの運営を行う個人版私的整理ガイドライン運営委員会においてお受けした相談件数は、国会でも申し上げましたように1,100件でございまして、申出に至った件数は、国会では6件と報告いたしましたけれども、あれから少し増えまして、16件との報告を受けております。この他、申出に向けての専門家による具体的な相談を実施している、今、相談中という、その結果はまだ出ておりませんけれども、それが約100件以上あると承知いたしております。

相談内容について申し上げますと、受け付けた相談件数1,100件のうち、約4割が制度に関する一般的な照会、「どういうもの(ガイドライン)をつくったのですか」というような照会で、残り約6割が被災者の方々ご自身の個別の相談に関するものであります。相談された被災者の中には、地域の復興計画や原子力の損害賠償の今後の動向を見極めていることや、それからご存じのように、銀行などの金融機関が、今、債務の約定返済を一時停止いたしておりますことなどにより、申出を保留している方も多いと聞いております。

いずれにいたしましても、ガイドラインの適用を受ける可能性がある方に、債務整理の可能性を認識していただけるよう、ガイドラインの周知徹底に努めてまいりたいと思っております。

この前、国会でも申し上げましたように、これは東京に運営委員会の本部がございまして、各3県に支部がございますが、それだけにとどまらず、被災者の身近な機関というと、やはり町役場、村役場、市役所でございますし、それから農業協同組合、漁業協同組合、それから一般の金融機関、そういったところに相談に行きやすいわけです。それと、私の経験からいえば、やはり相談する適当な人がいないということで、こういう私的ガイドラインまで行こうかという方は非常に悩まれますから、できるだけ敷居を低くして相談に乗るようにという指示を出させていただいているわけでございます。また、こういったことを、やはりテレビは圧倒的に影響力がございますから、この私的ガイドラインというものをつくらせていただいたというテレビ広告を、今、スポットで流させていただいているところでございます。

しかし、いずれにいたしましても、これはまだ件数が低いわけでございますから、このガイドラインは使い勝手が悪いのではないかというようなご批判を受けております。これはきちんと受け止めまして、今般のガイドラインは震災によって債務の返済が困難となった方々の債務整理の、これは民間と民間との合意によって実施するものでございまして、このガイドラインの運用に当たっては、被災者の方々に分かりやすく説明した上で、被災者の方々からの相談に対して、被災者の立場に立ってじっくり事情を聞き、親切・丁寧に対応する必要があると考えておりまして、政府といたしましてはガイドラインによる債務整理が円滑に進むよう、引き続き関係者の対応を注視してまいりたいと思っております。

問)

先ほども一つ出ましたけれども、デクシアの破綻が日本の金融市場に具体的にどのような影響を与えるとご覧になっていますでしょうか。

答)

今さっき申し上げましたように、デクシアが今、破綻したわけでございますけれども、今般のデクシア銀行に対する支援が日本の金融機関に与える影響については、支援の詳細はまだ明らかになっていないことから、コメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申せば、このような金融機関に対する公的な支援は、当該金融機関の財政の健全性や信用力を回復させるとともに、金融市場に一定の安心感を与えるものであることから、取引当事者、市場参加者としての我が国金融機関にとっても望ましいことだと認識しております。

いずれにいたしましても、当庁としては、今、日本には支店がないという話をさせていただきましたが、そうは申しましても当該銀行をめぐる今後の動向、我が国の金融機関に不測の影響を与えることがないように、高い緊張感を持って注視してまいりたいと思っております。これは、皆さん方の方がよくご存じだと思いますが、デクシア銀行というのは地方公共団体に融資することにかなり特化した銀行だと聞いておりまして、昔、日本にも自治省に地方に特化した公的な金融機関、公営企業金融公庫がありました。あんなものが民営化したという話も聞いておりまして、一般の商業銀行とは少し色彩が違うのではないかというような話も、実は向こうでも聞かせていただいておりました。しかし、いずれにいたしましても、フランス、ベルギー、ルクセンブルクが素早く政府として迅速な処理をしていただけたと私は思っております。

問)

今回の金融危機というのは、リーマン・ショックのときと比べてどう違うかというのと、どちらが深刻になるかというのは、現時点では何とも言えないでしょうけれども、大臣の現時点での見方を教えていただけますか。

答)

これは、ある意味で、3年前に起きたリーマン・ショック、あれが震度9の激震だとすれば、今起きているヨーロッパの金融不安も、やはりリーマン・ショックの余波でヨーロッパの銀行、確かデクシア銀行も一遍、3年前も公的資金を受けたのではないですか。ヨーロッパの金融機関も、特にアメリカとヨーロッパの関係ですから、日本よりもずっと深い関係がございまして、そういった意味でどちらが大きいのかということは、まだ私は、ヨーロッパの金融市場できちんと話がついて、安定してやっていきたいと強く希望いたしておりますので、今、私から論評することは控えますけれども、極めて深刻な状況であるということは、今、ヨーロッパに行ってお会いしてきたドイツ連銀の副総裁の話だとか、イギリスの中央銀行の総裁の話等々を総合しますと、それはかなり厳しいけれども、今言いましたように、これは国会で承認されなければいけませんから、欧州金融安定化基金の拡充に向かっては、ドイツの連邦議会は可決しましたが、あと、スロバキアの議会が1個、残っているのではないですかね。そういったことで、極めて高い緊張感を持って眺めていく、大変大きな出来事だと私は認識いたしております。

問)

世界日報社の野村でございますけれども、資本増強とか、政府による公的資金の注入とか、そういう痛み止めは打たなければいけないと思うのですけれども、しかし、それで欧州の財政・金融危機が解決されるのかどうか。抜本的な治療法があるかどうかということが、国際金融市場に不安を与えていると思うのですけれども、今のギリシャでやっているような緊縮・増税政策だけでは、大規模なデモが起きたりして極めて厳しい状況にあると思うのですけれども、そういう財政・金融危機の根本を改定するためには、その引き金になりましたアメリカ主導のネオリベラリズム、これを根本的に克服していくということで世界の首脳が知恵を出し合っていかなければいけないのではないかと思いますけれども、こうした点について大臣のご所見をいただければ幸いでございます。

答)

G20でもG7でも、ご存じのように、アメリカでもドット・フランク法というのは、金融の規制を強化するという法律でございまして、基本的に金融の分野で極限までの規制緩和、そしてできるだけ政府の関与を少なくするのがよいというのが新保守主義でございましたから、私は世界の大宗において、アメリカのドット・フランク法が証明しているように、金融というのは、非常に影響が大きいですから、やはり必要な規制は必要なのだというのが、アメリカですら法律が通って、今、ドット・フランク法も、初めボルカー・ルールの細則を詰めているところでございまして、ヨーロッパの銀行も、イギリスはどちらかというと、ご存じのようにアメリカ型の金融に近いのですけれども、ドイツ、フランスはどちらかというと大陸型でございまして、手堅いと言ったらおかしいけれども、日本に似たような金融システムを持っておりますので、私は1点目の質問、新保守主義をという話でしたけれども、世界的にはかつての自由な、どんどん規制緩和で、もうどんな金融商品でもつくってもよい、そのかわり自分の会社で全部自己責任を持ちなさいよということが、一時代前は非常に世界を覆い尽くしまして、日本もそれに巻き込まれたところはあるのでございますけれども、やはり今、アメリカのウォール街ですら、非常にその辺が変わってきていると思っておりまして、そういう意味では、やはり一時の新保守主義の勢いに対する反省が各国であると思っております。

それからもう1個、ヨーロッパの話でございます。これは、基本的にヨーロッパのことは、やはりヨーロッパの人が決められることですから、今言われたような意見も、向こうの金融あるいは財政当局者から聞きました。しかし、私がコメントするのではなくて、そういう意見もありましたが、それはヨーロッパのことはヨーロッパの方が決めるという話で、今、野村さんが言われたような意見に近い意見を言われた方もおられました。

しかし、そこは私がコメントするのではなくて、ヨーロッパのことはヨーロッパの方が決められることが、私はこの問題、第一義的には大事だと思っております。

問)

通信文化新報の園田です。

今回だけではなくて、これまでの海外視察における郵便局の視察と、今回の郵便局の視察とを比較して、国によって違うと思うのですけれども、その色々な違いに対するご見解というか、民営化のそれぞれの国の状況と、またその見直しの状況なども絡めて、もう少し詳しくお願いします。

答)

郵政事業は、各国、近代国家にとっても、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、それから中国などに私は行かせていただきましたけれども、どこも郵政事業の、特に郵便のネットワークが必要でないという国は、実はないのです。みんな、そのネットワークを維持するためにどういう工夫をしていくかということでございまして、やはり郵便のネットワークといいますか、あるいは郵便のユニバーサルサービス、これは近代国家として、やはりそこまで放棄しようという国は、実はドイツも民営化をしても、そういうことは言っておりません。それは、きちんと規制官庁がありまして、郵便サービスを国民が全部受けられるかどうかというのをきちんとコントロールする役所もございまして、今さっき言ったドイツポストを初め、ドイツといえども連邦ネットワーク庁というものがございますし、それがきちんとみんなドイツ国民であれば郵便サービスを受けられるかどうかというのをチェックしておりまして、個々には民営化ということで色々差がありますけれども、全世界の郵便事業というのは、どこも郵便局のネットワークが要らないというようなところ、あるいは縮小しようというところはないです。

イギリスの場合は、私の記憶が正しければ、もうネットワークがだんだん赤字になってきまして、たしか累積5,000億円ぐらい、ロイヤルメールにつぎ込んでいるのです。やっと、今言いましたデイビーさんという郵政担当大臣が、実は今度、今までロイヤルポストというのは100%政府系の機関が株を持っていましたけれども、今度、10%はロイヤルメールの社員が持つ株だけれども、残り90%は売ってよいという法律が20年ぶりに通りました。そうすると、株を売ってよいと同時に、今度は自由度が高まるのです。ロイヤルメール、今まで政府が持っていた場合は自由度が全然なかったわけですけれども、自由に色々なことができるということで、私と(今回の出張に)行った民営化準備室の副室長が、私はちょっと行けませんでしたけれども、ロイヤルメールに午前中ずっと行ってきまして、彼も現場の郵政官僚だった人でございますからよく知っていますけれども、この法律が20年ぶりに通って、非常に現場の士気が上がっていたと。

しかし、どの国もそれぞれの国情、歴史に通じて違いはありますけれども、やはり私が感じることは、郵便の全国のネットワークというのは、どの国もそこまで要らないという国はございません。やはり日本の政党でも、確か私の記憶が正しければ、郵便局のネットワークだけはしっかり維持しなさいということだったと思いますので、その形態、考えは、少し各党、日本においても違いますけれども、各国、ヨーロッパ、アメリカなども(違います)。アメリカなどはまさに憲法上の義務と権利でございますから、郵便サービスをきちんと国民に提供するというのは、もう民主主義の基本だと。アラバマからニューヨークに行った孫に、おばあちゃんが30円できちんと「元気しているか?」とか何とか情報を伝えることが民主主義の基本だという国もございますし、そこまでいかなくても、各国みんな法律を持って、やはり郵便局のネットワークということはきちんとやっていこうという、その点だけは世界の共通だなと思いました。

ただし、貯金に関しましては、今さっきも出た郵便貯金、これはドイツの場合、ドイツポストバンクは全金融の1%しかシェアがありませんから、それは各国によって(異なり)、日本のようにかつて30%ぐらい公的金融がございましたり、しかし、ドイツは1%だけれども、公的金融機関が50%を占めているわけですから、さっき言ったように州立、県立、町立、村立の貯蓄組合、そこは公的なのです。だから、郵便局でなくて公的な金融機関が、本当に村にも町にもあるわけです。そういう歴史と伝統がありますから。

そういった意味では、やはりできるだけどこの国だって、住民に郵便のサービスと、制度は違っても、最低限の金融サービスということをきちんと保障してあるというのが近代国家のありよう(だと思います)。中国だって、どんどんそこへ向かって、郵便局はできたけれども、まだ金融機関としての機能は全部の郵便局が持っているわけではないですけれども、農村地帯においては特に金融機能を一緒に高めたいということを、私はいつか申し上げたと思いますけれども、そういった方向性は世界共通にあると思っております。

問)

東洋経済の浪川です。

デクシア銀行ですけれども、大臣、支店は日本にないとおっしゃいましたけれども、かつては支店があったわけで、撤退したわけですよね。

答)

そうですね。

問)

今後、日本国内に店舗を設けている、設けていた金融機関が破綻した場合のルール、日本国内における資産と負債をどうするのかというのは、たしかバーゼルで、インターナショナル業務をやっている銀行が破綻した場合の現地の支店をどうするのかというルールを90年代に定めたかと僕は記憶しているのですけれども、その一方で、全然現実的ではないという批判もかつてありまして、こういう問題が今後、具体化してくるおそれはないのかどうか。

答)

ちょっと私も、今、的確な情報を持っていませんけれども、デクシア銀行は、以前、浪川さんが言われるとおり、日本に支店があったのは事実です。今はありませんけれども。

国際業務をする色々な銀行の日本の支店、それから本国との関係、その辺は、今、私は適切な知識を持ち合わせておりませんので、非常に大事なことですから、できるだけ金融の安定といいますか、金融システムの全世界の安定のために、それから世界中の利用者を保護しなければいけませんし、それからやはり金融ですから、金融仲介機能がきちんと得られて、金融機関の安定性と同時に、私は何回も申し上げますように、金融がそれぞれの国において、それぞれの安定性と経済の発展といいますか、金融機関だけ強くしようと思えば、どんどん自己資本比率を高くすればよいわけです。しかし、無理やり強制的に、ある意味で自己資本を高くしてくれ、などと決めますと、日本がかつて陥ったように、貸し渋り・貸し剥がしというのが起こりまして、経済が急速に縮小しますから、その辺のバランスということは全体の金融機関にとって大事なことだし、これはバーゼルIIIでもきちんと確認されて、そういったことを基本的な精神として合意がなされたと思っておりますので、そういったことをきちんと踏まえながら、外国の銀行の支店がある場合どうかというご質問でございますが、少し勉強させてください。

(以上)

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