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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成25年9月27日(金)11時08分~11時26分)

【質疑応答】

問)

昨日大臣も出席をなされた自民党税調において、復興特別法人税の1年前倒しでの廃止というものを検討するよう政府側から税調の方に要請がなされたと思うのですけれども、大臣はかねてより復興増税の廃止に関しては慎重なお考えを述べられてきましたが、そのお考えはお変わりになったのでしょうか。また、与党内は、まだ慎重論、反対論が非常に根強いと思うのですが、そういった声を受けてこの案を撤回あるいは修正されるという可能性はあるのでしょうか。

答)

自民党の税調に財務大臣、大蔵大臣が出て話をしたというのは過去にほとんど例はありません。いずれも増税のお願いに行ったというのが1度か2度あったと思いますが、減税のお願いに行ったことは1回もありません。それが歴史です。したがって、私共の答えもはっきりしていますから、復興特別法人税の扱いについては、これはいろいろな観点から今後また議論していくことは必要だと思いますが、政府・与党一体となって前へ進めていくということに関しては、はっきりしており、必要なことだとは思います。

問)

1年前倒しで廃止をするということが、期間ですとか、あるいは条件面等において修正する可能性というのはあるのでしょうか。

答)

復興特別法人税を1年前倒しということについて基本的にお願いをしているタイミングであって、これを修正するということはありません。

問)

法人実効税率本体そのものについてですけれども、大臣はずっと長期的な課題であるということを仰られてきたと思うのですが、今度打ち出される経済政策の中ではどのような方針が示される見通しなのでしょうか。

答)

法人税の実効税率に関しては、いわゆる国際競争の観点からですとか、これは前々からある話ですので、私共としては、これは何を国際標準とするかは別にして、いろいろな形で国際標準に合わせてとか、デファクト・スタンダードに合わせてとかいろいろ表現をしていますけれども、そういったものに合わせてやっていくという話は中長期的な視点としては考えなければいけません。これには直間比率の見直しというところも併せて考えなければいけないのであって、ヨーロッパの場合は低くても間接税の比率が十何%、20%という中にあっての話と、我々共のようにまだ5%のところでやっているところと条件が違いますので、そういった意味でも1点。また、いわゆる低福祉、中福祉、高福祉、どれをとりますかという点も考えた上で判断をしなければいけないところなので、この話は中長期的には検討をしておかなければいけない大事な観点だと思います。今の段階で実効税率の面でいけば、法人税1%で約4,000億円ですかね、そういった額になりますので、仮に10%とすれば4兆円という法人税の減税を行う場合には、それに合わせて代わりになる財源がどこか出てこないといけません。そうすると法人税の対象を広めますかという話に関しては、これはなかなか議論の分かれるところだと思いますので、中長期的な課題だとは思いますけれども、今すぐというようなことを考えているわけではないということです。

問)

少額投資非課税制度のNISAの口座開設の手続が、10月1日から始まるということで、今月末の業界団体の見通しだと、今322万件というような数字も出ていますが、この数字の大臣の受止めと、「貯蓄から投資へ」という流れにこの制度をどういうふうにつなげていこうとお考えでいらっしゃいますか。

答)

最初、322万口というような口数になるということを予想した投資信託会社はゼロでしたね。それが、実際問題として322万口になっているのですが、少なくとも貯蓄に関して、やはり日本人の一般的なところで何となく株というのは危ない、怪しげ、そういったイメージは拭い去れていないと思いますね。かつて、株価は、1989年12月末につけた3万8,915円、これが最高値だと思いますが、これから今の約1万4,700円は、2万4,000円以上落ちているのですからね。だから、そういった意味で、株の上がり下がりに関して、何となく安心できないようなイメージが、かなり定着している人達は多いと思いますね。これは、何も今に始まったことではなくて、昔からだと思いますが、ただ日本人が持っています個人金融資産約1,600兆円弱のうち株式で占める比率とか現預金で占める比率でいくと、現預金で占める比率は900兆円弱、そういった状況は、ちょっと世界的に見ても非常に現預金比率が高過ぎる感じがしますので、その意味で株式等々に貯蓄から投資へ回っていくのは、このところの低金利の状態がずっと続いて、今日も、「大量に国債を発行すれば金利は上がる。」と書いていた新聞の予想はきれいに外れて、0.6%に下がったわけでしょう。0.8%だったのだから、あの時は。どんどん上がりますと書いていたじゃないですか。今日は0.68%ぐらいということで、下がっているわけだから、そういった意味では預貯金だって同様に上がらないんですよ、幾ら貯金をしても。今までは、物価が少しずつ少しずつデフレーションで下がっていましたから、それなりの、1%下がっているとすれば、1%預金の値打ちが上がったようなことになりますからね。しかし、それが仮に2%の物価上昇ができることになれば、その分だけ貯金が目減りするようなことを意味しますので、その意味では「貯蓄から投資へ」という考え方に、そういった意識が変わっていくためには、意識が変わっていく必要を感じられている方は、NISAに対しての関心が高まったとしても不思議ではないかなと思って、私としては前向きに受け止めているというのが正直なところです。

問)

企業の賃上げという主たる目的に向けて、復興特別法人税を前倒して終了することを図ると政府は自民党等に説明しているとのことですが、大臣はこれまでも賃上げについて、そう簡単な話ではない、企業の経営者だったらそうなるのかという話をされていますけれども、今、政府として賃上げを目的ということであれば、そういったことにつながる良案があっての話なのでしょうか。改めて大臣の考えをお聞かせください。

答)

私はこれについての良案が、今すぐ思いついているわけではありません。これは主に経産省の仕事になるのだとは思いますけれども、少なくとも確実にそれが人件費に回ったか否かというのは、最終的な決算が出た段階で分かりますから、そういった意味ではきちんと回ったところ、回っていないところというのはある程度分析できるということは確かだと思いますので、そういった上でどうするかということです。この話ができ上がれば、それに当たって確実にそれが人件費のアップに回っていくのであれば、少なくとも復興特別所得税というものに関しての負担を、みんな源泉徴収で取られている分、みんな分かるはずですから、その分が給与の値上げによって少なからぬ恩恵がそっちに回っているというのであれば、それなりの納得は得られるのではないかということを申し上げているのです。復興特別法人税は8,000億円ぐらいのものだと思いますが、その分が給与の支払いに回るように、これは各企業がそれをしていただけるかどうかというところが一番問題なのであって、強制できるような国家体制でもありませんから、そういったところも考えて私共としては対応をしないと、いわゆる批判を浴びることになるのではないかということを申し上げているのであって、実際これをやっていく段階ではまだまだ詰めなくてはいけない部分があるのだというようには考えています。

問)

今回の経済対策の中では、今ある現行の5%の賃上げを図った企業に対しては税を優遇するというものがあると思うのですけれども、それを今うまく雇用の、それと今回の賃上げということで法人税の引下げということを求めていると思うのですが、同じことなのではないですかね、要は企業の賃上げをさせようというところであれば、すごくかぶっているような案だと思うのですけれども、大臣の考えをお聞かせください。

答)

必ずしも一概に一緒になるというわけではありません。所得拡大促進税制のことに関しては、基準年度、平成24年度に比べて平成25年度とか、その年度に比べて5%、何%という話ですが、現実問題として5%というのは結構な賃上げです。そういった意味では、大企業で5%と言いますと大変なことになりますので、なかなか難しいです。それから総額である程度決めているところもありますから、高齢者が1人辞めて若い人の雇用が2人分増えたら、雇用の意味ではプラスになることになるのですが、いわゆる所得と言いますか、給与の面から言いましたら高齢者1人と若い人2人で、若い人2人の給与の方が安いというのであれば、その企業全体として見れば、形としては、それは賃下げになってしまいます。そういったようなことも考えますと、なかなか5%という案は、財務省としては結構思い切った案だったのですけれども、なかなか使いにくいのが現実というのであれば、少なくとも基準年度を24年度に置いて、それに比べて2%とか3%という方がむしろ使いやすいのではないか、やりやすいのではないかということも考えておいて、向こう5年間の話でこれを使いやすくしていくということを検討すると。これは党税調でやっていかれるのだと思いますけれども、そういった考え方は十分に考えられると思います。

問)

1日に向けてまだ時間はあるとは思うのですけれども、この経済対策の中身であるとか、大体の規模感みたいなものも少しずつ政府で詰まりつつあるのかなという位置付けじゃないかと思っております。言われているように5兆円ぐらいの経済対策というふうになった場合、大変注目されるのは国債を新たに追加してやるのか、あるいはそうではないのかというところが非常に大きな点ではないかなと思っております。先日も伺わせていただいたと思うのですけれども、現時点において新規の国債の発行はあるのかどうか、大臣のお考えを伺えればと思います。

答)

今の御質問で規模感が、具体的にこれくらいのものだとか、何兆円とかという話をされていましたけれども、全体として規模感ができ上がっているわけではありません。それから現実問題として、11月末ぐらいにならないと法人税の税収がどれくらい上振れするのか、また下振れするのか、いろいろなことが十分にまた起こり得る状況ですから、まだ2カ月ぐらいありますので、その間の税収の伸び縮みというのが全然見えませんから、今の段階ではうかつなことは言えません。したがって規模も言えないのだと思っています。それに基づいて、いわゆる補正予算を、来年度の4-6月の落ち込み分に対応するために、経済成長を腰折れさせないために、デフレ不況脱却政策を腰折れさせないために、しかるべき対策が必要ということは私共もそう思っていますので、それに対応するために私共としてしかるべき財政をということを考えています。しかし、それを額が足りないからといって国債でやるということに関しては、傍ら消費税の増税をしておいて、さらに国債を出すというのは形としてはあまりいい形でもありませんし、筋としてもいかがなものかというのも前から申し上げているところです。

(以上)

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