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松下内閣府特命担当大臣初閣議後記者会見の概要

(平成24年6月4日(月)22時48分~23時37分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

こんばんは。夜遅くまで大変恐縮です。郵政民営化担当大臣、そして内閣府の特命担当大臣、金融を担当せよと命ぜられました衆議院議員の松下忠洋でございます。鹿児島県の薩摩半島の出身でございます。昭和14年生まれの48歳と、もう20年間言い続けてきました。48歳と言い続けておりまして、これは選挙のときに使うのですけれども、今でもそういうふうに自己紹介をしております。73歳になりました。

今度の改造内閣で一気に平均年齢を引き上げた張本人ですけれども、私より8か月先輩が、滝実がおりまして、法務大臣ですが、ほっとしておりまして、色々な紹介の中では省かれるなと、こう思っております。よろしくお願いします。

総理から6項目の指示がございました。

簡単に申し上げますと、一つは総務大臣と緊密に連携して、新たな郵政民営化法に基づく郵政事業改革の着実な推進に取り組む事ということでございました。

それから、二つ目が金融機能の安定を確保する、同時に地域金融の円滑化に向けた取組みを進めること、そして、必要な資金が、私は一番これが大事だと思っておりますけれども、新たな成長産業、市場に提供されるように金融・資本市場の機能強化を推進する、これは郵政のお金の使い方も含めて、極めて大事だと、そう考えています。

それから三つ目は、国際金融情勢を注視して、関係大臣と連携して迅速な対応を行うこと。ヨーロッパの色々な不安、アメリカの雇用の落ち込み、そして新興国の若干の伸びの停滞を含めて、日本を取り囲む環境は非常に厳しいものがありまして、こういうものが日本に波及して、一気に経済に大きな圧力をかけることがないように、しっかりと注視していくことが大事だというふうに考えています。

四つ目は、東日本大震災に関連することでございますけれども、二重ローンの問題、これをしっかりと支援措置を取り組めということでございまして、関係大臣と協力して行えという指示でありました。私も経済産業副大臣として政権交代してから2年半、経済産業の振興に努めてまいりましたが、昨年の3月11日以降は、発災直後から現地の福島の現地災害対策本部長を務めまして、その後は16万人の被災した人たちの生活支援、そして、故郷に帰るまでの徹底した賠償と復興再生、そして200万人の健康、そして福島県全体、東北全体の、東日本全体の復興再生に取り組んでまいりました。この中で一番深刻な問題が二重ローンでございました。

金融庁も取り組んでおりますし、復興庁も取り組んでおりますし、経済産業省も取り組んでおりまして、それぞれ棲み分けをしながら三つが力を合わせて、この復興再生に励むことが出来るようになっていると、そう思っていまして、ここをしっかり取り組んでいきたいということでございました。総理と考え方は同じです。

それから、五つ目が国際会計基準の導入に関して、国際的な動向を踏まえつつ産業界や中小企業の動向にも配慮して、我が国の方針を総合的に検討するということでございました。

自見大臣からもお話がありましたけれども、様々なヨーロッパの考え方、そして日本の考え方、そしてまたアメリカの対応、それぞれ時とともに色々な動きがあるようでございます。もう少し勉強して、明日、自見大臣とも引き継ぎを行いますので、この点についてはしっかりと前大臣の考え方も確認しておきたい、そう考えています。

それから、AIJ投資顧問会社、投資一任業務に関する重大な法令違反、これを踏まえまして再発防止策を講じるなど、金融商品に対する失墜した信頼を取り戻したいと、そう考えています。年金の資金等、私たちの暮らしの将来を支える、極めて大切な私たちの宝がこういう形で消えてなくなってしまうということがあってはならないと思っています。これも色々な調査も進めているというふうに聞いていますし、国会でも証人喚問等で議論になりました。今、国会の色々な税と(社会保障の)一体改革の方に審議が進んでおりまして、少し休んでいる状況にも思いますけれども、極めて大事な課題だと、そう思っています。

そして、ギリシャの再選挙が6月17日にあります。ギリシャがどういう対応をとっていくのか、そしてヨーロッパ全体がスペイン、そしてイタリア、この大国、ギリシャとは違う、すさまじい大きな力を持っている、この国が極めてきわどい破綻の道に行きそうな、そういう話も聞こえてきています。正しい情報をつかまなければいけないと思っていますけれども、そのヨーロッパの不安、そしてアメリカの雇用の落ち込み、新興国の様々な事情等を踏まえて、そういうものが日本に波及してこないように、必要な連携をとりながら、しっかりとした対応をとっていくことが大事だと、そう思っております。

経済産業省の副大臣として2年半務めてまいりましたけれども、円高の問題を含めて、これは経済産業としての話ですけれども、根こそぎ空洞化が進んでいることを非常に心配しております。最近の状況を見ていると、一気に企業の経営、そして体質が一気に弱くなっていくということに直面して非常に驚いてもおります。それほど厳しい国際競争の中で日本の産業が勝ち抜いていかなければいけないと、そういう時に直面していると思っています。

ですから、今、非常に日本の危機でもあると思っておりまして、日本の経済産業をしっかり支えていくためにも、この血液である金融がしっかりと成長産業の部門に流れていく、新しい雇用を生み出すような分野に入っていくということは極めて大事だと、こう思って、広く勉強しながら、そして金融庁の専門家の官僚の皆さん方のしっかりとした見識も勉強しながら、政治として正しい道が国民に示せるように努力したいと、そう思っています。

終わります。

【質疑応答】

問)

ちょっと重複するかもしれませんが、大臣は建設官僚のご出身であったりですとか、経済産業副大臣や復興副大臣をこれまでご歴任をされてきましたが、こういったご自身のキャリアを踏まえまして、郵政や金融行政で重視したい政策が特にありましたら、お聞かせ願えますか。

答)

大変いい質問だと思います。お金を本当に必要としている人たちのところに回っていくこと、それが金額が少なくても、それが貴重なものとして大切に使われる部門にしっかり届いているかどうか、これをしみじみ思っています。

郵政改革の民営化法案ができたときに、200兆円を超える多額の資金を地方の弱い部分や、そして経済の恩恵が行き届いていない離島や、そして過疎地にしっかりと行き渡って国全体に元気が出るような法律にしていくと、そういうお金の使い方をすると、はっきりと5つの原則の中にうたわれているのですけれども、結果として、どこにどう使われたのか、財政投融資の出口のお金の使い方が問題だと言われて、それを有効に使うために、今言ったような5項目のうちの1項目にはっきり、弱者に使うという形で入っていたのですけれども、結果はどうなっていたか。ご承知のとおり、そっくりそのまま国債に使われている。そして、社債にも使って、企業にもしっかりと血液として回るようにするということが最初にうたわれたのですけれども、それも結果は、社債は増額ゼロ。ですから、やはり、大事な資産がきちんとした成長分野とか、そして地方の中小企業とか、あるいは新しい雇用を生み出す分野にしっかり血液として流れていくようなふうに何としてでもしたいなというふうに、そこを見届けたいという気持ちであります。

特に、福島の復興再生に取り組んでまいりました。また、東日本のあの大津波で根こそぎ流れてしまった町も見てまいりました。そういうところに20兆円を超す多額のお金が使われて予算化されていますけれども、これも郵政のお金も投入されるという約束でありますし、また、国民の一人ひとりの血税がそちらの方に回っていくという、国を挙げての体制がとられているわけでありまして、そういう大事なお金が本当に必要なところにきっちり使われて、そして再びあの地域が蘇るように、その地域に住んでいる人たちが子どもや孫たちに、自分たちが生きている時代に起こったことの悲劇を反転させて、いい故郷を作り上げていくようなことになるように使われていくこと、こういうことをしっかり見届けたいと、そう思っています。

自分の政治を20年間進めてまいりましたけれども、その根幹にあるのは「人の不幸の上に自分の幸せを築いてはいけない」、「人の不幸の上に自分の人生を築いてはいけない」と、そう自分に言い聞かせてまいりました。そのことに謙虚に気がついて、自分も反省しながら仕事をしていきたいと、そう思っています。以上です。

問)

これまで金融担当大臣では、亀井さんですとか自見さんですとか、過去には竹中さんと様々なタイプの大臣がおられましたけれども、どのような大臣像を目指されるかというのを教えていただけますか。あと、具体的な目標があれば教えてください。

答)

今申し上げたところは、今までの大臣にないところだと思っています。竹中元大臣の競争社会を作っていくというところ、亀井元大臣の弱者に対する配慮、金融円滑化法を作られました。これは一緒に私たちも入って作りました。自見前大臣の、粗っぽく見えるけれども、大変きめ細かに積み上げてこられた色々な政策手法を、よく存じておりますけれども、私はもう一度、そういう先輩たちの仕事を振り返りながら、やはり弱いところに、そしてこれから激しい根こそぎ空洞化が行われるという、そういう厳しい競争社会の中に放り込まれた日本が、本当に貴重な資金、そして血税、これが成長分野に向かっていくこと、そして新しい雇用を生み出す、そういう産業に使われていくこと、こういう血流がしっかりと行き届くようにしていきたいと、そう思っています。

官僚の皆さん方の、専門家の皆さん方の知恵も借りながら、そういう思いが届くようにしていきたい。そして、東日本のあの大震災、そして福島の原発事故からの復興再生、これが一日でも早く復興再生できるように、いいお金の流れが出来ればいいなと、そう思っています。

問)

よろしくお願いいたします。

中小企業金融円滑化法が来年3月末で期限切れになるということで、金融庁などは新たな政策パッケージを一応イメージとして打ち出されております。現時点で、大臣はこのパッケージをどういうふうに評価されているのかということと、あと今後、更にこういったところを充実させていったほうがいいというようなお考えがあるのであれば、教えていただけますでしょうか。

答)

亀井元大臣と一緒に国民新党が作ってきた経緯もございますので、この法案の仕上がり具合といいますか、どういう役割を果たしてきたかということについては、非常に愛着がありますし、評価もしています。もう一度、これを検証する必要があるとは考えています。検証する、どういう効果があったかということはですね。その上で、新しく東日本の大震災、福島の復興、原発事故からの復興再生という新しい展開が行われていますので、中小企業の人たちがどういうふうに苦しんでおられるのか、これをしっかり見届けて対応する必要があると思っています。

二重ローンに対する対応策も、さっき申しましたように、経済産業省、復興庁、そして金融庁、金融庁は地方の金融機関の資本強化ですけれども、そこを強化して地方に流れていくという、一つ高いレベル、段階での運用ですけれども、それを含めて、この円滑化法がどういう役割を果たしてきたのか、その中でどのようなふうにうまく回りながら役割をしてきたのか、よく検証した上で判断したいと、そう思っています。

問)

確認ですけれども、その「検証」ということは、ひょっとすると、円滑化法の再々延長というのもあり得るという、そういうご認識なのでしょうか。

答)

いえ、全く白紙です。もう一度しっかり見てみたいと。

問)

すみません。もう一つ、これに関連してなのですけれども、弱いところに、必要なところにお金を流すというお考えは非常によく理解するのですが、一方で、いわゆるちょっと言い方は悪いですけれども、ゾンビ企業を生かし続けるだとか、モラルハザードを招きかねない、あるいは金融機関の財務健全性を損ないかねないというような指摘もありますが、この辺との整合性、舵取りは難しいと思うのですが、ご所見をお願いできますでしょうか。

答)

そうですね。そこの見極めは大事ですから、ゾンビ企業と呼ばれているような正体がよく見えないようなところには、やはり大事な血税は使ってはいけないと思っています。ただ、自分に資本はないけれども、しかし小さな資本が、お金があれば自分の知恵と、そして周りの能力を生かしていい仕事ができるという分野も出てきていますから、そういうところを一概に切って捨てることもやってはいけないと思っています。小さなところから大きな、色々な可能性が出てくると、この正しい見極めを役所の皆さん方と注視して見ていきたいと、そう思っています。ぜひ大事なところをやりたい、そう思っています。

問)

よろしくお願いします。

東京市場で公募増資をめぐるインサイダー取引疑惑がいくつか、残念ながら発生しておりますけれども、これに対して今、大臣はどういうふうな認識でおられるか。あと、今後の対応で具体的にどういったものが必要というふうにお考えになっているのか、ご意見を伺わせてください。お願いします。

答)

インペックス(国際石油開発帝石(株))とか、それからみずほコーポレートとか、そういう話があることは承知しています。一部の知恵を持った特定の数少ないグループが、自分達だけが知り得た情報で、そして自分たちの顧客、あるいは仲間との密接な関係の中で、極めて密室的な取引が行われている、そういう情報が少しでも流れているということは、これは見過ごしてはならないし、厳密に取り締まらなければいけないと思っています。その調査も自主的に進められているとも聞いていますし、また、私たちもその結果をしっかりと整理して対応していかなければいけないと、こう思っています。

問)

一点ちょっと確認なのですけれども、先ほど円滑化法の再々延長のところで、ちょっとまだ全くの白紙だというご発言があったのですけれども、前任の自見大臣は、あれが最後の延長だということを非常に強調されていたのですけれども、それは今、その後の復興状況とかを踏まえて、もう一度白紙だという可能性もあるということですか。

答)

そうですね、大変深刻な事態が福島の原発事故の再生復興を含めて、それから東日本の震災の地域において起こっていますから、あそこの産業再生は大事で、特に水産加工業の漁業が壊滅的に放射能の問題で、風評被害も加えて動きがとれなくなっていると。そう考えますと、まだ全く白紙ですけれども、新しい時代に対応出来るような仕組みができ上がっているかなと、これはしっかりと検証する必要があります。今言いましたように、金融庁も一つ持っています。そして、復興庁も一つ持っています。これは議員立法で片山さつきさんたちがやった法律で、民主党も一緒に作ったのですけれども、それで経済産業省が中小企業の基盤整備の資金を活用しながら小口の対応をしています。それと二重ローンですけれども、一歩間違えば、先ほど指摘がありましたけれども、ゾンビのような形でどうにもならないところにお金をつぎ込んでいるのではないかという指摘もあるでしょう。これはしっかり見極めなければいけないと思います。その上で、新しい東日本大震災や福島原発の事故からの復興再生を見極めながら、そこで頑張っていこうとしている人たちの、はしごを外すわけにもいかないし、それはしっかりみんなの知恵を借りて検証して対応することを考えるということです。今は白紙ですよ、全く。ですけれども、そういうことは必要だと、そう思っています。

問)

国際情勢についてなのですけれども、今、欧米の金融機関が傷ついている中で、日本勢は比較的優位な、好機とも言えるような状況にもあるとも思うのですけれども、日本として、世界の中で果たしていく役割ですとか、金融庁としても発信していきたい部分というのが、もしありましたら教えてください。

答)

極めて慎重な見極めが大事だと思っています。それから、非常に強い関心を持って情報をしっかり集めたいと思っています。確かに日本の金融機関は、ギリシャとかスペインとか、そういうところには、欧米化するような資金の流出はないと思いますけれども、スペインやイタリアやギリシャなどに貸し込んでいる欧州のそういう金融機関に日本のお金が入っているわけですから、そこがどういう対応になっていくのかによって、直ちに日本に直球が返ってくると思っています。これは非常に注意深く、最新の情報を集めながら関係機関としっかりと手をとっていく必要があると思っております。それに円高、株安、どうして日本もこんなに苦しんでいるのに、どうして日本だけ、こういう六重も七重もの苦しみの中で、経済再生と産業の復活を図らなければいけないのか、大変つらいですけれども、世界の動きをしっかり注目したいと、そう思っています。

問)

先ほど「白紙」とおっしゃった円滑化法なのですけれども、これは期限の再々延長もあるという理解でよろしいのでしょうか。

答)

白紙です。

問)

自見大臣は、再々延長はないという前提で延長したということですけれども、松下大臣の中では、その考えも含めて、もう一度仕切り直すということでしょうか。

答)

福島の復興再生ですね、それから東日本の深刻な事態を見ていますし、新しい法案もできましたので、それはそういう意味で、しっかりとこの法案の効果も含めて、しっかり勉強して、そして結論を出すというのは当然のことです。ですから、今しっかりとそういう意味では検証しながら勉強していくと、そういう意味です。そういう意味で白紙ということですね。答えを出していないということです。

問)

あともう一点、先ほどから震災からの復興ということで、経産省のときのお話をしていただいているのですが、金融庁として復興に向けてどういう取組みが必要だというふうにお考えでしょうか。

答)

総理ともお話ししましたけれども、あそこは全く壊れたところから新しい産業を起こそうとしています。サプライチェーンが1か所に固まり過ぎていて、そこをやられたために、そこから世界各国や日本に出していた素材、部材が止まってしまったことで、経済全体が壊れてしまった。そして、復興になかなか時間がかかってきたと。タイのバンコクの洪水(の影響)もあって、そういうサプライチェーンの見直しも今やっていますので、そういう中で、機能的に日本の素材産業が配置されていると、そういうところにしっかりと根差して入っていくということが大事だと思います。

同時に、パナソニックが私の選挙区の家の近くに、鹿児島県第一号で誘致したパナソニック企業が、45年間操業して、この3年間ぐらいの間に急速に業績が悪くなって、半導体部門、それから薄型テレビ事業から撤退して、そして全部、産業そのものを蓄電池に切り替えていくというような、大転換をしているわけですね。そういう大きな流れに金融庁の色々研ぎ澄まされた感覚もしっかり入っていきながら、お金がどういうところに回っていけばいいのか、そういうところを関係省庁とよく知恵を出してやっていくことが大事だなと、そう思うのですね。

本当に必要なところにきちっと流れていくようにしなければいかぬと、成長産業部門に入っていかなければいけないと、新しい時代に備えたところに行くような、そういう流れが、血流が出来ないかなと、そう思いますね。

問)

先ほどから大臣はギリシャ問題に絡んで、非常にきわどい状況という表現を何度か使われていますけれども、先ほどご説明で、破綻の道に行きそうなという、そういう表現も使われましたので、恐らくマーケットレベルではなくて、実体経済も絡めてお話しされているのかと思いますけれども、そのあたりの認識について、もう少し細かくご説明いただけますでしょうか。

答)

やはり注目して見ていく必要があるということですね。日本に波及するのかしないのか、波及してはいけないし、その直前で食い止めなければいけないし、ヨーロッパはヨーロッパで世界に波及しないように、色々な知恵を出しながら努力していると思います。その努力がしっかり行き届くように、私たちはしっかりと見届けていきたいと。そういう意味で、ヨーロッパもしっかりしてくれという意味も含めて申し上げたところでございます。

問)

すみません、2点あるのですが、先ほど1点目は、郵政も含めて必要なところにお金が回る仕組みが大事だという話がありましたが、郵政の新規業務の拡大は、地域金融機関等の反発というのも根強いと思うのですが、その点に関して大臣の認識をお伺いしたいのと、もう一点は、すみません、ちょっと所管外のことで恐縮なのですが、大臣は薩摩川内の出身ということで、九電の川内原発があると思うのですけれども、原発の再稼働というのも野田内閣の重要テーマの一つだと思うのですが、大臣ご自身は原発の再稼働については、どういうスタンスをお持ちでしょうか。以上2点です。

答)

そうですね、反発はあると思います。ですから、丁寧に、どういうふうに郵政のお金を地方に使えばいいのか、いきなり直接、競争相手になって、ばんばん入っていくということについては、抵抗があると思います。そこは協調して、地域活性化のために何ができるかなというところから、素朴に出発してよく話し合いをしながら、協調してやっていくのが正しい道だなと、こう思っています。これは、そういう努力をしていきましょうということです。

問)

原発の再稼働については。

答)

これはね、金融担当大臣として関係ないと思っております。

問)

また、いずれお聞かせください。

答)

はい。

問)

私の方から2点ほど伺わせていただければと思っております。どうもすみません。よろしくお願いします。

今の質問と関連するのですが、日本郵政の方の齋藤さんの方から、今後の新規事業として住宅ローンであったり、あるいはシンジケートローンのようなものをやっていきたいと。恐らく今後は新規事業の申請という話が来ると思います。これについて、どのように対応していかれるお考えなのかと、現時点での考えを伺えればと思っております。よろしくお願いします。

答)

何で、どういう手段で飯を食っていくかということは、やはり深刻な状態になってきていると思っています。製造業だけではなくて、やはりお金を持っているからといって、それで安心しているわけではないのです。もう80兆円も減っていますし、郵便の数も、もう4割ぐらい減っていますし、そして保険に至ってはもう半分以下ですから、やはり日本一の大きな金額、お金を持っている企業、そして、40万にもなる多くの人数を抱えている企業、やはり世界に類がないと思うのですね。そういう人たちがやはり一致結束して知恵を出し合って、この限られた予算を日本の復興再生のためにどうやって使っていけばいいのか。やはり色々な知恵を出してもらいたいと思っています。

それが他の色々な民間の企業の人たちと激しい競争をして、そして、そこで打ち勝って相手をたたきのめしてということには、してはいけないと思うのですね。両方ともそれぞれ知恵を出し合って、そして、新規事業も含めて改めていくことができると思っています。

お金の使い方が、バランスがとれていないのではないかと思います。(お金が)行くところには集まっているけれども、ないところにはほとんど行っていないのではないかと。今度、東日本の復興再生にどのようなふうにしっかりと我々が見ていくか。今度の交付金の配分にしても、相当神経を使ってやっているのですね。血税ですから、そういう生かし方の中で郵政の新しい事業もその中に入っていくようにしてもらいたいと、そう思っています。

問)

あともう一点だけ、よろしくお願いします。

松下さんで、亀井さん、自見さんとで三代続けて郵政と金融という形になると思います。民間金融機関の方では、郵政の事業拡大というのは非常に警戒感が強いものがございまして、ある面、金融担当大臣と郵政の担当大臣を務める、兼務されるというのは、ある意味で利益相反が起こるのではないかというような懸念をされる声もあります。大臣、兼務をなさるに当たって、今後どのような考え方で進めていきたいと思っておられるのか、お考えを伺えればと思っております。よろしくお願いします。

答)

ユニバーサルサービスですね、郵政民営化の今度の改正した一番のポイントは、過疎地とか、それから離島とか、急激に人口減少している地域、そういうところに血液が入っていない。これは身にしみます。そして民間の金融機関は、そういうところに全く入りません。私も鹿児島の過疎地にいて、離島があって、種子島や屋久島があり、奄美大島があります。ただ、数が増えているからやっていますよと、鹿児島県にもこれだけの小さな銀行、支店を作りましたよという話を持ってきても、地図の上に点を落としますと、都市にぐっと固まっています。

ですから、そういうところに私たちの郵便局のユニバーサルサービスが、行き届くということは、今度義務づけましたから、そういうところに必要なものが行くと。過剰にそこに投資するとかという気持ちはありませんけれども、そういう人の住んでいる大事なところに、そこにきちっと必要なものが行くということからいけば、私は相反するというか、けんかする、そういう場面は少ないと見ています。そうならないように努力はしなければいけないと思います。

問)

ちょっと一点だけ、円滑化法なのですけれども、今まで質問の中で随分答えがあいまいだったので、ちょっと教えてください。

答)

この金融円滑化法は、来年3月末まで、最終延長することとしたと、こうあります。このために何が出来るか、これを白紙でもう一度考えたいと考えております。

問)

ごめんなさい、分からないので確認させてください。

自見前大臣としては、恐らく3月末以降の延長は可能性としてもうないというようなニュアンスでおっしゃられていたと私どもは認識しているのです。でも、今の大臣のお言葉を聞いていると、被災地の現状とかをですね、検証した上で、必要であれば、これは円滑化法の再々延長も可能性としてあり得るというふうに聞こえたのです。その辺で大分、自見さんとニュアンスが違うなと思い、「白紙」という言葉の意味をもう一度確認したいと思います。

答)

そういう意味では、白紙です。答えありきではありません。最終延長することとしたということでしょう。もう最終の延長なのだということなのです。だけれども、再延長したことは尊重しますよ、今結論を出したことは、自見さんの判断ですから。これが本当に、今度の新しい時代で、原発事故でありますとか、東日本の災害対応で、いくつかの二重ローン問題に対応する法案とか、対応してきていますね。それらをまとめて、一度きっちりと勉強したいという私の意欲を言ったのです。

ただ、そう決まったからといって、いや、その通りやって、それでいいですよというふうにするのではなくて、「勉強したい」と言っているのです。どういう効果があったのかと。そして、三つの役所がそれぞれの二重ローン対策も持っていますし、そういうものがどういうふうに総合的に機能して、この法律の目的が達成されたのかどうか、そういうのは検証する必要があるのではないかということを言ったのです。普通のことを言っていますけれどもね。

問)

検証の結果、必要であれば、これは再々延長もあるという、そういうことなのですか。

答)

いや、そういうことは言っていません。

問)

改めて整理したいのですけれども、円滑化法は09年12月に導入されましたと。これはリーマン・ショック後に日本中が大変だったという中で、中小企業をどうするのかということで導入されたというふうに理解しております。

一方で、福島とか被災地が大変だったと。それに対しては別途、支援機構とかを設けて対応されたというふうに理解しておるのですけれども、被災地対応というのはもちろん大事だと思うのですけれども、それと日本全体を対象にする円滑化法というのは、ちょっと別の文脈なのかなというふうに思っているのですけれども、その辺を改めてどう整理したらいいのでしょうか。

答)

文脈は別でしょう、出発点が震災前ですから。円滑化法はですね。それは別でしょうけれども、被さっているところは同じですから、被災地は。そういう面では全く違うわけではないですよね。その効果をきちっと検証したいということだけですよね。

問)

とりわけ円滑化法の白紙で、改めて勉強、検証されたいというのは、特に被災地の動向を踏まえてということなのでしょうか。

答)

ええ、被災地です。私の頭にあるのはね。

問)

すみません、中小企業にとっては再延長も期待していいという理解でよろしいのでしょうか。

答)

いいえ、そういうことは一言も言っていません。延長するということとしたという自見さんのこの話は、私は、最終延長するということは、これは尊重します。ただ、効果がどうだったのかということをしっかり勉強する必要があるということです。

問)

そうすると、延長はしないけれども、効果は検証すると、そういう理解でよろしいのですか。

答)

勉強させてください。

問)

中小企業にとっては、多分「勉強させてください」というレベルではなくて、この法が更に延長するかどうかというのは非常に死活問題に関わる問題なので、ここははっきりさせておきたいのですけれども。

答)

ですから、被災地の深刻な事態が起こっていることは事実ですから、そのために二重ローン対策で色々な三つの省庁が出したわけですね。法案を作って、そして今対応しているわけですね。現実にね。二重ローン問題、やっていますよね。

問)

それは分かりますけれども、先ほど質問がありましたけれども、二重ローンの問題と円滑化法の問題は、また別の問題ですよね。今、円滑化法の問題について白紙に戻すというふうなご発言があったので、そこはどういう意味の「白紙」という意味なのか、ちょっと理解できないのですけれども。

答)

東日本の大震災と、そして福島の復興再生で、中小企業の人たちが苦しんでおられますよね、二重ローンも含めて。しかし、それが全く異質であると思っていないのですよ、我々自身は。ですから、それがあの被災地の中で、その二重ローンの対策の効果と現実と、それを整理して、そして今の円滑化法、これもしっかり整理して、検証して、勉強したいと、こういうことです。

問)

今のところは結構重要なことなので、きちっと理解したいなと思うのですけれども、要するに、再々延長の可能性はゼロという認識でいいのですか。自見さんの考えを尊重するというのは、そういう受止めでいいのでしょうか。

答)

ここに書いてある最終延長とすることとしたということは、尊重します。その上で、松下自身として、福島や東日本の震災による中小企業の人たちの実態と、そして、この今の法案のそれがどういうふうに効果的に働いて、そして効果を上げたかというところをしっかり勉強したいということです。

問)

検証されて、何に役立てるのですか。検証して何に使うのですか。

答)

お金の、投資したお金がきっちりと、その企業の再生に役立っているのか、あるいはさっきも言われたけれども、ゾンビみたいな感じになったのか、そういう実態を含めて、しっかりと勉強したいと、こういうことです。

問)

分かります。勉強したその結果を、何に反映させたいのですか。

答)

それは勉強して、そしてどういう実態かを知りたいと。それをしなければ、今ここでどうだということは言えません。

問)

聞き方を変えます。何のために検証するのですか。

答)

お金を投入したり、そして必要な対策をとったら、それがどういう効果があったのか、どういうふうに役割を果たしたのかという、そういうことはきちっと整理する必要があるのではないでしょうか。

よろしいですか。成長産業にきちっとしたお金が入っていくべきだと、それから雇用を新しく生むような分野にしっかりお金が入っていくべきだと、それはお金の使い方として、さっき言いました。そういうことで、本当に真に経営改善につながる支援策は何なのか、どういう対応策をとればいいのか、そういうことを勉強していくということです。

(以上)

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