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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成25年8月2日(金)9時45分~10時12分)

【質疑応答】

問)

概算要求基準ですけれども、裁量的経費のおおむね10%カットとか、それから消費税の方もやや不透明なので、今後の税収の動向を踏まえて追加の要望枠といった骨子がいろいろ取材上うかがえますけれども、現在の調整状況についてお伺いしたいと思います。

答)

来週中をメドに中期財政計画というのをやることにしていますので、それに合わせて現在作業中というところで、今の状況を説明する段階ではありません。

問)

財政の立て付けについてもまだなのでしょうか。

答)

そうですね。いろいろアイデアは出していて、財政再建の話とアベノミクスとしての主眼である、いわゆるデフレからの脱却との両立を図らなければいけないわけですから、そういった意味でいろいろな、立て付けという表現がありますけれども、そういったものを目下検討中です。シーリングというような感じではない方が良いのではないかなと思っています。きちんとこれ以上1円も駄目ですという、シーリングがマイナス10%一律というようなことはしない、そういうようなことにしようと思っています。

問)

成長戦略の関連ですけれども、6月にまとめた際に包括的課題に向けて共通認識を図る上でも、政労使の会議を速やかに立ち上げるという文言が入っていたと思います。足元の景気、大臣御案内のように12日発表のQEについては民間の予測ですと年率3%台というような予測が出ております。それと今週発表された失業率も、4年8カ月ぶりに3%台と良い状況、良い数字が出ていると思います。あとはこれを賃上げにどうつなげていくか、大臣も常々おっしゃっています、企業が巨額に抱えています内部留保をどう前向きに使っていくか、こういったような前向きの議論が今後必要になってくると思うんですけれども、その意味で政労使の三者会談と言うんでしょうか、そういったものについて大臣どのようにお考えなのか、今後の展望も含めて伺いたいと思います。

答)

私自身はやった方が良いと思っているんですが、これはいろいろ意見が分かれるというか、意見があるところだと思いますね。政労使で会談をやってこの種のことをやるというのはあまり普段はない話ですからね。ですからそういった意味では何故、政と使が一緒に話をするのですかという御意見等々いろいろありますので、なかなか意見はいろいろあるんだと思いますけれども、私自身としては骨太方針に記載された、アベノミクス成功のためにもというような台詞が書かれてあったと記憶します。そういった中では景気の回復とかいろいろ言って、賞与が出たけれども給料がいま一つとかと言っていますけれども、企業の場合、銀行まではお金が確かに来ましたよ。しかし、問題は銀行から先に市場金融のマネーサプライが増えたかといえば、それは増えているとは言いがたいんじゃないですかね。ということは、簡単に言えば企業に設備投資意欲等々が起きていないというように理解すべきなんだと思いますので、景気はいま一つということだと思わないといけません。事実20年近く続いたデフレーションが半年かそこらで直るはずもありませんから、そういった意味では、引き続き経済政策は、今の経済政策、アベノミクスを継続していくに当たって労の意見、使の意見というのをいろいろ拝聴させていただくというのは必要なんじゃないかなと、私はそう思います。政労使、あまりやったことないですからね。

問)

消費税に関してですけれども、大臣はかねがね景気が良くならない限り上げないとおっしゃっておりました。報道によりますと法案どおりにやるべきだという発言がよく麻生さんの言葉として出てくるんですが、イメージ的に乖離があると思うのですけれども、これはなぜなんでしょうか。

答)

それはあなたの発想ですよ。法律に書いてあるじゃないですか。あれには景気が良くならなきゃ上げないと、附則第18条第3項というのは長く書いてありますけれども、簡単に言えば景気が良くならなきゃ上げないと書いてあるんですよ、あれは。ですから言っていることと全然違いませんよ。

問)

大臣はそうおっしゃっております。それは私も理解しております。ただ報道だと消費税に賛成だというようなイメージで語られている面があって、なぜこうなってしまうんだろうなというのが疑問だったんですが。

答)

それは報道をやっておられるあなたの方がどうしてなんだろうなと考えることなので、それはあなたの方の仕事であって、私の方の仕事じゃありませんよ。報道でどうしてそうなるか、是非教えてくださいと私の方が聞きたいぐらいですけれども、ずっと半年間同じことしか言っていないと思いますよ。あの法案を、附則第18条第3項を書き足す時にこんな長ったらしく書くべきじゃないと言った話やら何やらいろいろ書きましたけれども、作ったのは去年ですかね、あれは。去年の時からずっと景気が良くならない限りはということを申し上げてきて、事実、景気は少なくとも今のところ、先ほど質問が出ていたように失業率が4.1%から4年半ぶりぐらいに3.9%に下がりました、株は上がりました7割近く上がりました、円は20%以上円安に振れました、各景気の指標というのは軒並み上向いた形でこの半年間、3カ月間、ほぼみんな上がってきていますから、景気の指標としてはマイナスに向いているものというものはほぼない。マネーサプライが増えていないという点に関しては、銀行へ行くマネタリーベースの方は増えていますけれども、マネーサプライの方がまだ増えていないというのは事実です。しかし昔に比べて、6カ月前に比べてマネーサプライが今までよりは増えてきていることは確かですから、ほぼ全ての指標は景気が上向いているという指標になっているということと、私の言っていることと全然ずれはないと思います。

問)

昨日のIMFの報告書でアベノミクスの3本の矢がきちんと実行されないことが、中国の成長減速、米金融緩和解除と並ぶ世界経済のリスクというような形で報告されているんですけれども、そのような国際社会の懸念について閣議や諮問会議などで取り上げたり議論したりするということはあるんでしょうか。

答)

基本的には、例えば今回のサンクトペテルブルクで開かれるG20サミットにおいて、9月5日、6日に開かれますけれども、この会議において各国は、それまでに中期財政計画を提出しなければならない。その中に日本の場合は3本の矢の中の3本目のものを含めて我々はきちんとしたものを出して、その中には中期的に見て、我々は財政というものをプライマリーバランス、プライマリーバランスというのは竹中平蔵氏が大臣だったぐらいの時から使い始めた言葉で何のことかよく分からない人が圧倒的に多い言葉でしたけれども、今は普通になりました。財政均衡と同じことを言っているんですけれども、あの種の話を我々としては、少なくとも方向としては、財政をただただ垂れ流しているというような感じではなく、財政をきちんと立て直していくための努力として、与党、野党、いろいろ意見が違っていますけれども、私共としては少なくとも3党で合意して、消費税という最も議員としては選挙に受けの悪い法案をきちんと通しました。与野党、衆参でねじれているにもかかわらず、我々はきちんと通したんですよ、他の国ではちゃんとそういったことをやっていますか、日本はきちんとやりました。そういったものを法律でそう書いてやってあるので、少なくとも日本の民主主義の成熟度合いとしては、皆さんの国より日本の方が与野党で合意してこれをやっているというところを見ても、私共は財政再建というものに対するきちんとした対応というのははっきりしていると思っていますという話もしてあります。そういった方向で、諮問会議等々においても同じようにこの方向で意見が出される、よくあるところですから、御心配されているのかどうか知りませんけれども、その点は今のところありませんと思っています。財政再建の話ですよ、今一番行き着きたいところは。いつからですかね、プライマリーバランスという言葉をマスコミが使い始めたのは。私、何でここで財政均衡という言葉を使わずプライマリーバランスにしたのかなと思って、不思議だなと思っていたんですけれども、カタカナが好きなのですかね、外国のマスコミが。財政均衡は漢字が難しいですか、まさかそんなことはないでしょう。2000年の初めぐらいからですよ、使い始めたのは。政調会長をしている頃だったので、何でここでこの言葉が出てくるのかなと思って不思議に思ったけど、ある時期から突然ずっとプライマリーバランスになりましたからね。何となくデフレの真っ最中にプライマリーバランスもなかろうと思って、デフレの真っ最中にプライマリーバランスよりはもっと財政出動なんじゃないかなと当時思った記憶があります。

問)

7月29日の講演で、改憲の論議に絡んでですが、ナチス政権の手口に学んだらどうかという、そこだけの一句が取り上げられて、かなり海外から、国内もそうですけれども批判を呼んでいます。これについて、昨日コメントはいただいたんですけれども、改めて発言を撤回された経緯と、なぜ撤回されるという御決断に至ったのか、御説明いただけますでしょうか。

答)

7月29日にどれだけの方が出ておられたか知りませんけれども、あの会議では憲法改正の話が主に出ていたんだと思います。憲法改正というのは喧騒、狂騒、そういった状態で決めるべき話ではないと。極めて静かなうちに論議をしないと大変なことになると言いまして、あそこに出ていた方にしたら、麻生太郎は憲法改正反対みたいに思った方が、そういうようにとられた方がいらっしゃるかもしれません。しかし、私が言ったのは、わあわあ騒ぎの中で決めるべきではないという話でして、その中でドイツではワイマール憲法という立派なものが第二次欧州大戦が始まる前にきちんとしていたんだと思いますが、そのワイマール憲法というものによって、選挙によってヒトラーという独裁者が選ばれたんです。そして選ばれた後、わあわあと大変な騒ぎになっている中、その狂騒の中でいつの間にかナチスというものがわーと出てくることになったということで、ああいったものは悪しき例として我々は学ばなければいけないということを申し上げたんです。ワイマール憲法、ナチスというところが非常に問題、例としては不適切だというお話だったので、私がそこで取り下げますと言ったのは、ワイマール憲法、ヒトラーを例示したのは、強調するために申し上げたんですけれども、そこを言われましたので、そこを取り下げる。ワイマール憲法、ヒトラーのところを取り下げるということを申し上げたので、憲法改正というのは落ち着いた中で、静かな中で考えるべきだということに関して撤回するつもりはありません。

問)

今おっしゃっていたことは昨日の撤回コメントでも知っていますが、全体のトーンとしてはナチスに対して評価されていないと受け止めているんですけれども、一部その手口を見習った方がいいとか、学んだ方がいいとか、肯定していると受け取られかねない発言も入っております。基本的にナチスに対してどう評価されているのかというのを改めて見解をお願いいたします。

答)

ナチスが出てきた背景というのは、いろいろな人が、いろいろな歴史家が言いますけれども、ナチスが出てきたのは第一次欧州大戦にドイツが敗戦して第二次欧州大戦が始まるまでの間に、ドイツでは1,320億マルクという当時の天文学的数字、そういった1,320億マルクという巨大な賠償金というものの支払いのために、大インフレーションが起きたのが確かあの時だと思います。そういった中でいろいろな内閣が次から次へと出ては倒されという形になって、結果としてヒトラーという人が出てくることになったんですけれども、あれで学ぶべきは人をやめさせる時にはきちんとした交代者、次に出てくる人を選んでおかないとああいったことになるという例は一つの教訓としてみんな習ったものの一つなんじゃないですかね。そういった意味では、いろいろな意味のものが出てくるんだと思います。日本の場合は少なくとも昭和21年からこの方、昭和憲法と言いますか、今の憲法になってから平和とか人権とかそういったものは戦後一貫して言ってきましたので、そういった意味ではドイツとは歩んだ方向は、ドイツは冷戦というのの最前線におられたという状況も少し違うのかもしれませんけれども、日本の場合はいろいろな意味で極東にあって少し状況が違ったとはいえ、少なくとも戦後一貫して平和主義とか人権とか法の支配とかというのを言ってきましたので、そういった意味では日本としての戦後の歩み方というのは、我々としては決して間違った方向ではなかったと言ってしかるべきじゃないかと思っています。ただ最近、憲法改正が出てきているのは、我々の置かれている極東という地域の状態が、少なくとも冷戦構造が崩壊してから、いろいろな問題が出てきています。それに合わせて、我々としては自国を防衛するという意味において、今の憲法で事足りるかという問題は改めて考えねばいけないということになっているんじゃないんですかね。そういうように思います。

問)

昨日、発言を撤回されましたが、発言されたことを受けてアメリカの民間団体や中国や韓国の政府の反発がありました。御自身の発言が与える外交への影響についてはどのようにお考えでしょうか。

答)

私としては最初に申し上げた、ナチス政権の例示を挙げたということに関しては誤解を与えることになったと思いますので撤回をすると申し上げたので、別に憲法改正というのは落ち着いた議論の中でやるべきだということに関して撤回するわけではありません。それは昨日も申し上げたとおりだと思っています。今、外国からいろいろあるんだというお話でしたけれども、ナチス政権を、私の発言を全部読んでもらっても正当化するような発言は全く出ていませんし、例として挙げたことが誤解を招くということになった点は撤回しますということを申し上げたので、真意は十分に御理解いただけているものだと思っています。

問)

先ほど大臣、撤回したということをおっしゃられたんですけれども、30日に米国ユダヤ人人権団体のサイモン・ウィーゼンタール・センターが非難する声明を出しましたが、こちらの団体に対して別途御発言を謝罪する意思はございますか。

答)

ありません。私の場合は昨日申し上げた、撤回をするということを申し上げたということを繰り返すだけです。

問)

念のため確認で、別途、謝罪する意思、撤回する意思はないということでよろしいでしょうか。

答)

私がナチス政権を例を引いたということに関し誤解を招いたということに関して、私としては甚だ遺憾だと思いますし、同時にその点に問題が起きたというんですから、ナチスの政権を例示として挙げたことを撤回しました。

問)

また別途、誤解を招いてしまったことに対して、こちらの団体に謝罪、撤回する意思はございますか。

答)

ありません。

問)

韓国、中国の政府も大臣の意見に対して批判するコメントを出していますが、こちらに対してはまた謝罪、撤回する意思はございますか。

答)

今、答弁したとおりです。外国だから謝罪する、こっちだったら謝罪しない、そんなことはありません。みんな私の言っていることは同じです。

問)

社民党の又市征治幹事長が31日、大臣の発言に対して閣僚、議員辞職を求めるということを発言しておりますが、こちらに対して大臣はどのようなお考えがございますでしょうか。

答)

この発言をもって辞職しろと言っておられるんですか、又市先生が。

問)

閣僚と議員職の辞職を求めると言っております。

答)

辞職を求めると言っていることに関して、辞職するつもりがあるかと聞いておられるんですか。

問)

辞職をするつもりがあるかということも含め、どのようにこちらのコメントに対して御意見がありますか。

答)

辞職をするつもりはありません。

問)

消費税についてですけれども、8月の後半にも諮問会議の方で有識者を集めた会議を行って、消費税の影響などについて議論するということが話されています。総理の判断の問題だと思うんですけれども、関心になるのは97年の3%から5%への消費税引上げの時に、その後に景気が後退したと。消費税率だけではないと思うんですが、当然その後の金融危機だ、アジア危機だというのがありましたが、景気の悪化の理由について、大臣もう一度これについてどういうふうに見解を持っていらっしゃるのかお伺いさせてください。

答)

97年に3%から5%に消費税を引き上げるということになった時には、社会保険料も合わせ、合計9兆円の増収になるはずだった。それが結果として見ればマイナスになりました。消費税は確かに増えましたけれども、その他の法人税や所得税が一斉に減りましたから、そういったものを含めてプラスマイナス7~8兆円の差が出たということなんだと思います。あの時は間違いなく、いわゆる97年以降に三洋証券、山一證券、北海道拓殖銀行、98年に入って長銀が倒産する等々、銀行などの金融機関が大幅に倒れるという事態やら何やらがアジア通貨危機に関連して日本でも起きたことで、二つ、ダブルにかかってきたので、そういったような状況がありました。あの時は非常にマイナスが出たということは事実だという理解をしています。ただ今回の場合はそういったような、来年4月ですから、まだ何が起きるか分かりませんよ、シャドーバンキングがどうしたとか、いろいろマスコミにも書いてありますからね、そういったのがどういう形になるかは分かりませんが、私らの場合、今の状況で行くと、97年と違って来年の4-6月の落ち込みというのは、ある程度覚悟しておかなければいけないと思っていますが、住宅投資の駆け込み等々がなだらかになるようにするためには、いろいろな住宅税制等々、いろいろな軽減税率と言いますか、そういったような低所得者向けの対策というのを既にいろいろ考えて対応していますので、ああいったような形で大幅に落ち込むということはないと、私共はそう思っています。

(以上)

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