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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成25年1月25日(金)11時42分~11時56分)

【冒頭発言】

日米租税条約につきましては、昨年5月、日米の間で一部修正改正について基本合意に達していたところですが、本日、米国時間24日、ワシントンDCにて署名に至りましたので発表いたします。今回の改正は平成16年に行われた全面改正以来9年ぶりの改正ということになるものです。このたびの改正内容は投資所得に対する源泉地国の課税をさらに減免するとともに、両国租税当局間の相互協議手続きにおける仲裁制度の導入のほか、相手国の租税の徴収を相互に支援する徴収共助制度の拡充を図るものです。簡単に言えば、こっちの会社の金を持って向こうでというのを、向こうの国税が共同して作業してくれるということです。これにより日米両国間の投資及び経済交流を一層促進し、また国際的な脱税及び租税回避の防止に資することを期待しております。

【質疑応答】

問)

日本の金融緩和が為替に与える影響について、ドイツのメルケル首相がダボス会議で懸念を持って見ていると発言されたそうです。これについて大臣のご所見をお伺いしたいのと、来月にはG20も予定されていると思いますけれども、こうした中で日本の立場をどのように説明されていくことになるんでしょうか。

答)

先般の日銀との共同声明のことを言っているんだろうと思いますけれども、本人の話を直接聞いていないのでよく分かりませんけれども、少なくともあの日銀との共同声明というのが元なのであれば、あの金融緩和はあくまでもデフレから早期に日本が脱却するためにというのが目的なのであって、為替操作という批判は全く当たらんと思いますね。それしかほかに言いようがないので、いずれにしても最近の為替の動きというのは確かに去年、選挙の前、解散の前の時に79円かな、それが今日90円、約1カ月、2カ月ぐらいの間に約1割少々上がっているということなんだと思いますけれども、いずれもその前のG20を最初にやったリーマンの時に110円ぐらいだったんだからね、あの時のことは。だからその意からいくと、これまでの一方的に行き過ぎた円高というものが明らかに修正の動きにされつつある局面なんだと、私はそう理解していますけどね。

問)

金融庁の関連で、今日、金融審議会が開かれまして、リーマン・ショック後の金融秩序の混乱を反省して新しい制度を作ろうと。今度の国会に法案を提出することになると思うんですけれども、麻生大臣はリーマン・ショックの時の総理であられたと思うんですが、その時のことも踏まえてご感想をお聞かせ願いたいと思います。

答)

あの時は混乱していましたから、ほとんどみんな頭に血が上っていて、よくみんなカーッとなっている状況だったので、落ち着かせるために必要なのは、一番はIMFと思いましたので、日本からIMFに1,000億ドルを融資します、それによって97年のような金融危機がアジアに影響を与えるというようなことにならないような配慮というものをしてもらわないと、そこの元に金がないということになったら取付けとかというふうな話になりかねませんので、そういった意味では、きちんとお金がそこに1,000億ドルあれば、あるんだなと思えば急にあらかじめ借りておこうなんていうようなことをしなくて済みますのでということで、特にアジアに対しては配慮してもらいたい、その上でというのをやったんですが、結果的にあの時はアジアに取りにいくより東ヨーロッパの国々が主にそこを借りたという経緯がこの3年間ぐらいだったと、僕はそう思うんですけれども。いずれにしても、それ以後、こういったような、あの時の約束は、通貨は一方的に切り下げない、関税障壁は作らない、そしてブロック経済をやらない、この主な3つを合意したので、こういうような金融に限らず保険等々の何だかんだというようなことを国際的なシステムとしてきちんとやろうというような話は、リーマン・ショックの話が落ち着いた後ぐらいで、2年ぐらい前からじゃない、あれは。だから、俺の時に直接それが出たというふうに思っているんだったら、記憶が違うと思う。

問)

13年度の予算編成が大詰めを迎えておりますが、新規国債発行額を税収以下にと大臣はおっしゃってきていると思うんですけれども、改めて財政規律の観点から予算編成の考えをお願いします。

答)

新規国債発行が税収を上回るような形での予算編成というのは出来るだけ避けたい、避けるべきと。しかし、民主党内閣でずっとその状態が続いていましたので、それは選挙期間中、安倍総裁の方からは色々指摘のあったところだと思いますので、それに応えてとにかく下回らないかんということを念頭に置いて今予算編成をしている最中というようにご理解いただければと思います。

問)

今の関連で、来年度予算編成で総理から何か指示なり出ていないか、またこれから出る可能性があるのかどうか。

答)

補正、本予算、15カ月で組むので、補正はご存じのような形でもう既にあらかた出来上がりつつありますので、本予算に入るに当たっては補正と違ってなるべく財政規律を自由民主党の考えたあれがあるので、きちんとしたものを踏まえてやってもらいたいという話は最初にありました。それ以後改めてもう1回出たことはないと思いますが、大体その方向で動いていることだけは申し上げております。

問)

これから新規国債発行の額ですとか、歳出はこれぐらいにしてほしいとか、何かそういう話は。

答)

具体的な額まで言われることはないと思います。

問)

先程ブロック経済などにしないというような立場を堅持するという点についてご指摘いただきましたが、TPPについてはこれまで慎重な姿勢というのが感じられて、国は開きたくないけれども円安にもつながるような金融緩和は推進すると自国中心主義のようにも見られかねないというふうに思うんですが、為替についても批判をきちんと避けるために、G20の原則というのを日本は堅持していく、そういう姿勢をきちんと示していく必要があると思うんですが、改めて自由貿易の原則、特に国を開いていく、その点についてのコミットメントというんでしょうか、お伺い出来ますでしょうか。

答)

基本的に国に自由貿易経済体制というのは戦後、ブレトン・ウッズから始まって今日に至るまでずっと続いてきた大きな流れなんだと思いますが、その流れの中にあって、急に石油の値段が上がってみたり、色々な大きな事件が幾つかあったんですが、そのたびにみんなで協力し合って、基本として自由主義経済体制、開かれた貿易体制というのをこれまで少なくとも先進国は維持する努力をしてきた。そこに加えてロシアに変わり、中国が社会主義的市場経済らしきものに形を変えて入ってきた等々、さらに色々なものが加速された部分というのがあるんだと思いますが、それが急激に行ったためにかなり色々な意味で歪が出たことは確かだと思いますね。少なくとも中国から10億、東ヨーロッパから数億の極めて質の高い労働力が安く自由主義経済市場に入ってきたということが、デフレを加速させた部分というのは否めない事実だと思いますけれども、そういうところはあるにしても、やっぱり自由主義貿易体制というのは堅持されてしかるべきものだと思っていますね。ただし、それにとって為替というのは自由になるべく動けるようにしておかないと、片方がやたらめたらと勝ち過ぎた場合は為替が上がって、いわゆるそういったものが出来にくくなるように動いてバランスするように出来ていますから、そういう体制というのが原則通りにはなかなかいかない部分がありますけれども、そういったものが維持されるように考えるのは当然なんだと、私はそう思いますけどね。

問)

昨日貿易統計が発表されまして、過去最大の赤字ということになりました。その点について、円高であったことの影響であるのか、それとも構造的な問題だとご認識されているのか教えてください。

答)

貿易収支の赤が史上最大6兆円という話ですけれども、一番大きなところは、間違いなく輸出が対外、ヨーロッパとか中国に向かって減ったという部分は間違いなくあるんだと思いますが、それよりむしろ原子力発電が止まったために石油等々、ガス等々を急に動かすことによってスポット買いで何兆買ったんですか、今ちょっと経産省の資料を持っていないので知らないけれども、4兆や5兆突っ込んで買っていますから、その分急に今までよりエネルギーコストが高くなった部分というのが一番大きな影響を与えたんじゃないんですかね。ちょっと経産省の統計を持っていないので、いい加減なことは言えませんけれども、そっちの方が大きかったと思っていますけどね。電力会社が1日2億とか何億とかというほどの差がついているそうですから、やっぱりそういった意味では、エネルギーコストの急激な値上がりというものは貿易収支に与えた影響は極めて大きかったかなと思います。

(以上)

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