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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成25年3月29日(金)8時24分~8時35分)

【冒頭発言】

財務省幹部の人事異動について、本日の閣議で内閣の承認が得られたのでこの後、本日付で発令をいたします。発令内容は、中尾財務官がADB総裁候補になったことから勇退をしてもらい、後任に古澤理財局長を就任させます。中尾財務官には本日付で財務省顧問に就任してもらいます。古澤理財局長の後任には、林財務総合政策研究所長を就任させます。なお理財局長には、財務総合政策研究所長を兼務させます。

【質疑応答】

問)

今日で暫定予算成立の見通しです。その所感と、新年度に向けて本予算の成立がまだまだ急がれるところですが、その課題についてお願いします。

答)

暫定予算は、本日の参議院で午後上がることになっています。50日ということになっているんですが、いずれにしても暫定予算というのは極めて限られたものしか執行されませんから、景気等々のことを考えると一日も早く本予算が上がる、これが大事なことだと思っていますので、本予算の成立に引き続き努力したいと思っています。

問)

円滑化法がいよいよ終了するんですが、円滑化法についてはこれまで自由な競争を歪めるといった副作用を指摘する点が色々あったかと思います。この点も含めて、円滑化法のこれまでの功罪についてご所見があればお伺いしたいと思います。

答)

これは、もともと亀井金融担当大臣の時に、平成の徳政令とかと言われたんだ。簡単なことで言えば、手形のジャンプでしょう。手形のジャンプをさせて再延長させたわけですけれども、これをやったことによって救われたところはもちろんあります。ありますというか、企業の倒産を防止したことは確か。しかし、その中で何万社、正確にどの社がどうと言えるわけではありませんけれども、少なくともきちんとそれに対応して経営努力をされて、財務内容を改善したり色々された企業はもちろんそれならそれで良し。ただし、そういった内容の進歩が見られないところに関しては、ただただ手形のジャンプを繰り返すだけでは、およそ意味がないでしょうと。従って、再々々延長というようなことはしないで、少なくともこの円滑化法はいったん切らせていただきます。そして、その後の対応につきましては、急に円滑化法が切れたからといって各地の中小零細企業に貸付けを行っている金融機関の対応が急激に変わるということのないようにきちんと監視をさせたい。ついては各地の財務局等々、商工会議所や商工会に色々お願いをさせていただいて、これに対する対応をきちんとやっていただきますということで、もしそういったものに反するようなものがあったら、是非我々の方にお知らせくださいという対応で、こういった話というのは、どこで切るかというのは常に起きる話ではありますけれども、今回はそういった形で対応させていただいて、万全を期したいと考えています。

問)

年度末でもあるので少し広い視点で伺いたいんですけれども、今回12月に副総理兼財務大臣に就任されて、高橋是清、宮澤喜一以来の首相経験者が財務大臣になるということなんですが、確か当時その時の思いもあまり聞いていなかったと思うんですけれども、どういった思いでこの職を受けられていて、特に今回年度末ですけれども、おそらく大臣はデフレ脱却ということを常々おっしゃっていたのでそういった思いがあるんだと思うんですが、それに向けて去年と比べると株価は1万円か、今1万2,300円までいき、円相場は確か1年前82円ぐらいだったのが今は94円です。長期金利については1.0ぐらいだったものが、今は0.5ぎりぎりまで来ています。デフレ脱却という意味では非常に重要な局面にあると思いますけれども、これまでの3~4カ月の歩みをどうご覧になっていて、デフレ脱却という大きな目標に向けてどういう地点であるのか。

答)

少なくともこの選挙で勝ったら当分の間、選挙をやられたら全国の有権者の気持ちは不況脱却、デフレなんてことが分かっていらっしゃる方はほとんどおられませんから、不況ですよ、インフレもデフレも関係なく不況。そういう不況脱却というのに集中して政策を展開していただきたいというお話をさせていただいて、そっちの方向に集中して対応していただいたおかげで、いろいろな意味で緊急経済対策とか日本銀行との共同声明とか大型の補正予算とかというものを緊急にやらないと、今回の目先、やっぱりスタートダッシュとしては一番大事なところだと思っていました。そういったものをきちんと対応していただいて、総理の了解も得られた上で内閣一丸となってやれたのは、この3カ月の中では私共としては一番成果として言えるんだと思います。一番これはどうかなと思ったのは、株価が下がり始めたのが89年、土地が下がり始めたのが92年からですから、かれこれ20年以上何となくそういった気持ち、デフレマインドみたいなものが定着している有権者、国民の皆様が、その気持ちが少なくとも物が今日よりは明日、今年より来年下がるとなれば物は買いませんからね。投資もしませんから。そういった意味ではインフレマインドというものに切り替わっていくかどうかというのが我々にとって最大の問題で、こればかりはなかなか人の気持ちですから動かなかったのが、意外とそこらのところは明るい雰囲気になったというところは大きなところで、新聞の書く何となく否定的な話があまり効果がなくなってきているのではないですか。内閣支持率は高いし、そういった意味では、まだ問題はありますよ、問題は常にあるんですよ。その問題があるのを乗り越えていかないと、不況対策というのはできませんので、そういった意味で3本の矢を思い切って3つ同時にということを申し上げたんですけれども、これも同時にさせていただくことができたのはこの3カ月の間にしては意外と、最後のところは一番問題だと思っていましたが、そこそこ出来たのは、補正予算というのは、最初から補正予算になると思っていましたから、予算編成がとにかく12月末から始まっていますから、補正予算にならざるを得ないというのは最初から分かっていましたので、そういった意味ではいろいろな対策はそれなりに打てているかなとは思っています。

問)

デフレを脱却するという大きな目標を考えた時に、今どういう局面にあるのか。

答)

デフレ脱却にいくまでにはまだまだ時間がかかるんだと思っていますので、2%2年以内という話を目標に日本銀行も取り組んでいただいているようですけれども、これは人の気持ちが変わったり何かするのがどうかなというのが1つ。もう1つは、日本のGDPの中に占める輸出比率は11%ぐらいですけれども、この輸出の部分が少なくとも海外で言えば、アメリカは住宅市況がよくなって消費が伸びましたから少し変わってきているとは思いますが、ヨーロッパはまだまだですし、不安要素がまだあります。そういったところを見ると大丈夫かなという気が、そういった気持ちがなかなか大丈夫だという気持ちになるようなものが出てくるか出てこないかというのは、ちょっとまだまだ不安要素としては残っているとは思います。総じてこの政策がきちんと動き、予算が作動し始め、いろいろな意味で仕事が出始めればそれなりの効果はあると思っていますので、それが民間の経済成長につながっていくかいかないか、これが今からのところで、ちょっといま一つそこまではきちんとしたものが見えてきているわけではありません。

問)

先ほど、期待インフレがちょっと変わりつつあるという話がありましたけれども、この前も長期金利のやりとりがあったようですが、期待インフレ率が高まると、やはりそれは長期金利の決定要素ですから、1%はあるにしても長期金利が上がっていくということにもなると思うんですけれども、そういった点はどう考えていらっしゃいますか。

答)

それは間違いなく期待インフレが上がれば長期金利は上がるということになっていくんですけれども、過去20年間、上がる上がると言って上がらなかったんですからね、1回も。期待インフレも低かったけれども、それまではずっとインフレマインドで来ていたんだから。それがある日突然にそんな急に変わるはずはないので、その頃は金利は下がりっぱなしに下がって、これだけ国債を発行したら国債金利は上がらなくちゃおかしい。どうして上がらないですかね。みんな新聞は上がる上がるって書いたじゃないですか。1回も上がらず下がりっぱなしに下がって、ついに1を割って0.5までになって、普通じゃ考えられない状態になっていて、今までのとにかく経済の知識とか経済の経験じゃ考えられないことが今起きています、世界中で。そういうことを頭に入れて、どうするかという発想をしないといけないと思います。

(以上)

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