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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣臨時閣議後記者会見の概要

(平成25年12月12日(木)17時44分~18時00分)

【冒頭発言】

平成25年度補正予算について、本日の臨時閣議でその概算が決定しておりますので、概要を申し上げます。今回の補正予算は、来年の消費税率引上げに伴う対応として、12月5日に閣議決定した「好循環実現のための経済対策」を実行する約5.5兆円の歳出の追加などを盛り込んだものであります。具体的には消費税率引上げによる反動減を緩和し、景気の下振れリスクに対応するとともに、その後の経済の成長力の底上げと成長軌道への早期の復帰を実現する観点から、競争力の強化策として1兆4,184億円、若者・女性・高齢者・障害者向けの施策として3,005億円、復興、防災・安全対策の加速3兆1,274億円、低所得者・子育て世帯への影響緩和、駆け込み需要・反動減の緩和6,493億円といった分野に重点化した予算といたしております。

財源については、景気回復を背景とした今年度税収の自然増2兆3,440億円や、24年度決算の剰余金2兆8,381億円、税外収入3,963億円などを活用することとし、その結果、新規国債の追加発行は行わないこととしております。

財政投融資の計画につきましても、本経済対策を踏まえ、約1,300億円を追加することにより、産業投資を活用した健康・医療分野へのリスクマネー供給の強化、また、中小企業等の創業や資金繰り支援の強化等を実施することにしております。

今後、来年の通常国会への補正予算提出に向けて作業を進めていきますが、早期に成立をさせていただけるよう、政府一丸となって取り組んでいきたいと考えております。

また、平成26年度の当初予算については、本日の閣議において、官房長官から12月20日及び21日に大臣折衝、24日に概算閣議を予定している旨の発言がありました。引き続き、来年度予算の編成につきましても全力で取り組んでまいりたいと考えております。

【質疑応答】

問)

5.5兆円の経済対策を柱とする補正予算案を閣議決定したということですが、その規模とあと中身について、どのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。

答)

来年度当初の4-6月期の民間予想によれば、経済成長が1.8兆円前後落ちることをカバーするという意味におきまして、補正予算を組み、その落ち込みをなるべく緩和させます。また、駆け込み需要が当然起きると思われますので、それをなるべくなだらかにする。年度の前半に需要が起きるようにする等々いろいろなことを考えて、今こういったものを考えているのですけれども、基本として、私としては5.5兆円というところは今置かれている状況から見れば、私共としてはこの補正予算を組むことによって、26年度当初予算も含めますけれども、そういったものを含めて4-6月期といいますのは、政府需要や政府支出やらが一番落ち込む時期でもありますし、そういったものについて補正予算を組んでおくことによって、あらかじめそういった需要を喚起もできますし、いろいろな意味で5.5兆円というのは良い規模ではないかなという感じは、私は個人的にはそう思っています。

問)

本日、2014年度の与党税制改正大綱が決定いたしました。今回の税制改正の全体の印象と、それからその焦点でした消費税の軽減税率制度については、税率10%時に導入するというふうになりましたが、それは消費税が10%に上がったと同時の軽減税率の導入とお考えでしょうか、それともまだ時間がかかるとお考えでしょうか。

答)

複数税率ですとか、また車体課税とかいったような難しい課題が今回あった中にあって、デフレ脱却と日本経済再生ですとか抜本改革の後の税制改革を着実に実施していくという意味においては、私共としては、良い案を取りまとめていただいたというように思っています。感謝申し上げなければいけません、おそらく印象といえばそういうことですかね。10%への引上げ時に軽減税率制度を導入するのかということについては、それは政府として特に解釈を加えるという段階ではありませんけれども、10%への引上げ時に軽減税率を導入しようと思えば、その前に少なくともいろいろな意味で、我々としては、国民や納税者の御理解を得るためには、まずは何を軽減税率の対象とするのですか。それが仮に食料ということになりますと、それはかなりなものになります。飲み物も入るでしょうから、そういったもの全部となりますと1兆円は超えるのだろうと思われますから、それは財源が要ります。社会保障と税の一体改革ということで、この5%の引上げをやらせていただいていますから、その分はいわゆる社会保障等々の分を削るのですかといいますと、税負担をお願いしている傍ら3割だ2割だという話もありますし、またいろいろな意味で診療報酬等々の部分にはね返ってくる部分やら何やらいろいろな部分がありますので、そういったときに今言われたような話をやるときには、国民負担が軽減税率という分で安くなる部分もありますけど、高くなる人もその分だけ減らされますから、その減らされた方はその分だけ払うことになりますから、そちらの部分の方はどう考えられるのかなどなど、考えていただかなければいけないものも多くあります。考え方の問題、財源の問題、何を対象にするのかという区分の話、よく言われるように、この間、マスコミでケチャップが話題になっていましたけれども、マヨネーズの話もあります。マヨネーズは何で駄目なのですかと言われますと、そういう御意見もありますということで、何を区分するかというのは、これは少し役人等の思いつきや、政治家の思いつきや、マスコミからの話では話にならないでしょう。ですから、やはりいろいろな御意見について、総合的に話を聞かないで偏ったものになるというのはいかがなものでしょうかということです。世界中で軽減税率を導入したときにどういうことになったのかということは、イギリスの例を見るまでもなく、海外の例では混乱を起こしたことは事実です。そういったようなことにならないように、きちんと例を学んだりするためには結構な時間がかかるということは確かな上で、解釈を加えるということになりますと、それがすぐ理解されたということはすぐできるかもしれませんが、そこのところは分かりません。

問)

本日の予算編成の基本方針、閣議あるいは諮問会議でもと思うのですが、当初の書きぶりに比べると診療報酬、公共事業、あるいは農業であったり、かなり各分野で書きぶりの後退が目立つという印象を受けております。特に各歳出項目の抑制というような文言がいろいろなところで消えているという印象を持っております。いよいよ来年の当初予算に向けて最終的な調整の段階に入っていると思うのですが、来年度予算編成に向けた財務省としてのスタンス、考え方について改めてお話を伺えますでしょうか。

答)

全然見解が違うと思います、私とは。今の話でいきますと予算編成の基本方針というものに関しては、現在、予算編成を進めている平成26年度の予算ということになるのですが、これは基本的な考え方を策定するものとして作り上げています。今からそれに基づいてはめていくのですけれども、いろいろな御意見というのが出されるのは当然なのであって、そういったなかで財政健全化というものと経済再生というものを両立するという大目標を掲げていますし、これはOECDでもG20でも、これは両方目指していくということが今後の各国の進めるべき方向だということになっています。我々としてはきちんとした経済再生と財政再建を両方目指してやっていくという意味においては、平成26年度の予算編成と与党税制改正大綱に関して特に違和感を感じているわけでもありませんし、特に後退したという感じも持っているわけではありません。

問)

軽減税率についての確認なのですが、これは時間をかけて準備すればやれるということなのでしょうか、それとも社会保障の穴を少しでも埋めるという観点からは、低所得者対策としてはほかのやり方を考えた方が良いということなのでしょうか。

答)

これこそ意見がいろいろ分かれるところなのだと思います。軽減税率というものは、我々はやったことがありませんから。ヨーロッパにいれば、こういったものは幾つもありますから。そういう意味では慣れています。大体消費税ですとか、付加価値税ですとか売上税ですとか、こういった税というのは我々はあんまり慣れておらず、導入してからまだ数十年しかたっていませんから、そういった意味では慣れていないところに、いわゆるこういった新しいものが入ってきますとかなり混乱します。そのときにどんな不満が起きるかです。面倒くさいという単純な御意見もあるのかもしれません。1,000万円以下のところは納税義務がありませんから、そこが物を納めるというのでは、いわゆる領収書ではなくて請求書、納入書が要りますから、その納入書は保存しておいてもらわないといけませんと、当然なるでしょう。それは今までやったことがないところは、それは全部やらなければいけないということも、確保するのはとてもたまりません、やってられないという方もいらっしゃるし、安くなるから良いじゃないという方もいますし、いろいろな方がいらっしゃいます。消費税が上がった分を社会保障に回すというのが、社会保障と税の一体改革の一番の根源ですから、その根源のところの1兆円を削ってそっちに回しますという話というのは、少し話が違うのではないですかという意見もあります。そういったものが多く出ますから、これは面倒くさくないのが正直一番簡単かなと少し思いますけれども、それではとてもじゃないということになってきていますので、今の話ではそれこそいろいろな方々の御意見が出てくるところだと思いますから、今の私の段階でどっちが良いのかという立場にはありません。

(以上)

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