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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成24年1月20日(金)11時44分~11時59分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

今日は特別に申し上げることはございません。

【質疑応答】

問)

二つお聞きします。1点目は(中小企業金融)円滑化法の延長で出口戦略の施策の一つとして、企業再生支援機構の活用ということがあって、業務期間の延長だったり、支援決定再開、こういうことを検討されているかと思うのですけれども、一部報道でそういう法案を出す方針になったとされていますが、現在の検討の状況について教えてください。

答)

今質問がございましたが、企業再生支援機構は、抜本的な事業再生支援を行うに際して、大変有効かつ重要なツールであるというふうに考えております。同機構の支援決定の再開については、政府部内で調整中でございまして、言及は差し控えたいというふうに思っております。

問)

もう1点は、来年度の預金保険料(率)についてなのですが、検討の結果、据え置きになるのではないかという報道があったかと思います。この預保の検討について今どう把握されていて、金融庁としては今どうお考えかお願いします。

答)

24年度の預金保険料率のあり方については、現在、預金保険機構に「預金保険料に関する調査会」が設置され、論議されているというふうに承知をいたしております。預金保険機構の責任準備金は、22年度に黒字に転換したわけでございますが、今後の預金保険料率については、こうした預金保険機構の足元の財務状況のみならず、預金保険機構の長期的な財務状況、また、現在及び将来の我が国の金融システムの安定度、それから金融機関の負担能力、過度の負担の回避ということも健全な金融機関のためには必要でございますから、中長期的な観点を踏まえて検討する必要があると思っております。

また、昨日EUの金融担当大臣といいますか、フランスの外務大臣もして、農林大臣等四つの大臣をしたバルニエさんが金融庁を訪ねて来られました。私は確か昨年の1月にベルギーのブリュッセルでお会いして、二度目でございましたが、彼はまさにEUの金融政策の最高責任者でもございますから、EUのことを色々説明に来られました。そういった欧州、またそれ以外に国外的な要因としても、欧州の財政・金融問題等を背景とした市場の不安定な動向が続く中、我が国金融システムへの信頼を確保する必要があること等、それからまた、ご存じのように、米国や欧州では、預金保険基金の積立目標が引き上げられる流れになっております。これは3年前のリーマン・ショック、あるいは今回の欧州の財政・金融問題が当然背景にあるわけでございますけれども、米国あるいはヨーロッパでは預金保険基金の積立目標が徐々に引き上げられるという流れに国際的にはなっておりますから、今申し上げましたような国際的な状況も十分に踏まえて検討する必要があるというふうに思っております。

問)

今日にも東証がオリンパスの上場維持と、特設注意市場銘柄への指定を決定するという一部報道がありますけれども、どのように聞いておりますでしょうか。

答)

ご指摘の点につきましては、東証において、現時点で何ら決定した事実はないというふうに承知をしております。いずれにいたしましても、上場の取扱いについては、上場取引所である東京証券取引所において、有価証券上場規定等に基づき、適切に判断されるものと考えております。

問)

金融機関の高額報酬を規制するために、開示を義務づけるという、これも一部報道があったと思うのですけれども、これについては如何でしょうか。

答)

ご指摘の報道は承知しておりますが、現時点においては、金融機関に対して役職員報酬額の開示の義務化を、当庁として決定したという事実はありません。しかし、ご存じのように、金融機関の報酬につきましては、昨年、2011年7月でございますが、バーゼル委員会が策定した国際的な指針等において、2012年から、報酬体系の設計・運用方法や一定の役職員に対する報酬額等の開示が求められております。いずれにいたしましても、我が国といたしましては、これらの国際的論議や我が国の報酬慣行等を踏まえ、適切に対応してまいりたいというふうに思っております。

ご存じのように、こういった職員、トレーダーと申しますか、特にリーマン・ショックのとき、非常に高額の報酬をもらっていたということが、ショートレンジのハイリスク・ハイリターンの取引を助長したということが新聞紙上にも色々報道されました。そういったことを踏まえて、バーゼル委員会で、そこは一定の指針が要るのではないかということに決まりました。日本もバーゼル委員会の有力なメンバーの一員であると同時に、日本国内の報酬慣行等もございます。日本はどちらかと言えば、年功序列的なところもございますから、その辺等も踏まえながら、最終的には適切に判断をしてまいりたいというふうに思っております。

問)

前向きに検討していくということですか。

答)

これはバーゼル委員会できちんと策定した国際的な指針において、2012年から報酬体系の設計・運用方法や一定の役職員に対する報酬額の開示が求められているということです。また、1929年の(世界恐慌の)ときは国際的な話はなかなかできなくて、結局世界の経済はブロック化し、ドイツにおいてナチズムが台頭する遠因になったということをしばしば申し上げております。今は、G20諸国を中心に、金融としては、香港、シンガポール、スイスだとか、そんなところを加えた国際会議がございます。その辺について、昨日バルニエさんも言っておりましたけれども、今(欧州債務問題は)ギリシャのソブリンリスクに始まったことですが、EU27か国、うちユーロを使っている17か国について、色々な国の事情、情勢はあっても、「自見さん、きちんと決めることは決めましたよ」と、「今実行中だ」と、「信用してくれ」というようなことをバルニエさんは言いました。私もここで申し上げたかと思いますけれども、歴史的にかつてドイツとフランスが第1次、第2次大戦の原因だったのは事実でございまして、それが一緒になってEUをつくる、統一通貨、ユーロをつくるということは、人類として半歩前進だということを私は申し上げたと思います。その中でも、各国民主主義国家でございますから、それぞれの議会制民主主義において、手続き、手順といった色々な苦しみはあるわけですけれども、その中で一生懸命努力をしておられます。(また)ヨーロッパのことは基本的にヨーロッパで決めていただくというのが原則ですが、日本国においても、これは総理も言われていますように、対岸の火事ではございませんで、ヨーロッパのこの債務の問題、あるいはそういったものがイタリアの長期金利の上昇、スペインの国債がきちんと売れたということで、昨日ぐらいから少し一服しているようでございます。そんなことを常に眺めつつ、日本国の金融政策を考えていかなければならないと思っております。そういった意味で、バーゼル委員会で決定したことは、我が国としては重たいことだというふうに私は思っておりますので、その辺は尊重していきたいというふうに思っております。

問)

本日、二重ローンを買い取るための東日本大震災事業者再生支援機構の社長に、足利銀行前頭取の池田氏が内定しましたけれども、大臣、この人事についてどういうふうに見ていますでしょうか。

答)

本日の閣議後、平野復興担当大臣から、東日本大震災事業者再生支援機構の社長人事が公表されることは承知をいたしておりますが、これを機に、東日本大震災からの復興がより一層進むことを期待いたしております。

ご存じのように、この東日本大震災事業者再生支援機構には、金融庁の事務方が何人か行っておりますので、そういった意味でも、まさに震災からの復興、二重ローンの問題、本当に国家的な問題でございますから、今日、社長人事が公表されるということは承知しておりますけれども、それ相応の能力、見識、実力のある方がなられるというふうに当然期待をしております。

問)

先ほどの預保の料率の件なのですけれども、米欧で基金の積立目標が引き上げられる方向にあるということなんですか、日本だけがそれに逆行するということは適当だと思われるのかということと、報酬の件もそうなんですけれども、バーゼルの決定は尊重するということで、暗に意味していらっしゃるのかもしれませんが、日本だけがそれを取入れないということはあり得るのでしょうか。

答)

私は基本的に国際会議できちんと合意したもの、あるいはそれが合理的なものであるというふうに私は確信していますし、今も1929年(の世界恐慌後の経済状況)と今回のリーマン・ショックの後の違いは申し上げましたが、率直に言えば、この議会制民主主義、それから資本主義と言いますか、特に金融資本主義、それからグローバル化、グローバル化の一番進んでいる部分はある意味で金融の世界ですから、そういったところが摩擦を起こしながら進んでいるというのが、「フォーリン・アフェアーズ」の1月(号)の冒頭の論文でございますが、私はあれに非常に賛同しております。一つの国の総理大臣を自分で選んでも、あるいは大統領を選んでも、極端な話、例えば、(アメリカ)大統領というのは多分世界で一番大きな政治権力を持った人でございますが、色々な経済政策、金融政策(を行っても)、それでもやっぱりマーケットというものもございます。アメリカがリーマン・ショックの後70兆円ぐらいの財政出動をしたというふうに思っていますけれども、(結果として)確かに失業率が下がってまいりましたし、明るさは見えてきましたが、(その)アメリカの大統領といえども、多分それはグローバル化の影響が非常に大きいとは思いますが、必ずしも昔のような経済政策(ほど効果はないのです)。そういった時代において、できるだけ私は国際的な合意は徹底的に(実施すべきと思っております)。各国がそれぞれの伝統と歴史を踏まえ、そういったことも尊重するというのが、政治でございます。それを踏まえつつ、できるだけ合意できる部分は、それが合理的なことであれば、できるだけやっていくというのが、日本という先進民主主義国家がやっていく今必要なことだろうというふうに私は思っております。

(以上)

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