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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣臨時閣議後記者会見の概要

(平成25年1月29日(火)17時09分~17時49分)

【冒頭発言】

先ほどの臨時閣議において、平成25年度予算の概算決定をしております。平成25年度予算は、いわゆる15ケ月予算の考え方で編成したのですが、予算の中身を見直して重点化をし、公債発行額をできる限り抑制するという考え方で編成をさせていただき、4年ぶりに税収が公債金を上回る状態を回復させることができたと思っております。平成25年度の税制改正につきまして、併せて大綱を閣議決定しております。成長と富の創出の好循環の実現に向けて税制上の手当てや社会保障・税一体改革を着実に実施するための所得税、相続税等の手当てなどを講じております。

また、これは朝の閣議において、新しい税制調査会の設置のための政令を閣議決定しております。併せて、前政権下で置かれておりました税制調査会の根拠規定を廃止しております。これによって、政府における税制改正の検討の枠組みを整備し、明確化したということであります。

【質疑応答】

問)

今回の予算案について大臣の評価、特に民主党政権との違いについてどう考えておられるかをお聞かせください。

答)

まずは1月末にできるかねと思っていましたから、物理的に。その意味では1月末にでき上がったということはよかったなと思っていた点と、もう1点は選挙の時から、もしくはその前からいわゆる税収より公債金の方が多い、早い話が実入りより借金の方が多いという予算編成の体制が3年続いていますから、これは是非税収の方が公債金よりは1円でも多いという形で、きちんと逆転をさせたいなと思っていたのですが、正直そんな自信があったわけではありませんでしたので、その2点については今回の予算編成においてよかったなと思っております。

民主党との違い、今のもそうですけれども、例えば地方交付税についてはいわゆる防災とか、地域の防災とか活性化とか、そういった対応を図りつつも地方公務員の給与というのが、いわゆるラスパイレス指数等々を考えてもということで、国家公務員並みに7.8%減というものを、給与の削減というものをお願いしております。これが反映できたというところが、民主党と違うところですかね。また、生活保護等々の話もいろいろご批判が前々から寄せられているところではありますけれども、いわゆる生活扶助基準とか、それから医療扶助の適正化、そして不正受給対策の強化等々を実施するということにしている点は民主党と違うところで、新しい政権になってからできたところかなという感じがします。

問)

歳出の圧縮の観点で、経済対策予備費、今年度当初で9,100億円を計上したものを今回は計上を見送ったということと、あと国債の積算金利を、2%だったのを1.8%にしたことで国債費の伸びを圧縮できた面が事実上大きかったと思うのですけれども、その点についてはどう考えておられますか。

答)

まず予備費を計上しなかったのかというのは、これはご記憶かと思いますけれども、この経済予備費というのは、麻生内閣で最初にスタートしたものです。それまでありませんでしたから。あの時、リーマンブラザーズの時でこういった予算を編成したのだと記憶しますが、その時と違って今回は24年度の補正予算と一体化しているという、15ケ月予算で編成しているという点が1点、それに伴って経済の押し上げ対策というのはかなり十分にできていると、私共はそう思っています。いわゆる経済の危機対応というようなものに関しては、今回は対応を見送ったということなのであって、一方でいわゆる通常の予備費というのは3,500億円、そのまま通常どおり計上してありますし、また復興特会という予備費につきましても、これは4,000億のものを6,000億まで増やしていますので、そういった意味ではきちんと対応していると思っています。

もう1つ、金利の話ですが、今の金利というのは、去年までの金利は予算編成時の平均金利が大体1.2%ぐらいでしたから2%ということになったので、それが大体0.8%をたして約2%にしてある。大体0.8ぐらいが年度途中で金利が変わって一番大きくはねた時で0.8%という過去の経験則がありますので、大体0.8%ぐらいのものだと言われているのですけれども、今回、今の足元の金利は1.0%ぐらいか、もしくはそれ以下ぐらいのところですから、そういった意味では今回0.8%の上振れの可能性を見込むと1.8%になるという計算です。金利で無理して数字を合わせたというわけではないと思っています。

問)

今後のことですけれども、今回の15ケ月予算が一応でき上がったことで安倍政権が3本の矢として掲げている金融政策、財政政策、成長戦略の中で2つが出そろったことになると思うのですが、経済再生に向けて今後の取組みと大臣の意気込みをお聞かせください。

答)

一番大事なのはその3つの矢が仮にそろったとしても、景気の気の部分というのがちゃんとそれに対応していくような動きになるかならないかというのが重要。これはただ予算をつけても動くことはないということ。これまで金利が0%であったにもかかわらず、民間も個人も企業も全部借入金の返済をずっと優先してきた。今のアメリカもそうですけれども、そういった金利がゼロでも借入金を返済するという状況が続くというのでは、いわゆる企業のマインド、もしくは個人の消費のマインドが冷えているという状況であり、いくら笛を吹いても鐘をたたいても動かない。これは民間の設備投資と個人消費が増えないことを意味していますので、そういった意味ではこういった政策が仮に全部動き始めても、その気の部分が動かなければ全然、絵に描いた餅で終わってしまう可能性というのは決して否定できないものだと思っていました。

幸いにして今回の場合は、野田内閣が解散を明後日しますと言われた11月14日の前の日、11月13日の株価は8,600円とかそんなものだったと記憶しますし、対ドル交換レートは78円か79円だったと思いますが、それが少なくとも選挙が終わってしばらくたって、今かれこれ2カ月ぐらいたつのですが、現状としては、株価は1万700、800円と上がっていき、対ドル交換レートが89円、90円とかというレベルに変わってきているというのは、多分民間の気の部分が先に先行している部分というのがあります。むしろこの部分は動いているのにきっちりそれに応えるような政策、もしくは税制というのがきちんと動くようにしていかないかんというところが大事なところであって、この予算編成が終わっておりますので、税制改正を含め、これが実施できる方向にきちんと行くためにはこの法案が通らないと、予算が通らないと実施ができません。一日も早くこの予算が、ただでさえ遅れてスタートしておりますので、これが早く実施に移せるようなものにしていくというのが一番大事なところかなと思っています。

問)

今日をもって大臣が今おっしゃいました15ケ月予算が固まったわけですけれども、これを受けて経済がうまく乗れば税収が増えるし、そうでなければまたやっぱり借金の重荷が増えてくると思うのですが、改めて財政再建の国際公約の達成に向けたお考えと、新しい財政フレームをいつ頃どのような形でお作りになるかということを改めてお願いいたします。

答)

財政に関しては、少なくとも本年度の予算と補正予算と2つ分けていただくと、補正の方は緊急経済対策というのを主力に置いて進めましたけれども、本予算の方に関してはいわゆるきちんとした引き締まったものにするようにという安倍総理の方の指示もありましたので、我々としてはいわゆる特例公債をどんどんというような形で、今までと同じような税収より特例公債の額の方が大きいというようなことはしないということで、少なくとも今までに比べて1兆何千億違ってきています。我々としては、きちんとした中期財政政策というもののフレームをある程度頭に置きながらこの編成をさせていただいたと思っています。少なくともこういったことについては、いわゆるプライマリーバランスというものをきちんとしなければいけないということで、この時期については7月か8月か、ちょっとそれまで時間がかかるかもしれませんけれども、年央までにこういったような新しいものをきちんと考え出していかなければいけないと思っております。ここはすごく大事なところなのであって、いわゆるやりっ放しみたいな感じで景気だけよくなったというだけじゃ、いま一つきちんとした説得力を持ち得ないところだと思っています。経済をきちんと刺激しつつもというところが一番難しいところだったかな、そんな感じがしますけれども。

問)

大臣はずっと経済がよくなるためには個人消費がよくならなければいけないということで、賃金のアップということもおっしゃっているのですけれども、今日労使のトップ会談もありまして春闘が始まりました。政権としてどのように、経営側はとても態度が硬いのですけれども、何か訴えていくというふうなことをお考えでしょうか。

答)

経営者としては現実問題、自分で会社を預かっておられる立場の方にとって見れば、やっぱり労働分配率というものをある程度抑えてこられた。この20年間、労働分配率というのは昔に比べて下がっていますよ。しかし、じゃあ利益は出ているかと言えば、会社の利益は出ている。その利益はじゃあ配当に回しているか。配当に回しているような傾向はそんなにない。給与に回っているか、そこもない。そして設備投資に回っているか、もちろんない。じゃあ利益はどこに行っているのですかといったら、会社の内部留保になっているわけです。それが結果として東証上場企業の43%は無借金経営。かつてじゃ考えられないぐらい自己資本比率が高くなっているという実態は、これは間違いなく企業が内部留保をしておられる。内部留保して金利がつくかといえば、ほとんど今金利がつかないのに内部留保だけ増やしておられて、何となく企業マインドがというところになっていますから、そのマインドが動き出すようにするためには何となくきっかけが要る。そのために今投資をしていただければ税制がとか、いろいろなそういった話を我々はしていかなければいけないところなのだと思って、今税制やら何やらいろいろ改革をしたり、会社の中のお金がじっと寝ているだけではどうにもなりませんのでということで、今そういった方向に動いてもらえればいいなと私は思っているのですが、これはなかなか、この20年間ずっと冷えていますからね。特に海外なんかも今からしんどいはずですよ、これは。いわゆるバランスシート・リセッションという言葉が使われるようになりましたけれども、日本の場合は企業が債務超過という状況を脱したのが2005年ぐらいだったのですが、これからという時にいきなりリーマンブラザーズが来たものですから、もう1回また冷えたという形になっていますので、何となく気分がその方向に向けるようにするというのはものすごく我々としては気になっているところなのですけれども、今円安が何とかという話が一応そちらの方にプラスに働いてくればなとは思っています。

問)

この予算で1つは景気の押し上げ効果を求めて公共事業を積み増すというところがあるのと、もう1つ、重点分野の中に成長による富の創出というのがあると思うのですが、この成長による富の創出にはどれくらいの予算を割いているのでしょうか。

答)

これはトータルでどれくらいになってくるかというと、各省庁で、経産省でやったり、いろいろな部分がやっているので、ちょっと今把握していません。

問)

昨日も聞いたのですが、あまりよく分からなかったのですけれども、オーバーラップしているというような説明も結構あって。

答)

かなり総務省と経産省とでオーバーラップしていたり、公共事業が国交省や他の省庁とオーバーラップしていたりして、いろいろしていますので、ちょっと簡単には出ないかもしれませんね。

問)

実際の中身を見るとあまり目新しいものがなくて、やや成長戦略としては力不足かなというような印象も受けるのですけれども、大臣はどういうふうにとらえられていますか。

答)

かつて経済産業省が産業政策として、例えば繊維、鉄鋼、造船、家電、自動車というものに産業政策をして、当時金がなかった時代、大蔵省がいわゆる国策金融を使って傾斜配分して、そして今言ったような産業をいずれも世界一の産業に育てていったという歴史があるのですけれども、今どういった産業が伸びるのかということで、例えばロボットとかいろいろなものが考えられると思います。そういったものに、どれが伸びてくるかというのはいま一つ、役人の方が分かっているはずはないのであって、こんな話を役人なんかに聞いたら間違えるに決まっていますから。これは広く民間から聞かなければいけないというところだと思いますので。経済産業省も今、メディア・コンテンツ課とかいろいろな、やっとこさ始めたところですから、漫画だアニメだと言った時にはほとんど馬鹿にされて終わりましたから、今頃になったら遅かったみたいなことを言うので、世の中というのはそんなもんですよ。だからあの時代やっておけば今頃よかったのにとかと言ってくる人がいっぱいおられますけれども、あの当時は挙げて反対ですから。国立漫画喫茶とかボロカスたたかれました。だけど時代は変わってきて、どんなものが伸びてくるか、本当にこのコンテンツというのは恐ろしい可能性を秘めているのですけれども、何となくみんなバラバラで、どこが何しているのか全然分からないし、何となくアニメーションの版権やら何やらは、すごく簡単にポイと、あるキャラクターが他のキャラクターに化けてみたりいろいろしていますけれども、ああいったのは、我々から見たら、何て簡単にそんなに安く売ったわけって聞きたくなりますが、当時はそんなものだったのでしょうね、きっと。でも今になって、何となく今少しずつ理解が広まりつつあるかなと思っていますけれども。いずれにしてもいろいろなものが出てくる中で、例えばロボットとか、LEDなんかもそうなのかもしれませんね。こういったものもこれから伸びてくる。今、これらは技術的には日本が一番だそうですから、これをもっと伸ばしていくようなものに支援してやるというようなことが今の私らのレベルで分かるところ。現実はもっとシーズ、種はもっとあるのだと思いますけどね。そこはちょっと見ていかなければいけないところだと思います。

問)

民間からいろいろ聞いてみたいというお話がありましたが、成長戦略については6月策定だと思いますけれども、それに向けてもうちょっと本格化しなければいけないということでしょうか。

答)

そう思いますね。

問)

昨日の話ですけれども、名目GDPの成長が2.7%と見通したと報道がありましたが、これは見方によって2.7%成長するのであれば来年消費税を上げてもいいだろうという判断になりかねないと思うのですけれども、この辺りの見通しがどうかということと、復興予算についてなんですけれども、地元では、例えば防潮堤を地元の政治家の皆さんは推進していますが、多くの住民が反対しているというような地域もあるのですけれども、この辺りのきめ細かい対応というのはどう考えていますでしょうか。

答)

2.7%の方に行けばというのは、それはかなり我々としてはそれなりの数値を詰めて2.7、実質経済成長率より名目率の方が上になりますというところまで一応数字としてははじき出しているのですけれども、この種のものが当たる、当たらないというのは常にある程度のリスクが伴いますので、確実に2.7というのが確約されているわけではないのはご存じのとおりです。したがって、その方向に近づけるようにいろいろ経済政策やら何やら、いろいろ我々としては支援をしていかなければいけないところだと思っています。

今言われた防潮堤の話等々は、これは常にこの種の話をする時にはついて回る話なので、昔にさかのぼって岩手県の村長さんが断固ここに防波堤を作ると山の上に防波堤を作って、それが今回一番大きく貢献したという話がありますけれども、あれは100年ぐらい前の話だそうですから、そういった意味ではなかなか地元の理解を得られるというのとは別の次元の話として、地震とか津波とかという極めて不確定要素の多いものに関してなかなかいろいろなご意見が寄せられるだろうなという感じはします。ただ、場所によっては今回あれがあったおかげで助かったというところが幾つもありますので、そういったものを見るとやっぱり、もしもう1回来たらということを考えたら理解が得られるのかなという感じはしますけれども、それは地元の首長さんというか、地元の自治体で地方の住民、そこにいる被害があり得べしところと直接話をしてもらわない限りは、これは我々としてそれ以上の話ができる立場にはないのですね。

問)

成長の2.7%の段階で消費税という見通しは、現在のところどう考えていますでしょうか。

答)

消費税というのは例の18条に書いてあるとおりなので、18条の状況を満たせるようなものにするためには、今年10月までの間に少なくともしかるべき数値というのが上がってくることを期待しているところはあります。確かに名目成長率が上がってくるというのは大きな要素の1つですから、そういった意味ではありますけれども、それが今の段階で出来る出来ないというのは、ちょっと今の段階ではイエスともノーとも言える段階にはありません。

問)

税制改正の関係で1点お伺いします。与党の税制改正大綱では自動車取得税の廃止とか軽減税率なんかが盛り込まれていたのですけれども、政府の閣議決定だと1章と3章は除外して閣議決定されました。これについて野党からは、国会で軽減税率を質問しても大臣は党が決めたことだと答弁を逃げるのではないかとか、そんな声も上がっているのですけれども、除外した理由とこういう声に対しての見解をお願いします。

答)

1年間計算違いしていますね。私達が決めたのは、25年度の税制をやっているのですよ。その話は26年度以降でしょう。党が決めたのは26年度以降の話ですから、今回とは関係あるはずないじゃないですか。1年勘違いしているのですよ。違いますか。

問)

ただ、基本的な考え方というところで与党は打ち出されていますし、軽減税率とか決めた後に議論するより、決める前に広く野党も含めて議論した方がよいのではないかと思うのですけれども。

答)

議論なさるのはいいことだと思いますよ。ただ、今回決定したのは25年度の税制改正ですから。今の話は26年度からの話ですから1年ずれていますよ、考え方が。何か勘違いしていると思いますね。

問)

今から12年前、森内閣で宮澤喜一大蔵大臣は大蔵原案の内示の後の記者会見で、私は大変な借金をした大蔵大臣として歴史に残るであろうと。それでもやはり日本経済の再生というのを急ぎたいというお話をされたことがあるのですけれども、12年たってみて、あまり状況として変わっていないような気もするのですが、大臣としては今回の予算案、後世から見てどのように評価されるか、あるいは評価されたいというふうにお考えなのか、その辺りをお聞かせください。

答)

宮澤さんが何て言われたか、あまり正確な記憶がないのでいい加減なことは言えないのですが、基本的に今回まで少なくとも日本の戦後、前にもしゃべったと思いますけれども、デフレーションというものによる不況というのを昭和20年この方やったことがないのですよ。初めて今回デフレーションによる不況というのが、正確には株の暴落が89年12月29日が最高値、だから90年から下がった。土地はまだ上がっていましたので、92年ぐらいから急激に土地が落ちて、それで一番落ち込んだのが97年、いわゆる先程言われた宮澤さんの時代に、97年に金融機関が軒並み、三洋証券だ、山一だ、北海道拓殖銀行だ、ばたばたつぶれたあの時代の話ですよ、今の話は。確かにその時代だったのですけれども、今考えてみてもあの頃もまだ我々はデフレーションという意識というのはほとんどなかったのだと思いますね。デフレーションというものの不況だということを言われ始めて何年かたちますけれども、しかしデフレーションの不況対策というのをやった経験者は日本にはいないのですよ。はっきり言って世界中にいないのですよ。したがって、我々は経験則に学べないということになると、これはもう歴史に学ぶ以外に方法がありませんから。歴史でいくとデフレーションによる不況というのをやったのは1930年代の犬飼毅内閣、斎藤実内閣、あれぐらいがいわゆるデフレーションによる不況というのを経験しているのですけれども、その時に何をやってどうしたかというのを我々は学ばねばならん。しかし、少なくともその案を丸々借用して、丸々まねてフランクリン・ルーズベルトという人は1933年、大統領選挙に当選していますけれども、名前だけはニューディールという名前をつけたのですけれども、その元の案は日本が作った案とそっくりですから。そしてあの時は間違いなく「ウォールストリート・ジャーナル」辺りには今次不況を日本が世界最初に脱出するに成功せりと当時の新聞に書かれるほどだったのですから、やっぱりあの故事に学ばねばならぬと、私はそう思っていましたので、今回も少なくとも予算というものを考えるに当たって、日銀がお金を刷ればお金が回るみたいなことを書いているむきがありましたけれども、そういったことではなくて、日銀の金融も緩和する、財政も出動する、経済産業省もいわゆる産業成長というものをやる、3つ同時にやるということをやらない限りはデフレーション不況からの脱出はできない、そう思っていましたので、その3つが一緒にできたというので、これがもし成功すれば意外と当たった政策だったと言われるかもしれませんね。ただ、これはある程度時間がかかりますから、特に先ほど聞かれましたけれども、労働分配率のところで一番最後に回ってくるのが給与ですから、給与まで回ってくるには時間がかかるんですよ、タイムラグがありますので。そういったところまで回ってくるまで少々時間が、どれぐらいずれるかというところが一番難しいところですけれども、円がこんなになったので、うちはおかげさんで利益が非常に大きく予想以上に出ました、この分はこれまで長く耐えてもらった社員の給与に回したいと思うとはっきり言い切る財界の偉い方もいらっしゃいますので、そういった方達が出てこられると、じゃあうちもということになれば、それはそれなりにいいことだと思っていますけれども、少々時間がかかると思いますので、ここは何といっても頑張らなきゃいかんのであって、金融政策だけでデフレーション不況を脱却することはできない。財政も要りますということで、何となくここのところアメリカもそういうことを言い始めるようになりましたけれども、ついこの間まで日本のことはボロカス言っていましたから、その意味では随分変わってきた。現実というのが少し分かってきたかなという感じがしないでもありませんけれども、歴史がどう評価するか、それは死んでからの話だね、ちょいと分からんな、そこのところは。

問)

今回の予算92.6兆円で、この数字で何か大臣として語呂合わせを考えたりしていますでしょうか。もう1点、この予算を大臣として何予算と名付けますでしょうか。

答)

全然興味がないから、そういうのはそちらが付ける話で、こちらがこういうふうに付けましたなんていう趣味ないから、誰か考えてもらってくれ。

問)

今回、国債整理基金の残高10兆円から3兆円に減らされたのですけれども、これまで財務省は10兆円ないと万が一のシステムリスクには対応できないとして、国会でもこの10兆円の是非についてはこれまで議論されてきたんですけれども、今回3兆円に減額を決断された狙いについて教えてください。

答)

日本銀行との間で協議をしまして、日銀との間で、こういうのをオペレーショナルリスクと言うのですけれども、オペレーショナルリスクに対して日銀から借り入れられるという話が出来ましたので、だったら10兆円持っておく必要はないということになったというのがその背景です。基本的にはそれが一番大きな理由です。

問)

予算フレームの話で、税収の方では名実逆転が解消するという成長を見込んで、インフレを見込んでいる一方で、歳出の方では国債費の積算金利を下げていて半ばデフレを見込んでいるような、普通インフレを予測する場合には金利が上がるというのが定石ですから、そこからするとこのフレーム自体が自己矛盾を起こしているのではないかと思うのですけれども、昨日のレクであったんですが、0.2上げて去年と同じ2.0%だったとすると3,000億円増えて、もしそれが乗っていったとすると今政権が言っている税収と新規国債の逆転という話がまた逆になって、逆転できなかったということにもなると思うんですが、その辺、私は矛盾があると思うのですけれども、どうお考えでしょうか。

答)

数字としては言うとおりそういうことになるのですけれども、これは別に数字の語呂合わせをしたわけでも何でもなくて、最近の金利というのは1年前の時までは1.2%、そんな程度だったものが最近はずっと1.0%ですから、これに0.8%を足すというのは、大体、通常0.8%ぐらいのアローワンスを見ているということになっていますので、だから1.8%にしたというだけの話なのであって、基本的に数字を無理してそれに合わせたというようなことをしたつもりではないのです。

問)

政府税調を立ち上げるということですが、設置ということですが、今回与党の方でほとんど決まったような形になるかと思うのですけれども、今後与党の税調と政府の税調とどのような役割分担みたいなことを考えておられるか。

答)

今までもそうなんですが、政府税調というのは主に学識経験者とか学者とか、そういったいろいろな方々が中期的・長期的に財政のプロとして、そういった人達が主にやっておられるので、かなり我々党にいますとどうしたって現場の話になりますので、そうではなくてもっと大所高所からとか、そういった話と現場の話とうまくすり合わせてこれまでもやってきましたので、今後ともそういったきちんとした見識、今の世の中の流れがどうとか、全体的な流れを見ながら大所高所からご意見を拝聴できる方と、やっぱり現場でずっとやってきている人達の意見と両方すり合わせてあげないと、一方的なところだけやると間違えることになりますので、そこらのところは今までもそうだったのですが、今後ともそういったことできちんと双方ですり合わせて事を決めていかなければいけないものだと思っています。

問)

今回の13年度予算編成は財政規律にも目配りされて、歳出総額も国債発行額も前年度を下回るスリムな形になっているとは思うのですけれども、15ケ月予算という形で見た場合に果たしてどうなのだろうかという声もあると思うのですが、大臣としては今回財政規律はしっかり守られたというふうにお考えでしょうか。

答)

物の考え方ですから幾らでも、そうした意見というのは出そうと思えば出せますから、ご意見としてはいろいろな意見があるのだと思っていますよ。だけど基本的には、平成25年度の予算でいくと我々の考え方からいえば、間違いなく先ほどの質問に対して答えたことと同じ答えで、基本的に枠をきちんとしたという点に関しては今までと比べてみても間違いなく数字としてしぼったものに作り上げることができた。15ケ月予算になったのは、もともと選挙がこういった形になりましたので、ゼロから始めて、今から補正なしでやっていたら少なくとも、1-3月はもちろんのことですけれども、4-6月でかなりのものが経済としては厳しい状況になったというのははっきりしていると思いますね。だから補正予算を組まずにやるならともかく、補正を組めばそうなるのは当たり前の話なのであって、目先の予算が何月に通るのか、正確なことは分かりませんから、5月の連休前に上がるか上がらんか分からん状態ですから、少なくとも暫定予算を最低4月は組まないかん。5月も下手すれば組まねばならんという状況になってくると、その分だけあらかじめ補正を組んでおかない限りは、4-6月で大事な時にいきなり4月、5月で落ち込むという状況になるというのは、経済を運営する立場からいったら断固避けねばならんということですから。当然のこととして補正予算というものは景気というものを第一に主眼に置きましたということで、本予算については先程申し上げたとおりです。

問)

税制の関係ですけれども、今回の決定も党に一元化ということで野田税調会長を中心として党税調の方で決められたと思います。一方、これが閣法として国会に上がってきた時は、答弁されるのは基本的に麻生大臣が中心になられると思います。必ずしも麻生大臣自身がかかわって決めたことではないことだと思うのですが、それを麻生大臣の方が責任を持って答弁するという現実について、どういうふうに率直に考えておられるか伺えればと思います。

答)

今回は物理的に時間がありませんでしたから、我々としては、政府決定は閣議決定をもってそれを政府という意見に統一してありますので、我々は最終的にそれを政府の案として提出している以上、財務大臣としてそれから逃げる、自分の責任じゃないみたいなことを言うつもりはありませんし、そういう立場にもないと思っています。

問)

予算編成をする上で野党を経験されたというのが何か影響を与えた部分というのはあるのでしょうか。

答)

ちょっと私の立場で言えば2001年、小泉内閣の時から今日までですから、かれこれ10何年間ずっと要職、役職につきっぱなしでしたので、その意味では永田町とか霞ヶ関の界隈に、同じようなところにしかいない新聞記者とかお役人としか一緒にいませんから、どうしたって情報はかなり偏らざるを得なかったというのは、僕は常にそう思っているのです。永田町とか霞ヶ関だけにいると世の中というのはだんだん見えなくなってくる可能性というのは常にありますから。その意味では、野党の時代というのは結構自由な時間がとれましたので、その意味では随分地方の講演を含めて、地元を含めていろいろ行けたのはやっぱり、自民党の議員にしてはしんどい3年3カ月だったと思いますけれども、それなりにいい経験を皆したんだと僕はそう思っている。したがって予算の編成やら何やらに関しましても意外と、直接有権者の意見を直に聞く機会というのが多くて、まとめた団体の陳情というのではなくて個別に回れる時間もあったから、その意味では編成に当たってはいろいろ細部にわたって細かい話ができるような意見が出されたんじゃないかなと、私はそんな感じがしています。

(以上)

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