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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣臨時閣議後記者会見の概要

(平成25年1月24日(木)18時41分~19時01分)

【冒頭発言】

平成25年度の予算編成の基本方針が閣議決定されましたけれども、予算編成作業の指針となる一番大事なものですので、財務省としては、本方針に基づいて平成25年度予算の編成に取り組んでまいるということになります。先程の閣議では、私の方から閣僚に対して予算編成に当たっては、歳出の無駄を最大限削減しつつ、中身を大胆に重点化していく旨お伝えして、各位のご理解とご協力をお願いしたところです。

【質疑応答】

問)

今の基本方針との絡みでもあるんですが、前回、大臣の会見の中で税収よりも国債発行額が下回るようにというような形で進めていきたいという話がありました。今日の基本方針も含めて、今の編成作業の進捗として税収と国債費の関係とか、地方交付税を含めた地方団体からは給与削減についてのところでは反発等もありますが、現在の編成作業の状況も含めてお聞かせください。

答)

基本方針として前回申し上げたように、自由民主党として選挙の最中からこの方針を言ってきましたので、基本的には、いわゆる公債発行額が税収を上回って歳入に充てられるということは避けたいという基本方針は今も変わっていません。ただ、それがどれくらいのところかと言えばなかなか厳しいところですので、我々としてはさらに削減しなくてはならないところもありますし、色々なところで、まだ今どれぐらいまで出来上がっているかと言える段階ではありません。

問)

税制の方なんですが、与党の税制改正大綱が決定しました。その評価というか、大臣のご所見をお聞かせください。

答)

スタートしたのが1月7日だったかな、今日が1月24日、土・日を挟んで約2週間でここまで行けたということは、極めて多岐にわたる事項について短期間でこれだけよくまとめてもらったなと思って、その点に関しては私共としては感謝しています。これで編成が出来上がる当てになりましたので、期間的には極めて厳しいと思っていましたからよかったと思っています。

問)

今回の税制改正に関して、道路特定財源を復活させるということですが、麻生大臣が総理だった頃に一般財源化したものを特定財源化するということで、また不必要な道路工事が増えるのではないかというような懸念などが生じかねないんですけれども、それに関してはどうお考えになるでしょうか。

答)

何新聞かに書いてあったんだそうですが、それによって随分多くの人が躍られたんだと思いますけれども。これは党の話ですので、政府の立場で言う話ではありませんけれども、少なくとも私として道路特定財源を復活させるなんていう気は全くありません。

問)

今と同じ点なんですけれども、まとまった税制改正大綱の中の自動車重量税についての文言の中で、重量税を道路の維持管理・更新等のための財源と位置付けると書いてあって、その方向で検討するというふうに書いていて、結局自民党の政調でもめて、その後の総務会では野田税調会長がこれは一般財源であるという説明をしておさめたという経緯があるんですけれども、同じような点なんですが、麻生大臣が総理の時に一般財源というところまでこぎ着けて、にもかかわらずこういった動きが出て、普通に読めばこれは特定財源としか読めないと思うんですけれども、こういった動きが出て、自民党内でこれが論議になって、そういう揺り戻しというような動きが出てきていることについてはどういうふうに感じられますか。

答)

僕はその現場にいないので、新聞の記事だけ読んで発言するというのは極めて愚かだし、危ないし、後であなたがあんなことを言ったじゃないですか、あの新聞だけ書いてあったからなんて言ったって全然理由にならないからね、そこでどつぼにはまろうなんて話は各政治家、皆1回や2回味わされてきていますので、それにまたひっかかるほど愚かでもないので、今の発言というのに関しては極めて限定的にしか答えられないと思うんですが、少なくとも今回自動車重量税というのは残すんでしょう、基本的には。自動車重量税を残す以上、何のために残すのか。自動車重量税というのは国税として取るわけですから、その意味で税制の大綱の記述として自動車重量税を課税する根拠というものを示しておかないとおかしなことになるんだとは思っているんですけれども、そこの意味でそれが重量税というような固定的なものになって、それが一定額常に道路に回るというようなこととは違いますから、特定財源というようなもの、そういう種類のものじゃありませんので、一般財源としか考えられないんだと思いますけどね。

問)

臨時閣議の前に行われた諮問会議の関連でお伺いしたいんですけれども、共同声明を受けまして、初めて金融政策と物価動向等についての集中審議が行われたかと思うのですが、諮問会議の場での大臣のご発言等々教えていただければ、お願い出来ないでしょうか。

答)

教えられない。そのうち新聞に出ますから大丈夫ですよ。

問)

先程の点で、確かに野田税調会長も税を取る根拠を示したんだというふうにおっしゃっていましたけれども、そういう整理になったようなので。ただ、文言には財源として位置付けるとはっきり書いてあって、かつて重量税を特定財源にした福田赳夫大蔵大臣の答弁でもやはり道路建設の財源としてという同じような言葉を使っていて、そこから考えるといくら根拠だと言っても財源とはっきり書かれていると非常にわかりにくいと思うんですが。

答)

少なくともこっちが特定財源にするつもりはありませんし、道路特定財源というの、そういったものにするつもりが少なくとも全くありません。党の税調としてもないとはっきり言っておられるので、その種の動きが出てくると言うけれども、極めて動きが出てきてもそれが輪として広がっていく状況というのは、ちょっと悪いけれども厳しいんじゃないでしょうか。そういう風潮じゃないと思うけれどね。

問)

今日閣議決定した予算編成の基本方針にも地方公務員の給与を国家公務員並みに削減して、地方交付税を算定するという件が入っていますけれども、これから予算編成は大詰めを迎えるかと思うんですが、地方自治体の方からは、かなり地方交付税の削減について反発の声も上がっているんですけれども、現在の調整状況と、今後、新藤総務大臣との折衝なども行われるかと思うんですが、今の大臣のお考えを教えてください。

答)

7.8%の削減というのは結構前に決まっているのであって、何も昨日今日決まった話でも何でもない。この1年前、何をやっていたんだね。とっくの昔に決まってからこれまでの間、何もせずにずっとこのままで放っておいたわけでしょう。急に言われても困りますなんて言われて、ちょっと待てと、そんなに急ですかと言われればそんな急でもない。1年ぐらい前からの話じゃないんですかというのが1点。それから国家公務員の方は、既に削減が終わっていて、ラスパイレス指数で言えば地方公務員が106とか107とかというのがある。傍ら既にやっている、きちっと対応しているところが、例えば北海道、岡山、鳥取なんていうのも既にラスパイレスは100切っていますよ。そういったところはちゃんとやっている。ちゃんとやっていないのは110にもなっています、それ以上になっていますというので、これをこのまま続けさせてくださいって言って、そのお金は誰が払うんですかといったら、ほかの県の人達がその人達のために税金で払いますというのが世間で通ると思うかね、知事として。大変ですよって、大変なのはみんな国家公務員だって大変だったんですって。地方公務員のおたくの県だけが大変だったんじゃない。みんな大変なことをこの1年やってきたんですよ。だから自分のところだけなんていうような被害者意識を表に出されて言う話は、一地方のローカル新聞のうちだけとかというのならともかく、まして全国紙はちょっとおかしいと思わないといかんのだと思いますけどね、僕は。だってみんなその分だけ、ほかの人達の税金で納めるんですよ。それは、ちょっと通んない話だと思いますけどね。その地方の県で補填されるというなら、それはそれなりのお考えなのかもしれませんけど、なかなか県民の納得を得られる話ですかねと、私はそう思いますけどね。従ってこれは私共としては、是非やっていただかなければならないものだと思っています。

問)

今の関連ですけれども、その件について総務大臣の方から防災とか地域が元気になるような新たなお金を国が出してくれないかというような話が出ているんですが、それについていかがでしょうか。

答)

現実問題、地方にしかるべきアイデアがあればいいんですよ。そういった地方元気交付税とか色々な、それはネーミングだけじゃ駄目よ、実際そういうものになるような話のものが出てくるのであれば、それはそれなりに考えられます、間違いなく。ただ、地方にと言ったって具体案じゃないから、そういう具体案が出されるんだったら検討する用意があります。

問)

今回の税制改正全体について伺いたいんですけれども、来年度の税制改正がまとまって、政権としてどういう狙いなのか、特に増減収の規模がどういう形になっていて、特に企業減税がどれぐらいなのかという、ちょっと規模感もざっくりでいいので押さえていただいた上で、どういう狙いの税制改正なのかというのを教えていただけますでしょうか。

答)

規模感まで、そこまで言えるほどの段階じゃないんだけれども、よく見たら東証一部上場企業の43%というのは既に無借金経営なんですよね。簡単に言えば企業はこの15年かな、97年の金融危機以来が一番分かりやすい境目かと思うけれども、企業が利益の最大化をやめて、債務の最小化を図るというのをずっとやり続けてきた結果、借入金の返済を売り上げより優先しました結果、今言ったような体質になって、自己資本比率は極めて高い内容のものに日本の会社は化けた。変貌した。15年前じゃ考えられませんよね。だからそういったようなものに大きく変貌したんだと思いますが、傍らその変貌した間に貯めた金は、本来だったら配当に回すか、設備投資に回すか、もしくは従業員の給与に回すか、労働分配率という、この3つのうちどれかに化けずに、会社の内部留保だけに変わっていった。企業として見ればまたぞろ貸し渋りとか貸し剥がしとかというような痛い目に遭うのは嫌だから、企業は全然金利がつかないような金であっても内部でじっと抱えてきた。それに対して、企業に対して組合はもっと給料を上げろとも言わず、株主としてももっと設備投資をしろとも言わず、配当しろとも言わず、ずっと来ちゃったんだと思いますね、15年間。貯まり貯まって43%は無借金ということになった。無借金が決して悪いなんて言っているんじゃないんですよ。問題は、その金が回らないところが問題なんですね。個人も給料が全然伸びないにもかかわらず貯金がどんどん増える。また金利なんてほとんどつかないんだから。それでいながらどんどん増える。企業は金を持っているから借りに行かない。そうすると金融業としては基本的に成り立たない状況になってくるところまで、この十数年間で内容は変貌しちゃったんだと思いますね。従ってやっぱり今回我々としては、借金をしろなんていうようなことはないわけなのであって、借金していないのは決して悪いわけじゃありませんから。ただ、我々としては今のこの金が貯まりに貯まって、じっとして、国で言えば対外純資産世界一とか、個人金融資産世界一とか、金はいっぱいあるんだけれども、その金がただ生かされないでそこにじっとしているという状態は甚だ不健全な形なのであって、これが回らないといかんということになっているんだと思います。回るようにしてもらうために政府としては、今大分前提だけしゃべっているけれども、この前提が分かっていない人が断然多いから、これを動かすために政府としては、今金利が安い、土地が安い、工事費が安い、工期が短いというのに、企業はいわゆる設備投資しないというように、企業マインドが完全に冷え込んでいるわけですから、この人達に設備投資を喚起するためには、今資本を投下して設備投資を新たにしてくれるんだったら償却年度を縮めます、早めます、研究設備投資は20%までと言ったけれども30%までにしますとか、いわゆる企業が設備投資をします、研究投資をします、そういったようなものに税制をやる。また給料を増やす、また職員の採用を増やすということをしてくれた会社に対して税制上の優遇措置をしますというようなことを、細かいことは色々ありますけれども、そういったことをずっとやっていっているんですが、これが外にマスコミや色々なことを通じて伝わり、それが外から自分の目で見た時に、これならやるなら今かなと思うような気になってくれるかなんですよ。そこが残念ながら人の気持ちですから、なかなか外から見ただけじゃ分からんところなので、霞が関なんかに座っていたって全然分かりませんから、そういったところは色々な形でどう出てくるかというのが我々今回の税制改正で一番の気にかけたところ。よくまだやるべきこと、やれることはほとんどやったと思っていますけれども、さらにと言われても、どこをすれば企業は設備投資をする気になるのかと言えば、景気対策というもので景気がよくなっていくとなれば初めて、これは人を雇っておかないと、そのためには設備投資だ何とかということになりますから、そういったようなものにインセンティブなり影響が出れば今回の税制改正は当たりだということになるんだなと思っているんです。そこのところまでどう影響が出てくるかというのはいま一つよく読めないんですけれども、少なくとも今のところ、少なくとも安倍内閣になって、まだ何もしていないんだからね。国会も開いていないんだから。法案1つ通っていないんだから。それでいながらどんどん株が1万何百円になって、2割以上上がって、ドルも対円交換レートでいきなり90円になってみたりしているわけでしょう。1割以上上がっている。だからそうなってくると、何もしなくても上がるわけだからね、しても上がるかどうか分からない、ここが難しいところなんですよね、人間の。だからちょっと今の段階でどれくらいの、ざくっとした数字を言ってみろと言われてもちょっとなかなか言えないという背景です。

(以上)

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