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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成23年10月21日(金)11時15分~11時35分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

今週18日から19日にかけて、東日本大震災の被災地の実情把握、及び金融機関との意見交換等を行うために、岩手県に出張してまいりました。盛岡市、釜石市及び宮古市においては、被災された地元金融機関及び郵便局の代表者の方々より被災状況等を伺うとともに、意見交換を行ってまいりました。

また、釜石市においては、被災された企業を視察し、代表者の方より再建に向けた取組状況についてお話をお伺いしました。

それから、地元金融機関の代表者の方々からは、「展望を開けている企業は3割、将来の見通しが厳しい企業は3割、現状維持の企業が4割」といった融資先の現状、特に困難な被災地の実情の下、必要に応じて政府系金融機関の資金制度を活用しながら、真摯に資金供給に取組む金融機関の姿勢等を伺って参りました。

一方、私からは、震災からの復旧・復興に向け、引き続き積極的な金融仲介機能を発揮して頂きたい旨、また、本年7月に施行いたしました「金融機能強化法」の改正法の活用について積極的に検討していただきたい旨、申し上げたところであります。

また、釜石市役所も訪問いたしまして、野田市長からは、「二重債務対策の拡充」、海老原市議会議長からは、「郵便ネットワークの維持」の要望を受けたところでございます。

今後、金融庁、内閣官房郵政改革推進室としても、必要な政策を講じ、復興に向けて最大限努力したいと考えております。

以上でございます。

【質疑応答】

問)

TPP(環太平洋経済連携協定)についてなのですが、昨日の「TPPを慎重に考える会」の勉強会の中で、外務省と郵政改革(推進)室の方から、議論の俎上に、必ずしも議論される可能性について否定はできないというふうなご発言があったようなのですが、それについて大臣として、今後、郵政改革に与える影響についてお伺いしたいと思います。

答)

TPPと郵政改革との関係についてのご質問だと思いますが、我が国の郵政改革に関しては、米国が関心を有していることは承知しております。私も昨年の8月、米国に行ったときに、米国のブレイナード財務次官から直接、この懸念を表明されて、それに対して、きちんと経営の自主権、自主性、あるいは競争条件の公平性があるということを、法律上担保しているという話をさせて頂きました。そういったことを通じて、当然、ほかのレベルでも、例えば、ヨーロッパでもアメリカの大使、あるいはEUの大使から日本の大使に申入れ等がございまして、ここでもきちんと私が言ったような趣旨で反論をさせて頂いております。これまでもTPP交渉への我が国の参加条件としても、米国等の関係国から、郵政改革に関する言及はないものと承知をいたしております。

また、少しダブりますけれども、郵政改革法案においては、第12条で、郵政事業は、同種の業務を行う事業者との競争条件の公平性に配慮するものとすることを基本方針としておりまして、繰り返すようでございますけれども、基本方針の下、「経営の自主性」と「競争条件の公平性」のバランスの取れた設計としているところであり、郵政改革法案は、WTO協定を始めとする国際約束の基本的精神に反するものではないというふうに考えております。その上で、国際約束との整合性を確保していく考えでございます。

問)

もう1点、地震保険についてなのですが、抜本的改革について議論がスタートしたと思うのですが、基本的には財務省が中心になると思うのですが、金融庁としてのお考えについて(はいかがでしょうか)。

答)

地震保険制度については、今ご指摘のとおり、財務省に設けられたワーキンググループにおいて、地震再保険特別会計のあり方等について議論されていますが、補償額や保険料率等の具体的制度について、改正方針が定まった事実はないというふうに承知をいたしております。

金融庁といたしましては、東日本大震災で地震保険が国民生活の安定のために重要な役割を果たしたことに鑑み、本制度のあり方については、契約者の安心感が確保されることを大前提として、検討がなされるべきと考えております。

一昨日、具体的なデータとして、日本銀行からあった報告でも、東北3県の預金額は増加いたしております。

実は、ある全国的な大手の銀行の会長が株主総会で再選されまして、私のところに来たときに、「自見さん、実は仙台支店の預金量が増えている」と聞きまして、私も一瞬、「どうしてですか」と聞いたら、その会長は実は今さっき言った地震保険、これが大体1兆2,000億円ぐらい出ているのではないかと思いますが、非常に迅速に損保協会、損保会社は反応して頂けたというふうに感謝いたしておりました。東北6県プラス茨城県で、大体1兆2,000億円以上(保険金が出ています)。それから、宮城県だけで五千数百億円出ておりますので、それが原因じゃないかというふうにその会長は言っておられました。

今度も、実は岩手県に行ってまいりまして、地方銀行の頭取とお会いをしてまいりましたし、また信用金庫の方々ともお会いしてまいりましたが、やはりそういった金融機関も預金は増えているというふうな話でございまして、やはりこれは一般的な傾向だろうというふうに思っております。

そういった意味で、何でかと言いますと、人によって話が色々変わりますけれども、都市の再生計画ができていないので、そこに工場をつくり直していいかどうかというのがまだはっきりしないので、設備投資に回すためのお金をとりあえず預金しているとか、あるいは個人の住宅の場合、この地震保険が出ても、今私も行ってまいりましたが、ここもなかなか都市計画等々ができなくて、そこに個人の家を建てていいかどうかというのがまだはっきりしないというようなことで、とりあえず預金をしておこうということで、増えているのではないかというふうな話も聞きました。

いずれにしても預金が増えているということは、国民生活、被災地の方々の安定に資するというふうに思っておりまして、やはり契約者の安心感が確保されることを大前提として検討がなされるべきだというふうに、少し余談かと思いますけれども、そういうふうに思っております。

問)

オリンパスの前社長が、企業買収に関連した不明瞭な取引があるのではないかと追加の情報開示を求めているのですが、その情報開示の当局大臣として、調査されているのか、される予定はあるのか。

答)

「オリンパス株式会社のマイケル・ウッドフォード前社長が、証券取引等監視委員会に調査を求める書簡を送付した」との報道がなされていることは承知をいたしておりますが、個別案件に関することなのでお答えすることを差し控えさせて頂きたいというふうに思っております。

一般論として申し上げれば、これは主に金商法でございますけれども、法令違反に該当する事実があると疑われる場合には、必要に応じて検査等を行っているものと承知をいたしております。

問)

金融タイムスの大島ですけれども、私も今週被災地に行ったんですけれども、ほとんど復興に手がついていない状態でした。それで(中小企業金融)円滑化法(の期限)切れまで、あと数か月なのですが、これは再延長するのを検討するということはありますか。

答)

私も被災地に行って、大変、実際に復旧・復興している企業、これが非常に少ないというふうに実感をしてまいりました。この問題としては、二重債務の問題、それから本当にそういった中で社員の方も亡くなられた企業というのはたくさんございます。私、釜石市で1軒だけ水産加工業の大体100人前後使っている50代の社長が、政府系金融機関、政投銀(日本政策投資銀行)から1億5,000万円借りて復興したということでした。3つ工場持っていたんですけれども、1つだけ復興したということで、その工場へ実際に行ってきまして、その社長とも色々話を聞かせて頂きました。

政策投資銀行から1億5,000万円借りて、工場をとりあえず再開したんです。でも、100人近い人が働いておられましたが、残りの協調融資は民間銀行、岩手県の代表的な地方銀行とやるという話でございました。

こういうときは、民間金融機関の経営者の方からも、これは率直に、少し表現は悪いかと思いますけれども、「政府系の金融機関は我々の商売の邪魔をしているというふうに実には思っていたのだけれども、今度、震災があって、実に何といいますか、政府系金融機関と、自分のところは民間金融機関ですけれども、協調融資をして、やっぱりそれぞれのメリットが違いますから、そのことがよく分かる」というようなことを、実はある頭取が言っておられました。

私も国会の方で何度も答弁させて頂いたんですが、やはりこういうときですから、民間金融機関と政府系金融機関の持っているメリットというのは、お互いに違いますから、その良いところを補い合って復旧・復興に努めて頂きたいということを申し上げておきました。

その岩手県の代表的な地方銀行の頭取も、それから釜石市で復興された50代の非常に若手の前向きな社長の言っておられたことと、実は同じことでございまして、私はやはりこういった復旧・復興のときは、政府系の金融機関、それから民間金融機関の良いところをお互いに出し合って、力を合わせてベストミックスで、きちんとやっていくことが良いのだなということを改めて現地に行って感じた訳でございます。

そういった意味で、しっかりやっていって頂きたいというふうに思っております。

問)

東洋経済の浪川です。先週の質問(についてお伺いします)。

(注)10月11日(火)閣議後大臣会見時の質問より

今後、日本国内に店舗を設けている、設けていた金融機関が破綻した場合のルール、日本国内における資産と負債をどうするのかというのは、たしかバーゼルで、インターナショナル業務をやっている銀行が破綻した場合の現地の支店をどうするのかというルールを90年代に定めたかと僕は記憶しているのですけれども、その一方で、全然現実的ではないという批判もかつてありまして、こういう問題が今後、具体化してくるおそれはないのかどうか。

答)

浪川さんの先週のご質問、色々教えて頂きましたが、日本国内に支店を有する外国銀行が破綻した場合の支店に関する手続についてというご質問だったと思いますが、当庁としましては、まずは日常の監督業務を通じ、日本銀行等とも協力をしつつ、まず、海外監督当局とも連携して、経営状況の悪化している銀行についての情報収集を図る、それから次に、当該銀行の流動性、取引の状況のモニタリングをする等により、早め早めの状況把握に努めることとしております。

それから、日本にある外国銀行支店に係る外国銀行が実際に破綻に至った場合の日本における手続きについては、破綻に至った状況や本国での法的取扱いに依るところが多く、一概に申し上げることは困難でございまして、いずれにいたしましても、当庁といたしましては、仮に外国銀行が破綻した場合には、我が国の預金者、金融システム等への影響を最小化するよう努めつつ、日銀・海外当局とも連携して、適切・迅速に対処するよう努めてまいりたいというふうに思っております。

この前、バーゼル委員会の話がございまして、実は少し勉強させて頂きました。1990年代までにバーゼル銀行監督委員会においては、国際的に活動する銀行の母国・現地当局間の役割分担や情報交換の体制等について基準や提言を策定してきました。しかし、これらは、破綻した場合の処理ルールまで盛り込んだものではなかったというふうに承知をいたしております。

しかし、一方2008年リーマン・ショック、この金融危機以降、金融安定理事会(FSB)において、グローバルなシステム上重要な金融機関(G-SIFIs)について、外国銀行支店も対象に、実効的な破綻処理制度の枠組みの整備についての論議が行われているところでございます。この枠組みは、今年11月のカンヌサミットまでに最終的な結論をまとめる予定となっており、金融庁としては、引き続き積極的にこうした国際的な論議に参画してまいりたいと思っております。

それから日本にある外国法人、これは日本にある日本法人や支店とでは、かなりこれは扱いが違っておりまして、かなり複雑な問題がございますので、疑問があったら、事務方によく言っておりますので、そちらの方に(お聞きください)。現地法人といいますか、色々と外国法人でも日本に支店があるのがあります。それと日本に現地法人があるのとでは、管理の扱いが違うのです。そういったかなり細かい事務的な違いもございますし、基本的には、今度バーゼル(委員会)で決めるのです。G-SIFIsが破綻した場合に、まあ、決まっていますけれども、今までの経緯経過等々ありますので、もし必要であれば、事務方によく申しておりますので、ちょっとそちらの方に聞いて頂ければ細かい説明があるのかなというふうに思っております。

いずれにしても、大変うんちくのあるご質問ありがとうございました。

問)

通信文化新報の園田です。

私は、岩手には行っていないので申し訳ないのですけれども、3県視察をされたと思うのですが、その中で郵便局にとっての共通の課題、あるいは別々の、岩手に焦点を当てて頂いてお感じになられたことをちょっと詳しくお願いします。

答)

私、益々その感を強くしたのですが、今の法律では、郵政は5分社化です。そうすると、その5分社化の弊害、一番端的には、私何度か申し上げましたけれども、郵便配達の人が手紙、はがきを被災地に持っていきましても、特に日本の公的年金の4分の1、25%は、郵便局を利用しているのです。特に、これは過疎地におきましては、郵便局で公的年金をもらっておられる高齢者の方々の率は、非常に高くなるのです。

昔、それこそ明治4年以来ずっと総合担務といいまして、郵便と保険と貯金と一緒に1人の人が全部、郵便局の人であれば法律上できたわけでございまして、特に過疎地、それから被災地の本当に足の不自由な方、あるいは車の運転できない方なんか、当然郵便配達の人が手紙、はがきを持ってきてくれますと、「あんたちょっとすまんけど、この貯金通帳預けるから、私の年金が入っているはずだけど、取ってきてくれんかね」というようなことを、今までは気軽に住民の方から頼まれて、また郵便局としてもそういうサービスを積極的にしなさいと言って、私は14年ぐらい前に郵政大臣でしたが、積極的にそういうサービスをするようにという指導をさせて頂いたことがございます。それが郵便局の住民サービスの原点だったのです。

ところが、今さっき言ったように5分社化になりまして、郵便配達は、郵便事業会社の職員が行うものですから、ゆうちょ銀行とは全然関係がないのです。そうしたら、もう今は当然ですが、法律によって、仕組みによって厳しく、手紙、はがきの配達の人が郵便貯金のお金を扱うことはできません。そのことが非常に、住民の方々は、郵便局サービスが変わったということは、知りません。「何でそんなことになったのかね」と言って、郵便配達の人が怒られるという話を、これは石巻市で聞かせて頂きました。確かに、このことに現わされるように、5分社化の矛盾というのが、やっぱり非常に厳しい被災地の最前線で現れているということが、私は本当にそのことを強く感じました。

どうもありがとうございました。

(以上)

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